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客引きで風営法違反

2019-08-12

客引きで風営法違反

客引きでの風営法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース①~
兵庫県神戸市中央区にあるパブの従業員であるAさんは、同区の路上で不特定多数の通行人に「3000円でいいから、行こうよ」などと言いながらつきまとい、腕を引っ張るなどの客引きをした疑いで、兵庫県生田警察署風営法違反で逮捕されました。

~ケース②~
兵庫県神戸市中央区にある多国籍料理店の従業員であるAさんは、同区の路上で不特定多数の通行人にしつこくつきまとい、腕を引っ張るなどの客引きをした疑いで、兵庫県生田警察署風営法違反で逮捕されました。

神戸市中央区で客引き行為を規制する法令

神戸市中央区客引き行為を行った場合、以下の法令違反となる可能性があります。

1.客引き行為等の防止に関する条例

当該条例は、公共の場所において客引き行為等及び客引き行為禁止地区における客引き行為等を禁止しています。
禁止地区において客引き行為等をした者に対して、知事は指導・勧告・命令を行うことができ、命令に違反した者は、5万円以下の過料に処される可能性があります。

2.軽犯罪法

軽犯罪法は、他人の進路に立ちふさがる、その身辺に群がって立ち退こうとしない、不安や迷惑を覚えるような仕方で他人につきまとう行為を禁止しており、違反者に対しては、拘留(1日以上30日未満)又は科料(千円以上1万円未満)の刑罰が設けられています。

3.迷惑防止条例

迷惑防止条例は、公共の場所における不当な客引き行為等を禁止しています。
性的な要素や異性による接待があるサービス以外の業種については、「人の身体又は衣類をとらえ、所持品を取り上げ、進路に立ちふさがり、身辺に付きまとう等の執拗な方法で」の客引きのみを規制しています。
違反者に対する罰則は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっており、常習としての違反者に対しては、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

4.風営法

風営法においても、客引き行為は禁止されており、違反者に対しては罰則が設けられています。

客引き行為で風営法違反となる場合

風営法とは、「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」の略称です。
風営法は、客引き行為を禁止しています。

第二十二条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。

ここでいう「風俗営業」は、風営法において、以下のものと定義されています。

一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

風俗営業に関する客引き行為をすると、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金となる可能性があります。

風営法というと、「風俗営業」のみが対象になると思われがちですが、風俗営業に当たらない飲食店であっても深夜営業に関しての客引き行為を禁止しているのです。

第三十二条

3 第二十二条第一項(第三号を除く。)の規定は、飲食店営業を営む者について準用する。この場合において、同項第一号及び第二号中「当該営業」とあるのは「当該営業(深夜における営業に限る。)」と、同項第四号中「業務」とあるのは「業務(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)」と、同項第五号中「十八歳未満」とあるのは「午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満」と、「を営業所」とあるのは「を営業所(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)」と、「第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること」とあるのは「保護者が同伴する十八歳未満の者を客として立ち入らせる場合を除く」と読み替えるものとする。

ですので、上記ケース②のように、風俗営業以外であっても客引き行為で風営法違反となる可能性があるのです。

風営法違反事件を含めた刑事事件でお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

痴漢事件、会社への発覚阻止

2019-08-11

痴漢事件、会社への発覚阻止

痴漢事件で会社への発覚阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
JR神戸線の快速電車に乗っていたAさんは、隣に座っている若い女性が眠っているものと思い、女性の臀部をしばらく触っていました。
三ノ宮駅に着くと、電車乗り換えのためAさんは電車を下車しましたが、後方から声を掛けられ振り返ると、さきほど隣に座っていた女性が「痴漢しましたよね。駅員室に行きましょう。」とAさんに言ってきました。
Aさんはとっさに「なんのことですか。」と否定しましたが、女性に腕を掴まれ、そのまま駅員室に行くことになりました。
その後、通報を受けて駆け付けた警察官と共に兵庫県葺合警察署に連れて行かれ、調べを受けました。
Aさんは、容疑を素直に認めていますが、会社に事件のことが発覚するのではないかと心配しています。
(フィクションです)

痴漢をするとどんな犯罪が成立するの?

相手の意に反して身体を触るなどの卑わいな行為を「痴漢」といいます。
電車内での痴漢が最もよく知られるところではないでしょうか。
電車内で相手の臀部を服の上から触ったという場合には、迷惑防止条例違反が成立すると考えられます。

痴漢行為は、その形態により、迷惑防止条例違反、若しくは強制わいせつ罪に問われることになります。
簡単に言うと、衣類の上から身体を触る場合には、前者に該当することになります。

迷惑防止条例違反

「兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下、「迷惑防止条例」といいます。)では、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人にしてて、不安を覚えさせるような卑猥な言動をしてはならない」と規定されています。

「公共の場所」とは、不特定多数の人が自由に出入りし、利用できる場所を指します。
「卑猥な言動」とは、性的道義観念に反する下品でみだらな言語や動作をいうと理解されています。
強制わいせつにおける「わいせつな行為」よりも広義に捉えられています。
迷惑防止条例違反で起訴された場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

強制わいせつ罪

強制わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、その行為者またはその他の者の性欲を刺激興奮または満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいいます。
一般的には、着衣の上から触った場合には迷惑防止条例違反、着衣に手を差し入れて触った場合には強制わいせつ罪が適用されることが多いです。
強制わいせつ罪は、暴行・脅迫を用いていることが要件となります。

痴漢事件が会社に発覚する場合とは?

