児童売春をしぐ犯事件として家庭裁判所に送致される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三木市に住むAさん(16歳)は、高校に進学したものの、夏休みに入り無断外泊を繰り返し、2学期に入ってからは家出を繰り返すようになりました。
その間、知人の男性を通じて、児童売春をしていました。
ある日、Aさんが深夜に繁華街にいたところ、警ら中の兵庫県生田警察署の警察官に声を掛けられ、補導されました。
警察官から話を聞かれる中で、Aさんが家出をしていることや、売春をしていることも発覚しました。
その後、何度か警察署で話を聞かれた後に、Aさんは警察官から「神戸家庭裁判所に送致するから、また裁判所から連絡がある。」と言われました。
AさんとAさんの両親は、今後どのような流れになるのか分からず心配しています。
(フィクションです)
児童売春について
児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春規制法」といいます。)で禁止されており、違反した者に対する刑事罰が定められています。
児童買春規制法における「児童買春」とは、児童(18歳未満の者)、児童に対する性交等の周旋をした者、または、児童の保護者または児童をその支配下に置いている者に対して、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、または自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせること。)をすることをいいます。(児童買春規制法第2条2項)
つまり、児童と金銭等を渡し、または渡す約束をして性交等をする行為を禁止しており、それに違反した者には、5年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
その他、児童買春を周旋したり勧誘したりする行為も処罰の対象となっています。
一方、売春した児童については、処罰の対象とはなっていません。
買春の相手方となった児童は、児童買春規制法において保護の対象となります。
つまり、売春をしたことに自体について罪に問われることはありません。
しかしながら、このような場合であっても家庭裁判所が保護事件として事件を受理する可能性はあります。
家庭裁判所が少年事件として取り扱うものには、主に次のような少年の事件です。
①犯罪少年
罪を犯した14歳以上20歳未満の少年。
②触法少年
刑罰法令に触れる行為をしたが、行為時において14歳未満であったので法律上罪を犯したことにならない少年。
③ぐ犯少年
20歳未満で、保護者の正当な監督に従わないなどの不良行為があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある少年。
Aさんは、売春をしていましたが、これ自体は罪になりません。
しかし、家出を繰り返していることなどから、③のぐ犯少年として事件が家庭裁判所に送致される可能性はあります。
ぐ犯少年について
前述しましたが、ぐ犯少年とは、少年法第3条1項3号イないしニに定められている一定の事由(ぐ犯事由」)があって、その性格または環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれ(「ぐ犯性」)のある少年のことをいいます。
ぐ犯事由は、次の4つです。
(1)保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
(2)正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
(3)犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること。
(4)自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
Aさんの場合、家出を繰り返していますので、ぐ犯事由の(1)や(2)に該当することが考えられます。
また、売春をしていたことで、性的悪癖や人格を損なうみだらな行為など、社会的倫理的通念に反する行為を自ら行い行動傾向があるとして、ぐ犯事由の(4)に該当すると判断される可能性もあります。
ぐ犯事由があり、かつぐ犯性も認められる場合には、ぐ犯が成立することになります。
ぐ犯少年として家庭裁判所に送致されると、犯罪少年の場合と同様の手続となります。
観護措置の必要があれば観護措置がとられ、少年鑑別所での心身鑑別と家庭裁判所調査官による調査が行われ、審判を経て決定が言い渡されます。
このように、罪を犯していない場合であっても、ぐ犯少年として家庭裁判所に送致されることもあります。
お子様がぐ犯少年として家庭裁判所に送致されて対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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