Archive for the ‘刑事事件’ Category
逮捕・監禁事件で逮捕
逮捕・監禁罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県豊岡市にある学習塾で講師をしているAさんは、兵庫県豊岡南警察署に逮捕監禁の疑いで逮捕されました。
Aさんの生徒であるVさんが、Aさんに手錠で両足を固定されたまま個別指導を2時間受けたことをVさんの母親に話し、驚いた母親が豊岡南警察署に相談したことで事件が発覚しました。
警察は、早朝にAさん宅を訪れ、家宅捜索後にAさんを豊岡南警察署に連れて行きました。
自宅にいたAさんの妻は、警察から詳しいことを聞かされず、Aさんを警察署に連行した数時間後に「Aさんを逮捕した。」との連絡を受けました。
今後どうなるのか全く分からず不安に駆られたAさんの妻は、ネットで検索して刑事事件に強い弁護士に接見を依頼することにしました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
逮捕・監禁罪について
逮捕・監禁罪は、刑法第220条に規定される罪です。
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
本条の前段は逮捕罪について、後段は監禁罪について規定しています。
逮捕・監禁罪の客体は、身体活動の自由を有する自然人です。
逮捕・監禁罪の保護法益は、身体活動の自由ですので、意思に基づく身体の活動能力を有しない嬰児や意識喪失状態の者は逮捕・監禁罪の客体には含まれません。
◇逮捕罪◇
「逮捕」は、人の身体を直接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うことです。
その方法は、縄で縛るといった有形的手段でも詐欺や脅迫などの無形的手段でも構いません。
また、不作為であってもよく、第三者や被害者自身の行為を利用する間接正犯であってもよいとされます。
「逮捕」という行為に加えて、逮捕罪が成立するためには、人の身体活動の自由を奪うことについての認識が必要となります。
◇監禁罪◇
「監禁」とは、人の身体を間接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うこと、つまり、人が一定の区画された場所から脱出することを不能または著しく困難にすることをいいます。
例え、両腕を縛っていても、場所的移動の自由が害されていない限り、暴行罪は成立するとしても、逮捕罪は成立しないことになります。
監禁方法については、逮捕罪の場合と同様、有形的方法でも無形的方法でも構いません。
脱出方法があったとしても、社会通念上人が脱出するのに困難を感じさせる方法で、身体活動の自由を奪うときは、「監禁」に当たると解されます。(最決昭30・9・29)
監禁罪の成立には、逮捕罪と同様に、人の身体活動の自由を奪うことについての認識が必要となります。
◇同意と錯誤◇
場所的移動の自由が失われることについて、被害者が自由な意思により同意を与えている場合には、逮捕・監禁罪は成立しません。
しかし、この同意が欺罔や偽計によって得られた場合、逮捕・監禁罪が成立し得るのかが問題となります。
騙されて脱出困難な部屋に連れてこられた場合や、脱出不可能だと騙されて部屋に留まった場合に、監禁罪が成立するものと解されます。
また、判例は、場所的移動の自由が失われることについての同意が瑕疵あるものであった場合、本当のことを知っていたなら、逮捕・監禁されなかった場合には同意の有効性を否定する立場をとっています。(最決昭33・3・19)
逮捕・監禁事件で逮捕されたら
逮捕・監禁事件で逮捕された場合、逮捕後勾留となる可能性が高いでしょう。
特に、上記ケースのように、被疑者と被害者が学習塾の講師と生徒という関係であった場合、被疑者が被害者の連絡先や住所を把握している可能性が高く、被疑者を逮捕後に釈放することになれば、被疑者が被害者に働きかけ罪証隠滅を図るおそれがあると判断され、勾留となる可能性は高いと言えるでしょう。
とは言っても、長期間の身体拘束によって被疑者やその家族が被る影響は計り知れません。
少しでも身体拘束が短くなることを希望されるでしょう。
早期釈放のために、被疑者が釈放されても逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に認めてもらう必要がありますので、被疑者の家族による徹底した監督が期待できることなどを主張し、勾留前であれば勾留としないよう関係先に意見し、勾留後であれば勾留決定を取消し勾留請求を却下するよう申立てを行うことが重要です。
また、被害者がいる事件ですので、早期に被害者との示談交渉に着手し、示談を締結することで事件を穏便に終了させ、釈放となる可能性を高めることも重要でしょう。
逮捕から勾留までは3日ほどで決まってしまいます。
刑事事件はスピードが重要ですので、弁護活動は刑事事件に精通する弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件で逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡
交通事件(人身事故)での身体拘束
交通事件(人身事故)での身体拘束の可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
自家用車を運転していたAさんは、兵庫県丹波篠山市の交差点で左折しようとしたところ、自転車で横断歩道を横断していたVさんと衝突してしまいました。
Aさんは、車を停めて、窓を開けてVさんの様子を確認しましたが、すぐに起き上がり自転車を押して横断したため、「大丈夫だったんだな。」と思い、そのまま現場を離れました。
