薬物事件で執行猶予付き判決

薬物事件で執行猶予付き判決

薬物事件での執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県須磨警察署は、兵庫県神戸市須磨区に住むAさんがMDMAを自宅で所持していたとして、麻薬取締法違反(所持)の疑いでAさんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、薬物事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aさんはその後起訴され、公判では懲役1年執行猶予3年の判決が言い渡されました。
Aさんは、実刑判決を受けずに済んだことに感謝し、これからは心を入れ替え新しい人生を歩んでいくことを心に誓いました。
(フィクションです)

執行猶予とは

刑を言い渡すにあたり、犯情により一定の期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度を「執行猶予」といいます。
上記ケースでは、「懲役1年、執行猶予3年」が言い渡されたいますが、これは、刑の言渡しを受けてから3年間、罪を犯すことなく過ごすことができれば、この刑の言渡しそのものが無効となり、刑務所に行かなくてもよくなる、ということです。
執行猶予期間中に罪を犯さないこと」を条件としていますので、この期間中に何らかの罪を犯し有罪となると、執行を猶予されていた刑も受けなくてはなりません。

執行猶予には、刑期全部の執行猶予と刑の一部執行猶予の2種類があります。

刑の全部執行猶予の要件

(1)初度の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
 または、
 (b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免   除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50年以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる事情があること。

(2)再度の場合
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
 (ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、 執行を猶予することは許されません。)
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。

刑の一部執行猶予の要件

宣告刑の一部だけの執行を猶予する制度です。
例えば、「懲役2年に処する。その刑の一部である懲役4月の執行を2年間猶予する。」と言い渡されたとします。
この場合、まず、猶予されなかった1年8か月の懲役刑の執行を実際に受けて服役することになります。
服役後、猶予された4か月の執行猶予期間である2年間が始まり、この2年間を無事に経過すれば、4か月の懲役刑は執行されないことになります。

(1)初めて刑事施設に入所する者の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがない者
 または
 (b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
 あるいは、
 (c)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除   を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐため必要であり 、かつ、相当であると認められること。

(2)薬物使用者の場合
①薬物使用等の罪を犯した者であること。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、刑事施設における処遇に引き続き社会内において規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められること。

以上のように、実刑を回避し、執行猶予となるためには満たすべき要件が設けられています。
裁判では、このような要件を被告人が満たしていることを客観的な証拠に基づいて主張する必要があります。
このような弁護活動は、薬物事件に詳しい刑事事件専門弁護士にご依頼されるのがよいでしょう。

ご家族が薬物事件で逮捕・起訴されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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