刑事事件と裁判員裁判

刑事事件と裁判員裁判

刑事事件裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住むAさんは、隣に住むBさんが出す騒音に腹が立っていました。
Aさんは騒音に対して、何度もBさんに注意をしましたが、Bさんは一向に音を立てるのを止めませんでした。
ある日、Bさん宅から騒音が聞こえてきたのを聞いたAさんは、どうしても我慢ができず、もうBさんを実力で黙らせるしかないと考え、台所から包丁を持ち出し、Bさん宅のインターホンを鳴らしました。
Aさんは、Bさんが玄関から出てきたところをいきなりその腹の部分めがけて包丁を突き立てました。Bさんが腹から血を出す様子を見たAさんは我に返り、大変なことをしてしまった、このままではBさんが死んでしまうと考え、自ら110番と119番をしたところ、兵庫県相生警察署から駆けつけた警察官に殺人未遂罪で現行犯逮捕されました。
幸いにしてBさんは一命をとりとめましたが、Aさんはそのまま殺人未遂罪で起訴されることとなりました。

裁判員裁判対象事件

通常、裁判は、裁判官が行います。
これは、民事事件も刑事事件も変わりありません。
しかし、一定の事件については、裁判官3名と、一般市民から選ばれた裁判員6名の合計9名で裁判が開かれます。
このような裁判のことを裁判員裁判と呼んでいます。
裁判員裁判対象事件は、①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件②故意の犯罪により人を死亡させた事件(①に当たるものを除く)です。
殺人罪や放火罪は①に当たり、傷害致死罪は②になります。
また、法定刑に死刑又は無期の刑がある事件は、人が死亡したかどうかを問いませんから、殺人未遂罪も①によって対象事件となります。
これらに対し、過失運転致死罪は、故意の犯罪ではありませんから、①②のいずれにも当てはまらず、裁判員裁判対象事件ではありません。
Aさんは、殺人未遂罪で起訴されていますから、Aさんは裁判員裁判で裁かれることになります。

裁判員裁判の進み方

裁判員裁判は、通常の裁判とは異なる進み方をします。
通常の裁判では、法廷に裁判官・検察官・弁護人・被告人が出席したうえで、公開の法廷で議論が進められます。
これに対し、裁判員裁判では、実際の裁判が開かれる前に、公判前整理手続という手続きが行われます。
公判前整理手続とは、裁判員に実際に審理をしてもらう前に、裁判官・検察官・弁護人の三者により、本件事件の争点や、実際に裁判に提出する証拠を整理する手続きです。
このような手続きの中で、事件の争点や、重要な事実が整理され、裁判員には、最初から争点や判断の対象が提示されるようになっています。
公判前整理手続を経た事件の場合、この手続きが終結した後には、特別の事情がない限り新たな証拠の提出が許されなくなります。
Aさんの事件で、弁護側が主張すると考えられる点として、①Aさんに殺意はあったのか②Aさんに殺意があったかどうかは別にして、Aさんがこのような行動に及んだ原因はBさんに会ったのではないか③Aさんに殺意があったかどうかは別にして、Aさんは自ら110番通報しており、自首が成立するのではないか、というようなものが考えられます。
例えば、③を例にとると、自首が成立しているという主張は、公判前整理手続の中であらかじめ主張する必要があります。
Aさんが自首をしたということを証明するものとして、110番通報の入電記録がありますが、このような証拠を裁判に提出するためには、あらかじめ手続きの中で主張しなければなりません。
このような主張をしないまま、裁判員が審理する段階で、新たに入電記録のような証拠を提出したいと裁判所に主張したとしても、裁判所は証拠の提出を認めないでしょうから、結果として自首の主張ができなくなるおそれがあります。
このように、裁判員裁判は、裁判員には負担が少ないように設計されていますが、当事者の立場から見れば、適切な時期に適切な主張をしなければならないという制度になっています。

裁判員裁判には、刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱っており、裁判員裁判を経験した弁護士も多数所属しております。
ご家族が裁判員裁判対象の事件を起こしてしまいお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。

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