監護者わいせつの容疑で逮捕

2019-12-06

監護者わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂市に住むAさんは、5年前にBさんと結婚しました。
Bさんには13歳になる娘Vさんがいましたが、ある日学校から、「Vさんがお義父さんから性的虐待を受けているようだ。」との連絡を受けました。
Vさんは児童相談所に保護され、Aさんは兵庫県赤穂警察署から監護者わいせつの容疑で取り調べを受けています。
Aさんは、今後逮捕されるのではないかと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

監護者わいせつ罪について

2017年の刑法改正に伴い、「監護者わいせつ罪」および「監護者性交等罪」が新設されました。
改正以前は、「強制わいせつ罪」および「強姦罪」は、13歳以上の者に対しては、「暴行または脅迫」を用いて、わいせつ行為や性行為が行われる必要がありました。
しかし、被害者と加害者が親子関係にある場合、支配関係に置かれ、被害者が心理的に抵抗することが困難な状態であることが多く、「強制わいせつ罪」や「強姦罪」では処罰することができませんでした。
そこで、監護者によるわいせつ及び性交等の行為を処罰する規定が新たに設けられたのです。

今回は、監護者わいせつ罪について解説します。

第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

◇主体と客体◇

客体は、18歳未満の男女です。
行為者との関係では、現に監督されている者であることが必要となります。

主体は、18歳未満の者を法律上または事実上「現に監護する者」です。
「監護する」とは、監督し、保護することです。
法律上の監護権に基づかなくても、事実上、現に18歳未満の者を監督し、保護する者であれば、「現に監護する者」となりますが、法律上の監護権を有している者であっても、実際に監護している実態がなければ「現に監護する者」に当たらないことになります。
「現に監護する者」に当たるか否かは、同居しているかどうか、居住場所に関する指定等の状況、指導の状況、身の回りの世話等の生活状況、生活費の支出などの経済的状況、未成年者に関する諸手続等を行う状況などを考慮して判断されます。
ですので、教師やクラブ活動のコーチ等の指導者などについては、上のような点を考慮すると、「監護者」には当たらないことになります。

◇行為◇

監護者わいせつ罪の構成要件的行為は、「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をする」ことです。
前半の「現に監護する者であることによる影響力」というのは、監護者が、被監護者の生活全般にわたし経済的・精神的な観点から、現に被監護者を監督し、保護することにより生じる影響力(人の意思決定に何らかの作用を及ぼし得る力)のことです。
そのような影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態で、わいせつな行為をすることが、当該影響力があることに「乗じて」となります。

◇故意◇

本罪の成立には、被害者の年齢および実行行為の認識が必要です。
監護者の立場を利用して行う行為を処罰するものであるため、被害者が同意していたか否かは問題となりません。
ですので、行為者が被害者の同意があるものと誤信していた場合にも、故意の存否には影響しないことになります。

◇処罰◇

刑法第176条に規定される強制わいせつ罪と同様の法定刑となりますので、監護者わいせつ罪で起訴され有罪が言い渡されると、6月以上10年以下の懲役が科される可能性があります。

監護者わいせつ罪は、その法定刑には罰金刑がなく懲役刑のみとなっています。
また、被害者との関係性から、罪証隠滅のおそれが認められ、逮捕後に勾留に付され、長期の身体拘束が強いられる可能性は高いでしょう。

監護者わいせつ罪を含めた刑事事件でお困りであれば、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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