あなたが痴漢事件を起こし、その事件が会社発覚するのは、
①事件について報道される。
②会社が捜査機関からの捜索や聴取を受ける。
③長期の身体拘束となる。
場合が考えられます。

①事件が報道される場合
痴漢事件をはじめ、刑事事件で被疑者として取調べを受けた場合、全ての事件について報道されるわけではありません。

報道されやすい事件の特徴としては以下のようなものになります。
・殺人事件などの重大な事件
・振り込め詐欺や児童買春といった社会問題となっている事件
・被疑者が、政治家・公務員・教師・医師・大手会社員など公的な側面を持った職業に就いている

各警察署がマスコミに発表する事件を決定し、発表すると決めた事件について各マスコミに伝えます。
報道の必要性が高く、報道によって被害者等に不利益が生じないといったことが考慮されるようです。
次に、マスコミ各社は、ニュースバリューが高いものを選び、当該事件について報道します。
警察署が発表した事件すべてが報道されることはなく、マスコミが振るいにかけているわけです。

②会社が捜索や聴取を受ける場合
事件現場が会社であったり、捜査機関が会社への聴取が必要だと判断すると、捜査機関は会社に事件のことを伝えて上で、捜索や聴取などを行います。
そうなれば、会社に事件のことが発覚することは避けられません。

③長期の身体拘束となる場合
逮捕後、勾留が決定すると、逮捕から13日間、最大で23日もの間刑事施設での身体拘束を余儀なくされます。
その間、会社に行くことはできませんので、家族から会社に欠勤の連絡を入れることになります。
数日であれば、体調が悪い等を理由に休むことも可能ですが、欠勤が長引けば事件のことを伝えざるを得なくなります。

事件について会社発覚することを回避するためには、身体拘束を免れることが重要です。
痴漢事件の場合、容疑を認めており、初犯かつ犯行形態も悪質でなければ、逮捕されたとしても釈放される可能性はあります。
早期に弁護士に相談・依頼し、身柄解放に向けて動くことをおすすめします。
刑事事件は時間との勝負です。
そのうち釈放されると思っていると、勾留され長期の身体拘束となることもあります。

ご家族が痴漢事件で逮捕されたら、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

銃刀法違反で逮捕されないために

2019-08-10

銃刀法違反で逮捕されないために

銃刀法違反逮捕されないためのポイントについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県西宮市の公園付近に車を停車し、車内でパソコンを使用していた時、巡回していた兵庫県西宮警察署の警察官に声をかけられました。
警察官から職務質問を受けた後、車内を捜索したいということで、Aさんはこれを容認しました。
すると、車内をダッシュボードからに大型カッターナイフが出てきました。
Aさんは、万が一の護身用にと思い、大型のカッターナイフを車のダッシュボードに入れっぱなしにしていたのです。
警察官からは、銃刀法違反にあたる可能性があると言われ、そのまま兵庫西宮警察署に行き、取り調べを受けました。
取調べ後、警察官から再度呼び出すと告げられ、Aは、逮捕される可能性があるのかと心配でたまりません。
(フィクションです)

銃刀法違反とは

銃砲刀剣類所持等取締法(以下、「銃刀法」といいます)は、銃砲・刀剣類の取り締まりを目的とした法律です。
ナイフを正当な理由なく携帯していた場合に適用され得る罪は、銃刀法違反または軽犯罪法違反です。

銃刀法は、銃砲刀剣類の所持を、原則として一般的に禁止しています。(銃刀法第3条)
銃刀法における「刀剣類」には、次のものが含まれます。
・刃渡り15センチメートル以上の刀
・刃渡り15センチメートル以上のやり
・刃渡り15センチメートル以上のやぎなた
・刃渡り5.5センチメートル以上の剣
・あいくち
・45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛び出しナイフ

カッターナイフは、上のいずれにも該当しません。
それでは、カッターナイフを所持していたAさんは、銃刀法違反とはならないのでしょうか。

銃刀法では、刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物の携帯が禁止されています。(銃刀法22条)
「刃体」とは、刀剣類以外の刃物の刃の長さのことをいいます。
「刃物」とは、その用法において、人を殺傷する性能を有し、鋼又はこれと同程度の物理的性能を有する材質でできている片刃又は両刃の器物で、刀剣類以外のものをいいます。
具体的には、文化包丁、出刃包丁、刺身包丁等の包丁類、登山ナイフ、サバイバルナイフ、バタフライナイフ、果物ナイフ、カッターナイフやペティナイフなどがこれにあたります。
刃物の携帯が「業務その他の正当な理由による場合」には、銃刀法違反にはあたりません。
店舗で刃物を購入し自宅へ持ち帰る場合や、料理人が自分の包丁をカバンに入れて職場へ向かう場合などが考えられます。
このような業務その他の正当な理由なく、該当する刃物を携帯している場合には、銃刀法違反となる可能性があり、法定刑は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

