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尼崎市の殺人事件 逮捕されるとどうなるの・・・
尼崎市の殺人事件、殺人罪で警察に逮捕されるとどうなるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
尼崎市の殺人事件
先日、尼崎市で20代の女性が元夫に刺殺されるという殺人事件が発生しました。
元夫は、事件の翌日に、殺人罪で警察に逮捕されたようです。
新聞やニュースの報道によると、逮捕された元夫は犯行後バイクで逃走していましたが、警察の任意同行には応じ、その後の取調べでは「殺すつもりで刺しました。」と容疑を認めているようです。
また警察は、結婚等が付着したバイクや包丁を押収しており、今後動機の解明等について捜査を進める模様です。
(新聞等で報道されている内容を抜粋)
殺人事件の現状
毎日のように日本中のどこかで殺人事件が起きており、事件の発生や、犯人の逮捕されたことが新聞やニュース等で報道されています。
そこで、どれくらいの殺人事件がここに日本で発生しているのか、警視庁のホームページに公開されている犯罪統計資料で調べてみたところ、驚くべきことに今年(令和3年)の1月から9月末までだけで、全国の警察が認知した殺人事件の件数は「653件」でした。
平均すると、一日2件以上の殺人事件が日本中のどこかで発生していることを考えると、新聞やニュース等で報道されていない殺人事件が数多くあることが分かります。
ちなみに、兵庫県では46件の殺人事件が認知されているようです。
次に殺人事件で検挙された人数についてですが、今年(令和3年)の1月から9月末までに殺人罪で警察に検挙された人数は「555人」だったようです。
このうち何人の人が起訴されて有罪が確定したのかまで分かりませんが、検挙率が90%を超えていることを考えると、警察の捜査能力の高さがうかがえます。
殺人事件で逮捕されるとどうなるの?
殺人事件は数ある刑事事件の中で、みなさんが身近に感じるも最も凶悪な事件ではないでしょうか。
そんな事件を起こして警察に逮捕されると、他の軽い刑事事件を起こして警察に逮捕された人と手続きが違うと思われがちですが、そうではありません。
逮捕されてから、勾留、起訴、裁判で判決が確定するまでは、刑事訴訟法に定められた手続きに則て進みますので、殺人事件等の凶悪事件を起こして逮捕されたからといって特別な扱いを受けることはありません。
基本的には警察に逮捕されると、まず警察署に連行されて取調べ等を受け、留置場に収容されます。
そして逮捕から、48時間以内に検察庁に送致されて、その後24時間以内に裁判所に勾留が請求されます。
裁判官が勾留を認めると、その日から10日~20日間は勾留による身体拘束を受けることになります。
そして勾留の満期と共に、起訴されるかどうかが決定し、起訴された場合は、そのまま起訴後の勾留となって、保釈が認められない限り、裁判で判決が言い渡されるまで身体拘束を受け続けることになります。
起訴後は保釈によって身体拘束から解放されることもありますが、殺人罪で起訴された被告人の保釈が認められるのは極めて稀で、ほとんどの方が身体拘束を受けたままで裁判を迎えます。
裁判
殺人罪で起訴された場合、その刑事裁判は裁判員裁判で行われます。
裁判員裁判は、通常の刑事裁判とは異なり、一般人から選ばれた裁判員が参加することとなります。
裁判員裁判は、事前に争点が絞られて、短期間にまとめて行われるので、裁判自体は短い期間で終わってしまいますが、裁判が始まるまでの準備期間は、他の刑事裁判より長く、起訴されて判決が言い渡されるまでに1年以上かかってしまうことも珍しくありません。
刑事事件に強い弁護士
殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」です。
事件の内容によっては死刑判決が言い渡されることもある非常に重たい犯罪ですので、ご家族が、殺人罪で警察に逮捕された場合は、早い段階で刑事事件に強い弁護士を選任することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件を専門にする法律事務所で、これまで数多くの刑事弁護活動に携わってきました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部には、裁判員裁判の経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、殺人事件でお困りの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。
神戸市中央区の業務妨害事件 生田警察署に任意出頭
業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県神戸市中央区の衣料品店で商品を購入したAさんは、後日店を訪れ購入した商品が偽物だとして店員に返品を迫りました。
対応した店員に罵声を浴びせたり、土下座をするよう迫ったりするなど、あまりの態度に困った店は、兵庫県生田警察署に相談しました。
兵庫県生田警察署は、Aさんに連絡し、「業務妨害の件で、話が聞きたい。」と伝え、出頭するよう求めました。
Aさんは、こんな大事になるとは思ってもおらず今後のことが心配になってきました。
(フィクションです。)
業務妨害罪とは
業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、あるいは威力を用いて、人の業務を妨害する罪です。
業務妨害罪のうち、人の業務を妨害する手段が、虚偽の風説の流布・偽計の場合が「偽計業務妨害」に当たり、威力を用いる場合が「威力業務妨害」となります。
