18歳未満との性交等:淫行条例違反

2020-08-02

18歳未満との性交等を行い刑事事件(淫行条例違反)となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三田警察署は、県外に住むAさんを兵庫県青少年愛護条例違反の疑いで逮捕しました。
18歳未満であることを知りながら、無料通信アプリで知り合った15歳の少女と性交をした疑いです。
Aさんは、「少女が18歳未満であることは分かっていたが、無理やりしたわけではなく、お互い同意の下でやった。」と話しています。
Aさんは、会社に事件のことが知られるとクビになるのではないかと心配しています。
(フィクションです)

18歳未満の者と性交等をした場合

18歳未満の者と性交や性交類似行為(以下、「性交等」といいます。)を行った場合、犯罪が成立し、刑事事件として手続に付される可能性があります。
該当し得る罪としては、以下のようなものがあります。

1.淫行条例違反

各都道府県は、青少年(18歳未満の者)の保護育成とその環境整備を目的にした条例を制定しています。
兵庫県は、「青少年愛護条例」を制定しており、その第21条は、青少年とのみだらな性行為等を禁止しており、違反者に対する罰則を設けています。

第21条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

本条例における「みだらな性行為(=「淫行」)」の意義については、福岡県の青少年保護育成条例についてではありますが、最高裁判所の判例で、以下のように解されています。

『「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。けだし、右の「淫行」を広く青少年に対する性行為一般を指すものと解するときは、「淫らな」性行為を指す「淫行」の用語自体の意義に添わないばかりでなく、例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いものを含むこととなつて、その解釈は広きに失することが明らかであり、また、前記「淫行」を目にして単に反倫理的あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判を免れないのであつて、前記の規定の文理から合理的に導き出され得る解釈の範囲内で、前叙のように限定して解するのを相当とする。』(最高裁大判昭60年10月23日)

結婚を前提としたような真剣交際の関係にあった場合には、淫行には当たらず、本条例違反を構成することはありません。

上の事例のように、ネットで知り合った青少年に対して、知り合ってから短期間で性交等に及んだ場合は、真剣な交際にあったとは認められ難いでしょう。
Aさんは、少女が18歳未満であったことは認識していたようですが、「お互いに同意の上での行為」だと主張しています。
しかし、この場合、相手が性交等に同意していたか否かは問題ではなく、相手の青少年を「誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為」をしたか否かが問われているので、Aさんが相手の少女と性交に至る経緯や関係性などを考慮すると、Aさんの行為は「淫行」に当たるり、Aさんが相手を18歳未満だと認識していたのであれば、淫行条例違反が成立することになります。

もし、Aさんが相手を18歳以上だと誤信していた場合には条例違反が成立するのでしょうか。

兵庫県青少年愛護条例は、18歳未満であることの認識に過失があっても処罰するとしています。

6 第17条第1項(同項第4号又は第9号に係る部分を除く。)、第20条第1項若しくは第2項、第21条第1項若しくは第2項、第21条の2、第21条の3又は第24条第2項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項又は前3項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。(第30条6項)

例えば、相手が18歳以上を示す身分証明書を提示したため、18歳以上だと信じたけれども、実際には他人の身分証明書で相手は18歳未満であった場合には、相手を18歳以上だと信じるのが通常であるため、故意も過失もなく、上の規定に関わらず罪は成立しません。
しかし、提示された身分証明書がその相手のものではないと気付くような状況であった場合には、過失があったとして、条例違反が成立することになります。

兵庫県青少年愛護条例違反(淫行条例違反)の法定刑は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
初犯であり、立件された事件数も少ない場合には、罰金となるケースが多いでしょう。
しかし、初犯であっても、複数の事件が立件されており、その犯情も悪い場合には、公判請求され刑事裁判となる可能性もあります。
他方、早期に被害者(実際には、被害者の保護者)との間で示談を成立させることができれば、不起訴処分で事件を終了させる可能性を高めることができます。
ですので、18歳未満の者と性交等を行い、淫行条例違反で被疑者として捜査の対象となっているのであれば、できるだけ早くに弁護士に相談・依頼し、被害者との示談交渉に着手することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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