後日、兵庫県篠山警察署の警察官がAさん宅を訪れ、過失運転致傷と道路交通法違反の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんの家族は、すぐに交通事件にも対応する弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです)
交通事件(人身事故)で逮捕される場合
人身事故を起こしてしまった場合、多くのケースでは、過失運転致死傷罪に問われることになります。
過失運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)の第5条に規定される罪です。
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
「自動車の運転上必要な注意を怠り」とは、自動車の運転者が、自動車の各種装置を操作して、そのコントロール下において、自動車を動かす上で必要とされる注意義務を怠ることをいいます。
前方不注意やスピードの出しすぎ、周囲の歩行者や走行車両などの確認を怠ったなどは、自動車を運転する上で遵守すべき義務に違反する行為と言えるでしょう。
運転行為の中でも特に危険性の高いもので危険運転に該当する場合には、より刑罰が重い危険運転致死傷罪が適用される可能性もあります。
人身事故を起こした場合、駆け付けた警察官に現行犯逮捕される可能性が高いでしょう。
しかし、容疑を認めており、罪証隠滅や逃亡のおそれがないと判断されれば、逮捕後に勾留されずに釈放となるケースも少なくありません。
一方、人身事故を起こしたにもかかわらず、警察に通報せずに現場を離れた場合には、ひき逃げ事件とみなされ、後日犯人を特定して通常逮捕される可能性が高いでしょう。
逮捕されたら
逮捕された後の流れは、概ね次のとおりです。
●逮捕後、警察署にて取調べを受ける。
↓
●逮捕から48時間以内に、釈放or証拠や書類と一緒に検察庁に送致される。
↓
●検察庁に送致された場合、被疑者は検察庁で取調べを受ける。被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は被疑者を釈放するor勾留請求をする。
↓
●検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被害者と面談の上、被疑者を勾留するor釈放するかを決める。
↓
●勾留請求が却下されれば釈放される。勾留となれば、勾留請求の日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となる。
長期間の身体拘束は、被疑者のその後の生活に大きな影響を及ぼします。
そこで、逮捕された場合には、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に着手してもらうことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
往来危険事件で執行猶予判決
往来危険事件における執行猶予判決獲得に向けての弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
酒に酔った勢いで、自転車を線路上に投げ入れたとして、大学生のAさんは、兵庫県加古川警察署に往来危険および業務妨害の容疑で逮捕されました。
警察から、裁判になるだろうと言われているAさんは、どうなるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)
往来危険罪は重い罪
往来危険罪という罪について、あまり聞き覚えがないという方が多いのではないでしょうか。
往来危険罪は、刑法第125条に規定される罪です。
第百二十五条 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 灯台若しくは浮標を損壊し、又はその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。
(1)客体
●「鉄道若しくはその標識」
「鉄道」とは、レールだけでなく、構造上これと密接不可分の関係にあって、汽車、電車の走行に直接役立っているものすべてをいいます。
例えば、枕木、鉄橋、トンネルなどです。
「標識」とは、信号機その他運行のための目標をいいます。
●「灯台若しくは浮標」
「灯台」は、夜間、艦船の航行の利便を図るために、灯火をもって示した陸上の標識です。
「浮標」というのは、艦船の航行上安全か否かや水の深さを標示する水上の目標、標示物のことです。
(2)行為
●鉄道、標識、灯台、浮標を「損壊」し、またはほかの方法によって、汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせる。
汽車・電車の往来の危険または艦船の往来の危険を生じさせる行為であって、その手段として、鉄道やその標識の損壊、灯台や浮標の損壊、或いは他の方法と定められています。
「損壊」とは、物理的に破壊して、その効用を失わせることをいいます。
「その他の方法」とは、損壊以外の方法で汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせることをいい、その手段や方法は問いません。
線路上に石などの障害物を置くことも「その他の方法」に該当しますので、自転車を線路に投げ込むことも「その他の方法」に当たるでしょう。
「往来の危険」とは、汽車・電車・艦船の衝突・脱線・転覆・沈没・破壊など交通の安全を害するおそれのある状態をいいます。
往来危険罪が成立するためには、交通の妨害を生じさせた程度では足りません。