業務妨害罪における「業務」とは、自然人または法人その他の団体が、社会生活上の地位において、あるいはこれと関連しておこなう職業その他の継続して従事することを必要とする事務(仕事)をいいます。
業務は、経済的に収入を得る目的のものでなくても構いませんが、社会活動上の活動でなければならず、個人的な活動や家庭生活上の活動は含まれません。
「虚偽の風説の流布」とは、客観的真実に反する事実を不特定または多数の者に伝播させることをいいます。
直接には少数の者に伝達した場合であっても、その者を介して多数の者に伝播するおそれがあるときも該当します。
「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、あるいは人の錯誤・不知を利用することをいいます。
「威力」とは、犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するにたりる勢力をいい、現実に被害者が自由意思を制圧されたことまで必要とされません。
犯罪の成立には、これらの手段によって、業務が妨害され、業務の遂行に支障が生じたことまで必要とされるのではなく、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとされています。
商品を購入したが、サイズが合わない、同じようなものを持っていた、など様々な理由から返品を店に申し出ることはあることですし、それ自体は何も店の業務を妨害するようなことではありません。
しかし、返品を迫る態様が、店の自由意思を制圧するに足りるような勢力を用いたものであり、他の来店客にも迷惑をかけるようなものであれば、威力業務妨害に該当する可能性があります。
業務妨害事件では、加害者の行為により業務を妨害された被害者が存在します。
加害者の行為により、経済的損失だけでなく、精神的損害をも被っている場合もありますので、被害者に対してきちんと謝罪と損害賠償を行う必要があります。
このような被害者対応は、刑事事件の最終的な処分にも影響することになります。
事件を起訴するかどうかは、検察官が決めます。
検察官は、被疑者が犯罪を行っていないことが明白である場合や、被疑者が犯罪を行った疑いはあるけれども、それを立証するだけの充分な証拠がない場合には、起訴しない決定をします。
この他に、被疑者が犯罪を行ったことは確かで、それを立証するだけの十分な証拠もあるのだけれどもさまざまな事情を考慮して、今回は起訴しないとする場合もあります。
これを「起訴猶予」といいます。
起訴猶予となる理由には、犯罪が軽微である、被疑者が深く反省している、被疑者の年齢や境遇の他、被害者と示談が成立していることがあります。
「示談」というのは、加害者が被害者に対して金銭的な賠償を行うことで、被害者は被害届を提出しないなど、今回の事件については当事者間で解決したとする約束のことです。
検察官が最終的な決定をする時点で、被害者との示談が成立している場合には、起訴猶予となる可能性が高くなるでしょう。
事件を起してしまい、被害者との示談でお困りの方は、一度刑事事件に精通する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件の被疑者・被告人となり、対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
神戸市内の警察署に即日対応 初回接見のご案内
神戸市内の警察署に即日対応している初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
初回接見サービス
警察に逮捕されてしまった方のご家族や、ご友人は「どうして逮捕されたの?」「本当に悪いことをしたの?」「誤認逮捕では?」「いつ出てこれるの?」等、様々な不安があるでしょう。
実際に面会に行ってすぐに解決できればいいですが、すぐに面会が許されるとは限りません。
そんな時に利用していただきたいのが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が用意している初回接見サービスです。
初回接見サービスは、弁護士の日当と警察署までの交通費だけで、弁護士を派遣することができるサービスです。
この初回接見サービスは、ご家族、ご友人が警察に逮捕された方だけでなく、お子様が少年鑑別所に収監されている親御様や、すでに起訴されて拘置所に収容されている方へも幅広く対応しているので、興味のある方は、一度
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間対応中)
までお気軽にお電話ください。
神戸市内の警察署への初回接見サービス
神戸市内には、12もの警察署があります。
そこで各警察署までの初回接見費用について案内します。
(1)兵庫県東灘警察署
所在地 神戸市東灘区御影中町2丁目3番2号
初回接見費用(交通費込み) 39,160円
(2)兵庫県灘警察署
神戸市灘区水道筋1丁目24番地の8
初回接見費用(交通費込み) 36,410円
(3)兵庫県葺合警察署
神戸市中央区吾妻通5丁目1番2号
初回接見費用(交通費込み) 35,530円
(4)兵庫県生田警察署
神戸市中央区中山手通2丁目2番25号
初回接見費用(交通費込み) 35,970円
(5)兵庫県兵庫警察署
神戸市兵庫区下沢通3丁目1番28号
初回接見費用(交通費込み) 35,970円
(6)兵庫県長田警察署
神戸市長田区北町3丁目4番地9
初回接見費用(交通費込み) 36,080円
(7)兵庫県須磨警察署
神戸市須磨区大池町5丁目1番30号
初回接見費用(交通費込み) 37,070円
(8)兵庫県垂水警察署
