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交通事件で在宅起訴
交通事件で在宅起訴
交通事件での在宅起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県豊岡市の交差点で左折しようとしたAさんは、左方向から横断していた自転車に気づかず、自車とぶつかり、自転車を運転していたVさんを転倒させてしまいました。
Aさんは慌てて降車し、Vさんの傍に駆け寄ると、Vさんは怪我をしているようだったので、すぐに救急車を呼び、Vさんはそのまま病院に搬送されました。
Vさんに命の別状はなく、転倒時に左肩を骨折し全治2か月の傷害を負っているとのことです。
Aさんは、駆け付けた警察官から事故についての調べを受けたところ、運転前に飲酒していたことが発覚しました。
Aさんは、過失運転致傷および道路交通法違反の容疑で現行犯逮捕されましたが、その後釈放となりました。
在宅事件として捜査は進み、神戸地方裁判所豊岡支部より起訴状が自宅に郵送され、弁護人をどうするかについても聞かれています。
(フィクションです)
在宅起訴
逮捕なしに、若しくは、逮捕されたけれども勾留されなかった、又は、逮捕・勾留されたがその後準抗告が認められるなどして釈放されるなどして、身体を拘束されることなく捜査が進められる事件を「在宅事件」といいます。
在宅事件では、被疑者は通常通りの生活を送りながら、警察や検察の呼び出しに応じて出頭し、取調べを受けることになります。
身体拘束を受けている場合と異なり、会社や学校にも行くことが出来るので、被疑者の生活に大きな支障をきたすことはそうありません。
捜査が終了すると、検察官は当該事件について裁判所に公訴を提起するか否かを決めます。
被疑者が身体拘束されていない状態で、検察官が起訴することを「在宅起訴」と呼びます。
上記ケースのように逮捕後に釈放され、在宅事件として捜査が進む場合、身体拘束を受けている場合と比べると、緊急性が感じられず捜査段階で弁護士に相談されないケースも多いようです。
そして、検察官に公判請求され、起訴状と共に弁護人の選任について問われる旨の連絡が届いて初めて弁護士に相談するといったことも少なくありません。
刑事事件の被疑者として捜査されていることが分かったら、できる限り早い段階で弁護士に相談されるのがよいでしょう。
捜査段階での対応により、最終的な処分結果が大きく異なることもありますので、早めに法律の専門家に相談・依頼されるのことをお勧めします。
起訴状
さて、上記ケースでは、Aさん宅に起訴状が郵送されました。
みなさん、起訴状には一体何が記載されているのかご存知でしょうか。
検察官が、裁判所に対して審理を求める意思表示(「公訴の提起」)を行う場合、検察官は裁判所に対して書面にて行わなければなりません。
その書面を「起訴状」といいます。
起訴状には、次のことを記載しなければなりません。
(1)被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
起訴状には、被告人を特定するに足りる事項として、「被告人の氏名その他」を記載しなければなりません。
「その他」には、被告人の年齢、職業、住居および本籍、被告人が逮捕または勾留されているときは、その旨を記載することになっています。(刑事訴訟規則164条1項1号・2号)
(2)公訴事実
検察官が設定した被告人がしたとされる事実を起訴状に記載しなければなりません。
被告人が、いつ、どこで、どういった犯罪行為を行ったとする検察官の主張です。
(3)罪名
構成要件の名称と罰条の双方が記載されています。
どんな罪名で起訴されており、どの法律のどの部分にその罪が定められているのかが明確に記載されています。
その他に、作成・提出の年月日の記載、検察官の署名押印、所属検察庁の表示が必要とされます。
被告人が逮捕・勾留されている場合には、その旨を記載して身柄拘束の有無が明らかにされます。
交通事件を起こし、起訴されてお困りの方は、交通事件も取り扱う刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで!
