飲酒運転と同乗者の刑事責任

2019-08-03

飲酒運転と同乗者の刑事責任

飲酒運転同乗者刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県篠山市に住むAさんは、会社の同僚のBさんと飲食店で食事をしていました。
AさんとBさんは、Aさんの運転する車で飲食店を訪れたのですが、AさんとBさんはともにアルコールを摂取していました。
飲食店を出ると、AさんはBさんを助手席に乗せ、自宅へと向かいました。
その途中、交差点で左方向から走行してきたバイクと接触し、バイクを運転していたVさんは激しく転倒してしまいました。
AさんとBさんは、すぐに救急車を呼び、Vさんは病院に運ばれましたが、命に別状はないとのことです。
兵庫県篠山警察署から駆け付けた警察官に呼気検査をされると、呼気からは基準値を超えるアルコールが検出され、Aさんは現行犯逮捕されました。
Bさんも、そのまま警察署に連行され、Aさんが酒気帯びであることを知りながらAさんに自宅まで送るよう依頼したとして、道路交通法違反の疑いで逮捕されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

飲酒運転をした場合の刑事責任

飲酒運転は、お酒を飲んだ後に、車などを運転することを言いますが、皆様もご存知の通り、飲酒運転は法律で禁止されており、違反者は刑事罰の対象となります。
道路交通法は、車両等の飲酒運転による罰則について、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類に分類しています。

酒気帯び運転

血中アルコール濃度が、一定量に達しているか否かという形式的な基準で判断されます。
飲酒により呼気中のアルコール濃度が0.15mg/l以上である場合での運転が、「酒気帯び運転」です。
酒気帯び運転の運転者に対する法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
アルコール濃度が呼気1リットル中0.15ml未満の飲酒運転は、道路交通法違反となりますが、罰則規定は適用されません。

酒酔い運転

酒酔い運転とは、血中アルコール濃度に関係なく、「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態」で運転することをいいます。
「正常な運転ができない状態」とは、まっすぐ歩くことができない、呂律が回っていない等、客観的に見て、交通ルールに従った安全な運転をすることができない状況であることと言えるでしょう。
酒酔い運転をした運転手に対する罰則は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

飲酒運転で事故を起こし、人に怪我を負わせたり、死亡させてしまった場合には、一気に罪が重くなります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律は、危険運転致死傷罪を定めています。
アルコールや薬物の影響により正常な運転が困難な状態で車を走行し、結果、人身事故を起こした場合、人に怪我を負わせてしまった場合は15年以下の懲役、そして、死亡させてしまった場合には1年以上の有期懲役となります。
さらに、アルコールや薬物の影響により、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、車を運転して人身事故を起こした場合には、負傷の場合で12年以下の懲役、致死の場合で15年以下の懲役となります。
このように飲酒運転単体と比べ、飲酒運転による人身事故に対する罪は非常に重いものとなっています。

飲酒運転をしていない同乗者の刑事責任

飲酒運転をしていなくとも、飲酒運転を助長したと評価できるような場合にも処罰の対象となることがあります。

車両同乗の禁止

何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第六号及び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。(道路交通法第65条4項)

本罪が成立するためには、車両の運転手が酒気を帯びていることを認識していることが必要となります。
この認識は、必ずしも同乗前にある必要はなく、同上後に認識した場合でも、認識した後に酒気を帯びた運転手に運転を頼んだ場合には本罪が成立します。
また、同乗者が車で送りとどけることを「要求」または「依頼」していることが必要で、運転手に誘われてこれを承諾するだけでは足りません。
行き先を指定するなど、同乗者が自らの意思を反映させようとしてることが認められるものでなければなりません。
同乗者が運転手が酒に酔った状態であることを認識し、運転手が酒酔い運転をした場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、同乗者が車の運転手が酒に酔った状態または酒気を帯びた状態で車を運転した場合や、運転手が酒に酔っていると認識していたが実際には運転手が酒気を帯びた状態で車を運転していた場合には、2年以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則が適用されることになります。

車両等提供の禁止

何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。(道路交通法第65条2項)

飲酒しているが飲酒運転することとなるおそれがある人に対して車などを提供することを禁止しています。
飲酒していることを知りながら、その人に車を渡せば、その車で運転する可能性があると分かっていて、車を渡せば本罪が成立します。
酒気を帯びていることを認識しつつ車両等を提供し、車両等の提供を受けた者が酒酔い運転をした場合、車両等の提供者は、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金、酒気帯び運転であれば3年以下の懲役または50万円以下の罰金の罰則が適用されることになります。

このように、飲酒運転の場合、運転手だけが刑事責任が問われるわけではありません。
飲酒運転同乗者として取調べを受けており、その対応方法にお困りであれば、交通事件を含めた刑事事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。