刑事裁判で執行猶予付き判決②

2019-07-03

刑事裁判で執行猶予付き判決②

~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住むAさんは、コカインを使用したとして、兵庫県相生警察署に麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕されました。
逮捕・勾留後、Aさんは神戸地方検察庁姫路支部に同罪で起訴されました。
検察官は懲役3年を求刑しましたが、判決期日に神戸地方裁判所姫路支部は、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

判決の言い渡し

前回のブログで刑事裁判の大まかな流れについて説明しましたが、最後の判決において、裁判長は有罪か無罪か、有罪であれば被告人に科すべき刑事罰を言い渡すことがお分かりいただけたと思います。

判決期日は、事件が単純で軽微なケースであれば、結審して1~2週間後となることが多くなっています。
刑事裁判判決の言渡しは、ドラマと違い短時間で終了します。
判決文は「主文」と「判決理由」から成りますが、それらを読み上げるのに通常5分とかかりません。
裁判長は、被告人の氏名、生年月日、住所や本籍などを訪ねる人定質問を再び行い、被告人が人間違いでないことを確かめます。
その後、判決文が読み上げられます。

「被告人は無罪。」「被告人を○○の刑に処する」

といった内容の主文がまず読まれます。
その後に、裁判長は判決理由を読み上げます。
判決理由は、罪となるべき事実を説明し、どのような法律が適用され、量刑を科す理由から成ります。

執行猶予付き判決

「被告人を懲役1年6月の刑に処する。」との言渡しを受けた後、「ただし、刑の執行を3年猶予する。」という文言が追加されると、単に「被告人を懲役1年6月の刑の処する。」との言渡しとは異なる効果が生じます。
これを執行猶予付き判決といいます。

刑を言い渡すにあたり、犯情により一定の期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度を「執行猶予」といいます。
上記ケースでは、「懲役1年6月、執行猶予3年」が言い渡されたいますが、これは、刑の言渡しを受けてから3年間、罪を犯すことなく過ごすことができれば、この刑の言渡しそのものが無効となり、刑務所に行かなくてもよくなる、ということです。
執行猶予期間中に罪を犯さないこと」を条件としていますので、この期間中に何らかの罪を犯し有罪となると、執行を猶予されていた刑も受けなくてはなりません。

執行猶予には、刑期全部の執行猶予と刑の一部執行猶予の2種類があります。

刑の全部執行猶予の要件

(1)初度の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
 または、
 (b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免   除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50年以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる事情があること。

(2)再度の場合
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
 (ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、 執行を猶予することは許されません。)
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。

刑の一部執行猶予の要件

宣告刑の一部だけの執行を猶予する制度です。
例えば、「懲役2年に処する。その刑の一部である懲役4月の執行を2年間猶予する。」と言い渡されたとします。
この場合、まず、猶予されなかった1年8か月の懲役刑の執行を実際に受けて服役することになります。
服役後、猶予された4か月の執行猶予期間である2年間が始まり、この2年間を無事に経過すれば、4か月の懲役刑は執行されないことになります。

(1)初めて刑事施設に入所する者の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがない者
 または
 (b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
 あるいは、
 (c)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除   を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐため必要であり 、かつ、相当であると認められること。

このように判決言い渡しで、執行猶予が付されるか否かで、被告人のその後の生活が大きく変わります。
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