中間処分としての試験観察

2019-07-22

中間処分としての試験観察

試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
小遣い欲しさから、NSNの高額アルバイト募集広告に飛びついた大学生のAくん(19歳)は、特殊詐欺に受け子として関与してしまいました。
兵庫県相生市に住む女性から、弁護士のアシスタントと称して現金100万円を騙し取ったとして、兵庫県相生警察署は、Aくんを詐欺容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
弁護士からは、特殊詐欺関連の事件については、少年院送致という重い処分も十分可能性があるため、中間処分である試験観察を目指し、試験観察を経て保護観察処分となるよう活動する方針を打ち出されました。
特殊詐欺という重罪に手を染めてしまった以上、身体拘束やある程度の処分を受けることについては仕方がないとAくん本人と両親は覚悟していますが、大学を留年、若しくは退学しなければならなくなる少年院送致だけは回避したいと思っています。
(フィクションです)

少年事件において決定される処分とは

少年事件は、原則としてすべての事件が、捜査機関の捜査が終了すると管轄の家庭裁判所に送致されます。
保護事件として受理した家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の更生に適した処分を決定します。
終局処分は、以下の通りです。
①保護処分
・保護観察
・少年院送致
・児童自立支支援施設等送致
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始
この他、中間処分として「試験観察」があります。

試験観察について

試験観察」とは、家庭裁判所は保護処分を決定するために必要があると認めるときに、相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定をいいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。

試験観察制度の趣旨については、次の2点が挙げられます。

(1)十分な調査を尽くす趣旨
保護処分は、身体拘束等、少年の権利を制約するものであるので、少年審判においては、少年の要保護性に関する資料を十分に調査し、少年の行動等の観察も尽くして、慎重かつ適切な判断がされなければなりません。
そのため、少年にとって適切な処分を慎重に見極めるために、十分な調査を尽くさせるという趣旨があります。

(2)プロベーション機能を期待する趣旨
プロベーションとは、犯罪者に対し、矯正施設への収容を猶予し、社会内で指導監督や援助を加え、その経過が悪い場合には矯正施設に収容するという心理強制によって改善と社会復帰を図る制度のことをいいます。
試験観察では、終局処分をいったん保留することで、試験期間中の少年に心理的な影響を与え、更生を促す効果を期待するという側面が期待されます。

試験観察の要件について、少年法25条1項は、「保護処分を決定するために必要があると認めるとき」とのみ規定しています。
しかし、一般的には、以下の要件を満たす必要があるといわれています。
・保護処分に付する蓋然性があること。
・ただちに保護処分に付することができない、或いは付すのが相当でない事情があること。
・調査官の観察活動が必要であり、かつ、その結果、適切な終局決定ができる見込みがあること。
・相当期間内に観察目的を達成する見込みのあること。

試験観察の期間は、通常3か月から半年ほどです。

特殊詐欺事件の様な少年院送致の可能性がある場合、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。

お子様が特殊詐欺事件を起こし、少年院送致のような重い処分になるのではないかと心配されているのであれば、まずは少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お子様の更生にとって適した処分となるよう少年事件に精通する弁護士が尽力します。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。