神戸市垂水区本多聞3丁目12番1号
初回接見費用(交通費込み) 39,160円
(9)兵庫県神戸水上警察署
神戸市中央区港島3丁目1番
初回接見費用(交通費込み) 35,420円
(10)兵庫県神戸西警察署
神戸市西区糀台5丁目12番2号
初回接見費用(交通費込み) 38,500円
(11)兵庫県神戸北警察署
神戸市北区甲栄台3丁目6番1号
初回接見費用(交通費込み) 38,060円
(12)兵庫県有馬警察署
神戸市北区藤原台北町6丁目18番1号
初回接見費用(交通費込み) 38,830円
警察署以外への初回接見サービス
まず上記した12の警察署以外に兵庫県警の本部庁舎内に留置場があります。
兵庫県警察本部
兵庫県神戸市中央区下山手通5丁目4番1号
初回接見費用(交通費込み) 35,090円
以上が警察の留置施設となります。
警察の留置施設には、主に「被疑者」と呼ばれる方が収容されています。
そして起訴後に収容されるのが、拘置所です。
基本的には起訴後に、警察の留置施設から拘置所に移送されるのですが、余罪での再逮捕等が予定されている場合には、そのまま警察署の留置施設に収容され続ける場合もあります。
神戸市内の拘置所は以下の通りです。
神戸拘置所
兵庫県神戸市北区ひよどり北町2-1
初回接見費用(交通費込み) 36,960円
最後に、少年事件の場合、観護措置の期間中は少年鑑別所に収容されることになります。(勾留中であっても少年鑑別所に収容される場合もある。)
兵庫県内にある少年鑑別所は、神戸市内にある神戸少年鑑別所だけです。
神戸少年鑑別所
兵庫県神戸市兵庫区下祇園町40-7
初回接見費用(交通費込み) 36,410円
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件、少年事件を専門に扱う法律事務所です。
神戸市内の警察署や、拘置所、少年鑑別所に収容されている、被疑者、被告人、少年に弁護士の派遣を希望する方は、お気軽にお問い合わせください。
薬物摂取で傷害致死
薬物摂取で傷害致死に問われるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県加西市のホテルで、出会い系サイトで知り合った女性Vさんに、Aさんは、薬物を摂取した上での性交を提案したところ、Vさんに断られました。
Aさんは、Vさんには秘して薬物を混入した飲み物をVさんに飲ませたところ、Vさんの容態が急変し、動かなくなってしまいました。
Aさんは、暫くして救急通報しましたが、現場でVさんの死亡が確認されました。
Aさんは、兵庫県加西警察署に覚せい剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕され、Vさんの死については傷害致死の疑いも視野に入れて捜査を進められています。
(フィクションです。)
他人への薬物摂取
違法薬物を規制する法律には、主に、覚せい剤取締法、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法、あへん法、医薬品医療機器等法があります。
覚せい剤取締法は覚せい剤を、大麻取締法違反は大麻、コカイン・MDMAといった麻薬やLSDは麻薬及び向精神薬取締法、シンナーは毒物及び劇物取締法によって規制されています。
規制薬物の所持、譲渡などの行為が法律で禁止されており、違反した場合は厳しく罰せられます。
上記事例では、AさんがVさんに覚せい剤を摂取させていますが、他人に覚せい剤を摂取させる行為は、法律で禁止されているのでしょうか。
覚せい剤取締法は、①覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合、②覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合、③覚せい剤研究者が研究のため使用する場合、④覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合、⑤法令に基づいてする行為につき使用する場合、を除いては、何人も覚せい剤を使用することを禁止しています。
ここでいう「使用」とは、覚せい剤をその用法に従って用いる一切の行為のことをいい、その目的や方法の如何を問いません。
したがって、自分自身が摂取する行為も他人にこれを摂取させる行為も「使用」に当たります。
薬物摂取で傷害致死に
Aさんは、Vさんに多量の薬物を摂取させたところ、Vさんの容態が急変し、Vさんが死亡してしまいました。
Aさんは、Vさんの性感を高める目的でVさんに秘して覚せい剤を入れた飲み物を飲ませたと考えられます。
薬物を他人に摂取させた結果、その者を死亡させてしまうことについて、違法薬物を規制する法律は特に規定していません。
そうであれば、人を死亡させたことに着目した場合、Aさんを殺人罪に問えるのでしょうか。
殺人罪が成立するには、「人を殺意を持って殺した」と言えなければなりません。
しかし、AさんはVさんを殺そうと思って薬物を飲み物に混入して飲ませたわけではなさそうですので、この場合、殺意を認めることは難しいでしょう。
ただ、飲み物に混入した覚せい剤の量からして、Aさんが「この量を摂取したら、Vさんはもしかしたら死んでしまうかもしれない。」と思っていたのであれば、未必の故意が認められ、殺人罪が成立する可能性はあります。
殺意を立証することが困難な場合には、傷害致死罪の適用が検討されることになります。
傷害致死罪は、「身体を傷害し、よって人を死亡させ」る罪で、その法定刑は、3年以上の有期懲役です。
「人の身体を傷害」したことによって、人を死亡させた場合に成立するものです。
「傷害」の概念については、判例は、人の生理的機能に障害を加えることであるとする立場をとっています。