交通機関の往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態を発生させることが必要です。
しかしながら、実害発生のおそれについては、一般的可能性で足り、その必然性や蓋然性は必要ではないと解されます。
往来危険罪の法定刑は、2年以上の有期懲役で、罰金刑は設けられていません。
このような重い刑となっているのは、交通機関の運転に従事する者や利用者の生命・身体に対する危険を生じさせるためです。
執行猶予判決を獲得するために
往来危険罪には、罰金刑が設けられていませんので、略式手続をとることができません。
検察官に起訴された場合、正式な刑事裁判が開かれることになります。
裁判では、審理が終わると、裁判官が被告人に対して有罪もしくは無罪を言い渡します。
有罪となった場合であっても、必ずしも刑が執行されるわけではありません。
刑の執行を一定期間猶予し、猶予期間内に再び罪を犯すことがなければ、刑の言渡しは効力を失う制度を「執行猶予」といいます。
刑に執行猶予が付いていれば、有罪であることには変わりありませんが、直ちに刑務所へ送られることはありません。
一方、執行猶予が付いていない刑を「実刑」といい、例えば、裁判で懲役2年の実刑が言い渡された場合、その判決が確定すれば、直ちに刑務所で服役することになります。
往来危険事件の場合、被告人が初犯であり、3年以下の懲役の言渡しをするとき、「情状により」執行猶予付き判決が言い渡される可能性があります。
「情状」というのは、検察官が起訴するかどうかを決める際や、裁判官が有罪の場合の判決で、どの程度の量刑にするかを判断する際に考慮される事情のことをです。
情状には、犯罪行為自体に関する事情(犯情)と、それ以外の事情(一般情状)とがあります。
具体的に言うと、前者には、犯行態様、犯行動機、犯行の結果、共犯関係など、後者には、その人の年齢・性格、被害弁償の有無、反省の有無、被害感情、更生・再犯の可能性などです。
公訴事実に争いがない場合には、被告人にとって有利な事情を集め、裁判で説得的に主張することが弁護人に求められる重要な弁護活動となります。
上のケースであれば、犯情については、酒に酔って行った行為であり電車の運行に支障をきたしてやろうと思ってやった行為ではない点が考えられるでしょう。
また、一般情状に関しては、被告人が反省し事件以降断酒していること、家族による監督が期待できること、被告人が学生であること、鉄道会社への被害弁償が済んでいる(被害弁償できなかった場合でも、被害弁償金を供託している)といった点が挙げられるでしょう。
ケースによって情状弁護の内容も異なりますので、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
薬物事件:保釈で釈放
薬物事件における保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたAさんは、逮捕後に勾留となり兵庫県赤穂警察署に勾留されています。
勾留決定と共に、接見禁止が付されており、Aさんは家族と面会することはできません。
勾留延長の満期日に、Aさんは麻薬取締法違反の罪で神戸地方検察庁姫路支部に起訴されました。
Aさんは、弁護人に保釈請求をしてほしいと話しています。
(フィクションです)
薬物事件で逮捕されたら
麻薬取締法違反を含めた薬物事件で逮捕された場合、その後勾留となる可能性は非常に高いでしょう。
勾留とは、被疑者および被告人の身柄を拘束する裁判ならびにその執行のことをいいます。
起訴前の勾留を「被疑者勾留」、起訴後の勾留を「被告人勾留」と呼びます。
薬物事件の場合、薬物の入手先や譲渡先など、被疑者本人だけでなく複数人が事件に関与しているため、釈放されることにより被疑者・被告人が関係者と接触し、罪証隠滅を図るおそれがあると判断されることが多くなっています。
そのため、捜査が終了する起訴前の段階では、釈放される可能性はそう高くありません。
しかし、起訴後であれば保釈制度を利用することにより釈放される可能性はあります。
保釈制度について
「保釈」というのは、一定額の保釈保証金を納付することにより、勾留されている被告人を暫定的に釈放する制度です。
保釈には、次の3種類があります。
1.権利保釈(必要的保釈)
第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
裁判所は、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
例外として、刑事訴訟法第89条の1号~6号の除外事由がある場合には、請求を却下することができます。
2.裁量保釈(任意的保釈)
第九十条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます。
3.義務的保釈
第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許可しなければなりません。
上記ケースにおいて、Aさんは麻薬取締法違反の罪で起訴されています。
まずは、権利保釈が認められるか検討しましょう。
麻薬取締法違反の罪の法定刑は、規制薬物の種類及び違反形態により異なりますが、ここでは所持についてみていきましょう。
ジアセチルモルヒネ等の所持は、10年以下の懲役、ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の所持は7年以下の懲役、向精神薬の所持は3年以下の懲役です。
「短期一年以上の懲役」には該当しないので、除外事由1号には当たりません。
Aさんに前科がないとすれば、2号も該当しません。
しかし、問題は3号です。
Aさんが1件のみで起訴されたとしても、同じ犯罪を複数回(2回以上)繰り返していた場合には「常習」犯とみなされます。