一方、刃体の長さが6センチメートル未満の刃物の携帯については、軽犯罪法1条2号で規制されています。
同条は、「正当な理由がなくて、刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯」することを禁止しています。
これに違反した場合には、拘留(1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する自由刑)、又は科料(1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰)が科される可能性があります。
ここでいう「人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に、ツールナイフやハサミも含まれる可能性があります。

上記の事例のように、大型のカッターナイフも刃体の長さが6センチメートル以上である場合には、銃刀法で禁止されている刃物に該当する可能性があります。

逮捕されないために

被疑者に逮捕の理由と必要性がある場合、警察は逮捕状を請求したうえで、被疑者を逮捕します(これを「通常逮捕」といいます)。
逮捕の理由とは、犯罪をしたと疑うに足りる相当な理由があることをいい、逮捕の必要性は、罪を犯したと疑われる人が証拠を隠滅したり、逃亡したりするおそれがある場合に認められます。
ですので、逮捕を回避するためには、捜査機関である警察等に対して、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを説得的に主張することが必要となるでしょう。

銃刀法違反事件は、職務質問や所持品検査から発覚することが多いようです。
銃刀法違反自体で逮捕されることはそう多くありませんが、警察署への任意同行や任意出頭を拒否し続けると逮捕される可能性もあります。

刑事事件を起こして逮捕されるかご不安な方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
法律相談初回接見サービスの予約を24時間受け付けています。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881へご連絡ください。

少年事件と少年鑑別所の役割

2019-08-09

少年事件と少年鑑別所の役割

少年事件少年鑑別所の役割について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県姫路市に住むAくん(16歳)は、知人のBくんと共謀し、市内の路上で高齢者の持っていた鞄をひったくるという窃盗行為を行いました。
Aくんは逮捕・勾留され、兵庫県姫路警察署に留置されていましたが、その後神戸家庭裁判所姫路支部に送致されると、神戸少年鑑別所に収容されることになりました。
(フィクションです)

少年鑑別所って?

少年鑑別所は、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行う法務省管轄の施設です。

少年が何かの罪を犯したり、非行があったりした場合に、警察や検察、或いは児童相談所を経て、事件は家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の最終的な処分を決定します。
その審判を開始する前に、少年について詳しく調べる必要があると判断する場合に、家庭裁判所は少年の身柄を少年鑑別所に引き渡し、収容します。
このような調査・審判を行うために少年の心情の安定を図りながら少年の身体を保護してその安全を図る措置を「観護措置」といいます。
観護措置の要件について、少年法は「審判を行うため必要があるとき」と規定しているだけですが、一般的には、以下の要件を満たす必要があるといわれています。

①審判条件があること
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること
③審判を行う蓋然性があること
④観護措置の必要性が認められること

「観護措置の必要性」については、以下のいずれかの事由がある場合に認められるとされています。
・調査、審判および決定の執行を円滑、確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。(住所不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあり、身体を確保する必要性がある場合)
・緊急に少年の保護が必要であること。(自殺や自傷のおそれがある場合、家族からの虐待のおそれがある場合など)
・少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

少年鑑別所の役割

少年鑑別所では、主に、技官との面接や各種の検査などによる資質鑑別と、鑑別所内での行動観察が行われます。
入所するとすぐに身体検査やインテーク面接、集団方式の心理検査などが行われ、その結果に基づいて鑑別方針が設定され、少年の特性に応じた個別の鑑別が実施されます。
資質鑑別と行動観察の結果を踏まえて、鑑別所内で判定会議が開かれ、その議論に基づき鑑別所としての鑑別結果の判定が行われます。
この判定結果は、鑑別結果通知書にまとめられ、家庭裁判所に提出されます。
鑑別結果通知書には、少年が非行を犯してしまった原因や、更生するためにはどのようなことが必要であるのかを分析した上で、どのような処分が適当なのかについての意見が付されます。
このように、少年鑑別所は少年の処分を決める審判を開くうえで重要な役割を果たしています。

また、少年鑑別所においては、日々の日課として、少年は作文や日記を書くことになっており、その作業を通じて自分のしたことと向き合い、同じ失敗をしないためにはどのようにすればよいのか考える機会が与えられます。
少年鑑別所は、少年が事件への内省を深める場所でもあります。

家庭裁判所に送致され、観護措置がとられた場合、少年鑑別所に収容される期間は、通常4週間となっています。
この期間、少年は学校や職場に行くことはできないので、最悪の場合には退学や解雇となってしまう可能性もあります。
このような結果は、少年の更生に妨げとなってしまうこともあり、不要な収容措置は回避しなければなりません。
しかし、少年鑑別所に収容されることで、外部環境と断絶された静かな環境でゆっくりと自分自身を見つめ直す時間を持つことができ、長期的に少年の更生に資することもあります。
特に、家庭環境や交友関係に問題があり、非行の原因であると考えられる場合には、少年鑑別所収容という観護措置が少年の更生のためには必要となることもあります。

お子様が事件を起こし、少年鑑別所に収容されるか心配されておられるのであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

刑罰はどうやって決められるの?