覚せい剤の多量摂取により、急性薬物中毒症状に陥らせた場合、覚せい剤の摂取により、人の健康状態を不良に変更し、その生活機能の障害を引き起こしたとして、「傷害」が認められるでしょう。
傷害致死罪は故意犯ですので、故意がなければ罪は成立しませんが、暴行により傷害が生じた場合、行為者の重い結果についての認識・予見は必要とされず、暴行の故意があれば足ります。
また、暴行によらない傷害の場合は、傷害の故意が必要となります。
つまり、人の生理機能を傷害することの認識・認容していた場合に、故意が認められるのです。
覚せい剤という薬物の中でも強い作用のある薬物を人に摂取させる場合、覚せい剤の摂取により人の生理機能を傷害する可能性を認識していたものと考えられるでしょう。
傷害致死は、裁判員裁判対象事件ですので、傷害致死で起訴されれば、通常の刑事裁判とは異なる手続となりますので、裁判員裁判に精通する弁護士に相談・依頼させるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
薬物事件の再犯
薬物事件の再犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県川西警察署は、兵庫県川西市に住むAさんを覚せい剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕しました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反(使用)の前科があり、10年前に懲役1年執行猶予3年が言い渡されていました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、Aさんが再び薬に手を染めたことを知りショックを受けています。
Aさんの妻は、薬物事件に詳しい弁護士に相談し、執行猶予となる可能性について聞いています。
(フィクションです。)
薬物事件の量刑
裁判所・裁判官は、被告人が有罪であるとする場合、どのような刑を科すかを決めます。
当たり前ですが、裁判所・裁判官は、好き勝手に刑の種類や範囲を決めることはできず、きちんとルールに則って決めます。
刑法をはじめとした刑罰法令は、犯罪とされる行為を行った者について、どのような刑罰をどれぐらい科すかについて定めています。
ある犯罪に対して科されるべきものとして、法令が罰則により規定している刑罰を「法定刑」といいます。
覚せい剤取締法違反(使用)であれば、法定刑は「10年以下の懲役」です。
裁判所・裁判官は、覚せい剤取締法違反(使用)の罪で被告人を有罪とする場合、刑の種類を選択する際に、「罰金刑」を選択することはできません。
法定刑が「10年以下の懲役」であるので、懲役刑以外を選択することができないからです。
また、どれぐらいの懲役刑とするか、つまり、懲役刑の期間を決めるわけですが、これについても10年を超える期間とすることはできません。
裁判所・裁判官は、法定刑の範囲内で言い渡す刑罰の内容を決めるわけですが、法律に定められている特段の事情がある場合には、刑の加重減免が認められています。
例えば、自首が成立している場合には、その刑を減軽することができるとされているので、裁判所・裁判官は任意で刑を減軽することができるのです。
裁判所・裁判官が、法定刑を定める罰則に刑法を適用して定まる処断刑の範囲内で、被告人に下すべき宣告刑を決定する作業のことを「量刑」といいます。
薬物事件では、初犯であり、単純な自己使用目的の所持や使用のケースの場合、公判請求される可能性は極めて高いのですが、有罪となった場合でも、執行猶予となることが多くなっています。
ただ、薬物事件については、初犯であれば執行猶予が付く可能性が高いのですが、再犯となれば、いっきに実刑となる可能性が増します。
薬物事件に限ったことではありませんが、同種の犯罪で再び罪を犯した場合、裁判所・裁判官は、被告人は前回から反省、更生していないのではないか、社会内での再犯可能性は高いのではないか、と判断されてしまうからです。
そのため、基本的には薬物事件の再犯事件では、実刑となることをベースに考えなければなりません。
ただし、すべての再犯事件が実刑となるのかと言えば、必ずしもそうではありません。
前回の事件で執行猶予判決を言い渡されており、執行猶予期間中何事もなく経過し、その判決言い渡しがあってからだいぶん時間があいている場合、あるいは、前回の事件で実刑が言い渡されており、刑の服役を終えてからずいぶん事件が経っている場合であって、なおかつ、前判決を受けてから今までの生活の様子、今回の時間後の反省の態度や更生に向けた努力、そして、家族などの監督能力が期待できるといった事情があれば、今回の事件で執行猶予となる可能性はあります。
薬物事件の再犯で執行猶予を獲得することはそう簡単ではありませんが、再犯可能性が低いと認められ、社会内での更生が期待できると裁判所・裁判官に認めてもらえるよう最善を尽くす必要はあるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含め刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が薬物事件で逮捕されて対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
犯行時少年で発覚時成人であった場合
犯行時少年で発覚時成人であった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
2015年に兵庫県養父市で女性が何者かに刃物のようなもので刺され死亡する事件が起きました。
