少年事件と勾留に代わる観護措置
少年事件と勾留に代わる観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
小学生の女児を公園のトイレに連れ込み、わいせつな行為をしたとして、兵庫県福崎警察署は、中学生のAくん(14歳)を強制わいせつ容疑で逮捕しました。
逮捕後、神戸地方検察庁姫路支部は勾留に代わる観護措置を請求し、神戸地方裁判所姫路支部は勾留に代わる観護措置を決定しました。
Aくんの両親は、警察から「明日からは神戸少年鑑別所に収容されることになる。明日以降で鑑別所のほうで面会を予約してください。」と言われました。
Aくんの両親は、今後の流れやAくんに対する処分について、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
勾留に代わる観護措置とは
20歳以上の成人が刑事事件を起こし逮捕された場合、刑事訴訟法に基づいた手続に従って事件は進められます。
具体的には、逮捕されたら、警察署に連行され、警察署での取調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を検察に送致するか、それとも釈放するかを決めます。
事件自体が比較的軽微なものは「微罪処分」として処理されたり、容疑を認めており証拠も収集済みであり、継続して身体拘束する必要がない場合には、48時間以内に被疑者の身柄を解放し、在宅事件としてすすめます。
しかし、捜査も十分に尽くせておらず、証拠を収集する必要もある、逃亡のおそれもあるなど継続して身柄を拘束する必要があると判断されると、被疑者を証拠書類とともに検察に送致します。
被疑者の身柄を受けた検察官は、被疑者の取調べを行った上で、24時間以内に被疑者を釈放するか、勾留請求を行うかを決定します。
検察官が勾留請求をした場合、請求を受けて裁判官は、被疑者と面談し、当該被疑者について勾留の要件を満たしているか否かについて判断します。
裁判官が勾留決定を出せば、被疑者は検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
留置先は、警察署の留置場です。
少年が被疑者であっても、家庭裁判所に送致されるまでの捜査段階においては、基本的に刑事訴訟法に基づいた手続が適用されます。
ですので、捜査段階での手続は成人の刑事事件とほぼ同様となります。
しかし、少年の場合には、「勾留に代わる観護措置」という措置がとられることがあります。
検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合であっても、裁判官に対して、勾留に代わる観護措置を請求することができ、裁判官は、勾留に代わる観護措置をとることができます。
この勾留に代わる観護措置の手続は、基本的には勾留に関する規定が準用されるのですが、以下の点で勾留とは異なります。
①少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所の調査官による観護の方法もとることができます。
②勾留は延長することができるのに対して、勾留に代わる観護措置は、その期間を10日間とし、延長することはできません。
③勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置がとられたとみなされます。
ですので、勾留に代わる観護措置がとられると、家庭裁判所送致後も引き続き少年鑑別所に収容されることになるのです。
勾留に代わる観護措置がとられた場合、家庭裁判所送致後も少年鑑別所収容が継続することになりますので、長期での身体拘束を強いられることになります。
長期の身体拘束により、学校や職場に事件が発覚し、退学や解雇となるおそれもあり、少年の更生にとって大きな影響を及ぼすことが予想されます。
その一方で、少年鑑別所に収容されることで、少年自身が落ち着いて事件のことを振り返り、真摯に反省する機会を得ることができるという利点もあります。
お子様が事件を起こしてお困りの方は、少年事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
少年事件でお困りであれば、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。