観護措置がとられたら

2019-07-18

観護措置がとられたら

観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市西区に住むAさん(16歳)は、地元の高校に進学するも、数か月で退学してしまいました。
その後、友人宅で寝泊まりすることが続き、家にもあまり帰らなくなりました。
心配した両親は、Aさんと連絡をとろうと試みますが、一向に応対がありません。
とうとう両親が兵庫県神戸西警察署に相談したところ、県外の警察署で保護されていることが分かりました。
家出中のAさんは、生活費や遊ぶ金欲しさに売春していたということでした。
その後、Aさんは虞犯少年として神戸家庭裁判所に送致されましたが、裁判所からは観護措置をとるとの連絡が入りました。
(フィクションです)

観護措置とは

少年法第17条1項は、以下のように規定しています。

第十七条 家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。
一 家庭裁判所調査官の観護に付すること。
二 少年鑑別所に送致すること。

家庭裁判所が、調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りつつ、少年の身体を保護してその安全を図る措置を「観護措置」といいます。
観護措置には、上の規定にあるように、調査官の観護に付する「在宅観護」と、少年鑑別所に送致する「収容観護」とがあります。
実務上は、在宅観護はほとんどとられることはなく、単に「観護措置」という場合、収容観護を指すものとされます。

観護措置の目的及び機能は、大別すると以下の3つであると理解されます。
①少年の逃亡を防止し、調査・審判への出頭を確保するとともに、罪証隠滅を防ぐこと。
②本人自身又は周辺環境に問題がある少年について、保護処分等の終局決定による保護がなされるまでの間、暫定的に身柄を保全することで、その心情の安定・情操の保護を図り、非行性の深化を防止すること。
③少年の身柄を拘束した状態で、行動の観察、心身の鑑別を行うこと。

観護措置がとられる要件は、上記のように「審判を行うため必要があるとき」という抽象的な規定が定められているだけですが、実務上は次のような要件を満たす必要があるとされています。
1.事件の係属
2.審判条件の具備
3.審判に振るべき事由についての嫌疑の存在
4.審判を行う蓋然性
5.観護措置の必要性
上の5については、観護措置の目的・機能に対応し、以下のような要件が必要と理解されています。
(ア)審判・調査・法定執行のための身柄拘束が必要である。
(イ)少年が緊急の保護を要する状態にあること。
(ウ)少年を収容して鑑別をする必要があること。

上記ケースを検討すると、Aさんは虞犯少年として事件が神戸家庭裁判所に係属しています。
仮に観護措置の要件である1~4は既に満たしているとします。
そこで、家庭裁判所は観護措置の必要性について判断することになります。
(ア)Aさんは、警察に保護される前に家に寄りつかず家出をしていましたので、再度家出をする可能性も否定できず、逃亡のおそれという観点から、身柄拘束が必要であると判断されるでしょう。
(イ)家庭環境が劣悪、自傷自殺のおそれがある、反社会的集団の影響により審判までに非行性が進化するおそれがあると考えられる場合ですが、上記ケースではそこまでの緊急性はありません。
(ウ)少年の非行は、少年の資質的な問題のみならず、少年を取り巻く環境が複雑に絡み合って引き起こされたものであり、非行に及んだ少年の健全育成を期するためより適切な措置をとるには、その前提として、少年の心身の状態を可能な限り正確に把握する必要があります。
虞犯少年は、その要件として、保護者による保護が実効性を有していなかったり、環境的な要因が認められたり、少年の性格的問題性が存在していることが前提として、今後少年が犯罪に及ぶ蓋然性があるとされており、虞犯少年は要保護性が高い少年を対象とするものであるから、心身鑑別の必要性は高いと言えます。

ですので、Aさんのように、犯罪を起こしたわけではないが虞犯少年として家庭裁判所に送致された場合、その後観護措置がとられる可能性は高いのです。

観護措置がとられることにより、1か月ほど少年鑑別所に収容され、身体拘束を受けることになりますので、それによって少年が被る不利益もあります。
しかし、少年鑑別所でしっかりと専門家による心身鑑別を受けることにより、少年の更生に資することや、非行の要因になった環境から切り離された場にいることで、しっかりと自分を向き合うことができるといったメリットもあります。

少年の更生に向けて最善の方法を見つけるために、少年事件に精通する弁護士にご相談されてみてはいかがでしょう。
お子様が家庭裁判所に送致され、観護措置をとられた・とられそうだとお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。