身柄解放~保釈~
身柄解放~保釈~
保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県南あわじ市で侵入盗が多発していました。
兵庫県南あわじ警察署は、犯人特定に向けて捜査を進めていたところ、兵庫県内に住むAとBの犯行であることを突き止めました。
兵庫県南あわじ警察署は、窃盗および住居侵入の疑いでAとBを逮捕しました。
AおよびBは勾留となり、その後神戸地方検察庁洲本支部に同罪で起訴されました。
(フィクションです)
保釈とは
一定額の保釈保証金を納付することを条件に、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身体拘束を解く裁判とその執行を「保釈」といいます。
保釈は、被告人に対してのみ認められるものですので、起訴される前の被疑者段階では保釈により釈放されることはありません。
保釈の種類
保釈には、「権利保釈」、「裁量保釈」、義務的保釈」の3種類あります。
1.権利保釈
裁判所は、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
例外として、権利保釈の除外事由がある場合には、請求を却下することができます。
除外事由は、次の通りです。
①被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。
2.裁量保釈
裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合でも、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます。
3.義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求によりまたは職権で、保釈を許可しなければなりません。
保釈保証金の相場
裁判所は、保釈を許可する場合、保釈保証金の金額を決めます。
その金額は、被告人の出頭を確保するものでなければなりません。
犯罪の性質や情状、証拠の証明力、被告人の性格や資産を考慮して、被告人の出頭を確保するのに十分な額が決められます。
ですので、重罪かつ資力のある被告人のであれば、保釈保証金が高額となります。
被告人の資産が特段高額でなく、執行猶予が見込まれるような事件の場合は、保釈保証金は200万円程度となることが多いでしょう。
保釈中に気を付けること
保釈が許可され、保釈保証金を納付し、無事釈放となったからといっても、事件自体は終了していません。
保釈されてから判決までの間に守らなければならない事項があります。
この保釈の条件は、被告人の性格や事件の内容・性質などによって事件毎に異なります。
ほとんどの事件で付される条件は、
・被告人の住居を制限する。
・被害者や共犯者との接触を禁止する。
などが挙げられます。
このような裁判所が定めた条件に違反した場合、裁判所は、検察官の請求により、又は職権で、保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができ、取り消されると再び身体拘束されることになります。
また、保釈保証金も没収されてしまう可能性がありますので、定められた条件に違反しないよう十分に気を付けなければなりません。
保釈保証金の返還
保釈の条件を遵守し、裁判が終れば保釈保証金は戻ってきます。
保釈保証金は、被告人をきちんと裁判に出席させるためのものですので、有罪判決・無罪判決、実刑判決・執行猶予付き判決に関係なく、保釈時の条件に違反しなければ返還されます。
保釈保証金の返還時期は、判決後から2,3日ほどとなっています。
逮捕後、勾留となり長期間の身体拘束を余儀なくされていた方も、保釈で釈放される可能性はありますので、保釈について事前に弁護人にご相談されるのがよいでしょう。
ご家族が逮捕・勾留され、お困りの方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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被告人勾留と保釈
被告人勾留と保釈
被告人勾留と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大麻取締法違反で逮捕・勾留された大学生のAさん(21歳)は、すぐにでも釈放してほしいと思っています。
勾留に対する準抗告も認められず、勾留満期日まであと少しとなりました。
弁護人からは起訴後すぐに保釈請求すると言われています。
(フィクションです)
被告人勾留
「勾留」とは、被疑者・被告人の身柄を拘束する裁判とその執行をいいます。
この勾留には、被疑者勾留(起訴前勾留)と被告人勾留(起訴後勾留)とがあります。
「被告人勾留」は、その名前からも明らかなとおり、起訴後の勾留です。
被告人勾留は、受訴裁判所が行うことが原則です。
ただし、第1回公判期日前は、原則として控訴の提起を受けた裁判所の裁判官で、事件の審理に関与しない裁判官が行います。
その理由は、勾留に関する処分を行うためには、「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」があるかないかを調査する必要があるので、第1回公判期日前から受訴裁判所がおこなうことは、予断排除の原則に反するおそれがあるからです。
被告人勾留の期間は、公訴の提起があった日から2か月と、被疑者勾留の期間よりも長くなっています。
特に必要がある場合には1か月ごとに更新されます。
被告人勾留は、次の3つに分類されます。
(1)被疑者勾留中の起訴
被疑者段階で、逮捕・勾留され、起訴前から既に身体拘束を受けている場合で、勾留期間中に同一の犯罪事実について起訴されると、起訴と同時に被疑者勾留は自動的に被告人勾留に切り替わります。
