動物虐待で起訴

2019-09-05

動物虐待で起訴

動物虐待事件での起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県相生市に住むAさんは、市内の路上にいた飼い猫1匹を連れ去り、自宅で虐待死させたとして、兵庫県相生警察署に器物損壊と動物愛護法違反の容疑で逮捕されました。
その後、Aさんは神戸地方検察庁姫路支部に同罪で起訴されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

動物虐待で成立し得る犯罪とは?

上記ケースのように、動物に対して虐待を行った場合には、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
人間に対して行った場合には、虐待の内容にもよりますが、暴行罪や傷害罪、保護責任者遺棄罪など、また、相手方が死亡してしまったのであれば、傷害致死罪や殺人罪、保護責任者遺棄致死罪が成立する可能性があります。
それでは、「動物」に対して行った場合も同様の罪が成立し得るのでしょうか。

実は、これらの罪は、客体が「人」に限定されているため、虐待の対象が「動物」である場合には成立しないのです。
しかし、以下の罪が成立する可能性がありますので、それらについてみていきましょう。

器物損壊罪

刑法第261条(器物損壊等)
 前3条[公用文書等毀棄、私用文書等毀棄、建造物等損壊及び同致死傷]に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料の処する。

器物損壊罪の客体は、「前3条に規定した以外の他人の物」です。
これには、動産・不動産だけでなく、ペットなどの動物も含まれます。
器物損壊罪の行為は、「損壊」または「傷害」することです。
「損壊」というのは、物理的に壊す行為に限定されず、広く物本来の効用を失わしめる行為を含みます。
過去の裁判例では、他人の飲食器に放尿する行為(大判明42・4・16)、荷物から荷札をとりはずす行為(最判昭32・4・4)、公選法違反のポスターにシールを貼る行為(最決昭55・2・29)などが「損壊」に該当するとしています。
また、「傷害」は、客体が動物の場合に用いられます。
動物を物理的に殺傷する以外に、本来の効用を失わせる行為を含みます。
例えば、鳥かごを開けて他人の飼っていた鳥を逃がす行為や、池に飼育されている他人の鯉をいけすの柵を外して流出させる行為などです。

動物愛護条例違反

動物愛護法は、「動物の愛護及び管理に関する法律」の略称です。
動物愛護法では、愛護動物の保護として、虐待や不十分な保護について罰則を規定しています。
ここで言う「愛護動物」とは、飼育されている哺乳類・鳥類・爬虫類、そして野生の指定11動物です。(動物愛護法第44条4項)
・みだりに殺す、傷つける行為をした場合には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、
・給餌・給水しない、酷使する、健康・安全環境の悪い状態で拘束・衰弱させる、飼育中に疾病・負傷した場合に適切な保護をしない、遺棄した場合には、100万円以下の罰金が科される可能性があります。

このように、飼い猫を虐待の末殺してしまったAさんは、器物損壊罪及び動物愛護条例違反の罪で起訴されてしまったというわけです。

起訴されると

Aさんは神戸地方検察庁に起訴されてしましましたが、「起訴」されるとどうなるのでしょうか。
起訴」というのは、「公訴の提起」のことで、裁判所に対して審判を求める意思表示のことをいいます。
公訴の提起は、検察官が裁判所に対して起訴状を提出することによって行われます。
公訴の提起には、正式裁判の手続と簡易裁判の手続(略式手続、即決裁判手続)とがあります。
検察官が裁判所に対して正式裁判を求めることを「公判請求」といい、検察官が公判請求せずに略式手続による裁判を請求することを「略式請求(起訴)」といいます。
公判請求されると、公判手続に移行し、公開法廷での裁判が行われます。
事実を争う場合には無罪判決を、事実を認める場合には執行猶予判決の獲得に向けて入念に公判準備をする必要があります。

一方、略式請求となれば、簡易裁判所が、原則として、検察官の提出した資料のみに基づいて、公判を開かずに、略式命令により罰金又は科料を科す手続に移行します。
公判が開かれませんので、公判の準備に時間をさく必要もなく、公開法廷に出席することもないという点で被疑者・被告人にとってメリットがあると言えるでしょう。
また、身柄が拘束されている場合には、解放されるので、被疑者・被告人の早期社会復帰を実現させることもできます。
ただ、略式手続では、被疑者・被告人が自身の主張をする機会はなく、事実を認めていることを前提に有罪判決を下されることに留意が必要です。
略式手続であっても有罪判決が言い渡されることに変わりはありませんので、前科が付くことになります。
略式請求する際には、検察官が被疑者にそれで良いか必ず聞かれますので、どうすればよいか分からない時は、弁護士に相談するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
あなたやあなたの家族が刑事事件の被疑者・被告人となってしまいお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。