2019-08-08

刑罰はどうやって決められるの?

刑罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県洲本市の民家に侵入し、現金20万円と貴金属などを盗んだとして、兵庫県洲本警察署は無職のAさんを窃盗と住居侵入の容疑で逮捕しました。
Aさんは容疑を認めていますが、どのような刑罰が科せられるのか不安です。
Aさんは、接見にやってきた弁護士に、どのような刑罰が科せられる可能性があるのか聞こうと考えています。
(フィクションです)

刑罰の種類

刑罰には、死刑、懲役、罰金、拘留、科料の5種類があります。
刑の重さは、上の並び順となります。
逮捕に引き続き行われる「勾留」と、刑罰としての「拘留」とは異なりますので、ご留意ください。

刑法を含めた刑罰法令は、「この罪名で有罪となった場合には、この範囲内で刑罰を科すことができる」と定めており、この法律に記載のある刑罰を「法定刑」と呼んでいます。
上記の事例でみていると、

刑法第235条 窃盗 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
刑法第130条 住居侵入 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金

という形で法定刑が定められています。

法定刑は、あくまで、罪名と刑の対応となります。
そのため、具体的に事件の内容によって実際にどのような刑の範囲が適当かは異なります。
例えば、複数の事件が同時に発生した場合には、どのような範囲で刑を科せばよいかが問題となります。
法律では、具体的事件の形に合わせて、実際に処罰することが可能な刑の範囲を定めます。
この範囲を「処断刑」といいます。
処断刑の定め方は、いろいろありますが、今回は複数の事件がある場合の刑の定め方についてみていきます。

(1)原則(併合罪加重)
原則として、複数の事件が発生した場合、以下のような形で処罰します。
・最も重い法定刑が定められている罪で処罰する。
・刑の範囲は、法定刑を基準に、懲役であれば1.5倍、罰金であれば複数の罪の合計額を限度とします。ただし、懲役の場合には、元の罪の懲役の合計を超えてはなりません。
このような処罰の形を「併合罪加重」といいます。

(2)例外
併合罪加重は原則ですが、法律は様々な例外についても定めています。

a 牽連犯
2つの行為が目的と手段の関係にある場合には、併合罪加重はせず、重い方の罪の法定刑を遮断刑とするとされています。
これを「牽連犯」といいます。
例えば、上記ケースのように家に入って盗みをした場合には、住居侵入と窃盗が成立しますが、目的(窃盗)と手段(住居侵入)の関係にあるので、処断刑は、窃盗の罪の法定刑がそのまま用いられることになります。

b 包括一罪
法律に定めはありませんが、同じ目的をもって、時間的場所的に近接している状況で、同じ事件を反復継続して起こしている場合には、まとめて1罪として処罰します。
街頭募金詐欺は、被害者は募金をした一人ひとりなので、複数の詐欺罪が成立することになりますが、同じ場所で同じ時間、同じ目的で詐欺をしていますので、まとめて1つの詐欺罪として扱われた事例があります。

このように、実際にどのような刑が科せられるかは、起こした事件の内容により異なります。

刑事事件を起こし、どのような罪に問われ、どのような刑罰が科され得るのかご不安な方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。
フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

兵庫県のホテルで無銭宿泊

2019-08-07

兵庫県のホテルで無銭宿泊

ホテルでの無銭宿泊で成立し得る犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県豊岡市にあるホテルに宿泊していたAさんは、2泊の予約を入れていましたが、更に2泊の延泊を希望しました。
ホテルは、延泊の申請を受けた際に、Aさんに一旦清算することを求めましたが、Aさんは「財布がなくなった」などと言い訳をして支払う様子がありません。
Aさんの対応を不審に思ったホテルは、兵庫県豊岡北警察署に通報しました。
駆け付けた警察官が、Aさんに事情を聴いたところ、チェックイン時に記入した氏名や住所も嘘で、所持金もほとんどないことが分かりました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

無銭宿泊で詐欺罪成立?

ホテルや旅館などに宿泊したものの、会計を済まさずにそのまま帰ってしまう行為を「無銭宿泊」といいます。
無銭宿泊をした場合、詐欺罪が成立する可能性があります。

詐欺罪とは?