(2)逮捕後まで勾留されていない被疑者の起訴
勾留が決定する前に、検察官により起訴された被告人については、裁判官が職権で勾留するか釈放するかを決めます。
(3)逮捕・勾留されていない在宅の被疑者の起訴
逮捕も勾留もされていない被疑者が起訴された場合、そのまま在宅事件として手続が進行することが多いですが、裁判官または裁判所は職権で被告人を勾留することもできます。
被告人勾留から解放するための手段としては、以下のものがあります。
①勾留の取消し
②勾留の執行停止
③保釈
④抗告、準抗告
保釈制度
「保釈」とは、一定額の保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身体拘束を解く裁判とその執行をいいます。
起訴前の被疑者勾留については保釈は認められませんが、起訴後であれば保釈制度を利用することができます。
裁判所が保釈を認めるときには、保釈金額を定めなければなりません。
その金額は、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければなりません。
ですので、保釈保証金の額は被告人の経済状況によって異なります。
一般的なサラリーマンであれば、だいたい200万円程度が保釈保証金の相場となっています。
当然、経済力がある被告人であれば、それ以上の金額になります。
カルロス・ゴーン被告の最初の保釈にかかる保釈金が10億円であったことも記憶に新しいところですね。
過去最高額は、20億円だといいますから、保釈金の額も様々です。
逮捕・勾留されている場合には、既に長期間の身体拘束を強いられていることになります。
それ以上の身体拘束により被る損害が大きくならないよう、早期に保釈請求をし、釈放されるよう動くことが重要です。
ただし、再逮捕が見込まれる事件では、起訴後すぐに保釈に成功したとしても、その後再逮捕されて再度勾留される可能性も大いにありますので、保釈請求をかけるタイミングは慎重に見極めなければなりません。
ご家族が逮捕・勾留されており、保釈で釈放とならないかお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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刑事事件と時効の成立
刑事事件と時効の成立
刑事事件と時効の成立について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川西警察署は、平成21年に10代の女性に性的暴行を加えたとして、兵庫県内に住むAさんを強姦の疑いで逮捕しました。
時効成立まで27時間と差し迫っており、警察は逮捕後すぐに神戸地方検察庁にAさんを送致し、検察はAさんを時効完成直前に起訴しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
時効について
一定の事実状態が一定の期間継続することにより、権利を取得しあるいは喪失するという法律効果を認める制度を「時効」といいます。
時効は、大きく分けて、民法上の時効と刑法上の時効とがあります。
今回は、刑法上の時効についてみていきましょう。
刑法上の時効
刑法上の時効には、刑の時効と公訴の時効の2種類があります。
刑の時効
死刑を除く刑の言渡しが確定した後、刑が執行されずに一定の期間が経過したときに、刑の執行を免除する制度です。
公訴の時効
「公訴時効」とは、一定の期間が経過したことによって公訴の提起ができなくなるという制度です。
公訴時効が完了した場合には、判決で免訴の言渡しをしなければなりません。
この公訴時効の本質については、いろいろと論じられていますが、時の経過によって生じる状態に着目して説明する考え方と、公訴時効制度の機能面から説明する考え方とがあります。
前者には、時の経過によって犯罪に対する社会の応報・必罰感情が沈静し、刑の威嚇力や特別予防力が微弱になるため、刑罰権が消滅するとする実体法説、証人の記憶が曖昧になり、証拠も散逸するため、刑事訴追が困難になるとする訴訟法説、そして、実体法説と訴訟法説とが挙げる両方の現象が併存すると説明する混合説とに考え方が分かれています。
しかし、時の経過によって社会の応報感情が必ずしも弱まっていくわけではないし、証拠の観点からの考え方では、刑の軽重に応じて時効期間を定めている点が十分説明できていないとの批判がなされてきました。
一方、機能面から公訴時効の本質を説明する立場には、犯人が一定期間訴追されていない状態が訴追の利益に優先するという新訴訟法説、そして、長期間訴追されないという事実が処罰制限の根拠となるとする新実体法説とがあります。
公訴時効の期間は、刑の軽重に応じて決められています。
刑事訴訟法
第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
○2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年
以前は人を死亡させた罪であって死刑にあたるものについても公訴時効は適用されていましたが、平成22年の改正法により、これらの罪については時の経過により一律に公訴権を消滅させることは適当ではないとして、公訴時効の対象から除外されました。
時効期間は、訴因として掲げられた犯罪事実の法定刑を基準にして算定されます。
法定刑が複数ある場合は、最も重い刑に従い、刑を加重減軽すべき場合には、処断刑ではなく法定刑に従って算定されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
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検察官の事件処理~不起訴処分~
検察官の事件処理~不起訴処分~
