覚せい剤事件における弁護活動
覚せい剤事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県姫路市に住むAさんは、ある日突然兵庫県姫路警察署の警察官による家宅捜索を受け、その後、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。
Aさんは罪を認めていますが、今後どのような処分を受けるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)
覚せい剤取締法違反
覚せい剤取締法は、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関する取締りについて定めています。
覚せい剤取締法14条は、覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合等を除き、覚せい剤の所持を禁止しています。
ここでいう「所持」は、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうものであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)
つまりは、「覚せい剤を自己の支配内に置く行為」が「所持」にあたるというわけです。
判例によれば、以下の場合にも「所持」が認められると判示しています。
・物理的に把持する必要はなく、その存在を認識して管理し得る状態にある場合。
・直接所持しなくてもよく、他人の行為を介して自己の所持を実現したと認められる場合。
・比較的短時間の携行にすぎない場合。
また、所持罪が成立するためには、故意、つまり、覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していることが必要です。
積極的に覚せい剤を自己または他人のために保管する意思や、自己使用または第三者に使用させる意思などは必要とされず、その動機や目的、態様の如何を問いません。
ですので、覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪は成立することとなります。
「知人が勝手に置いて行ったので仕方なく保管していただけだ」と主張したとしても、置いて行ったものが覚せい剤だと認識しており、それでも自己の支配内に置いていたのであれば、所持罪の罪に問われ得るのです。
覚せい剤事件における弁護活動
覚せい剤事件で逮捕された場合、そのご勾留がなされ長期の身体拘束となるケースがほとんどです。
覚せい剤のような薬物事件では、共犯者がいることを疑われる場合には、接見禁止が付されることがあります。
接見禁止となると、弁護士以外の者と面会できなくなります。
このような場合、弁護人である弁護士は、被疑者の家族は事件に無関係であることを主張し、家族との面会を許可してもうえるよう接見禁止一部解除申立てを行います。
また、起訴後には保釈請求を行い、身柄解放活動を行います。
覚せい剤の所持や使用は、初犯であり、犯罪事実を認めている場合には、執行猶予がつく可能性があります。
一方、執行猶予中の再犯は実刑となる可能性が高いと言えます。
覚せい剤の被疑者・被告人は、薬物の依存症となっている場合が多く、治療やカウンセリングにつなげ、薬物をやめられる環境をつくることが大切です。
保釈された段階から、治療やカウンセリングを開始し、公判では既に専門的治療を受けており再犯防止の環境が整っている旨を主張することにより、社会内での更生が期待できると裁判官に判断してもらうことで執行猶予が獲得できる可能性が高まるでしょう。
ご家族が覚せい剤事件で逮捕されお困りであれば、薬物事件も数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
ご家族が逮捕されている場合には、弊所の弁護士が留置先に赴き直接接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡を。
(兵庫県姫路警察署までの初回接見費用:39,900円)