警察の必死の捜査にもかかわらず、すぐに犯人を特定するには至っていませんでした。
ところが、2021年9月に兵庫県養父警察署は、県内に住むAさん(23歳)を殺人容疑で逮捕しました。
Aさんは、犯行時17歳でした。
(フィクションです。)
犯行時に少年であった場合
Aさんは、2015年、17歳でした。
つまり、犯行当時の年齢は20歳未満で、「少年」であったのです。
少年が罪を犯した場合、少年法が適用されます。
14歳以上20歳未満の者が罪を犯した場合、捜査段階では、概ね、刑事訴訟法に基づく手続に付されます。
身体拘束の上捜査を行う必要があれば、被疑者が少年であっても、逮捕、勾留される可能性はあります。
捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所の審判に付するべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
これを「全件送致主義」といい、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のように捜査機関限りで事件を終了させることはありません。
事件を受理した家庭裁判所は、調査を行った上で、審判を開くかどうかを決定し、審判を開くとした場合には、審判で非行事実および要保護性を審理し、少年に対して処分を決定し言い渡します。
家庭裁判所が行う決定には、終局決定と中間決定とがあります。
終局決定は、少年の最終的な処分を決するものであり、中間決定は最終決定前の中間的なものとしてなされます。
審判を経てなされる終局決定には、不処分、保護処分、検察官送致、都道府県知事または児童相談所長送致とがあります。
検察官送致となった場合には、検察官に送致された後は、通常の刑事手続に付されて事件が処理されることになります。
ただし、犯行時少年であっても、家庭裁判所で審判を受ける時点で20歳を超えている場合には、家庭裁判所で審判を受けることができません。
少年が20歳以上であることが判明すれば、家庭裁判所は、事件を検察官に送致しなければなりません。
この場合の検察官送致を「年齢超過による検察官送致」と呼びます。
つまり、犯行時や家庭裁判所への送致時は20歳未満であっても、審判時に20歳を超えている場合には、少年法の適用はされないのです。
このことは、被疑者として逮捕された時、すでに20歳を超えていた場合も同じで、逮捕時には20歳以上の者となっていますので、最初から少年法は適用されず、成人の刑事事件として処理されることになります。
成人の刑事事件として取り扱われるため、刑罰が科される可能性があります。
ただし、刑罰については、18歳未満であれば、死刑の犯罪は無期懲役となります。
Aさんのように23歳で逮捕されたとしても、犯行時の年齢が18歳未満であるようなときには、殺人罪で有罪となった場合でも最高で死刑ではなく無期懲役が科され得ることになります。
ちなみに、人を故意に死亡させた場合で、かつ、犯行時16歳以上の場合、犯行時に少年であり、審判時でも少年であっても、原則、刑事処分相当を理由とする検察官送致となりますので、検察官送致後に刑事事件として処理されることになります。
以上のことからも、Aさんは、今後、成人の刑事事件として刑事手続に付されることは明らかです。
殺人罪で起訴されれば、通常の刑事裁判ではなく、裁判員裁判となります。
そのため、通常の刑事裁判以上に周到な準備をする必要がありますので、刑事事件専門の弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
業務妨害で刑事事件に
業務妨害について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県佐用郡佐用町で、大雨で増水した川で溺れたふりをして、その様子を動画で撮影していたAさんとBさん。
その様子を偶然目撃した地元の人が、「人が流されている。」と通報しました。
通報を受けて現場に駆け付けた兵庫県たつの警察署の警察官と消防署員らは、AさんとBさんに事の真相を聞き、二人を警察署に連れて行き、軽犯罪法違反(業務妨害)の疑いで二人を取り調べることにしました。
後に、警察から龍野区検察庁に事件を送致したと聞いたAさんは、そんな大事になると思わず慌てて刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
業務妨害事件
何らかの形で他人の業務を妨害するという事件では、刑法上の業務妨害罪(偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪、電子計算機損壊等業務妨害罪)が適用されるケースが少なくありません。
1.偽計業務妨害罪(刑法第233条後段)
偽計業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて人の業務を妨害する罪です。
業務を妨害する手段として、①虚偽の風説を流布する、または、②偽計を用いる、ことが規定されています。
①「虚偽の風説を流布」するというのは、客観的真実に反する事実を不特定または多数の者に伝播させることを意味します。
②「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、あるいは人の錯誤・不知を利用することをいい、公然であると否とを問いません。
業務妨害罪における「業務」については、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務または事業をいうとするのが判例・通説となっています。
「社会上の地位」という言葉があるように、炊事・洗濯・育児といった家庭生活上の活動や、趣味・娯楽といった個人的活動は、業務には含まれません。