刑法第246条は、詐欺罪について規定しています。

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪の構成要件(犯罪類型)は、以下のとおりです。

【1項詐欺】①人を欺いて
      ②財物を
      ③交付させたこと。
【2項詐欺】①人を欺いて
      ②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと。

まず、1項詐欺(刑法第246条第1項に規定される詐欺罪)についてみていきましょう。

(1)客体
他人の占有する他人の動産および不動産です。

(2)行為
人を欺いて財物を交付させることです。
詐欺罪が成立するには、①人を欺く行為をして、②それに基づいて相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要です。
①欺く行為
一般人として、「財物や財産上の利益を処分させるような」錯誤に陥らせることを「欺く」といいます。
「人」を欺くものでなければならず、機械に対して嘘の情報を入力する行為は詐欺罪における「欺く行為」とはなりません。
②錯誤
錯誤は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであれば足ります。
③処分行為
条文の「財産を交付させ」るというのは、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することをいいます。
処分行為には、処分の意思と処分の事実が必要とされます。
④財物の移転
「財物の移転」というのは、財物の占有が移転することです。
⑤財産的損害
一連の行為の結果、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが本罪の成立には必要とされます。

次に、2項詐欺の構成要件についてみていきます。

(1)行為
人を欺いて財産上不法の利益を得ることで、欺く行為に基づく錯誤の結果行われた財産的処分行為によって行為者または一定の第三者が不法に財産上の利益を取得することを指します。

さて、本題の無銭宿泊が詐欺罪に当たるかどうかという点について検討していきたいと思います。

ホテルなどに宿泊したにもかかわらず、宿泊代を清算することなく宿泊先を後にする行為が「無銭宿泊」ですが、どの時点で無銭宿泊をしようと思ったか、そして、相手方を騙して無銭宿泊したか否かによって犯罪の成否は異なります。

(ア)宿泊を申し入れた時点に既に支払いの意思がない場合
代金を支払う気がないのに、あたかも代金を支払うかのように騙し、宿泊先はチェックアウト時に代金を支払ってくれるものと錯誤に陥り、宿泊予約を受け入れています。
この錯誤に基づき、宿泊先は宿泊サービスを提供し、宿泊者は当該サービスを受けています。
よって、1項詐欺罪が成立すると考えられます。
「代金を支払う意思があるか否か」という点は、人の内心の問題ですので、どうやって立証するの?と思われるかもしれませんが、ホテルなどに宿泊するのに所持金がない場合であれば、最初から払う意思がなかったと判断されるでしょう。

(イ)支払い時にお金がないことに気が付き、「ATMでお金を下ろしてくる」などと言い支払いを免れた場合
この場合、宿泊先に対して支払いを済ます意思があると誤信させ、宿泊代の支払いを免れています。
相手方を騙す行為によって、代金債務を免れた=不法に財産上の利益を取得していますので、2項詐欺が成立するでしょう。

(ウ)当初は支払う意思があったにもかかわらず、支払い時にその意思がなくなり、逃亡した場合
2項詐欺の成立には、先述のように「欺く行為に基づく錯誤の結果行われた財産的処分行為」がなければならず、相手方(ここでは宿泊先)の意思によって財産上不法の利益(支払債務を免れる)を得ることを必要となります。
ですので、宿泊先を騙さず、単に逃走して事実上支払わなかった場合は、2項詐欺は成立しないことになります。
ただし、最初から支払う意思がなく支払い時に逃亡した場合は(ア)に当たり、1項詐欺が成立します。

無銭宿泊を行い詐欺罪で有罪となると、10年以下の懲役刑が科せられる可能性があります。
ただし、初犯で常習性がなく、弁償をしており反省の態度が見られるなどの場合には、起訴猶予となる可能性もありますので、無銭宿泊事件で被疑者として捜査されているのであれば、早期に弁護士に相談し、自己に有利な情状を検察官に主張してもらうのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺罪をはじめとする刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。

刑事事件で不起訴処分

2019-08-06

刑事事件で不起訴処分

刑事事件での不起訴処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂市のコンビニで面識のない女性に平手打ちをしたとして、店員の通報を受けて駆け付けた兵庫県赤穂警察署の警察官に、会社員のAさんは暴行容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは、事件当時相当酒に酔っており、コンビニに寄って買い物をしている最中、店内にいた被害女性に声をかけたところ、反応が冷たかったので手を出したようです。
Aさんは、事件当時の記憶が曖昧ですが、店内の防犯カメラの様子からも自分が被害者に手を出したことが明らかで、酔いが冷めてからは猛省しており、被害者への謝罪と被害弁償を希望しています。
Aさんの父親が身元引受人となり、Aさんは逮捕翌日の夜に釈放となりました。
Aさんは、被害者との示談交渉や今後どのような流れになるのかについて刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

不起訴処分について

被疑者を起訴するか否かの判断は、検察官が行います。
検察官は、捜査を遂げた上で、証拠に基づき犯罪が成立するか、処罰の必要があるか否かを考慮し、事件を起訴するか不起訴にするかを決めます。
起訴しないとする処分を「不起訴処分」といいます。
この不起訴処分には、いくつか種類がありますが、主なものは次の通りです。