不起訴処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、SNSを通じて知り合った中学生のVさんに、裸の自撮り画像をAさんの携帯に送信させたとして、児童ポルノ規制法違反の疑いで兵庫県赤穂警察署に逮捕されました。
Aさんは容疑を認めており、なんとか不起訴で事件が終了できないものかと悩んでいます。
(フィクションです)
検察官の事件処理には、終局処分と中間処分とがあります。
そして、終局処分には、起訴処分と不起訴処分があります。
不起訴処分とは、検察官が公訴を提起しないとする処分のことです。
公訴を提起するか否かの決定権限は、検察官にあります。
検察官が起訴しないとする不起訴処分には、主に以下のような種類があります。
1.罪とならず
被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき、または犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確な時にする処分をいいます。
被疑者が被疑事実とされる行為の行為者であった場合でも、その行為が犯罪構成要件に該当しないとき、又は被疑者に責任阻却事由、あるいは法令若しくは正当の業務に基づく行為、正当防衛、緊急避難、盗犯等の防止及び処分に関する法律第1条第1項、第2項該当などの違法性阻却事由のあることが明白となったとき、つまりその行為が犯罪に当たらないことが明らかな場合に限って行われる処分です。
2.嫌疑なし
被疑事実につき、被疑者がその行為者でないことが明白なとき、またあ犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なときに行う処分です。
例えば、真犯人が現れたとき、被疑者が行為者であるという唯一の証拠であった目撃者の供述が虚偽であることが明らかになった場合などがこれに当たります。
3.嫌疑不十分
被疑事実について、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なときに行う処分です。
例えば、正当防衛に該当することが明らかな場合には「罪とならず」となりますが、防衛の程度を超えた疑いがあり、かつ、その証拠が十分でない場合には「嫌疑不十分」と裁定されます。
4.親告罪の告訴取り下げ
親告罪の告訴が取り下げられた場合、検察官は告訴なく公訴を提起することはできませんので、訴訟条件を欠くため、不起訴処分とします。
5.起訴猶予
被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年令及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに行う処分です。
刑事訴訟法第248条は、起訴猶予処分に付することについて、一応の基準を示しています。
第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。
しかし、その裁量は検察官に任せています。
不起訴処分を獲得するために
上記ケースのような被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かといった点が、不起訴処分を獲得する上では非常に重要です。
親告罪では、被害者との示談を成立させ、告訴を提起しない若しくは告訴を取り下げてもらうことで、検察官は不起訴処分としますし、親告罪でない場合でも、被害者との示談の有無は検察官が起訴・不起訴を判断する上で重量な考慮要素となります。
ですので、刑事事件を起こしてしまったら、早期に被害者との示談交渉を開始する必要があるのです。
しかし、被害者との示談交渉を加害者やその家族が直接行うことはお勧めできません。
一般的に、被害者は加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者に連絡先を教えることはあまり多くありませんし、仮に連絡先を教えたとしても、当事者同士の交渉は感情的になりやすく交渉が難航する傾向にあります。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士限りであれば連絡先を教えてもよいと回答する被害者も多く、被害者の連絡先を教えてもらえる可能性があります。
また、弁護士を介することで、冷静な話し合いができ、示談を円滑に成立させることも期待できるでしょう。
示談交渉を弁護士に依頼することで、このようなメリットがあります。
刑事事件を起こし、被害者対応にお悩みであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
これまで数多くの示談交渉を行ってきた刑事事件専門弁護士が無料で法律相談を行います。
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検察官の事件処理~起訴処分~
検察官の事件処理~起訴処分~
~ケース~
兵庫県加古川市の居酒屋で隣同士になったAさんとBさんは、些細なことから言い争いになりました。
Bさんは、Aさんに「やれるもんやったらやってみい!」と挑発的な言葉を発したため、AさんはBさんの脚を蹴りました。
それに対してBさんもAさんの左腕を殴るなど、両者殴り合いの喧嘩となりました。
店員が止めに入りましたが、喧嘩はおさまる様子はなかったので、店長は兵庫県加古川警察署に通報しました。
警察からは、Aさんと示談することを勧められましたが、AさんはBさんも自分を殴っていたのだからBさんに謝罪する気持ちなどありませんでした。
ある日、Aさんは検察官から呼び出され、略式手続について説明を受けました。
(フィクションです)
検察官による事件処理
警察から検察に送致された事件は、検察官が処理することになります。
検察官による処理には、中間処分と終局処分とがあります。
