ストーカー行為で逮捕

ストーカー行為で逮捕

ストーカー行為での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、会社の取引先に勤務していたVさんと1年間交際していました。
しかし、1年経ったある日、Vさんから別れ話を切り出し、2人の交際関係は終了しました。
別れたことでAさんのVさんに対する態度が豹変し、交際時に渡したプレゼント代や食事代などを清算してほしいと、AさんはVさんに一日に何度もメールや電話をしたり、時にはVさん宅を訪れることもありました。
怖くなったVさんは、兵庫県加東警察署に相談し、Aさんは警察からVさんへの接触をしないよう警告を受けていました。
それでも、AさんはVさんへの連絡を続けていたため、ストーカー行為をしたとしてAさんは逮捕されることとなりました。
(フィクションです)

男女関係のもつれからのストーカー行為

交際相手や元交際相手に対する執拗なつきまといや連絡は、法律で規制される「ストーカー行為」に該当する可能性があります。
一昔前までは、警察も男女関係のもつれについては積極的に介入することはしませんでしたが、ストーカー行為から殺人事件に発展したケースもあり、近年では警察も積極的にストーカー事件やDV事件といった男女関係のもつれから端を発する事件に介入するようになりました。

ストーカー行為については、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、「ストーカー規制法」という。)で規制されています。
ストーカー規制法では、以下のように罰則を設けています。

第十三条 ストーカー行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第十四条 禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反して
ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、
ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。
第十五条 前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、五十万円以下の罰金
に処する。

つまり、罰則の対象は、
(1)ストーカー行為をした者。
(2)禁止命令等に違反してストーカー行為をした者。
(3)禁止命令等に違反してつきまとい等をし、ストーカー行為をした者。
(4)禁止命令等に違反した者。
です。

ストーカー行為」というのは、「同一の者に対し、つきまとい等(一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすること」をいいます。(ストーカー規制法第2条2項)
「つきまとい等」というのは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること」をいいます。(同法第2条1項)
①つきまとい、見張り、おしかけ、うろつきなど
②監視していることを知らせる行為
③面会や交際などを要求すること
④乱暴な言動等
⑤無言電話、繰り返しの電話・FA・メール送信等
⑥汚物などの送付
⑦名誉を傷つけること
⑧わいせつな言葉を投げかけたり、わいせつな画像を送りつけたり、インターネット掲示板に掲載するなど

ストーカー被害を受けている被害者から相談があった場合、被害者からの申出があった上で、つきまとい等を行い更に反復してつきまとい等を行うおそれがあると判断すると、警察は加害者に対してつきまとい等をやめるよう「警告」をすることができます。
それでも加害者が 警告を無視し、つきまとい等をし、更に反復して行うおそれがある場合には、公安委員会は、つきまとい等をこれ以上しないよう「禁止命令」を出すことができます。
この禁止命令にも違反し、ストーカー行為をした場合には、上の(2)~(4)に当たることになります。
また、ストーカー行為をした者については、被害者などの告訴により、警告や禁止命令等を経ず、刑罰の対象となります。
ですので、事前に警察からの警告を受けずに、いきなりストーカー規制法違反で逮捕されることも十分にあり得ます。

ストーカー事件では、加害者は被害者の連絡先や住居を知っていることが多いので、被害者との接触を回避するために身体を拘束される可能性は高いと言えるでしょう。

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