また、法定刑が「長期3年以上の懲役」の罪となっていますので、上限が3年以上である上の所持罪も含まれますので、3号に該当する可能性はあります。
また、4号の「逃亡・罪証隠滅のおそれ」についても、余罪が複数ある場合や共犯者が複数いる場合など捜査が終了していなければ、罪証隠滅のおそれが高いと判断される可能性があります。
権利保釈が認められない場合であっても、裁量保釈が認められる可能性もあります。
形式的には逃亡・罪証隠滅のおそれが残る場合であっても、その程度が低く、身体拘束によって被る被告人の不利益の程度等を考慮して、裁判所の裁量によって保釈が許可されるのです。
権利保釈と同時に裁量保釈を請求することが出来ますので、弁護人に頼んで両方の保釈を請求してもらうのがよいでしょう。
裁判所に保釈が許可され、保釈保証金を納付すれば、被告人は釈放されることになります。
保釈保証金の額は、犯罪の性質や被告人の資力にもよりますが、150~200万円が相場となっています。
出頭を拒んだり、逃亡したりしなければ保釈保証金は、裁判終了後に戻ってきます。
ご家族が薬物事件で逮捕・勾留され、長期の身体拘束を受けてお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
銃刀法違反で現行犯逮捕
銃刀法違反で現行犯逮捕となるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
山陽新幹線の車内で刃渡り14センチの包丁が乗客のカバンから露出していたことに気が付いた車掌は、警察に通報し、JR西明石駅に停車しました。
通報を受けて駆け付けた兵庫県明石警察署の警察官は、包丁を所持しているAさんを銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕しました。
Aさんは「護身用のために持ち歩いていた」と容疑を認めているとのことです。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、遠方に住んでいるためすぐに明石警察署に行くことができません。
また、警察からは「今来てもらっても会うことはできない。」と言われ、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
護身用は通用しない?銃刀法違反~包丁・ナイフの所持~
銃砲刀剣類所持当取締法(以下、「銃刀法」といいます。)は、銃砲刀剣類は、社会生活を送る上で便利なものもある一方、使い方によっては人や動物を殺すこともあでき、犯罪に利用される危険性を有しています。
そのため、そのような危害を防止するために、銃刀法は、銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防上必要な規制について定めています。
関係する規定は、銃刀法第3条および第22条です。
第三条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
本条は、銃砲刀剣類の所持を原則として禁止しています。
対象となる「銃砲刀剣類」のうち、ここでは「刀剣類」の定義についてみてみましょう。
刀剣類の定義は、銃刀法第2条2項に次のように規定されています。
2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り五・五センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつてみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。
判例によれば、ある物が銃刀法における刀剣類に該当するためには、その物品が、社会通念上、刀、やり、なぎなた、剣、あいくち及び飛び出しナイフの類型のいずれかに当てはまる形態・実質を備える刃物であることが必要です。
刀剣類の実質というのは、銅性質であって、人畜を殺傷する程度の威力を有するものであることをいいます。
上述したように、銃砲刀剣類の所持は、法令に基づき職務のために所持する場合などを除いて、原則として禁止されています。
ですので、護身用に個人が所持していた場合には、所持が認められる正当な理由とはなりません。
さて、上記ケースのように包丁を所持していた場合ですが、包丁は、銃刀法における刀剣類には該当しませんので、銃刀法第3条1項の違反は成立しないでしょう。
しかし、第22条では刃体の長さが6センチを超える刃物の携帯を禁止していますので、それに違反することになります。
第二十二条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
刀剣類に該当しないものでも、刃体の長さが6センチを超える刃物は携帯が禁止されます。
人が職業その他社会生活上の地位に基づいて、継続して行う事務・事業のため、または、社会通念上正当な理由がある場合、例えば、特定の用途に供するため市販されている刃物をその用途に供する場合や購入して自宅に持ち帰る場合などは、本条に違反しません。
判例は、護身用として携帯することは正当な理由とは認めていません。(東京地判平8・3・12)
職務質問からの所持品検査や刃物を所持しているところを通行人などに目撃され警察に通報されることから銃刀法違反が発覚し、現行犯逮捕されるケースがあります。
現行犯逮捕されたら、逮捕から勾留までの間は、逮捕された方の家族であっても原則面会することはできません。
しかし、弁護士であれば、いつでも面会することができますので、ご家族が刑事事件を起こしてお困りの方は、すぐに弁護士に接見をご依頼ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
未成年との性交で刑事事件に発展!?