2.威力業務妨害罪(刑法第234条)
威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害する罪です。
この罪は、業務を妨害する手段が「威力」である点で、偽計業務妨害罪と異なります。
「威力」とは、人の意思を制圧するに足る勢力のことをいい、暴行・脅迫に至らないものでも威力に当たります。
「偽計」と「威力」との線引きは具体的な場面においてはしばしば困難ですが、概ね、妨害が外見的に見て明らかである場合は「威力」、そうでない場合は「偽計」とされることが多いようです。
3.電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法第234条の2)
電子計算機損壊等業務妨害罪は、人の業務に使用する電子計算機もしくはその用に供する電磁的記録を損壊し、もしくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報もしくは不正な指令を与え、またはその他の方法により、電子計算機に使用目的にそうべき動作をさせず、または使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害する罪です。
電子計算機(コンピューター)に向けられた業務妨害の処罰の必要性が生じたこと、およびコンピューターに向けられた業務妨害は従来の業務妨害よりも重大かつ広範な被害の発生が予想されることから、偽計・威力業務妨害よりも刑を加重されています。
AさんとBさんは、消防や警察の業務を妨害しようと、増水した川で溺れたふりをして、その様子を撮影してわけではなさそうです。
おそらく、動画をネットに上げようとしていたものと考えられます。
それを偶然目撃した者が、実際に人が溺れていると勘違いして通報したことで、警察や消防が出動することとなりました。
そうすると、刑法上の業務妨害における偽計の程度には達しないしないと言えるでしょう。
そこで、AさんとBさんの行為に対しては、軽犯罪法違反(業務妨害)が適用されていることに注目してみましょう。
軽犯罪法は、日常生活における身近な道徳律に違反する軽い犯罪行為の類型と、それに対する刑罰とを規定するものです。
軽犯罪法第31号は、「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害」する行為を禁止し、刑法の業務妨害罪や公務執行妨害罪を補充する規定となっています。
ここでは、業務を妨害する手段が「悪戯など」となっています。
「悪戯」とは、一般的な戯れで、それほど悪意のないものをいい、悪ふざけのことです。
「など」とあるのは、他人の業務の妨害となり得る一切の行為を含んでいることを示しています。
悪戯に類する程度のものであることが必要ですが、公務執行妨害の暴行、脅迫に達しない程度のもの、業務妨害の偽計・威力に達しない程度の妨害行為など広くを含むと理解されています。
刑法上の業務妨害の法定刑が3年以下の懲役または50万円以下の罰金であるのに対して、軽犯罪法違反(業務妨害)は拘留または科料となっています。
どちらの犯罪が成立するかで、科され得る刑罰の軽重も異なりますので、しっかりと弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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刑事事件で執行猶予
執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県加東警察署は、兵庫県加東市に住むAさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、Aさんには同種の前科・前歴があることから、今回の事件については一体どのような処分となるのか不安で仕方ありません。
すぐに、刑事事件専門弁護士に連絡をとり、法律相談の予約を取りました。
(フィクションです。)
執行猶予とは
刑の執行猶予は、有罪判決に基づいて宣告された刑について、情状によってその執行を一定期間猶予し、その言渡しを取消されることなく猶予期間が満了した場合には、刑罰権を消滅させる制度です。
刑の執行猶予には、刑の全部の執行を猶予する「刑の全部執行猶予」と、刑の一部についての執行を猶予する「刑の一部執行猶予」の2種類があります。
今回は、刑の全部執行猶予について説明します。
刑の全部の執行猶予の要件は、執行猶予が初度の場合と再度の執行猶予との場合とで異なります。
1.初度の執行猶予の要件(刑法第25条第1項)
「これまで一度も禁錮刑以上の刑になったことがない者」、及び、「禁錮刑以上の刑になったことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に再び禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に対して、「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡しを受けた」場合に、「情状により」刑の執行をすることができるとされています。
猶予される期間は、裁判が確定した日から1年以上5年以下です。
■前に禁錮以上の刑に処せられた■
「前に禁錮以上の刑に処せられた」というのは、禁錮以上の刑の処する確定判決を受けたことを意味し、禁錮以上の刑に処せられるべき犯罪を行ったということではありません。
禁錮刑以上の刑に処せられた者であっても、その執行が猶予され、執行猶予期間を経過した場合には、刑の言渡しそのものの効力が失われるため、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に該当します。