(1)罪とならず
犯罪が成立しない場合です。

(2)嫌疑なし
犯罪を認定する証拠がない場合や人違いのケースです。

(3)嫌疑不十分
立証するだけの十分な証拠がない場合には「嫌疑不十分」として不起訴となります。

(4)親告罪の告訴取り下げ
被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪の場合、被害者が刑事告訴をしたものの、その後告訴を取り下げがあると、検察官は被疑者を起訴することは出来ませんので、不起訴処分とします。

(5)起訴猶予
被疑者が罪を犯したことが事実であり、それを立証する十分な証拠もあるが、被疑者の年齢・境遇・正確、犯罪の内容や軽重、犯罪後の状況、社会に戻した際の更生可能性等を考慮し、検察官が裁量によって起訴を見送るものです。

不起訴処分となれば、起訴されませんので、有罪判決が言い渡されることもありません。
つまり、不起訴処分により「前科」が付くことはありません。
前科が付くと、一定の職業に就くことや資格をとることが出来なくなりますので、前科が付くことは回避したほうが良いでしょう。
ただし、刑事事件の被疑者として捜査対象となった記録(前歴)は残りますので、再犯の場合には初犯とはみなされません。

不起訴処分となるには

被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かといった点が、不起訴処分を獲得する上では非常に重要です。
親告罪では、被害者との示談を成立させ、告訴を提起しない若しくは告訴を取り下げてもらうことで、検察官は不起訴処分としますし、親告罪でない場合でも、被害者との示談の有無は検察官が起訴・不起訴を判断する上で重量な考慮要素となります。
ですので、刑事事件を起こしてしまったら、早期に被害者との示談交渉を開始する必要があるのです。
しかし、被害者との示談交渉を加害者やその家族が直接行うことはお勧めできません。
一般的に、被害者は加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者に連絡先を教えることはあまり多くありませんし、仮に連絡先を教えたとしても、当事者同士の交渉は感情的になりやすく交渉が難航する傾向にあります。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士限りであれば連絡先を教えてもよいと回答する被害者も多く、被害者の連絡先を教えてもらえる可能性があります。
また、弁護士を介することで、冷静な話し合いができ、示談を円滑に成立させることも期待できるでしょう。

示談交渉を弁護士に依頼することで、このようなメリットがあります。

刑事事件を起こし、被害者対応にお悩みであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
これまで数多くの示談交渉を行ってきた刑事事件専門弁護士が無料で法律相談を行います。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

少年事件で初回接見

2019-08-05

少年事件で初回接見

少年事件での初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市北区に住む少年Aくん(18歳)は、ネットで麻薬と覚せい剤を染み込ませた紙を購入し、密輸したとして兵庫県神戸北警察署に逮捕されました。
Aくんは、「興味本位でやった」と容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

少年が逮捕されたら

20歳未満の少年が刑罰法令に反する行為をした場合、成人の場合と同様に警察に逮捕される可能性があります。
14歳未満の少年の場合は、刑法で刑事責任に問えない旨が規定されていますので、犯罪とならず逮捕されることはありません。(ただし、事件の内容や少年の状況によっては、児童相談所で身柄を保護されることもあります。)
少年であっても、家庭裁判所に送致されるまでは、基本的に成人の刑事事件と同じ手続が適用されます。
逮捕されると、少年は警察署で警察からの取調べを受けます。
警察は、逮捕から48時間以内に、少年を検察に送致するか若しくは釈放するかを決めます。
警察が検察に事件を送致すると、少年は検察官からの取調べを受けます。
検察官は、少年の身柄を受けてから24時間以内に、裁判官に勾留請求をするか若しくは少年を釈放するかを決定します。
検察官が少年を勾留する必要があると判断した場合、裁判官に対して勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談を行い、少年を勾留するべきか否かを判断します。
裁判官が勾留すべきと判断すると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
勾留の場合留置先は警察署の留置場となりますが、少年の場合、この「勾留」に代わって「勾留に代わる観護措置」がとられる場合があります。
この「勾留に代わる観護措置」がとられると、留置先は少年鑑別所となり、期間も10日間と定められており、延長は認められません。
ただし、勾留に代わる観護措置がとられると、家庭裁判所に事件が送致された際、当然に観護措置がとられることとなり、更に1か月ほど少年鑑別所に収容されることとなります。

成人の刑事事件では、検察官が不起訴処分で事件を終了することがありますが、少年の場合、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになるので、この点成人の刑事事件とは異なります。
事件を受理した家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の最終的な処分を決定します。

初回接見のメリット

先述したように、少年であっても逮捕される可能性はあります。
成人であっても、外部との接触が途絶えた状況で連日取調べを受けることは身体的・精神的に厳しいものです。
とかく、心身ともに発展途上の少年であれば、少年の心身に与える影響は大きいでしょう。
逮捕から勾留までの間は、原則として家族であっても逮捕された方と面会することはできません。
突然の逮捕で家族との接触も絶たれ、警察からの取調べにどう対応したらよいか分からない状況では、自己に不利な供述が取られたり、やってもないことまで認めてしまうこともあります。
そのような事態を回避するためにも、早い段階から弁護士との面会(接見)を行うことが重要です。
弁護士であれば、逮捕から勾留までの間であっても逮捕された方との接見は可能です。
弁護士は接見において、逮捕された方から事件の詳細を伺った上で、今後の流れや見込まれる処分、取調べ対応についての的確なアドバイスをするなどします。
また、ご家族からの伝言を逮捕された方に伝え、逮捕された方からご家族への伝言を伝えることもできます。
弁護士による接見は、専門家からの助言を受けることで逮捕された方の精神的な負担を軽減することにもつながります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
弊所では、刑事事件専門の弁護士が留置施設に出張し、逮捕・勾留されている方と接見をする「初回接見サービス」をご用意しております。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

