嫌がらせ行為で迷惑防止条例違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川西市のマンションに住むAさんは、同じマンションに住むVさんと些細な事で仲たがいし、お互いの悪口を周囲に言い合っていました。
ある時から、Vさん宅の玄関ドア前にビニール袋に入った生ごみなどが放置されるということが数十回ありました。
Vさんは兵庫県川西警察署に相談し、防犯カメラを設置したところ、Aさんの犯行であることが分かりました。
兵庫県川西警察署は、Aさんを迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)
迷惑防止条例違反:嫌がらせ行為
上記ケースにおいて、Aさんは、迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)に問われています。
迷惑防止条例違反となる「嫌がらせ行為」とはどのようなものをいうのでしょうか。
嫌がらせ行為については、兵庫県迷惑防止条例第10条の2に以下のように規定されています。
第10条の2 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、執ように又は反復して行う次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第3項に規定するストーカー行為を除く。以下「嫌がらせ行為」という。)をしてはならない。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること(身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。次号から第4号までにおいて同じ。)。
(2) その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(3) 面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
(4) 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
(5) 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールその他の電気通信(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第1号に規定する電気通信であって、特定の者に対して通信文その他の情報をその使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に表示されるようにすることにより伝達するための方法をいう。)の送信をすること。
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快若しくは嫌悪の情を催させるような物又は当該情を催させるようなものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第8号において同じ。)その他の記録を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
(7) その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(8) その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物若しくはその性的羞恥心を害するものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。
特定の人に、執拗に又は反復して「嫌がらせ行為」をした場合に成立するものです。
ただし、ストーカー行為規制法で規定してある「ストーカー行為」にあたるものは除外されます。
「ストーカー行為」は、「つきまとい等」を反復する行為であり、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、法第2条第1項各号の行為をすること」です。
ストーカー行為規制法の「つきまとい等」の具体的行為と、迷惑防止条例で規定される「嫌がらせ行為」の具体的行為は、ほぼ同じですが、「行為の目的」と「行為の対象者」が異なります。
ストーカー行為規制法における「つきまとい等」は、「好意・怨恨を充足する目的」を持っていることが必要です。
また、行為の対象が、「特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他該当特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に特定されています。
上記ケースでは、AさんはVさん宅の玄関ドア前に、生ごみなどの入ったゴミ袋を投棄していたとされていますが、当該行為は、上の「嫌がらせ行為」の第6号に当たるでしょう。
兵庫県迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)の罰則は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習で違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
嫌がらせ行為による迷惑防止条例違反事件における重要な弁護活動のひとつに、被害者との示談交渉があげられます。
被害者との間で示談が成立し、被害届や告訴を取り下げてもらえれば、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることができます。
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