「執行を終わった」というのは、刑の執行を受け、刑期を終了したことを意味します。
「執行の免除」がなされる場合は、刑の時効が完成した場合、外国において刑を言い渡され、その刑の全部または一部の執行を受けた場合、恩赦の一種として行われる場合があります。
■情状■
犯情、動機、本人の年齢、精神障害の存在といった犯罪自体の情状のほかに、犯罪後の改悛の情状、被害弁償、被害者の宥恕、家族の保護監督等を含みます。
2.再度の執行猶予
一度執行猶予となった者が、その執行猶予期間中に再び罪を犯した場合であっても、要件を充たせば再度の執行猶予が認められる可能性があります。
「1年以下の懲役または禁錮の言渡し」をする場合であり、情状に「特に酌量すべきものがある」ときに、再度の執行猶予が認められます。
執行猶予期間中に罪を犯した場合の方が、より厳しい要件が科されています。
基本的には、執行猶予期間中に再度罪を犯した場合、前回の反省が不十分であったと判断される傾向にあり、再び執行猶予を認められるのはごく限られた場合と言えるでしょう。
上記事例では、Aさんは同種の前科・前歴があるようですが、直近の事件についてどのような処分となっていたのかによって、今回の処分の見通しも変わってくるでしょう。
まだ、執行猶予期間中であれば、実刑の可能性も高く、特別な事情がある場合には、再度の執行猶予を目指していくことになるでしょう。
刑事事件を起こし、どのような処分となるのか不安を抱いていらっしゃるのであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が逮捕されて対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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まずはお気軽にお電話ください。
責任能力を争う弁護士
責任能力について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県加古郡播磨町で、知人を刃物で刺し、怪我をさせたとして、兵庫県加古川警察署はAさんを殺人未遂の容疑で逮捕しました。
Aさんの家族から接見依頼を受けた刑事事件専門弁護士は、Aさんが総合失調症にり患していることを聞き、責任能力の有無についても慎重に検討すべきだと考えています。
(フィクションです。)
犯罪が成立する場合
犯罪は、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」であると理解されています。
つまり、犯罪とは、人の行為であって、①構成要件に該当すること、②違法であること、③有責であること、という3つの要件すべてを満たしている場合に成立するものなのです。
①構成要件というのは、法律により犯罪と定められた行為類型のことです。
殺人罪であれば、「人を殺した」行為が構成要件です。
しかし、単に、あなたが人を殺したということだけでは、殺人罪は未だ成立してはいません。
犯罪であると言えるためには、その行為(殺人罪であれば、人を殺した行為)が②違法でなければなりません。
基本的には、法律で犯罪として定められた行為は、その行為を禁止するために犯罪として定めているのですから、違法と言えますが、正当防衛などのように例外的な事情が存在する場合には、構成要件に該当する行為であっても、違法性が認められないことになります。
そして、構成要件に該当する行為であって、かつ、その行為が違法であると言える場合であっても、更に、行為者に責任があることが認められなければ犯罪は成立しません。
罪を犯し、有罪となった者には、刑罰が科されますが、刑罰は人の自由を奪うものですので、それを正当化するために、構成要件に該当する違法な行為を行った者が非難に値するものであることが求められるのです。
責任の有無を判断する際に考慮される要素としては、故意・過失、期待可能性、そして、責任能力があります。
責任能力とは
行為者の精神に障害がある場合などで有責な行為をする能力が備わっていあに場合には、その行為者を法的に非難することはできません。
行為者に責任があると言えるために、その行為者に必要とされる能力を「責任能力」といいます。
刑法は、心神喪失者については、責任能力を欠く者(責任無能力者)として、処罰しないことを定めており、心身耗弱者については、責任能力は存在するものの、著しく限定されているため、責任減少を認めて刑の必要的減軽を定めています。
心神喪失とは、精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力またはその弁識に従って行動を制御する能力が全くない状態をいいます。
心身耗弱とは、精神の障害によりそのような能力が著しく減退した状態をいいます。
責任能力は、「精神障害」という生物学的要素と、「弁識能力」や「制御能力」という心理学的要素に基づいて、完全責任能力、限定責任能力、責任無能力が判断されます。
「精神障害」には、総合失調症、中毒性精神病、知的障害、精神病質、その他の精神疾患があります。
このような精神障害を行為者が患っていた場合、精神障害の影響で、弁識能力または制御能力がない、あるいは著しく減退していたかどうかが検討されます。
弁識能力は、問題となる行為の違法性を認識することができる能力のことで、制御能力とは、違法と認識している行為を思い留まることができる能力のことをいいます。
ある行為が悪いことだと理解していたとしても、一定の状況においてその行為が悪いことだとは理解できないのであれば、弁識能力が否定されることになります。
