喧嘩で刑事事件に~犯罪の成立:構成要件該当性~

2020-03-30

殴り合いの喧嘩犯罪成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
仲間内の揉め事が原因で、AさんとVさんとの間で激しい言い争いに発展しました。
次第に、二人は殴り合いの喧嘩に発展しました。
見かねた周囲の人間が二人の間に入り、二人を引き離し、いったん殴り合いは納まりました。
しかし、怒りが納まらないVさんは、なおもAさんに対して執拗に殴り続けてきたため、Aさんは反撃に一発Vさんの顔を殴りました。
すると、Vさんは地面に倒れ動かなくなりました。
すぐに救急車を呼び、Vさんは病院に搬送されましたが、意識不明の重体となっています。
駆け付けた兵庫県西脇警察署の警察官は、Aさんや目撃者らから事情を聞いています。
Aさんは、「Vが喧嘩続けてきたから反撃しただけ。正当防衛になりませんか。」と話しています。
(フィクションです)

犯罪が成立するためには

社会的に許されず、避難されるべき行為は、多々ありますが、その中でも刑罰を加えるとしたものについては、あらかじめ法律の条文という形で私たち国民に提示されています。
芸能人の不倫騒動が、ニュースで大きく取り沙汰されている昨今ですが、不倫自体は社会的に許されず、社会的に避難されるべき行為ではありますが、犯罪ではありません。

犯罪は、法律の条文に該当し(これを「構成要件該当性」といいます。)、社会的に許されず(「違法性」)、社会的に非難される(「有責」)行為です。
犯罪成立するか否かを判断するにあたっては、①構成要件に該当するかどうか、②違法であるかどうか、③有責であるかどうか、と順に検討していく必要があります。

1. 構成要件該当性

構成要件の意義については、様々な見解がありますが、「立法者が犯罪として法律上規定した行為の類型」をいうとするのが基本的な理解となっています。
構成要件は、それを構成する構成要件要素により成り立っています。
構成要件要素は、個別の犯罪ごとに異なりますが、一般的には、①行為の主体、②行為、③結果、④行為と結果との間の因果関係、⑤故意・過失、です。

喧嘩の場面では、通常、暴行罪や傷害罪が成立することが多いでしょう。
喧嘩の末に、相手方が亡くなってしまった場合には、傷害致死罪、場合によっては殺人罪が適用されることがあります。
ここでは、傷害罪の構成要件に該当するか否かを検討します。

傷害罪

傷害罪は、刑法204条に規定されています。

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、他人の身体に対する侵害を内容とする犯罪です。
ですので、本罪の客体である「人の身体」は「他人の身体」であるのた、後者自身の身体の傷害は罪とはなりません。

さて、傷害罪の行為は、人の身体を「傷害」することです。
「傷害」というのは、人の生理的機能に障害を加えることです。
傷害は暴行によって生じることが多いのですが、暴行によらない傷害もあり、怒号等の嫌がらせによって、不安・抑うつ状態に陥れることも傷害に当たります。
傷害の方法については、有形無形を問いません。

また、傷害罪は故意犯です。
「故意」とは、「罪を犯す意思」のことをいいます。
傷害罪の場合、暴行罪の結果的加重犯の場合も含むと解する立場が通説となっており、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りるとされます。

殴り合いの喧嘩の場合、相手を殴るという暴行を加えていますが、積極的に相手方に怪我を負わせてやろうと思っていないとしても、殴ることで怪我を負っても構わないと思っていたのであれば傷害の故意が認められます。
そもそも、傷害罪の場合には暴行の認識があれば足りますので、相手に手を出していることで傷害の故意が認められます。
上のケースでは、双方が殴り合う喧嘩ですので、両者ともに暴行を加えていますが、AさんがVさんを殴り、そのことが原因で意識障害に陥ったのであれば、Aさんの行為は、傷害罪の構成要件該当することになるでしょう。

構成要件該当するのであれば、次に、違法性や責任を否定する何か特別の事情があるか否かについて検討することになります。

構成要件該当する行為が認められると、違法性を有することも推定されますが、具体的な事情を検討すると、違法性を欠く場合があり、違法性が阻却される事由があるか否かを検討することとなります。

違法性阻却事由として刑法が定めるものに、「正当防衛」があります。
この言葉は、みなさんもご存知だと思います。
次回は、この正当防衛について解説します。

喧嘩から刑事事件に発展することは少なくありません。
目撃者や被害者が警察に通報することで、事件が警察に発覚することが多いようです。
相手が因縁をつけてきたからかっとなって…、相手が手を出してきたから…、など様々な事情がその背景にあることもありますが、喧嘩で相手に怪我を負わせた場合、傷害事件の被疑者となる可能性も大いにありますので、一時の感情で動くことには注意しましょう。

傷害事件で被疑者となり対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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