刑事処分と行政処分

2019-07-19

刑事処分と行政処分

刑事処分行政処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町に住むAさんは、コンビニでビールとおつまみを買い、駐車場に停めてある自家用車に乗り込みました。
家に帰って一杯やるつもりでビールを購入したのですが、気温も高く喉も乾いていたので、我慢できずに購入したビールを飲んでしまいました。
家まで数百メートルだから大丈夫だろうと思い、そのまま運転を始めたAさんでしたが、一旦停止を怠ったとして、兵庫県美方警察署の警察官に車を停止するよう求められました。
Aさんは、飲酒運転がバレると思い、要求を無視して、警察を振り切り自宅まで辿り着きました。
しかし、すぐに警察はAさん宅にやってきて、道路交通法違反で調べに応じるよう求めました。
Aさんからアルコールの匂いがすることに気づいた警察官は、Aさんの飲酒運転を疑っていますが、Aさんは「家に帰ってから飲んだ」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

交通事件と刑事処分

無免許運転、飲酒運転、人身事故が捜査機関に発覚した場合、刑罰法令に反する行為を行ったとして、刑事責任が問われることになります。
交通事件で問題となる刑罰法令は、刑法、道路交通法、そして自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律です。
以下、交通事件においてよく適用される罪について概観します。

①無免許運転:道路交通法違反

道路交通法第六十四条 
何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

無免許運転禁止違反の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

②飲酒運転:道路交通法違反

道路交通法第六十五条 
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

飲酒運転は、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に分けられます。
「酒気帯び運転」とは、呼気1リットルあたり0.15mg以上、もしくは血液1ミリリットルあたり0.3㎎以上のアルコールを含んで車を運転することです。
一方、「酒酔い運転」は、呼気アルコール濃度は関係なく、アルコールの影響で正常に車を運転できないおそれのある状態をいいます。
「酒気帯び運転」の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金であるのに対して、「酒酔い運転」は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。

③人身事故:過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪

運転者の過失=注意義務違反によって、人に怪我を負わせてしまったり、死亡させてしまった場合には、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」における「過失運転致死傷罪」が適用されます。
過失運転致傷罪の法定刑は、7年以下の懲役または禁錮もしくは100万円以下の罰金です。

アルコールや薬物の影響により正常な運転ができない状態になっているにもかかわらず、車を運転して人を負傷させた場合や人を死なせてしまった場合には、危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。
この場合、人に怪我を負わせた場合には15年以下の懲役、死亡させた場合には1年以上の有期懲役という刑事罰が科される可能性があります。
また、アルコールや薬物の影響により安全な運転に支障がある状態で運転し、人に怪我を負わせた場合には12年以下の懲役、死亡させた場合には15年以下の懲役となります。

以上のように、交通事件を起こすと、罰金や懲役といった刑事処分を受ける可能性があります。

行政処分

交通事件を起こしてしまったら、刑事処分とは別に、行政処分も科されることになります。
公安委員会による免許の停止や取消などの処分です。
無免許運転の違反点数は、25点です。
違反点数は、運転者の過去3年間の交通違反や交通事故に対して付けられた点数のことで、その合計点数が一定の基準に達した場合に、免許の効力の停止や取消しなどの処分がなされます。
過去の行政処分の点数によって免許の再取得できない欠格期間が変わってきますが、過去の行政処分がなかった場合でも、一発で免許取消となり、欠格期間2年です。
また、酒気帯び運転(0.15mg以上0.25mg未満)の違反点数は13点で、過去3年間に交通違反で免許停止や取消を受けていなければ、90日間の免許の停止となります。
酒気帯び運転(0.25mg以上)は25点、酒酔い運転は35点と、どちらも一発で免許取消となります。
行政処分は、行政庁が独自の立場で行いますので、最終的な刑事処分が「不起訴」であっても行政処分の軽減につながるわけではありません。

交通事件を起こし、行政処分のみならず刑事処分の対象となりお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の法律相談無料です。