薬物事件の身柄解放

薬物事件身柄解放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎東警察署の警察官は、兵庫県尼崎市の路上を歩いていたAさんに職務質問を行いました。
所持品検査を行ったところ、持っていたバックから乾燥大麻が入った小袋が見つかりました。
Aさんは、大麻取締法違反(大麻所持)の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは、どの程度身体拘束が続くのか不安です。
(フィクションです)

薬物事件における身体拘束

大麻や覚せい剤といった薬物事件で逮捕された場合、逮捕後勾留となる可能性は高いでしょう。
薬物事件では、余罪がある可能性や共犯者がいる可能性が高いので、被疑者を釈放すると、証拠を隠滅するおそれがあると判断される傾向にあると言われています。
有罪にするために充分な証拠を収集し終わるまで、被疑者の身体を拘束したままで捜査が行われ、勾留期間いっぱいまで、10日間の勾留では不十分な場合には勾留延長となりさらに10日間の身体拘束となることが多いです。
さらに、共犯者と接触し証拠の隠滅を図ることを防ぐために、弁護士以外との接見を禁止する接見禁止が付される場合がほとんどです。

このように、薬物事件においては、ほとんどの場合、長期の身体拘束を余儀なくされるのです。

それでは、薬物事件での身柄解放は不可能だと言うことなのかと言えば、それは違います。

起訴される前の段階であっても、勾留を阻止することや勾留の取消しを求めることはできます。
しかし、残念ながら、薬物事件において、捜査段階においてそのような申立てが認められ釈放される確率はそう高くありません。

一方、捜査が終了し起訴された後であれば、比較的保釈が認められる可能性が高いので、起訴後に釈放となるケースが多くなっています。

保釈とは

一定額の保釈保証金を納付することを条件として、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を「保釈」といいます。
保釈には、以下の3つの種類があります。

1.権利保釈(必要的保釈)
裁判所は、権利保釈の除外事由に該当しない場合には、保釈請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
除外事由は、以下の通りです。
①被告人が、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が、前に、死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由のあるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

2.裁量保釈(任意的保釈)
裁判所は、上の権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することが出来ます。

3.義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により、又は職権により、保釈を許可しなければなりません。

保釈は、検察官が起訴した時点から、請求することができます。

保釈の条件として、一定額の保釈保証金を納付しなければなりません。
裁判所に保釈が許可されたとしても、保釈保証金を納付しなければ、実際に被告人の身体拘束が解かれることにはなりません。
保釈保証金の金額は、被告人の経済力に比例して決められるようです。
一般的な相場は、150万から300万円です。
保釈保証金は、判決後に戻ってきます。
しかし、保釈が取り消された場合、保釈保証金の全部または一部が没収されることにもなりますので、保釈中の行動には気を付けなければなりません。

薬物事件であっても、保釈が認められるケースもありますので、起訴後すぐに保釈請求を行い、釈放されることを目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含めた刑事事件専門の法律事務所です。
薬物事件で逮捕・勾留されてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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