失火罪で刑事事件に

2019-11-08

失火罪で刑事事件に

失火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県養父市の山林で、Aさんは焚火をしていました。
しかし、その日は風が強く、焚火の最中に火が広がり、山や他人の住宅まで延焼させてしまいました。
兵庫県養父警察署は、失火の疑いで、Aさんへの取調べを開始しました。
(フィクションです)

刑法は、第9章を「放火及び失火の罪」と題して、放火罪と失火罪について規定しています。

まず、放火罪のうち、「現住建造物等放火罪」、「非現住建造物等放火罪」、そして「建造物等以外放火罪」は次のように規定されています。

(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
(非現住建造物等放火)
第百九条 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
(建造物等以外放火)
第百十条 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

これら3罪に共通する実行行為である『「放火」して客体を「焼損」したこと』についてですが、「放火」とは、故意によって不正に火力を使用し物件を焼損させることをいいます。
積極的な放火行為だけでなく、判例は、事故の過失により物件を燃焼させた者が、その既発の火力により建物が焼損されることを認容する意思をもって、あえて必要かつ容易な消火措置をとらないことは、不作為の放火行為といえるとして、不作為による放火行為を認めています。
また、「焼損」の意義については、幾つかの見解が主張されていますが、判例は、火が媒介物を離れ、目的物が独立に燃焼を継続するに至った状態を損傷と解する独立燃焼説を採っています。

一方、失火罪は、次のように規定されています。

第百十六条 失火により、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を焼損した者は、五十万円以下の罰金に処する。
2 失火により、第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

失火罪は、
失火により、現住建造物等または他人の所有に係る非現住建造物等を焼損した場合、
または、
失火により、自己が所有する非現住建造物等または建造物等以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた場合、
に成立する犯罪です。

失火」とは、過失により出火させることをいいます。
ここでいう「過失」は、火気の取扱上の落度をいい、出火して目的物を焼損するに至るべき事情があるときに、
①当該事情を認識できたにもかかわらず認識しなかったこと、
②当該事情から出火の危険性がないと軽信したこと、
により出火防止のための適切な手段をとらずに結果を生じさせたことを意味します。

重大な過失による場合は、重失火罪となり、法定刑は3年以下の禁錮または150万円以下の罰金となります。

放火罪の法定刑に比べると、失火罪は50万円以下の罰金刑となっています。

放火罪と失火罪の大きな違いは、故意に火をつけたか否かというところでありますが、先述したように、火をつけるつもりがなく不注意によって火をつけてしまった場合であっても、火災を予防・消火するための積極的措置をとらなければならない立場にいる者が、そのままでは建物等を焼損させてしまう可能性があることを分かっていながら、必要な消化措置をとらなかった、通報しなかったのであれば、「放火」に当たる可能性もあります。

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