中間処分とは、終局処分にむけて処理を保留し、または別の検察官に処理をゆだねる処分のことで、中止処分と移送処分とがあります。
終局処分とは、検察官による終結的な処理のことで、成人の刑事事件の場合、起訴処分、そして不起訴処分とがあります。
起訴処分
起訴するかどうかを決定するのは、検察官です。
捜査の結果、有罪を立証するのに十分な証拠があると判断した場合に、検察官は公訴を提起します。
公訴の提起とは、裁判所に対して審判を求める意思表示をいいます。
検察官が裁判所に対して起訴状を提出することによって行います。
公訴の提起には、次のような種類があります。
①公判請求
②即決裁判手続の申立て
③略式命令の請求
(1)公判請求
検察官が公訴を提起し、公判を請求することです。
検察官が公判を請求すると、正式な裁判が開かれ、有罪無罪が審理され、有罪の場合には刑事罰を言い渡されます。
(2)即決裁判手続の申立て
即決裁判手続とは、争いのない簡易明白な事件につき、簡易かつ迅速な裁判を可能とする簡易な手続です。
検察官は、事案が明白かつ軽微であること、証拠調べの速やかな終了が見込まれることなどの事情を考慮して相当と認める場合に、即決裁判手続の申立てを行います。
検察官が公判請求すると同時に、即決裁判手続が申し立てられます。
当該手続を申し立てるには、事前に被疑者の同意と弁護人の同意を得ておかなければなりません。
「即決」裁判で、即日判決が原則です。
また、懲役・禁錮を言い渡す場合は、刑の執行を猶予しなければなりません。
(3)略式命令の請求
検察官の請求を受けて、簡易裁判所は、公判を開かずに書面審理によって、簡易裁判所が管轄する事件について、100万円以下の罰金または科料を科すことができます。(略式手続)
簡易裁判所が言い渡す裁判を「略式命令」といい、検察官が行う請求を「略式命令請求」といいます。
略式手続の特徴は、公判を開くことなく、書面だけの審理が行われる点です。
略式手続を踏むためには、検察官は、あらかじめ被疑者に対して、略式手続について説明し、略式手続で行うことに異議がないか確認し、書面にて異議がないことを明らかにしなければなりません。
検察官に公訴を提起され、有罪判決により刑が言い渡されると、「前科」がつくことになります。
「前科」というのは、法律的には定まった定義はありませんが、一般的に「前に刑に処せられた事実」を指します。
「前に刑に処せられた」というのは、全ての有罪の確定判決をいい、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料だけでなく、刑の免除、刑の執行免除が言い渡された場合も含みます。
検察官に起訴されて前科が付くことを回避するためには、検察官が不起訴処分とすることが望ましいでしょう。
そのためには、早期に弁護士に相談・依頼し、被害者との示談を成立させる等、不起訴処分となるよう動くことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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警察における処理~微罪処分と簡易送致~
警察における処理~微罪処分と簡易送致~
微罪処分と簡易送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県西脇市にあるスーパーで商品4点(計3000円相当)を万引きしたとして、Aさんは店の外に出た際に、警備員に取り押さえられました。
Aさんは、兵庫県西脇警察署で取り調べを受けましたが、その日に釈放されました。
Aさんは、警察から「また呼び出すかもしれない。連絡がとれるようにはしておくように。」とだけ言われましたが、数か月なんの連絡もありません。
この先どうなるのか心配になったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
捜査が終結すると~警察での事件処理~
捜査が開始され、その捜査にも一応の目途がつくと、捜査は終結します。
捜査は、警察または検察官が処理することで終結することになります。
今回は、警察における事件処理についてみていきましょう。
警察が犯罪の捜査をした場合、ある一定の場合以外は、速やかに書類や証拠物とともに事件を検察官に送致することになっています。
その例外として、
①告訴・告発・自首を受けた事件
②身柄拘束の法定期間からくる例外
③少年法41条による例外
④微罪処分
⑤簡易送致
とがあります。
微罪処分について
犯罪が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについて、警察は、事件を送致しないことができます。(刑事訴訟法246条但書、捜査規範198条)
この処分を「微罪処分」といいます。
どの事件が微罪処分の対象となるかは、検事総長の通達に基づいて、各地方検察庁のトップである検事正が一般的指示の形で決まります。
対象となる事件は、各地方検察庁により異なりますが、概ね、被害額や犯情などが軽微であり再犯のおそれがない、窃盗、詐欺、横領、盗品等譲受け等、賭博といったものです。
簡易送致について
簡易送致は、微罪処分に似ていますが、少年事件について行われるものです。
検察官または家庭裁判所があらかじめ指定した事件であり、事実が極めて軽微で、再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないものについては、通常の送致の手続をとりません。
簡易送致では、少年事件簡易送致書というものを作成し、1か月分まとめて検察官あるいは家庭裁判所に送致します。
微罪処分・簡易送致ともに、警察段階で事件が終了していますので、前科がつくことはありません。
「前科」というのは、検察官に起訴され、裁判所に有罪判決で刑が言い渡された事実です。
