公判欠席で保釈の取消

公判欠席で保釈の取消

保釈取消について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古郡稲美町内のスーパーで商品を万引きしたとして窃盗容疑で逮捕されたAさん。
その後、神戸地方検察庁姫路支部に窃盗罪で起訴され、7月1日の第一回公判神戸地方裁判所姫路支部で開かれました。
しかし、判決期日にAさんは姿を現さず、延期された期日も欠席し、再度延期された期日にやっと姿を現したAさんですが、欠席した理由は「判決を受ける覚悟がなかった。」と説明しました。
検察官が準備をしていなかったため、裁判官は3回目の延期を決めましたが、Aさんは保釈取消となり、判決期日には手錠と腰縄姿で入廷しました。
(朝日新聞DIGITAL 2019年7月1日21時48分掲載記事を基にしたフィクションです)

保釈制度について

保釈」は、一定額の保釈保証金を納付することで、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判とその執行です。
被疑者が逮捕され、その後勾留された場合、検察官から勾留請求をされた日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられることになります。
検察官が起訴する前の段階で、身柄解放となるには、「勾留理由開示請求」、「勾留決定に対する準抗告」、「勾留取消請求」、「勾留執行停止の申立」といった方法があります。
被疑者が置かれた状況や手続の進展状況によって採るべき方法は異なりますが、「勾留決定に対する準抗告」が最も利用される方法でしょう。
これらの申立が認められない場合には、起訴まで勾留により身体拘束を受けます。
保釈請求ができるのは、検察官が起訴してからです。

保釈には次の3つがあります。

1.権利保釈(必要的保釈)
裁判所は、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許さなければなりません、
例外として、権利保釈の除外事由がある場合には、裁判所は請求を却下することができます。
①被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる物若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

2.裁量保釈(任意的保釈)
裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合でも、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます。

3.義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許可しなければなりません。

保釈の取消

裁判所に保釈が許可され、保釈保証金を収納すれば、身体拘束を受けていた被告人は、釈放されることとなります。
保釈は、被告人の出廷を確保するための制度ですので、当然その約束が守れない場合には保釈は取り消されますし、納付した保釈保証金も没収されることになります。

裁判所は、次に該当する場合には、検察官の請求により、又は職権で、保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができます。
①被告人が、召喚を受け正当な理由なく出頭しないとき。
②被告人が逃亡又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑う相当な理由があるとき。
④被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
⑤被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。

上のいずれかに該当し、保釈が取り消されてしまった場合には、納付した保釈保証金の全部又は一部が没収される可能性があります。

逮捕後に勾留が付き、起訴前段階では身柄解放ができなかったとしても、起訴後には保釈となる可能性も十分あります。
ご家族が刑事事件を起こし、保釈で身柄解放をとお考えであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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