覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)事件で逮捕

覚せい剤取締法違反営利目的輸入)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、海外から帰国するにあたり、覚せい剤約1㎏を引越荷物内に隠匿して密輸入しようと企てたが、神戸税関が実施した引越荷物の別送品検査において覚せい剤を発見しました。
神戸税関は、兵庫県警察と共同調査を実施し、神戸地方検察庁に告発しました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反営利目的輸入)の容疑で逮捕されました。
調べに対してAさんは、「友人から日本の知人に渡してほしいと頼まれただけで、中身が覚せい剤だとは知らなかった。」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

覚せい剤取締法違反:営利目的輸入

覚せい剤取締法は、覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用について必要な取締を行うことを目的に、昭和27年7月30日に施行されました。

覚せい剤取締法の規制対象となる「覚せい剤」は、
①フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
②①に掲げる物と同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの
③①及び②のいずれかを含有する物
です。

第十三条 何人も、覚せい剤を輸入し、又は輸出してはならない。

第四十一条 覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

覚せい剤取締法は、覚醒剤の輸入を絶対的に禁止しています。
覚せい剤をみだりに輸入した者については、これを1年以上の有期懲役に処し、営利目的で輸入した場合は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により1000万円以下の罰金を併科することとされています。

覚せい剤取締法第41条は、覚せい剤をみだりに本邦に輸入する行為を処罰することとしており、覚せい剤輸入罪が成立するためには、「覚せい剤を輸入する行為」がなければなりません。

「輸入」とは、「国外から我が国へ物品を搬入すること」と理解されます。
どの段階に至った時に我が国内に搬入されたと理解するのかが問題となります。
陸路による密輸入については、「国境線を踰越して我が国内へ搬入した時点」と解する見解が有力です。
海路・空路については、船舶から覚せい剤を我が国領土内へ陸揚げした時点又は航空機の場合は機内から地上へ持ち出された時点で既遂に達するとする見解が、通説・判例の立場となっています。

覚せい剤を密輸入した場合、覚せい剤は関税法で輸入を禁止される貨物に当たり、関税法違反(禁制品輸入罪)が成立することとなります。
覚せい剤取締法上の輸入罪と関税法上の禁制品輸入罪の罪数関係については、両者は観念的競合の関係(1個の行為が2つ以上の罪名に触れる場合)に立つと判例・実務上ともに解されています。
観念的競合の処罰については、その最も重い刑によって処断されます。

さて、Aさんのように「覚せい剤だとは知らなかった。」と弁解している場合、覚せい剤の輸入罪は成立しないのでしょうか。

覚せい剤の輸入罪は、覚せい剤であることを知りつつそれを我が国内に搬入することによって成立します。
そのため、覚せい剤の認識に欠ける場合、輸入罪は成立しません。
しかし、認識の程度については、「被告人は本件物件を密輸入して所持した際、覚せい剤を含む身体に有害で違法な薬物類であるとの認識があったというのであるから、覚せい剤であるかもしれないし、その他の身体に有害で違法な薬物であるかもしれないとの認識はあったことに帰する。そうすると覚せい剤輸入罪、同所持罪の故意に欠けるところはない」とした判決(最決平2・2・9)があるため、状況証拠から被告人が覚せい剤もしくは体に有害な薬物「かもしれない」と思っていたと判断された場合、覚せい剤輸入罪が成立することになります。

覚せい剤取締法違反事件では、逮捕後、勾留される可能性が非常に高いと言えるでしょう。
また、組織犯罪が疑われた場合には、勾留と同時に接見禁止に付されることも多く、家族であっても被疑者・被告人と接見することができない可能性もあります。
そのような場合でも、弁護士であれば、いつでも接見することができます。

ご家族が覚せい剤取締法違反事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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