常習傷害罪(暴処法違反)で逮捕

2021-03-31

常習傷害罪(暴処法違反)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県美方郡新温泉町の居酒屋で、他の客と喧嘩になり、止めに入った店長の顔を殴ったとして、Aさんは、通報を受けて駆け付けた兵庫県美方警察署の警察官に傷害の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんは、過去にも酒に酔った上での暴行罪、傷害罪、脅迫罪、器物損壊罪で処罰されており、警察は常習性についても調べるようです。
(フィクションです。)

傷害と常習傷害

暴力を振るい相手方に怪我を負わせた場合、通常、傷害罪が成立すると考えられます。
しかし、加害者に暴行や傷害の前科が多数ある場合には、単なる傷害罪ではなく常習傷害罪が成立する可能性があります。
今回は、それぞれの罪について、いかなる場合に成立し得るのかについて説明していきます。

1.傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

◇犯行の対象◇
傷害罪の客体は「人」であり、行為者本人を除く「身体」を有する自然人です。
法人やその他の団体は本罪の客体とはなりません。

◇行為◇
傷害罪の実行行為は、「傷害する」ことです。
「傷害」の意義については、判例は、人の生理機能に障害を与えること、又は、人の健康状態を不良に変更させることとしています。(最判昭24・7・7など)
傷害の方法については、暴行による方法と暴行によらない方法とがありますが、暴行又は暴行によらない方法による行為と障害結果との間には因果関係が必要となります。
暴行による傷害の場合、人の身体に対する有形力の行使によるものであって、相手方に対して殴る蹴るなどが典型です。
他方、暴行によらない傷害の場合については、性病に羅患している者が強制性交行為によって性病を感染させる場合(最判昭27・6・6)や、自宅から隣家に向けてラジオの音声や目覚まし時計のアラーム音を鳴らし続け、精神的ストレスから睡眠障害等を負わせた場合(最決平17・3・29)などに傷害が認められています。

◇故意◇
傷害罪は故意犯であり、傷害の結果を意図して暴行を加え、それにより傷害の結果が発生した場合に傷害罪が適用されることに議論の余地はありません。
しかし、故意に暴行を加え、その結果、意図しない結果として傷害の結果が発生した場合には故意が認められないとして傷害罪は成立しないことになるのかが問題となります。
この点、傷害罪は故意犯であるとともに、暴行罪の結果的加重犯でもあるため、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りると理解されています。(最判昭25・11・9)

2.常習傷害罪

暴力行為等処罰ニ関スル法律(以下、「暴処法」といいます。)第1条の3は、常習として傷害罪、暴行罪、脅迫罪又は器物損壊罪を犯した者が、人を傷害させた場合は、1年以上15年以下の懲役に処し、傷害に至らずに暴行にとどまった場合は、3月以上5年以下の懲役に処すという常習傷害罪を規定しています。
常習傷害罪が成立する場合には、傷害罪は成立しません。
そのため、常習性の有無によって、成立する犯罪が異なります。

常習傷害罪が成立するためには、
①暴力行為の常習性があり、
かつ、
②本件の行為が暴力行為の常習性の発現として行われたもの
でなければなりません。
これらの要件を判断する際には、行為者の性格や素行、行為の動機・種類・態様、各種暴力行為の反復回数などが考慮されます。
性格や素行の面で粗暴傾向が強く、行為の動機・種類・態様に繰り返しが多い場合には、上の要件は認定されやすくなります。
これらを考慮する際には、前科・前歴が重要な判断資料となります。
本件における行為の動機・種類・態様が前科・前歴と共通している場合には、暴力行為の常習性、その発言としての本件行為が認められるでしょう。

常習性の有無によって、傷害罪にとどまるのか、常習傷害罪となるのかが違ってきますので、傷害等の前科があり常習性の有無が問題となる場合には、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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