覚醒剤使用の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県須磨警察署は、兵庫県神戸市須磨区の路上で不審者がいるとの通報を受けました。
現場に駆け付けた警察官は、不審な言動をしている男性を発見し、薬物を使用しているのではないかと思い、男性に警察署で検査するよう求めました。
検査の結果、覚醒剤反応が出たため、警察はこの男性を覚せい剤取締法違反(覚醒剤使用)の疑いで逮捕しました。
男性は、「知人に体にいいという薬をもらったが、覚醒剤ではない。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)
覚醒剤使用の罪
覚醒剤取締法は、「覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする。」(覚醒剤取締法1条)法律です。
覚醒剤取締法は、特定の場合以外に覚醒剤を使用することを禁止しており、違反した場合には、10年以下の懲役に処するとしています。
覚醒剤使用の罪が成立するための要件は、
①法定の除外事由がないのに
②覚醒剤を
③使用する
ことです。
①法定の除外事由
覚醒剤の使用は、
(a)覚醒剤製造業者が製造のために使用する場合
(b)覚醒剤施用機関において診療に従事する医師または覚醒剤研究者が施用する場合
(c)覚醒剤研究者が研究のために使用する場合
(d)覚醒剤施用機関において診療に従事する医師または覚醒剤研究者から施用のために交付を受けた者が施用する場合
(e)法令に基づいてする行為につき施用する場合
を除いては、何人も禁止されています。
つまり、以上の事由に当てはまらない場合の使用は一切禁止されているのです。
②覚醒剤
覚醒剤取締法は、規制対象である「覚醒剤」を
(1)フェニルメチルアミノプロパン、フェニルアミノプロパンおよび各その塩類
(2)(1)と同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの
(3)(1)と(2)の物いずれかを含有する物
と定義しています。
③使用
「使用」とは、覚醒剤をその用途に従って用いる一切の行為のことをいいます。
他人の身体に覚醒剤を注射する行為も、他人から覚醒剤を受ける行為も「使用」にあたります。
覚醒剤使用の罪は、故意犯であるため、行為者において①~③の要件に該当する事実を認識、認容していることが必要となります。
上記事例では、使用した薬物が覚醒剤であるとは知らなかったと男性が述べています。
故意の内容は、未必的な認識・認容で足りるとされており、「覚醒剤かもしれないし、その他の有害で違法な薬物かもしれないとの認識・認容を有していた」という場合には、故意の内容としては十分であると解されます。
「何らかの違法な薬物」と認識している場合、特段の事情がない限り、その薬物の中に覚醒剤も含まれることになり、結果として、「覚醒剤かもしれないとの認識・認容を有していた」と未必の故意が認められることになります。
「知人から体にいいという薬をもらった」と述べている男性ですが、本当に健康に効果のある薬と信じて使用したのであれば、故意が欠け罪は成立しないことになりますが、暗黙に何らかの違法薬物であると認識していたのであれば故意が認められ罪が成立することになります。
故意は、人の心の中のことですので、立証することは容易ではありませんが、客観的証拠から故意があった、あるいは故意があったとは言えないことを証明することになります。
覚醒剤取締法違反の故意の有無について争いたい場合や、罪は認めるが寛大な処分とならないか心配されている場合には、薬物事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が覚醒剤取締法違反で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。