温泉施設で女児盗撮②

2019-05-14

温泉施設で女児盗撮②

温泉施設での女児盗撮で成立し得る犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県養父市の温泉施設で、男性更衣室内で、父親と来ていた女児の裸を腕時計に内蔵されたカメラを使用して盗撮したとして、会社員のAさんが逮捕されました。
Aさんの行動を不審に思った女児の父親が、施設の職員に連絡し、職員がAさんの腕時計のデータを確認したところ、女児の裸が写った動画があったため、兵庫県養父警察署に通報し、駆け付けた警察官に逮捕されたということです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

女児盗撮事件で成立し得る犯罪とは

前回は、温泉施設における盗撮行為に対して迷惑防止条例違反が成立し得ることを説明しました。
今回は、女児に対する盗撮行為が児童買春・児童ポルノ禁止法違反にあたる可能性があることについてお話していきます。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反

児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童ポルノの所持・提供・製造・輸出入等を禁止しています。
児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」とは、以下のものを指します。

写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの (児童買春・児童ポルノ禁止法第2条3項)

上記ケースのように、女児の裸を写したものは、三号に当たる可能性があります。
「衣服の全部又は一部を着けない」とは、社会通念上衣服と認められる物を全く着用していないか、又は衣服の一部を着用していない状態をいいます。
全裸や半裸の状態がこれに当たり、通常の水着を着ている場合にはこれに当たりません。
しかし、半透明又は透明の材質で作られた衣装等を着ている場合には、社会通念上人が着用する衣服とは認められず、「衣服の全部又は一部を着けていない姿態」に該当すると考えられます。
「殊更に」とは、問題となる写真や映像等の内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価されるものであることです。
子供が裸で水遊びをしている様子を成長の記録として撮影する場合は、内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価されるものでない限り「殊更に」とは言えず児童ポルノに当たりません。
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激することをいいます。
一部の人の性欲を興奮させ又は刺激するものであっても、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものでない限り児童ポルノには当たりません。
例えば、炎暑に半裸でプールで遊んでいる姿をニュースで報道するなどは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとはいいがたく、児童ポルノにはあたりません。

児童ポルノ製造罪

第7条
3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

第7条3項は、提供目的製造罪について規定しています。
「製造」とは、第2条3項に定める「児童ポルノ」を新たに作り出すことをいいます。
本罪は、児童ポルノを提供する目的で、児童ポルノを製造した場合に成立します。
第7条4項の製造罪については、児童に児童買春・児童ポルノ禁止法第2条3項各号に掲げる姿態をとらせた上、これを撮影するなどした場合には、児童ポルノ製造罪が成立することになります。
また、ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を撮影することで、児童ポルノを製造した場合にも、盗撮による児童ポルノ製造罪が成立します。
盗撮による児童ポルノ製造罪は、3項の提供目的製造罪と4項の製造罪と「製造」という点で同じですが、「前二項に規定するもののほか」と規定されていることから、3項にも4項にも該当しない場合のみ、盗撮による児童ポルノ製造罪が成立することになります。
これらの法定刑も、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。

以上のように、盗撮した被写体の年齢や盗撮した内容によっては、児童買春・児童ポルノ禁止法違反となる可能性があります。

ご家族が児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件で逮捕されてしまいお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。