身近な軽犯罪法違反

身近な軽犯罪法違反

身近な軽犯罪法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

軽犯罪法は、その名の通り、軽微な犯罪を処罰することを目的として法律ですが、それにより刑法犯等のより悪質で重大な犯罪の芽を早期に摘み取ることも目的としています。
軽犯罪法は、日常生活における身近な犯罪行為を規定していますので、今回は、どのような行為が軽犯罪法の対象となるのか、軽犯罪法違反行為に対する刑事罰について説明していきたいと思います。

軽犯罪法違反となる罪のなかでも検挙人員が多いものについてご紹介します。

1.凶器携帯の罪(第2号)

二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

「正当な理由なく」とは、違法であることを意味し、「正当な理由がある」場合には違法性は阻却され凶器携帯の罪は成立しません。
「正当な理由がある」場合というのは、本号で定める危惧を隠して携帯することが、職務上または日常生活上の必要性から、社会通念上相当と認められる場合のことで、自己の職務遂行のために必要な場合、正当な営業行為に属する場合、登山等のため登山ナイフを携帯する場合などがこれに当たります。
「刃物」は、銃刀法第2条にいう刀剣類は勿論のこと、刃渡りや刃体の長さ、刃物の形態などについて制限はなく、包丁、ナイフ、なた、鎌などの刃を持つ一切の器具を指します。
銃刀法で規制される刃物については、銃刀法が適用されるので、本号の適用はありません。
「鉄棒」とは、鉄製の棒状のものを総称します。
「刃物」、「鉄棒」、「その他の器具」は、「人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」でなければなりません。
これは、性質上の凶器だけでなく、用法上の凶器をも含みますが、ある程度殺傷の用に供さやすいものである必要があります。
以上の凶器を「隠して」「携帯」する行為が、凶器携帯の罪となるわけですが、「隠して」とは、一般社会生活上、これに接触する人から見えない状態に置くことをいい、ポケットにしまう、上着の内側に入れるなどもこれに当たります。
「携帯」とは、自宅や居室以外の場所で器具を直ちに使用し得る状態で身辺に置くことをいい、かつ、その状態を多少持続することを要します。
必ずしも自己の身につけているひつようはなく、手に持ったり、ポケットやカバンに入れて持ち歩く、自己の運転している自動車の荷台やトランクに積むなども「携帯」に当たります。

「護身用」で本号の「刃物」に当たるナイフ等を所持している場合もありますが、現行法において自力救済が禁止され、正当防衛の成立範囲が厳格に法で定められているため、護身目的は「正当な理由」には当たりませんので、ご注意ください。

2.立入禁止場所等侵入の罪(第32号)

三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

「入ることを禁じた場所」というのは、他人の立入りを禁止する正当な権原を有する者が、立入禁止の意思を表示していると客観的に認められる場所をいいます。
立入禁止の意思表示は、立札、張り紙、縄張り、近づくと機械的に音声などで警告するなどどのような方法でも構いません。
また、その場所の性質や客観的状況などから、社会通念上、張り紙等で明示せずとも他人の立入りを禁止していることが明白であると認められる場所も含みます。
「他人の田畑」とは、自分以外の者が管理している田畑です。
本罪は、刑法犯の住居侵入罪とは補充関係にあるので、住居侵入罪が成立する場合には本号は適用されません。

3.窃視の罪(第23号)

二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

「人の住居」とは、犯人以外の者が正当に使用し得る住居のことをいいます。
住居の一部であっても、これに該当します。
「浴場、更衣場、便所」は、個人宅のものであるか公衆浴場や公衆便所などのように不特定多数の人が使用するものであるかを問いません。
「その他人が通常衣類をつけないでいるような場所」とは、人が通常隠している肉体の部分を露出している可能性のある場所の内部を意味します。
例えば、役所の更衣室、病院の診察室・処置室、旅館の1室、キャンプ場のテント内、列車の寝台や船室などがこれに当たります。
上のような場所を「ひそかにのぞき見る」というのは、許可なく物陰や隙間などから見ることです。望遠鏡を用いてみたり、カメラやビデオカメラを用いて撮影する場合も「のぞき見る」行為となります。

軽犯罪法違反の法定刑は、「拘留」又は「科料」です。
前者は、1日以上30日未満の刑事施設への拘置を内容とする自由刑で、後者は、千円以上1万円未満の財産刑です。
懲役や禁錮、罰金などと比べると軽いですが、これらの刑が科されるということは有罪が言い渡されたということであって「前科」が付くことには変わり有りません。

軽犯罪法違反事件で被疑者として取調べを受けて対応に困っている、前科が付くのではとご心配であれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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