略式起訴で略式命令を受け罰金刑となった場合も、正式裁判で有罪判決(執行猶予判決を含む)を言い渡されたも、前科がつくことになります。
微罪処分・簡易送致で事件が終了した場合、「前科」はつかなくとも、「前歴」はつくことに注意が必要です。
「前歴」とは、刑事事件の被疑者として捜査対象となった事実です。
前歴については、警察および検察の管理するデータに保存されますので、次回犯罪を起こしてしまった場合には、初犯として扱われることはありません。
あなたやあなたの家族が刑事事件を起こしてしまい、対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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逮捕から勾留決定まで~勾留の要件~
逮捕から勾留決定まで~勾留の要件~
勾留の要件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
ある夜、兵庫県三木市の自宅で晩酌をしていたAさんは、つまみが切れていたことに気が付き、近くのコンビニまで買いに行くことにしました。
Aさんはビール缶1本を飲み干したところでしたが、近所のコンビニまでなら大丈夫だと思い、そのまま自分で運転していくことにしました。
コンビニで買い物を終えて帰宅する途中、交差点を左折した際、手前から横断歩道を渡っていた自転車に気が付かず、自転車と接触し、自転車を横転させてしまいました。
Aさんは、飲酒運転していたことがバレることを恐れ、被害者を救助することなく、その場を後にしました。
後日、兵庫県三木警察署がAさん宅を訪れ、Aさんを逮捕しました。
Aさんは、その後勾留請求のため神戸地方検察庁に送致されましたが、このまま勾留となるのか不安でなりません。
(フィクションです)
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者の身柄を解放するか、身柄と証拠書類などを検察に送致するかを決めます。
検察に送致された場合、検察官は被疑者を取り調べた上で、引き続き身柄を拘束し捜査する必要があると判断すれば、裁判官に勾留請求を行い、その必要がないと判断した場合には勾留請求せずに被疑者を釈放します。
勾留の要件とは
「勾留」とは、被疑者・被告人の身柄を拘束する裁判とその執行をいいます。
この勾留には、「被疑者勾留」(起訴前勾留)と「被告人勾留」(起訴後勾留)とがあります。
ここでは、前者について説明していきます。
勾留の要件は、次のとおりです。
①勾留の理由
②勾留の必要性
1.勾留の理由
勾留の理由というのは、(ア)被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、および、(イ)住所不定、罪証隠滅、逃亡のおそれのいずれかがあることをです。
2.勾留の必要性
勾留の必要性は、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年令や身体の状況等から判断した「勾留の相当性」です。
被疑者勾留は、検察官の請求を受けて、裁判官が勾留状を発することにより行われます。
勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に対し被疑「事件を告げこれに関する陳述を聴」かなければなりません。
これを「勾留質問」といいます。
検察官が裁判官に勾留請求した後、被疑者の身柄は検察庁から裁判所に移されます。
裁判所では、被疑者は公正中立な立場にある裁判官と面談し、事件についての弁解を聴いてもらうことになります。
裁判官は、勾留質問を行った上で、勾留の要件を満たさないと判断した場合には、検察官の勾留請求を却下し、被疑者を釈放します。
一方、勾留の要件を満たすと判断されれば、勾留状を発します。
勾留期間は、原則として、検察官が勾留請求をした日から10日間です。
また、検察官は、裁判官に対して、勾留期間延長の請求をすることができ、裁判官は、「やむを得ない事由がある」と認めるときは、勾留期間を延長することができます。
勾留延長は、10日を超えない範囲で認められますので、最大で勾留期間は20日となります。
兵庫県では、検察へ送致された日に勾留決定までが行われます。
たった一日で、その後の身体拘束の如何が決まってしまうのです。
逮捕された日からであれば、長くて3日、多くの場合は2日で勾留まで決まってしまいます。
「逮捕された!」と驚いていると、あっという間に勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があるのです。
ですので、逮捕されたら、できる限り早い段階で弁護士に相談され、身柄解放に動くことが重要です。
弁護士は、勾留が決定する前に、勾留されないよう関係各所に働きかけます。
具体的に言いますと、まずは、検察に送致された段階で、担当検察官と連絡をとり、勾留要件を満たさない旨を客観的証拠と併せて書面にて担当検察官に対して説得的に主張します。
勾留請求後には、裁判官に対して、当該被疑事件において勾留の要件を満たしていないことを書面にて主張し、裁判官が勾留決定しないよう働きかけます。
これらの働きかけは、検察官の勾留請求をする前、裁判官が勾留を決定する前に行わなければ意味がありません。
そのため、刑事事件、特に身柄事件においては、刑事事件に熟知した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りの方、早期身柄解放とならないかご不安であれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談や初回接見のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881まで今すぐご連絡を!