また、ある行為が悪いことだと分かっており、犯行時に合理的に行動することができたとしても、その犯行を思い留まらせることができなければ制御能力が否定されるのです。
責任能力の有無や程度については、行為者が精神障害を患っていたことだけでなく、犯行当時の病状(精神障害の種類と程度)、犯行前の生活状態、犯行の動機・原因、犯行の手段・態様(計画性や作為性の有無など)犯行後の行動・態度等を総合して判断されます。
そのため、責任能力が問題となる事件では、弁護人は、被疑者・被告人の犯行時の病状だけでなく、犯行前後の諸事情について検討していくことになります。
刑事事件において責任能力が争われるケースは少なくありません。
ご家族が刑事事件を起こし、責任能力に疑問がある、争え得るのかとお悩みであれば、一度刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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下着窃盗で逮捕
下着窃盗で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
Aさんは、自己の性欲を満たすために、女性用の下着を入手しようと考え、兵庫県淡路市のアパートのベランダに女性用の下着が干してあったのを見つけ、ベランダに侵入し、下着を盗みました。
事件後、Aさんが帰宅する途中で、兵庫県淡路警察署の警察官に職務質問を受け、事件が発覚し、Aさんは住居侵入、窃盗の容疑で現行犯逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、今後どのように対応すべきか分からず、ネットで刑事事件に強い弁護士を検索し、相談の連絡を入れました。
(フィクションです。)
下着窃盗は、罪名としては窃盗ですが、性犯罪としての要素も有するものです。
ですので、被害者への対応については、単なる財産犯として金銭的な弁償をするだけではなく、他の性犯罪と同じように被害者の精神的損害を考慮したり、示談書に盛り込む誓約にも注意する必要があります。
下着窃盗事件は、他の窃盗事件と同様に、被害者との間で示談がまとまっている場合には、不起訴となる可能性は高いでしょう。
下着窃盗は、形式的には財産犯ですが、実体としては性犯罪に近いものであり、性犯罪においては、終局処分を決めるにあたって、被害者の意思がより重視される傾向にあります。
もちろん、前科・前歴の有無や被害品の量などにもよりますが、示談を成立させることが、不起訴を獲得するには欠かせないことには間違いありません。
他方、下着窃盗は被害額はさほど高額とはならないケースが多いのですが、前科・前歴があり、示談が成立していない場合には、公判請求される可能性もあります。
示談というのは、加害者が被害者に対して謝罪および金銭的賠償を行い、被害者はそれを受けて被害届を取り下げることなどを約束し、事件については当事者間で解決したとする合意のことを指します。
これはあくまで加害者と被害者との間の合意ですので、親告罪でない場合は、例え示談が成立したとしても、それをもって不起訴としなければならない理由はありません。
ただ、先述したように、起訴・不起訴を判断する際には、被害者の意思、つまり、加害者に対する処罰意思の有無が重視される傾向にあり、示談が成立している場合には、あえて起訴をするという選択をしないことが実務上多くなっています。
もちろん、前科・前歴の有無や犯行態様によっては、示談が成立していたとしても、起訴が選択されることもあります。
示談金については、被害金額をベースとして金額では被害者としても納得できかねることは想像に易いでしょう。
単に物が盗まれたというだけではなく、被害品が下着であることや自宅に侵入されたという点を考慮すると、単なる窃盗よりも精神的苦痛が大きく、自宅に侵入された恐怖心から被害者が引っ越しを希望するケースも少なくありません。
示談金については、被害金額以上の額になることは承知しておくべきですが、いくらでも言われ値に応じなければならないわけではありません。
通常、示談交渉は代理人である弁護士を介して行いますので、相場と言われる金額に、個々の事案の特徴をも考慮しつつ、話し合いを行う中で両当事者が納得する額でまとめていくことになります。
また、下着窃盗事件で示談交渉を行う際には、被害者の不安を払拭するよう努める必要があります。
示談を受けるということは、被害者が不起訴となり社会復帰するという効果をもたらします。
被害者は、被疑者が再び自宅にやってくるのではないか、報復を受けるのではないかと不安な気持ちを抱えていることが多いです。
そのため、弁護士は、示談交渉において、示談を行うことのメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、接触禁止条項を示談書に入れるなどして、事件終了後に被疑者が被害者に接触しないことを誓約し、被害者の不安を解消するよう努めます。
下着窃盗で逮捕されると、被害者の自宅に侵入して行ったような場合には被害者宅を把握しているため、罪証隠滅のおそれがあると認められ勾留となる可能性は高いでしょう。
勾留となった場合でも、被害者との示談が成立したのであれば、速やかに釈放することを求めます。
不起訴となれば、即日釈放となりますので、速やかに捜査機関を通して被害者に示談を申入れ、示談交渉を行う必要があります。
示談交渉は、弁護士を介して行うのが一般的です。
下着窃盗事件でご家族が逮捕されてお困りであれば、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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