盗撮事件で成立する犯罪とは?

2019-09-21

盗撮事件で成立する犯罪とは?

盗撮事件で成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県高砂市にあるスポーツクラブの女性更衣室にカメラを設置し盗撮したとして、兵庫県高砂警察署は、インストラクターとして当該スポーツクラブに勤務するAさんを迷惑防止条例違反の容疑で逮捕しました。
Aさんは、接見に来た弁護士に、盗撮行為は1年前から行っており、水泳教室に参加していた小学生の着替え中にも盗撮していたことを話しています。
Aさんは、今後どのような罪に問われ、最終的にどのような処分を受けることになるのか不安でなりません。
(フィクションです)

盗撮は何罪になるの?

一般的に、相手方に了解を得ずに、密かに撮影する行為を「盗撮」といいます。
盗撮犯罪です!」というポスターがあるように、盗撮行為は犯罪です。
しかし、「盗撮罪」なる犯罪はありません。
盗撮の行為内容によって、成立する犯罪は異なりますが、概して次にあげる犯罪に当たることが多いと言えるでしょう。

1.兵庫県迷惑防止条例違反

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

まず、迷惑防止条例で禁止される盗撮は、「公共の場所又は公共の乗物」、「集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所」、そして「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に限定されています。
上記ケースでは、スポーツクラブの更衣室での盗撮ですので、迷惑防止条例第3条の2第3項に規定されている「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たります。
また、禁止される行為は、盗撮のみならず、盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したりする行為も含まれます。

以上より、Aさんの盗撮行為は、迷惑防止条例違反となり、その法定刑は6ヶ月の懲役または50万円以下の罰金です。
しかし、常習が認められると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と加重されます。

2.児童買春・児童ポルノ禁止法違反

さて、Aさんは小学生の着替え中も盗撮したと供述しています。
これについては、児童買春・児童ポルノ禁止法違反が成立するでしょう。
なぜならば、被写体が18歳未満の児童であるからです。

児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童ポルノの所持・提供・製造・輸出入等を禁止しています。
児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」とは、以下のものを指します。

写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの (児童買春・児童ポルノ禁止法第2条3項)

上記ケースのように、女児の裸を写したものは、三号に当たる可能性があります。
「衣服の全部又は一部を着けない」とは、社会通念上衣服と認められる物を全く着用していないか、又は衣服の一部を着用していない状態をいいます。
全裸や半裸の状態がこれに当たり、通常の水着を着ている場合にはこれに当たりません。
しかし、半透明又は透明の材質で作られた衣装等を着ている場合には、社会通念上人が着用する衣服とは認められず、「衣服の全部又は一部を着けていない姿態」に該当すると考えられます。
「殊更に」とは、問題となる写真や映像等の内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価されるものであることです。
子供が裸で水遊びをしている様子を成長の記録として撮影する場合は、内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価されるものでない限り「殊更に」とは言えず児童ポルノに当たりません。
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激することをいいます。
一部の人の性欲を興奮させ又は刺激するものであっても、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものでない限り児童ポルノには当たりません。
例えば、炎暑に半裸でプールで遊んでいる姿をニュースで報道するなどは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとはいいがたく、児童ポルノにはあたりません。

児童買春・児童ポルノ禁止法は、盗撮により児童ポルノを製造することを禁止しており、違反に対する刑事罰を規定しています。
法定刑も、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。

以上のように、盗撮した被写体の年齢や盗撮した内容によっては、児童買春・児童ポルノ禁止法違反となる可能性があります。

これらの2つ罪に加えて、盗撮目的で更衣室に侵入した行為について建造物侵入罪が成立します。

盗撮事件であっても、件数も多く、児童買春・児童ポルノ禁止法違反として立件された場合には、公判請求の可能性も高まりますので、早期に弁護士に相談し弁護活動を開始するのがよいでしょう。

ご家族が盗撮事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。