客引きで風営法違反
客引きでの風営法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース①~
兵庫県神戸市中央区にあるパブの従業員であるAさんは、同区の路上で不特定多数の通行人に「3000円でいいから、行こうよ」などと言いながらつきまとい、腕を引っ張るなどの客引きをした疑いで、兵庫県生田警察署に風営法違反で逮捕されました。
~ケース②~
兵庫県神戸市中央区にある多国籍料理店の従業員であるAさんは、同区の路上で不特定多数の通行人にしつこくつきまとい、腕を引っ張るなどの客引きをした疑いで、兵庫県生田警察署に風営法違反で逮捕されました。
神戸市中央区で客引き行為を規制する法令
神戸市中央区で客引き行為を行った場合、以下の法令違反となる可能性があります。
1.客引き行為等の防止に関する条例
当該条例は、公共の場所において客引き行為等及び客引き行為禁止地区における客引き行為等を禁止しています。
禁止地区において客引き行為等をした者に対して、知事は指導・勧告・命令を行うことができ、命令に違反した者は、5万円以下の過料に処される可能性があります。
2.軽犯罪法
軽犯罪法は、他人の進路に立ちふさがる、その身辺に群がって立ち退こうとしない、不安や迷惑を覚えるような仕方で他人につきまとう行為を禁止しており、違反者に対しては、拘留(1日以上30日未満)又は科料(千円以上1万円未満)の刑罰が設けられています。
3.迷惑防止条例
迷惑防止条例は、公共の場所における不当な客引き行為等を禁止しています。
性的な要素や異性による接待があるサービス以外の業種については、「人の身体又は衣類をとらえ、所持品を取り上げ、進路に立ちふさがり、身辺に付きまとう等の執拗な方法で」の客引きのみを規制しています。
違反者に対する罰則は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっており、常習としての違反者に対しては、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
4.風営法
風営法においても、客引き行為は禁止されており、違反者に対しては罰則が設けられています。
客引き行為で風営法違反となる場合
風営法とは、「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」の略称です。
風営法は、客引き行為を禁止しています。
第二十二条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
ここでいう「風俗営業」は、風営法において、以下のものと定義されています。
一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
風俗営業に関する客引き行為をすると、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金となる可能性があります。
風営法というと、「風俗営業」のみが対象になると思われがちですが、風俗営業に当たらない飲食店であっても深夜営業に関しての客引き行為を禁止しているのです。
第三十二条
3 第二十二条第一項(第三号を除く。)の規定は、飲食店営業を営む者について準用する。この場合において、同項第一号及び第二号中「当該営業」とあるのは「当該営業(深夜における営業に限る。)」と、同項第四号中「業務」とあるのは「業務(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)」と、同項第五号中「十八歳未満」とあるのは「午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満」と、「を営業所」とあるのは「を営業所(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)」と、「第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること」とあるのは「保護者が同伴する十八歳未満の者を客として立ち入らせる場合を除く」と読み替えるものとする。
ですので、上記ケース②のように、風俗営業以外であっても客引き行為で風営法違反となる可能性があるのです。
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