逮捕から勾留決定まで~取調べ対応~
逮捕から勾留決定まで~取調べ対応~
逮捕から勾留決定までの取調べ対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市垂水区に住むAさんは、友人と居酒屋で飲んだ後、バーに入りました。
そこで、隣に座ったVさんと意気投合し、次の店に移ろうという話になりました。
しかし、Aさんは、Vさんといい雰囲気になったと思い、その場の流れでホテルに行けると思い、タクシーでホテル街へ向かいました。
Vさんはタクシーで移動中に眠ってしまっており、ホテルへ入る際も、Aさんが肩をかして入店する状態でした。
Aさんは、Vさんの合意があったと思い、性交渉に及びましたが、翌日Aさんが目覚めるとVさんの姿はなく、「合意なく行われた。警察に被害届を出します。」との置手紙が置いてありました。
後日、兵庫県垂水警察署の警察官がAさん宅を訪れ、準強制性交等の疑いでAさんを逮捕しました。
Aさんは、逮捕後あれよあれよという間に勾留決定がなされ、今後どのような流れになるのかとても不安になってきました。
(フィクションです)
刑事事件で逮捕されたら
逮捕から検察への送致まで
Aさんは、「強制性交等罪」という犯罪を犯した疑いで警察に逮捕されました。
Aさんの身柄は警察署に移され、警察署で取調べを受けることになります。
この取調べで供述した内容は、「調書」として記録されます。
調書は、検察にも送られる資料で、刑事裁判となった場合には証拠として取り扱われ得る重要なものです。
逮捕された直後に作成される調書は、「弁解録取書」と「身上経歴調書」です。
前者は、被疑者の事件についての弁解を記すものです。
後者は、被疑者自身のことについて記されており、履歴書のような内容となります。
このように、逮捕されると、すぐに警察による取調べが始まります。
この取調べにおいて、被疑者は必ず取調官の質問に答えなければならないわけではありません。
黙秘権
憲法第38条
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
刑事訴訟法第198条2項
前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
取調べに際して、被疑者は自己の意思に反して発言しない権利が保障されています。
どのような場合に黙秘するのがより効果的であるのかはケースにより異なりますでの、弁護士と相談した上で、当該権利を効果的に使われるのがよいでしょう。
また、取調べで被疑者が話した内容が「調書」として記録されることは前述したところですが、その調書に被疑者が署名押印することで、「調書に記載されている内容は被疑者が発言したもので間違いない」ものとして後の裁判で証拠として取り扱われます。
そのような重大な意味を持つものですから、出来上がった調書に署名押印する際にはしっかりとその内容を確認しなければなりません。
この署名押印もまた義務ではありません。
調書の内容が納得できるものでなければ、修正を求めることもできます。
納得できなければ、署名押印を拒否することもできますので、少しでも迷った場合には、署名押印する前に弁護士に相談するのがよいでしょう。
逮捕されたとしても、警察が取調べを行った上で、被疑者の身体拘束を継続する必要がないと判断した場合には、被疑者は釈放されます。
一方、警察が書類とあわせて被疑者の身柄を検察に送った場合には、今度は検察官からの取調べを受けることになります。
これらの判断は、逮捕から48時間以内に行われます。
逮捕により身柄が拘束された場合には、被疑者も多くの不利益を被ることになるので、手続にも厳格な時間的制約が設けられています。
逮捕から勾留決定までの間は、被疑者の家族であっても、原則として被疑者と面会することは出来ません。
しかしながら、弁護士であれば、いつでも逮捕された方と面会(接見)することが可能ですので、ご家族が逮捕されてお困りの方は、すぐに弁護士に接見を依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談や初回接見のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
取調べ~被疑者の権利:弁護人選任権~
取調べ~被疑者の権利:弁護人選任権~
被疑者の権利(弁護人選任権)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県尼崎市の駅構内で、見ず知らずの女性の身体を触ったとして、会社員のAさんは迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
Aさんは兵庫県尼崎南警察署に連れて行かれ取調べを受けています。