未成年との性交で刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、SNSを通じて知り合ったVさん(15歳)と会って食事をすることになりました。
食事の後、カラオケに行くことになったAさんとVさんは、カラオケでいい雰囲気になり、そのまま性交をしました。
Aさんは、その後もVさんと連絡をとりあっていましたが、ある日突然連絡が取れなくなりました。
不思議に思っていたAさんでしたが、突然兵庫県川西警察署から連絡があり、Vさんの件で話が聞きたいと言われました。
今後の自分の処遇について心配になったAさんは、警察に行く前に刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
未成年者との性交で成立し得る犯罪とは?
未成年者でも18歳に満たない者と性交を行った場合には、どのような罪に問われ得るでしょうか。
成立し得る犯罪としては、(1)淫行条例違反、(2)児童買春罪、(3)強制性交等罪が挙げられます。
(1)淫行条例違反
「淫行条例」とは、各都道府県が定める青少年保護育成条例の中で、18歳未満の青少年との「淫行」を禁止する条文の通称のことです。
兵庫県では、青少年愛護条例の第21条に規定されています。
第21条 何人も、青少年に対し、みだなら性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
ここでいう「みだらな性行為又はわいせつな行為」とはいったいどのような行為を指すのか、という点が気になるところでしょう。
各都道府県が規定する淫行条例の文言は「淫行」「みだなら性行為」「わいせつな行為」「みだらな性交」等、若干の違いはありますが、青少年との「淫行」について規定している点で共通しています。
そこで、「みだらな性行為又はわいせつな行為」について、最高裁判所による福岡県青少年保護育成条例における淫行条例の解釈を参照してみたいと思います。
(淫行条例の)趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によつて精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであることが明らかであつて、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例一〇条一項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。【最高裁昭和60年10月23日大法廷判決】
「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない」と判断される場合の明確な線引きは難しいですが、性交等に至るまでの経緯や両者の関係性などの要素を考慮して判断されることになります。
上記ケースのように、よく素性も分からないネットで知り合った相手と会ってすぐに性交する場合には、当該要件を満たしていると判断される可能性があるでしょう。
他方、両親も当事者の交際を認めており、結婚を前提にしているといった場合やそれに近い関係性が認められる場合には、淫行条例違反とはならないでしょう。
兵庫県において、淫行条例違反に対する罰則は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
(2)児童買春罪
お金を払う等して児童と性交等を行うことを「児童買春」といい、児童買春は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称:児童買春・児童ポルノ禁止法)」により禁止され、罰則規定も設けられています。
児童買春・児童ポルノ禁止法における「児童」とは、18歳未満の者をいいます。
そして、問題となる「児童買春」については、以下のように定義されています。
第二条
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為とし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
まず、児童買春が成立するためには、①児童本人、児童買春の斡旋者、児童の保護者等に対して、金銭などを渡したり、その約束をして、②児童と性交等を行う、ことが必要となります。
児童買春罪の法定刑は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
(3)強制性交等罪
相手児童が13歳未満であった場合、暴行・脅迫を用いずとも、金銭のやりとりがなくとも強制性交等罪が成立することになります。
強制性交等の法定刑は、5年以上の有期懲役です。
18歳未満の者と性交をしたからといって、必ずしも何らかの罪に問われるとは限りませんが、上記の犯罪のいずれかの構成要件を充たす場合には、刑事事件として発展し刑事責任に問われる可能性もあります。
そのような場合には、早期に弁護士に相談し、今後の流れや取調べ対応について適切なアドバイスを得ることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
男女間トラブル:強制性交等罪となる場合
男女間トラブルから強制性交等罪に問われ得る場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
出会い系アプリで知り合った女性Vさんと食事をすることになったAさん。
食事の後、カラオケに行き、いい雰囲気になったところで、AさんはVさんにキスをしました。
Vさんも嫌がる様子はなく、Aさんはそのまま性交をしようとしました。
