刑事裁判と被害者参加

2019-07-17

刑事裁判と被害者参加

~ケース~
酒に酔った状態の女性Vさんが抵抗できないことを利用し、わいせつな行為を行い怪我を負わせたとして、Aさんは兵庫県伊丹警察署に準強制性交等致傷の容疑で逮捕されました。
逮捕・勾留後に同罪で起訴されましたが、弁護人を通じて被害者であるVさんが被害者参加制度を利用する予定であることを知りました。
裁判員裁判かつ被害者参加が予定されており、通常の刑事裁判とは異なる点も多く、Aさんは弁護人と入念な打ち合わせを重ねて裁判に臨みたいと思っています。
(フィクションです)

刑事裁判について

あなたがある罪を犯し、警察などの捜査機関に逮捕されたとしましょう。
検察・警察の捜査終了後に、担当の検察官があなたを起訴するか否かを判断します。
検察官による起訴は、正式起訴と略式起訴の2種類があります。
「略式起訴」というのは、刑事裁判の正式な手続きを踏まずに、検察官からの提出書類に基づいて処罰を決定するものです。
一方、「正式起訴」とは、検察官が裁判所に対して起訴状を提出し、審理を求めるものです。

刑事裁判の当事者は、検察官と被告人・弁護人です。
裁判官は、当事者から提出された証拠に基づいて、検察官が起訴状で示した起訴事実が合理的な疑いを超えて立証されたか否かを判断します。

通常の刑事裁判では、検察官、被告人および弁護人、裁判官が主要な役割を果たすことになります。
しかし、ある一定の重大な刑事事件は裁判員制度の対象となります。
裁判員裁判では、被告人が無罪か有罪か、有罪である場合にはどのような量刑を科すべきかについて、裁判官だけではなく、国民から選ばれた裁判員と共に決定されます。
通常の刑事裁判では、裁判官が一人の場合、合議体で三人の場合がありますが、裁判員裁判となれば、法廷の裁判官席には9名ものジャッジが当事者の主張に耳を傾けることになるのです。

被害者参加制度について

さて、それでは犯罪被害者は、刑事裁判において如何なる役割を担うのでしょうか。

従来、刑事裁判において、犯罪被害者は、起訴事実を証明する証拠である「証人」としての役割のみを担ってきました。
しかし、90年代より犯罪被害者の権利実現に向けた動きが大きくなり、2018年にはある一定の犯罪被害者等が刑事裁判に参加することができる「被害者参加制度」が導入されました。
参加の申出をすることができるのは、以下の事件の犯罪被害者本人や法定代理人、犯罪被害者本人が亡くなった場合や心身に重大な故障がある場合の犯罪被害者の配偶者、直系親族、兄弟姉妹です。
①殺人、傷害などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
②強制わいせつ、強制性交等などの罪
③逮捕および監禁の罪
④略取、誘拐、人身売買の罪
⑤上の②~④の犯罪行為を含む他の犯罪
⑥過失運転致傷などの罪
⑦上の①~⑤の未遂罪

被害者参加制度の利用は、検察官に対して申し出ます。
申出を受けた検察官は、裁判所に通知し、裁判所は被告人または弁護人の意見を聴いた上で、犯罪の性質、被告人との関係といった事情を考慮し、相当と認める場合には犯罪被害者等の参加を許可します。
参加が認められた被害者は、「被害者参加人」と呼ばれます。

被害者参加人またはその委託を受けた弁護士は、
・公判期日への出席
・検察官の権限行使に関して意見を述べ、説明を受ける
・情状に関する事項についての証人尋問
・被告人質問
・事実関係や法律の適用についての意見陳述
を行うことができます。

被害者またはその代理人が刑事裁判に参加することで、被害者に配慮した審理の進行が求められます。
しかし、被告人の不利益になるような参加形態についてはしっかりと意見しなければなりません。
また、裁判員裁判では、裁判員が被害者参加人等の意見や主張に重きを置き、量刑に影響を与えることも懸念されます。
被害者参加人等が参加する裁判員裁判では、過剰に被害者よりの判断とならぬよう、慎重に審理を進めることが重要です。
そのような弁護は、刑事裁判に豊富な経験を持つ弁護士に任せましょう。

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