横領事件で事件化阻止

2019-09-19

横領事件で事件化阻止

横領事件事件化阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県朝来市にあるクリニックで経理と受付業務を行っていたAさんは、細工をしクリニックのレジから現金を抜き取る行為を繰り返していました。
Aさんは、家庭の事情でクリニックを先日退職しましたが、その後、クリニック側にAさんの不正が発覚し、クリニックからAさんに問い合わせの連絡が入りました。
「全額返してもらえなければ、兵庫県朝来警察署に被害届を出す。」と言われ、困ったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

横領罪とは

刑法上、罪名に「横領」が付くものには、「(単純)横領罪」、「業務上横領罪」、そして「遺失物等横領罪」の3つがあります。

横領罪

第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

本条は、他人の委託に基づいて物を占有している者が、その物を領得する行為を内容とする犯罪です。
本罪の主体は、「他人の物を占有する者」または「公務所の命によって自己の物を保管する者」です。
客体は、「自己の占有する他人の物」または「公務所から保管を命ぜられた」自己の物です。
前者の客体に関して、
①物であること
②自己が占有すること
③その占有が委託に基づくこと
④それが他人の物であること
が必要な要件となります。
ここでいう「占有」とは、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態をいいます。
また、占有が、物の所有者または公務所と、行為者との間の委託信任関係に基づくものであることが必要です。
これは、契約に限らず、事務管理、後見などの法律上の規定による場合にも生じます。

次に本罪の行為である「横領」の意義についてですが、判例・通説では、「委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為」を横領というと解されます。
この「不法領得の意思」の内容については、争いがありますが、判例によれば、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいうとされます。

業務上横領罪

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、業務上自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する犯罪です。
業務上の委託に基づいて他人の物を占有する者を主体とし、上の横領罪の業務者であることによる責任の加重規定です。

「業務」とは、「委託を受けて他人の物を管理(占有・保管)することを内容とする業務を反復継続しておこなう地位」を指します。
例えば、質屋、倉庫業者や職務上金銭を保管する役職員などが業務上の占有者です。
上のケースのように、経理業務も行っていたAさんは、業務上の占有者に当たるため、Aさんに対して成立し得るのは、業務上横領罪となるでしょう。

遺失物等横領罪

第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「遺失物」とは、占有者の意思によらずにその占有を離れ、いまだ誰の占有にも属してないものをいいます。
「漂流物」は、水中にある遺失物のことです。
「占有を離れた」とは、占有者の意思に基づかないでその占有を離れたことを意味します。
忘れ物、落とし物などがこれらに該当します。
トイレやベンチに置き忘れた財布などをとった場合には、遺失物等横領罪となる可能性があります。

横領罪の事件化阻止

横領罪をはじめとする犯罪を犯し、事件が被害者に発覚すると、多くの場合警察に通報・報告することにより、刑事事件として捜査が開始されることになります。
しかし、横領事件、特に業務上横領事件の場合には、被害者に多大な経済的損害が発生しており、加害者が横領した金額を回収することが被害者にとって最優先事項となることがほとんどです。
警察に被害を訴え、加害者が刑事事件の被疑者・被告人として刑事罰を受けたとしても、加害者が横領した金額がすべて被害者に戻ってくるとも限りません。
ですので、被害者が警察に被害を申告する前に、横領した金額を返済すること(もしくは、返済する約束)が出来れば、被害者が警察に被害届等を出さないと約束してもらえる可能性も十分あるのです。
このように、被害弁償を行う代わりに被害届の提出などを行わないとし、当該事件に関しては当事者間で解決したとする約束を「示談」といいます。
この示談に向けた話し合いは、当事者間で行った場合には、感情論で交渉が円滑に進まないなどのデメリットもありますので、示談交渉には弁護士を介して行うのがよいでしょう。

横領事件でお困りであれば、横領事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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