Vさんは、「ちょっとそれは」と言っていましたが、はっきりと拒絶する態度をとらなかったので、Aさんは「これはOKだということだな。」と思い、そのまま続けました。
その後、普通に会話し、カラオケ店を後にした二人は、また会う約束をして別れました。
しかし、後日、Vさんから「同意なくされた。あれはレイプだ。警察に相談する。」という内容のメッセージが送られてきました。
驚いたAさんは、Vさんと連絡をとろうとしましたが、返事がありません。
心配になったAさんは、このまま刑事事件に発展する可能性があるのか、刑事事件に詳しい弁護士に相談しに行きました。
(フィクションです)
強制性交等罪について
男女間トラブルから刑事事件に発展するケースがあります。
DV事件であれば、暴行罪や傷害罪に問われることが多く、強制性交等罪や強制わいせつ罪などの性犯罪に問われる場合には、男女間で同意があったか否かが問題となるケースがよく見受けられます。
最近では、出会い系アプリを通じて知り合った男女がその場の雰囲気で肉体関係をもち、後に同意がなかったと相手方から主張されるケースが多く、男女間での同意の認識の違いから事件に発展しています。
それでは、強制性交等罪が成立する場合について説明していきます。
強制性交等罪は、刑法第177条に規定される罪です。
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
強制性交等罪は、平成29年の刑法改正により、強姦罪に替えて新設されました。
◇暴行・脅迫◇
13歳以上の者に対する場合は、「暴行又は脅迫」を加えた場合に限り本罪が成立します。
この「暴行・脅迫」は、相手の反抗を抑圧する程度に達しなくてもよいが、反抗を著しく困難にならしめる程度に達することが必要です。
反抗を著しく困難ならしめるものか否かの判断は、暴行・脅迫それ自体だけでなく、相手の年齢・性別、犯人の素行・経歴等や暴行・脅迫が行われた時間・場所の四囲の環境その他具体的な事情と相まって判断されます。
13歳未満の者に対する場合は、暴行・脅迫の要件はありませんので、それらを用いずとも、例え相手方が同意していたとしても本罪は成立します。
この点、未必的であれ相手方が13歳未満であると認識していることが必要です。
◇性交等◇
「性交等」は、「性交」、「肛門性交」と「口腔性交」と合わせた呼称です。
「性交」は、陰茎を膣内に没入することで、射精まで要しません。
「肛門性交」とは、肛門内に陰茎を入れる行為で、「口腔性交」は、口腔内に陰茎を入れる行為のことです。
◇未遂◇
強制性交等罪は、未遂も処罰されます。
暴行・脅迫を加えたものの強制性交等に取り掛からなかった場合、強制性交等に取り掛かったが没入しなかった場合であっても、強制性交等の目的をもって行ったのであれば強制性交等未遂となります。
◇故意◇
強制性交等罪は、故意犯です。
つまり、相手方(13歳以上の者)に対して、暴行又は脅迫を手段として性交等を行う認識があった場合に限り、本罪が成立します。
相手方も同意していると思っていたのであれば、暴行・脅迫を用いて性交等をしたとは認識していないので、故意がなく本罪が成立しないことになります。
もっとも、加害者側が単に「同意があった」と主張するだけでは、同意があったと認められることは難しいでしょう。
同意があった旨を主張するのであれば、それを裏付ける客観的な証拠が必要となります。
強制性交等事件の加害者となってしまったら
「同意があったと思っていた。」、「いけるだろうと思っていた。」のに、相手方からレイプだと非難されるケースは少なくありません。
出会い系などで知り合った相手の場合、そのまま放置して事なきを終えようとするケースもありますが、相手方が被害届を提出すれば、捜査機関により身元が特定されてしまう可能性もあります。
警察からの呼び出しを受けているのであれば、今後どのような手続となるのか、取調べでどのように対応すればよいのかについて弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
強制性交等事件で対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
口座売買で犯罪収益移転防止法違反
口座売買で犯罪収益移転防止法違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
ネットの掲示板で「口座を売ってください。」という書き込みを見た留学生のAさんは、留学期間を終えて帰国する予定だったので、開設していた自分名義の口座を売ることにしました。
その後、Aさんは、銀行からAさんの口座が犯罪に利用されていたため凍結したとの連絡を受けました。
驚いたAさんは、友人に相談したところ、口座の売買が犯罪となることを聞きました。
心配になったAさんと友人は、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
口座売買
インターネットやダイレクトメールで、「銀行口座一口を高値で買い取ります」といった甘い言葉で口座売買を勧誘するケースが多発しています。
大金を稼ぐことが出来ないような主婦や学生を狙って、振り込め詐欺等の犯罪集団が、振込先の口座として使用することを目的に口座売買の話を持ち掛けることが多いようです。
最近では、留学生や技能研修生が、口座売買が法律で禁止されているとは知らずに、帰国前に口座を売ってしまうケースも多いようです。
日本語ではなく、彼らの母国語で口座売買募集のメッセージを挙げていること多く、国際的な犯罪組織が関係している可能性もあります。
