少年事件における勾留に代わる観護措置
少年事件における勾留に代わる観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
中学生のAくん(15歳)は、見知らむ女の子(6歳)に声をかけ、長時間連れまわしたとして、兵庫県赤穂警察署の警察官に未成年者誘拐の容疑で逮捕されました。
その後、検察官は勾留に代わる観護措置を請求し、裁判官は勾留に代わる観護措置をとる決定を行いました。
Aくんの両親は、逮捕後に釈放されるものだと思っていたので、今後どのような流れになるのか心配になり、慌てて少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
捜査段階における流れ
14歳以上20歳未満の者が、犯罪を犯した場合(14歳以上で罪を犯した少年を「犯罪少年」といいます。)、成人の場合と同様に、警察に逮捕されることがあります。
少年であっても、捜査段階では基本的に刑事訴訟法が適用されます。
つまり、逮捕された場合、警察は48時間内に、少年を釈放するか検察に送致するかを決定します。
検察に送致した場合、検察官は少年の身柄を受けて、少年を釈放するか勾留請求をするかを決定します。
この点、少年法は、少年被疑者の身体拘束について、成人の場合とは異なる規定を設けています。
その一つが、「勾留に代わる観護措置」の制度です。
勾留に代わる観護措置とは
第四十三条 検察官は、少年の被疑事件においては、裁判官に対して、勾留の請求に代え、第十七条第一項の措置を請求することができる。但し、第十七条第一項第一号の措置は、家庭裁判所の裁判官に対して、これを請求しなければならない。
2 前項の請求を受けた裁判官は、第十七条第一項の措置に関して、家庭裁判所と同一の権限を有する。
3 検察官は、少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。
少年の場合には、検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合であっても、裁判官に対して、勾留に代わる観護措置の請求をすることができ、裁判官は、この措置をとることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されていますが、以下の点で勾留と異なります。
・少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
・勾留は延長が可能ですが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日で、延長は認められません。
・勾留に代わる観護措置として少年鑑別所収容がとられた事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。
身体拘束は、心身ともに未熟で発達途中である少年にとっては、成人以上の大きな影響を及ぼしかねませんので、警察留置施設に勾留される場合であっても、少年を成人と同じ留置施設に勾留することには様々な悪影響があることが考慮され、成人とは分離して留置されます。
少年の年齢が14~15歳の場合に、勾留に代わる観護措置がとられることが多いようです。
勾留に代わる観護措置がとられた場合、その期間は10日と延長はありませんが、その後家庭裁判所に送致された後に、当然に少年鑑別所収容の観護措置とみなされますので、引き続き審判終了までの間、身体拘束となります。
もちろん、その間、学校には行くことができません。
長期間欠席することで、退学となったり、事件のことが周囲に知られたりと、少年の更生に悪影響を及ぼしてしまうおそれもあります。
そのような事態を防ぐためにも、逮捕されたら、すぐに少年事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士は、少年と接見し、事情を聴いた上で、少年が逃亡・罪証隠滅するおそれがないこと説得的に検察官や裁判官に主張し、勾留、或いは、勾留に代わる観護措置がとられることのないよう働きかけます。
このような活動は、刑事事件のみならず少年事件にも精通する弁護士にお任せされるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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