薬物事件で少年審判

2019-08-13

薬物事件で少年審判

~ケース~
兵庫県神戸市東灘区に住む学生のAさんは、交際相手を通じて大麻を勧められ、大麻を使用するようになりました。
ある日、交際相手が大麻取締法違反で逮捕され、Aさんも同罪で逮捕されることとなりました。
逮捕・勾留後に、神戸家庭裁判所に送致され、少年審判が開かれることになりました。
Aさんは、どのような処分を受けるのかとても心配です。
(フィクションです)

少年事件の流れ

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が刑罰法令に触れる行為をした場合、成人の刑事事件と同様に捜査機関により逮捕されることがあります。
ただし、14歳未満の者(「触法少年」といいます。)の場合、刑事責任に問われることはないので、警察は処罰を目的とした捜査をすることはできず、任意捜査の範囲内で捜査を行い、その後、児童相談所に通告することになります。
ですので、少年といっても事件を起こした少年の年齢によって、その後の手続が変わってきます。

14歳以上20歳未満の少年を「犯罪少年」といい、刑事責任能力が生じ、事件を起こせば、警察に逮捕される可能性があります。
逮捕された後は、成人の刑事事件とおおよそ同じ手続きがとられますので、逮捕後に勾留された場合には逮捕から13日、延長されると最大で23日もの間、身柄が拘束されることになります。
ただ、少年の場合は、勾留に代わる観護措置がとられることもあるので、その場合には、留置場所が少年鑑別所になり、期間も10日となります。

捜査機関による捜査が終れば、少年事件について、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになっています。(これを「全件送致主義」といいます。)
家庭裁判所が事件を受理すると、家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の更生に適した処分を決定します。
家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
観護措置がとられると、少年少年鑑別所に原則2週間、最大で8週間収容されることになり、少年鑑別所において、少年の非行原因や今後の更生の可能性について調査・分析されることになります。

少年審判について

少年に対する最終的な処分を言い渡すために設けられた期日において、裁判官による審理および決定の過程を「少年審判」といいます。

少年審判では、少年の犯した「非行事実」、並びに、少年の「要保護性」について審理されます。
要保護性とは、以下の3つの要素により構成されると考えられています。

1.再非行の危険性
少年の性格や置かれている環境に照らして、将来再び非行を犯す危険性があること。
2.矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことにより、再非行の危険性を除去できる可能性があること。
3.保護相当性
保護処分による保護が最も有効であり、かつ、適切な処遇であること。

ここでいう保護処分というのは、家庭裁判所に送致された少年を更生させることを目的とし、家庭裁判所が下す終局処分であって、①保護観察、②少年院送致、③児童自立支援施設等送致の3種類があります。

少年審判では、少年の非行事実のみならず、要保護性が審理されるため、少年事件では、非行事実が軽微であっても、要保護性が高いと判断されると、少年院送致といった処分が選択されることもあります。
逆に言うと、非行事実は重い犯罪に該当するものであっても、要保護性が解消されたと認められれば、保護観察のような社会内処遇が選択されることもあるのです。
ですので、要保護性の解消に向けた活動が少年事件においては重要となります。

その意味で、少年事件における弁護士の活動の中でも、「環境調整」に重きが置かれます。
環境調整は、少年と保護者・学校との関係調整、専門的な治療が必要な場合にはそのような治療を受けれるよう専門機関の協力を求めるなど、少年の社会復帰を円滑にするために少年を取り巻く環境を調整することをいいます。
加えて、少年が事件や自身が持つ問題を理解し、解決していけるように指導したり、被害者への被害弁償や示談交渉なども、少年事件において弁護士が行う重要な活動です。
薬物事件であれば、薬物を絶つことが非常に重要なポイントとなりますので、薬物を使用するようになった経緯や入手経路をしっかりと把握し、その関係性を断ち、二度と薬物に手を出さない環境を作り出す必要があります。
上記のケースであれば、交際相手とのつながりで薬物に手を出したことを踏まえ、その相手との関係性を完全に断つこと、そして必要であれば専門機関で治療を受けることが重要な環境調整となるでしょう。
もちろん、少年の家族による更生への支援も必要不可欠です。

少年事件では、少年だけでなく、家族や学校・職場といった周囲と協力し、少年の更生に向けて動いていかなければなりません。

お子様が薬物事件で逮捕された、家庭裁判所に送致され少年審判を受けることになり対応にお困りであれば、少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。