しかし、自己又は他人名義の口座を有償又は無償で、譲り渡す又は譲り受けることは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(通称、「犯罪収益移転防止法」といいます。)によって禁止されています。
第二十八条 他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十六号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第二条第二項第一号から第三十七号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
自分の口座を、他人が自分になりすまして使うと認識して、預金通帳等を渡した場合、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその両方が科せられる可能性があります。(犯罪収益移転防止法第28条2項前段)
そして、他人がどのように口座を使用するかは知らなかったが、通常の商品取引・金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で預金通帳などを売ったり貸したりしてしまった場合でも、犯罪収益移転防止法第28条2項後段に当たります。
一方、他人に売ったり、貸すつもりで、新たに銀行の口座を開設し、開設した口座を他人に譲渡したり、販売した場合には、刑法上の詐欺罪に当たる可能性が高いです。
詐欺罪で起訴された場合、10年以下の懲役が科される可能性があります。
罰金刑は設けられていません。
口座売買で逮捕されたら
売買した口座が振り込め詐欺等の犯罪に利用されていた場合、捜査機関は口座を売った者も犯罪集団の仲間であると疑う場合があります。
そのような場合には、振り込め詐欺の共犯若しくは幇助犯としての嫌疑がかけられます。
組織犯罪が疑われる場合、逮捕に引き続き勾留となり長期間の身体拘束を強いられる可能性が高く、勾留と共に接見禁止に付されることもあります。
口座売買で逮捕されるのかご不安な方、ご家族が犯罪収益移転防止法違反で逮捕されてお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
風営法違反(年少者雇用)で逮捕
風営法違反(年少者雇用)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県尼崎市でガールズバーを経営するAさんは、18歳未満の少女を働かせていたとして、兵庫県尼崎南警察署に、風営法違反(年少者雇用)容疑などで逮捕されました。
警察によると、Aさんが経営するガールズバーで、深夜に当時16~17歳の少女2人に男性客の接待をさせるなどしていたということです。
Aさんは、「少女たちが18歳未満だと知らなかった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、慌てて刑事事件に詳しい弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)
ガールズバーで18歳未満に接待をさせたら
上記ケースのように、ガールズバーで深夜に18歳未満の者に客の接待をさせた場合、風営法違反(年少者雇用)の罪に問われる可能性があります。
風営法とは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の略称で、風俗営業に関する規制を設けています。
風営法は、規制対象となる「風俗営業」について、その第2条で規定しています。
キャバクラやホストクラブは、客を接待して飲食させる営業(1号営業)となります。
パチンコ店やゲームセンターも「風俗営業」に当たります。
ガールズバーは、その多くが「深夜酒類提供飲食店」として風営法上の届出を出しています。
キャバクラなどの風俗営業許可第1号を得ている場合には、接待行為は可能ですが、営業時間が原則午前0時まで等の制限もあります。
一方、深夜酒類提供飲食店は、24時間営業できますが、接待行為は認められません。
風営法第22条3号は、風俗営業を営む者に対して、営業所において18歳未満の者に客の接待をさせる行為を禁止しています。
また、営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させることも禁止されています。
ですので、18歳未満の者をキャバクラで働かせる行為は、風営法違反となり、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又はその併科が科される可能性があります。(風営法第50条1項4号)
ガールズバーのような深夜酒類提供飲食店について上の規定が準用されます。
午後10時から翌日の午前6時までの深夜帯に、18歳未満の者を客に接する業務に就かせた場合は風営法違反となります。
また、深夜酒類提供飲食店は、従業員に接待行為をさせることが認められていませんから、風俗営業許可を得ずに接待をさせていたのであれば、無許可営業となります。
Aさんは、問題の従業員が18歳未満だとの認識がなかったと供述していますが、営業者において18歳に満たないことを知らなかったというのみでは処罰を免れることはできません。
営業者がその年齢を知らなかったことに過失がないときは、処罰を免れるとされます。
これは、本人のみならず、紹介者、保護者とも会い、戸籍謄本などの公的資料などの証明力の高い資料や、運転免許証、身分証明書などの資料を確認した上で、18歳未満の者ではないと認識したという事情がある場合を指します。
単に「知らなかった」という主張だけでは通用しません。
家族が逮捕されたら弁護士に接見依頼を!