(フィクションです)
取調べにおける被疑者の諸権利
あなたが、何らかの罪を犯し、刑事事件の被疑者として捜査の対象となれば、捜査機関からの取調べを受けることになります。
また、身体拘束が必要と判断されれば、逮捕・勾留により長期の身体拘束となる可能性もあります。
「被疑者」とは、公訴の提起前において、犯罪の嫌疑により捜査の対象となっている者のことです。
「被告人」は、公訴を提起された者です。
両者とも、刑事訴訟におけるもっとも実質的な当事者として、刑事手続における権利義務の主体となります。
ここでは、取調べに関連した被疑者の権利についてご説明したいと思います。
1.弁護人選任権
弁護人選任権に関して、憲法は次のように定めています。
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
○2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
○3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
憲法第34条の前段は、身体拘束を受けている者に対して、また憲法第37条3項は、被告人に対して、弁護人選任権を保障しています。
これを受けて、刑事訴訟法は、被告人または被疑者はいつでも弁護人を選任できることを定めています。
第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
○2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。
被疑者・被告人は、法律知識に乏しく、身体拘束されて活動の自由が奪われている場合が多いため、相手方当事者である検察官と対等の立場で防御活動をすることが困難な立場にいます。
そこで、検察官と同等の法律的能力を持つ弁護人に被疑者・被告人を補助させ、当事者主義を実質的に保障する目的を有しています。
被疑者・被告人が選任する弁護人には、「私選弁護人」と「国選弁護人」の2種類あります。
(1)私選弁護人
「私選弁護人」は、被疑者・被告人またはその一定の関係者が選任した弁護人です。
弁護士費用は自己負担となりますが、被疑者・被告人またはその家族が弁護人を選ぶことができますので、弁護人の専門性や経験、人柄などを考慮して選任することができる点でメリットがあると言えるでしょう。
(2)国選弁護人
「国選弁護人」は、裁判所または裁判長が被告人のために選任した弁護人です。
被疑者・被告人が経済的理由により弁護人を自ら選任することができない場合に、国がその費用で弁護人を付することにより、被疑者・被告人の権利を守ることを目的とする国選弁護制度に基づき、就任した弁護人です。
国選弁護制度には、起訴後の被告人国選弁護と、起訴前の被疑者国選弁護との2つに分けられます。
●被告国選弁護●
被告人は、貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができます。
被告人が国選弁護人を請求するためには、自身の資力申告書を提出しなければなりません。
資力が50万円に満たない場合には、その請求が認められます。
また、法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件、公判前整理手続若しくは期日間整理手続に付された事件又は即決裁判手続による事件については、既に私選弁護人が選任している場合を除き、裁判所は国選弁護人を選任しなければなりません。
●被疑者国選弁護●
被疑者の国選弁護人の請求は、次の要件を満たす場合に認められます。
・死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる事件であること。
・被疑者に対して勾留状が発せられていること。
・貧困その他の事由で弁護人を選任することができないこと。
被疑者国選弁護制度は、被疑者が勾留されており、かつ一定の重い事件に限られるため、全ての被疑者に認められるものではありません。
私選弁護人と国選弁護人は、選任方式の違いによる手続上の差異を除けば、基本的な権利義務は同じです。
しかし、被疑者段階においては、身体拘束の有無や起こした事件の種類により国選弁護人を選任することができない場合があります。
上記ケースでは、迷惑防止条例違反事件であり、Aさんは被疑者国選弁護制度の対象外となります。
逮捕後、更なる身体拘束を阻止するため、また早期事件解決のため被害者との示談を成立させるためにも、刑事事件で逮捕されたら早期に弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所(フリーダイヤル0120-631-881)までご連絡ください。