児童と性交類似行為に及んだ場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース①~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った高校生のVさん(16歳)とカラオケに行きました。
Vさんは「家出中なので、しばらく家に泊めてほしい。そうしてくれるなら、口ならいいよ。」と言われ、口淫に及びました。
その後、Aさんは2日間、Vさんを自宅に泊めました。
(フィクションです)
~ケース②~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った高校生のVさん(16歳)とカラオケに行きました。
Aさんは、Vさんと話をしているうちに劣情を催し、Vさんに口淫をするように頼むと、Vさんが応じたため、口淫に及びました。
(フィクションです)
児童と性交類似行為に及んだ場合に成立する罪とは?
18歳未満の者(以下、「児童」といいます。)との性交や性交類似行為をする場合、その対価として現金等を渡すケースが少なくありません。
対価の提供やその約束がある場合には、児童買春に該当することになります。
しかし、そのような対価がない場合には、各都道府県が規定する条例違反が成立します。
1.児童買春
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春法」といいます。)は、児童買春を禁じ、違反者に対して5年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すものとしています。
児童買春法における「児童買春」というのは、児童、児童に対する性交等を周旋した者、または児童の保護者に対して、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることと定義しています。(児童買春法2条2項)
「性交等」には、性交、性交類似行為、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触る若しくは児童に自己の性器等を触らせる行為をいいます。
性交類似行為には、手淫、口淫などが含まれます。
2.兵庫県青少年愛護条例違反
各都道府県において、18歳未満の者とのみだらな性交・性交類似行為を禁止する内容の条例が制定されています。
兵庫県では、「青少年愛護条例」において、その21条は、青少年(=18歳未満の者)とのみだらな性行為等を禁止しています。
青少年との性交等一切を禁止したものではなく、「みだらな」と限定されており、18歳未満の者を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不正な手段により行うものや、単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしかみえないようなものについて禁止しています。
そのため、真摯な交際中の場合、例えば、親公認であったり、性交に至るまで相当の期間があった場合などは、「みだらな」とは言えず、条例違反に当たらないことがあります。
児童買春、条例違反ともに、18歳未満の者に対し、みだらな性交や性交類似行為等を行うことを禁止する点でおおむね共通しています。
両者の違いは、性交等に対する対価を与えたか、もしくは対価を与える約束をしたか否か、です。
対価の供与や対価供与の約束をした場合には、児童買春にあたることになりますが、「対価」とはどういったものをいうのでしょうか。
「対価」は、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益を供与する、又は、その約束をすることです。
現金を渡すほかにも、食事を御馳走することや、プレゼントを渡すこと、親の雇用を約束することなどが対価に当たります。
ケース①の場合、Vさんを自宅に泊める代わりに口淫していますし、行為後、実際にVさんを自宅に泊めています。
自宅に泊めることも、口淫したことへの反対給付としての経済的利益の供与に当たります。
よって、Aさんは、児童買春の罪責を負うものと考えられます。
一方、ケース②では、出会い系サイトで知り合ったVさんと、交際も経ずに性交類似行為を行っています。
よって、Aさんは、条例違反の罪責を負うことになります。
どちらのケースも、AさんがVさんを18歳未満だと分かっていながら行為に及んだことが前提です。
Vさんが、偽造の免許証を提示するなど、年齢を18歳以上と偽っており、Aさんも誤信したことに過失がない場合は、犯罪が成立しないことになります。
ただし、「相手が18歳以上と言ったから信じた」というだけでは足らず、身分証明書を見せてもらうなどして相手の年齢を確認する必要があります。
このように、児童と性交類似行為に及んだ場合には犯罪が成立する可能性があります。
児童買春事件や条例違反事件でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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