逮捕から勾留までの期間は、原則として、被疑者の家族であっても被疑者と面会することはできません。
警察から事件について詳しく教えてもらうこともできず、逮捕された家族の様子も分からず、家族は不安な気持ちに苛まれることは想像に難くありません。
そのような時でも、弁護士であれば、いつでも逮捕された被疑者と面会(接見)することができます。
ですので、ご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件専門の弁護士が、最短お問い合わせいただいた日に、留置先に赴き逮捕されたご家族との接見を行います。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
無断キャンセルと偽計業務妨害
宿泊予約の無断キャンセルで偽計業務妨害に問われ得る場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町のホテルや旅館で、宿泊料金が一番高い部屋を大口で予約しておきながら、当日現れない無断キャンセルの被害が相次いでいました。
予約名は異なるものの、予約者の住所や連絡先は同じで、連絡をとろうとしても繋がりません。
立て続ける無断キャンセルの被害に業を煮やしたホテルや旅館の支配人たちは、兵庫県美方警察署に被害を相談しました。
美方警察署は、悪質ないたずらか業務の妨害する意図で行われたものである可能性があるとして、偽計業務妨害の疑いで捜査に着手しました。
後日、県外に住むAさんが犯人として浮上し、美方警察署はAさんを偽計業務妨害の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)
偽計業務妨害罪について
偽計業務妨害罪は、刑法第233条後段に次のように規定されています。
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
本条の前段は、信用棄損罪について規定しています。
偽計業務妨害罪の構成要件は、
①虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、
②人の業務を妨害する
ことです。
◇虚偽の風説を流布し◇
真実とは異なる内容の噂などを不特定又は多数人に伝播させることをいいます。
直接少数の者に伝達した場合であっても、その者を介して多数の者に伝播するおそれがあるときには、流布に当たります。
◇偽計を用いて◇
「偽計」というのは、人を欺罔・誘惑し、又は人の錯誤・不知を利用することです。
◇業務を妨害する◇
「業務」とは、自然人又は法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連して行う職業その他の継続して従事することを必要とする事務をいいます。
上記ケースにおいて、宿泊予約の無断キャンセルそのものが問題ではなく(もちろん、客を受け入れる準備をしていたホテルや旅館に経済的損失が生じさせてしまう点で問題はありますが)、複数のホテルや旅館に対して高額な部屋を大口で予約し、明らかに宿泊する意思がなく、当該ホテルや旅館の業務を妨害しようとする意思が認められる場合には、偽計業務妨害罪が成立し、捜査機関が捜査に着手する可能性はあります。
偽計業務妨害事件で逮捕されたら
偽計業務妨害の容疑で逮捕された後の流れは、一般的な刑事事件と同じです。
警察に逮捕されたら、まずは、警察署で取調べを受けることになります。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも証拠や関係書類と共に検察官に送致するかを決めます。
検察官に送致されると、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者の弁解を聞いた上で、検察官は被疑者を釈放するか、裁判官に対して勾留請求を行うかを決定します。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被疑者と面談した後、当該被疑者を勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
逮捕後に勾留となれば、その間職場や学校に行くことはできませんので、最悪の場合、解雇や退学となる可能性も生じます。
そのような事態を避けるためにも、逮捕されたら、できる限り早い段階で刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動に着手してもらうのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が、偽計業務妨害の容疑で逮捕されたお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0102-631-881までご連絡ください。