クレジットカードの不正利用

クレジットカードの不正利用

クレジットカードの不正利用について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、Bさんと交際関係にあり、Aさん宅に同棲していました。
Aさんは、Bさんに日常生活で必要なものはAさん名義のクレジットカードで支払ってよいと言われ、日頃からBさんはAさん名義のクレジットカードで買い物をしていました。
(フィクションです)

他人名義のクレジットカードの不正利用

上のケースのように、他人名義のクレジットカードを名義人以外の者が使用して商品等を購入した場合、名義人から当該クレジットカードの使用を許可されていたとしても、何等かの罪が成立し得るのでしょうか。

クレジットカード取引について

クレジットカードである商品を購入した場合、次のような形で取引が行われることになります。
まず、クレジットカード会員がクレジットカード加盟店に有効なクレジットカードを提示し、これに対して加盟店が商品の提供を行います。
当該商品の代金をクレジットカード会社が立替払いし、それによって譲渡された代金債権に基づき、後日クレジットカード会社が当該クレジットカード会員に支払い請求をし、クレジットカード会員がその代金を支払います。
クレジットカード会社は、クレジットカード会員がクレジットカード会社が立替えた商品代金を後から必ず支払ってくれるとの信頼のもとにクレジットカード加盟店に立替支払いをします。
つまり、クレジットカード取引では、クレジットカード会員の個人的信用力に基づいて無担保での信用供与を可能とすることが前提条件となっているのです。

この点、他人名義のクレジットカード不正使用については、この前提条件を偽ることになり、クレジットカード会社に対する詐欺罪が成立することになります。
もし、BさんがAさんに黙ってAさんの財布からAさん名義のクレジットカードをとり、そのカードを使って買い物をしたとすれば、Aさんの財布からクレジットカードをとったBさんの行為が「窃盗罪」、そしてAさんと偽りクレジットカードを使って商品を購入したBさんの行為が「詐欺罪」となると考えられます。
それでは、Aさん名義のクレジットカードの使用をAさんがBさんに許可していた場合であっても、「詐欺罪」は成立する可能性があるのでしょうか。

詐欺罪とは

まずは、詐欺罪がどのような罪であるのか、詐欺罪が規定されている刑法第246条をみていきましょう。

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪の構成要件は、次のとおりです。
(1項)①人を欺いて
    ②財物を
    ③交付させたこと。
(2項)①人を欺いて
    ②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと。

つまり、詐欺罪の成立には、「人を欺いて錯誤を生じさせ、その錯誤に基づいて財物・財産上の利益を交付させること」が必要となります。

他人名義のクレジットカードの不正使用について、判例は、名義を偽っていることで作為による詐欺といえ、また、商品の交付が処分行為といえるとして、1項詐欺罪の成立を認めています。
判例は、「クレジットカードの規約上、会員である名義人のみがクレジットカードを利用できるものとされ、加盟店に対しクレジットカードの利用者が会員本人であることの確認義務が課されているなど判示の事実関係の下では、クレジットカードの名義人に成り済まし同カードを利用して商品を購入する行為は、仮に、名義人から同カードの使用を許可されており、かつ、自らの使用に係る同カードの利用代金が規約に従い名義人において決済されるものと誤信していたとしても、詐欺罪にあたる。」としています。(最決平16・2・9)

このように、名義人からクレジットカードの使用を許可されていたとしても、他人名義のクレジットカードを使用することは、詐欺罪に当たる可能性があるのです。

他人名義のクレジットカード不正使用に限らず、思わぬ行為が犯罪となることもあります。
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