住居侵入罪で逮捕

2019-08-04

住居侵入罪で逮捕

住居侵入罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三木市に住む知人宅に、正当な理由なく侵入したとして、住人Vさんの通報を受けて駆け付けた兵庫県三木警察署の警察官にAさんは住居侵入の容疑で逮捕されました。
Vさんは、最近兵庫県三木市に引っ越してきており、AさんはVさんが以前住んでいた家の隣人で、Aさんとはゴミの出し方等でよく揉めていたそうです。
今回は、Vさんが引っ越す際に出したゴミが指定日以外の日に出されていたということで、Aさんは文句を言いにVさんの引っ越し先に押し掛けたようです。
Aさんは、「正当な理由なくVさん宅内には入ったのではなく、正当な理由があった」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

住居侵入罪について

住居侵入罪は、刑法第130条の前段に規定されており、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し」た場合に成立する犯罪です。

客体

本罪の客体は、「人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船」です。

①人の住居
「人」の住居とは、自らが居住者でない住居ということを意味します。
以前居住していたとしても、住居から離れた(=離脱した)者が、現に居住する者の許諾なく立ち入る場合には、住居侵入罪が成立し得ることになります(最判昭23・11・25)。
「住居」とは、人の起臥寝食に使用される場所をいいます。
使用が一時的であっても構わず、旅館やホテルなどの客室に関して、その利用が短時間であっても、起臥寝食に使用されるものである限り「住居」にあたるとされます(名古屋高判昭26・3・3)。
住居は、建造物である必要はなく、船、電車、自動車などであっても、起臥寝食に使用されているものである限り本罪にいう「住居」にあたります。

②人の看守する邸宅、建造物、艦船
「人の看守する」というのは、人が事実上管理、支配していることをいいます(最判昭59・12・18)。
「邸宅」とは、住居用の建造物で、住居以外のものをいいます。
集合住宅の通路や階段といった共用部分などです。
「建造物」というのは、住居や邸宅以外の建物を広く含むとされます。
「艦船」は、軍艦及び船舶のことです。
また、住居、邸宅及び建造物については、建物自体だけでなく、付属する囲繞地(土地を囲んでいる他の土地)も本罪の客体に含まれます。
ここでいう「囲繞地」というのは、建物に接してその周囲に存在する付属地であって、管理者が門や塀などを設置することで、建物の付属地として建物利用のために供されるものであることが明示されたものをいいます(最判昭51・3・4)。

行為

本罪の行為は、「正当な理由がないのに侵入する」ことです。

①侵入
「侵入」の意義について、判例は「管理権者の意思に反した建造物への立ち入り」というとしています(最判昭58・4・8)。
つまり、許諾権者である管理権者や住居権者の立ち入りについての許可があるか否かによって本罪の成否が決まるということです。
「住居」について許諾権を持つのは住居者です。
また、「邸宅、建造物、艦船」については看守者(=建物について管理権限を有する者)が許諾権者となります。
許諾権者が許可しているか否かによって本罪が成立するか否かが決まるわけですが、判例は、当該許可が欺罔などによる錯誤に基づいて与えられた場合には、その許可を無効として本罪の成立を肯定しています(最判昭23・5・20、最大判昭24・7・22など)。

②正当な理由なく
「正当な理由がないのに」というのは、「違法に」ということを意味します。
住居等への立ち入りは日常的に頻繁に行われるので、その中でも違法なものだけが本罪の構成要件に該当することを明らかにしたものです。
正当な理由のある侵入というのは、法令により捜索等のために看守者の意に反して立ち入る場合のことをいい、看守者の意に反してまで建造物に立ち入ることを正当視するには極めて強い理由が存在することが必要となります(東京高判昭27・4・24)。
立入の動機が不法なものとは言えないとしても、それだけをもって許諾権者の意思に反してでも住居等に立ち入ってもよいということにはなりません。
ですので、上記ケースのように、AさんがVさんの行為に対して文句を言いに来たことに理由がある立入だとする主張は通らないでしょう。

住居侵入罪で逮捕されたら

住居侵入罪逮捕されたら、早期事件解決には被害者との示談が重要です。
しかし、被害者は自分の住居に勝手に立ち入られているため、加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、被害者は加害者と直接連絡をとることを拒否することがほとんどです。
そのような場合であっても、弁護士限りであれば連絡をとってもいいとする被害者も多く、弁護士を介して示談交渉を行うことがスムーズな解決につながることもあります。
被害者との示談が成立した場合には、不起訴処分となる可能性を高めることになり、前科が付くことを回避することにもなります。

