スナックで強制わいせつ事件

2019-07-14

スナックで強制わいせつ事件

~ケース~
兵庫県加西市にあるスナックを訪れていたAさんは、会計前に近くのATMに現金を引き出すため、女性従業員Vさんと一緒に店を出ました。
その道中、Aさんは、Vさんの胸をもみ、お尻を触ってきたので、Vさんは驚き、逃げるように近くの交番に駆け込みました。
Aさんは、強制わいせつの容疑で逮捕されましたが、酔いが冷めたAさんは容疑を認め、自身の行為を猛省しています。
(フィクションです)

お酒を飲むと、普段は温厚な人が、感情的になったり欲求をコントロールすることができなくなることがあります。
また、スナックやキャバクラなどの女性従業員に対してなら、それぐらい構わないと思い、男性客が彼女らの胸やお尻を触るなどといった行為は、そう珍しくはないようです。
異性相手の接客業だからといって、無理やり相手の胸やお尻を触る行為が許されるわけではありません!
行為態様によっては、強制わいせつ罪が成立し得るのです。

強制わいせつ罪

強制わいせつ罪は、刑法第176条に規定されています。

第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は、13歳以上の男女に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
また、13歳未満の男女に対しては、手段や同意の有無を問わず、わいせつな行為をした場合に成立します。

1.わいせつな行為

本罪でいる「わいせつな行為」というのは、性的な意味を有し、本人の性的羞恥心の対象となるような行為のことをいいます。
相手の陰部や胸を触る、キスをするなどは「わいせつ行為」に当たります。
強制わいせつ罪における「わいせつ行為」は、公然わいせつ罪のそれより広く理解されています。
同じ「わいせつ行為」でも、強制わいせつ罪の保護法益が個人の性的自由であるのに対して、公然わいせつ罪のそれが性的秩序であり、それぞれの「わいせつ行為」の内容が異なるためです。

2.暴行・脅迫

わいせつな行為を強要する手段としての暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要はありませんが、反抗を著しく困難にする程度のものであることが必要とされます。
また、暴行自体がわいせつな行為である場合、わいせつな行為そのものによって被害者が怖くて抵抗できなかった場合でも、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

3.主観的要件

13歳未満の者を13歳以上であると勘違いして、暴行・脅迫によらずにわいせつな行為をした場合には、故意がないため強制わいせつ罪は成立しません。
かつて、判例は、強制わいせつ罪の成立には「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させる性的意図」が必要で、被害者への報復や虐待目的で被害者を裸にして写真を撮影したとしても強制わいせつ罪は成立しないとする立場をとっていました。
しかし、平成29年11月29日の最高裁判所の判決で「性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当ではない」と判断しました。
これにより、性的意図がなくても強制わいせつ罪が成立する可能性があることが示されました。

以上より、上記ケースにおいてのAさんの行為を検討すると、Vさんの意図に反して、Vさんの胸をもんだりお尻を触ったりする行為は、暴行でありわいせつな行為でもあり、強制わいせつ罪が成立する余地はあるでしょう。

このような被害者がいる事件では、事件解決の重要な手段として被害者との「示談」が挙げられます。
「示談」とは、被った被害に対して金銭的に賠償する代わりに、被害届や告訴の取下げなど、当該事件は当事者間では解決したと合意することです。
強制わいせつ罪は親告罪ではなくなりましたが、被害者からの許しが得られている場合には、検察官が不起訴として事件を終了する可能性は大いにあります。
一方、親告罪ではないので、被害者と示談したからといって、必ずしも検察官がすべての事件を不起訴にするというわけではないことに注意が必要です。

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