少年事件における不送致処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県尼崎市の駅ホームで、女性客に痴漢行為を行ったとして、大学生のAくん(18歳)が兵庫県尼崎東警察署に逮捕されました。
しかし、Aくんは一貫して容疑を否認しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aくんは逮捕後勾留となりましたが、最終的に家庭裁判所不送致の処分となりました。
(フィクションです)
少年が事件を起こした場合
少年が事件を起こした場合、成人の刑事事件における場合と同様に、主に刑事訴訟法に基づいた手続がとられることになります。
しかし、刑法は、14歳未満の者については刑事責任を問わないこととしていますので、14歳未満の少年が刑罰法令に触れる行為を行った場合、刑事処分を受けることはありません。
刑事責任が問われませんので、被疑者として逮捕・勾留といった身体拘束を受けることはありません。
ただし、児童相談所で一時保護される可能性はあります。
このように、捜査段階、つまり、家庭裁判所に送致される前の段階では、事件を起こした少年の年齢によってとられる手続が異なります。
ここでは、14歳以上の少年の場合についてみていくことにします。
先述のように、14歳以上の少年が事件を起こした場合、逮捕・勾留などの身体拘束が伴う強制処分がなされることがあります。
身体拘束を受けている事件を「身柄事件」、身体拘束を受けていない事件を「在宅事件」と呼びますが、どちらであっても被疑者として捜査機関による捜査の対象となれば、取調官から取調べを受けたり、現場検証を行ったりと捜査を受けることになります。
その捜査を遂げた結果、少年が犯罪を行ったとの嫌疑がある場合、および、犯罪の嫌疑が認められないけれども、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
これは、少年法に以下にように規定されています。
第四十一条 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
第四十二条 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
2 前項の場合においては、刑事訴訟法の規定に基づく裁判官による被疑者についての弁護人の選任は、その効力を失う。
このように、捜査機関は原則、以下の場合には、事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
①司法警察員からの送致
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を検察官に送致することになっていますが、少年の被疑事件において、罰金以下の刑にあたる犯罪については、検察官に送致せず、直接事件を家庭裁判所に送致します。
②検察官からの送致
検察官は、警察が捜査を行い検察官に送致してきた事件の他に、検察官が自ら捜査した事件について、家庭裁判所に送致します。
しかし、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がない、および、家庭裁判所の審判に付すべき事由もないと考えられた場合には、捜査機関は事件を家庭裁判所に送致しない処分を決定します。
この処分を「不送致処分」といいます。
事件を家庭裁判所に送致しないため、その後家庭裁判所から調査や審判のために呼び出しを受けることはありません。
少年事件において不送致となるためには、捜査段階の早期から適切な弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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