住居侵入事件でご家族が逮捕されてお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

飲酒運転と同乗者の刑事責任

2019-08-03

飲酒運転と同乗者の刑事責任

飲酒運転同乗者刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県篠山市に住むAさんは、会社の同僚のBさんと飲食店で食事をしていました。
AさんとBさんは、Aさんの運転する車で飲食店を訪れたのですが、AさんとBさんはともにアルコールを摂取していました。
飲食店を出ると、AさんはBさんを助手席に乗せ、自宅へと向かいました。
その途中、交差点で左方向から走行してきたバイクと接触し、バイクを運転していたVさんは激しく転倒してしまいました。
AさんとBさんは、すぐに救急車を呼び、Vさんは病院に運ばれましたが、命に別状はないとのことです。
兵庫県篠山警察署から駆け付けた警察官に呼気検査をされると、呼気からは基準値を超えるアルコールが検出され、Aさんは現行犯逮捕されました。
Bさんも、そのまま警察署に連行され、Aさんが酒気帯びであることを知りながらAさんに自宅まで送るよう依頼したとして、道路交通法違反の疑いで逮捕されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

飲酒運転をした場合の刑事責任

飲酒運転は、お酒を飲んだ後に、車などを運転することを言いますが、皆様もご存知の通り、飲酒運転は法律で禁止されており、違反者は刑事罰の対象となります。
道路交通法は、車両等の飲酒運転による罰則について、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類に分類しています。

酒気帯び運転

血中アルコール濃度が、一定量に達しているか否かという形式的な基準で判断されます。
飲酒により呼気中のアルコール濃度が0.15mg/l以上である場合での運転が、「酒気帯び運転」です。
酒気帯び運転の運転者に対する法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
アルコール濃度が呼気1リットル中0.15ml未満の飲酒運転は、道路交通法違反となりますが、罰則規定は適用されません。

酒酔い運転

酒酔い運転とは、血中アルコール濃度に関係なく、「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態」で運転することをいいます。
「正常な運転ができない状態」とは、まっすぐ歩くことができない、呂律が回っていない等、客観的に見て、交通ルールに従った安全な運転をすることができない状況であることと言えるでしょう。
酒酔い運転をした運転手に対する罰則は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

飲酒運転で事故を起こし、人に怪我を負わせたり、死亡させてしまった場合には、一気に罪が重くなります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律は、危険運転致死傷罪を定めています。
アルコールや薬物の影響により正常な運転が困難な状態で車を走行し、結果、人身事故を起こした場合、人に怪我を負わせてしまった場合は15年以下の懲役、そして、死亡させてしまった場合には1年以上の有期懲役となります。
さらに、アルコールや薬物の影響により、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、車を運転して人身事故を起こした場合には、負傷の場合で12年以下の懲役、致死の場合で15年以下の懲役となります。
このように飲酒運転単体と比べ、飲酒運転による人身事故に対する罪は非常に重いものとなっています。

飲酒運転をしていない同乗者の刑事責任

飲酒運転をしていなくとも、飲酒運転を助長したと評価できるような場合にも処罰の対象となることがあります。

車両同乗の禁止

何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第六号及び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。(道路交通法第65条4項)

本罪が成立するためには、車両の運転手が酒気を帯びていることを認識していることが必要となります。
この認識は、必ずしも同乗前にある必要はなく、同上後に認識した場合でも、認識した後に酒気を帯びた運転手に運転を頼んだ場合には本罪が成立します。
また、同乗者が車で送りとどけることを「要求」または「依頼」していることが必要で、運転手に誘われてこれを承諾するだけでは足りません。
行き先を指定するなど、同乗者が自らの意思を反映させようとしてることが認められるものでなければなりません。
同乗者が運転手が酒に酔った状態であることを認識し、運転手が酒酔い運転をした場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、同乗者が車の運転手が酒に酔った状態または酒気を帯びた状態で車を運転した場合や、運転手が酒に酔っていると認識していたが実際には運転手が酒気を帯びた状態で車を運転していた場合には、2年以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則が適用されることになります。

車両等提供の禁止

何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。(道路交通法第65条2項)

飲酒しているが飲酒運転することとなるおそれがある人に対して車などを提供することを禁止しています。
飲酒していることを知りながら、その人に車を渡せば、その車で運転する可能性があると分かっていて、車を渡せば本罪が成立します。
酒気を帯びていることを認識しつつ車両等を提供し、車両等の提供を受けた者が酒酔い運転をした場合、車両等の提供者は、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金、酒気帯び運転であれば3年以下の懲役または50万円以下の罰金の罰則が適用されることになります。

このように、飲酒運転の場合、運転手だけが刑事責任が問われるわけではありません。
飲酒運転同乗者として取調べを受けており、その対応方法にお困りであれば、交通事件を含めた刑事事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

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