Archive for the ‘刑事事件’ Category

居直り強盗で逮捕

2021-04-25

居直り強盗逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
Aは、兵庫県川辺郡猪名川町の民家に侵入し、現金や貴金属などを盗もうとしていたところ、家人に見つかってしまいました。
Aは、家人を脅し、金庫を開けさせ現金や貴金属を奪い去りました。
後日、兵庫県川西警察署は、居直り強盗事件の被疑者としてAを逮捕しました。
(フィクションです。)

居直り強盗

他人の居宅に侵入し、金品を盗んだ場合、住居侵入罪及び窃盗罪が成立すると考えられます。
ただ、盗みに入った後に、家人に見つかり、犯人が家人に暴力を振ったり脅迫したりして、最終的に逃亡した場合には、いわゆる居直り強盗としての強盗罪又は事後強盗罪が成立する可能性があります。

1.強盗罪

刑法第236条 
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

暴行・脅迫を手段として、人の財物を奪ったり、財産上の利益を得、又は第三者に得させた場合に成立する犯罪です。

暴行・脅迫は、財物奪取の手段として行われていなければなりません。
財物奪取以外の意思で相手に暴行を加え、相手が財布を落とし、その財布から現金を抜き取った場合、相手に加えた暴行は、強盗罪における暴行には当たらず、暴行罪と窃盗罪が成立することになります。
そして、暴行・脅迫は、相手の反抗を抑圧する程度に強いものでなければなりません。
この程度に達しているか否かは、社会通念上一般に相手の反抗を抑圧するに足りる程度か否かという点について客観的に判断されます。

2.事後強盗罪

刑法第238条 
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

窃盗は、窃盗の実行に着手した者が、財物を取り返されることを防ぐ目的で、或いは逮捕を免れる目的で、又は罪証を隠滅する目的で、窃盗の現場ないし窃盗の機会に暴行・脅迫をした場合、事後強盗罪に当たります。

強盗と事後強盗の違いは、暴行・脅迫の目的にあります。
強盗の場合は、財物奪取のための暴行・脅迫ですが、事後強盗の場合は、財物を取り返されるのを防ぐため、逮捕を免れるため、罪証を隠滅するための暴行・脅迫です。
そのため窃盗犯人が、窃盗の実行行為を開始した後に家人に発覚したため、居直って、強盗の意思が生じ、相手に暴行・脅迫を加えて財物を奪うという居直り強盗は、通常の強盗罪に該当します。

いずれにしても法定刑は同じ5年以上の有期懲役であり、罰金刑は設けられていません。
初犯であっても、有罪となれば実刑となる可能性がありますので、早期に刑事事件に強い弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

万引きで略式手続

2021-04-21

略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県西脇警察署は、兵庫県多可郡多可町にあるコンビニで商品を万引きしたとして、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんには窃盗の前科・前歴があり、直近では2年前にスーパーマーケットで万引きし、最終的に罰金20万円が言い渡されていました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、今回はより厳しい処分になるのではないかと心配し、すぐに弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

万引きで検挙される被疑者の多くは、初犯ではない場合が少なくありません。
つまり、検挙された事件以前にも同様の万引き事件を起こしているケースが多く見受けられます。
無論、万引きという比較的軽微な犯罪であっても、何度も罪を重ねれば、その分科される処分も重くなります。
万引きの場合、初犯であれば微罪処分で処理される傾向にあります。
微罪処分というのは、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないと定められた犯罪について、警察で処理する手続のことをいいます。
警察で取調べを受けて終了するような場合は、微罪処分で事件処理されたというわけです。
初犯ではなく2回目の万引きとなれば、事件は警察限りでの処理というわけにはいきません。
事件は検察官に送致され、検察官が起訴・不起訴の判断を行います。
2回目(もしくは3回目)であっても、被害の回復ができている場合には、起訴猶予で不起訴処分となる可能性はあります。

さて、それ以上の再犯になると、いくら被害を回復している場合であっても、検察官が不起訴で事件を処理する可能性は随分と低くなります。
3~4回目の万引きとなれば、起訴される可能性が高いと言えます。
しかしながら、起訴にも種類があり、刑事裁判を開いて有罪・無罪を審理することを要求する公判請求と、書面だけで審理する略式手続に付すことを要求する略式起訴とがあります。
万引き事件では、いきなり公判請求となるよりも、略式手続となることがほとんどです。

略式手続は、簡易裁判所が、その管轄事件について、検察官の請求により、公判手続を経ないで、検察官の提出した証拠を審査して、一定額以下の罰金又は科料を科す簡易裁判手続をいいます。

略式手続に付すための要件は、
①簡易裁判所の管轄に属する事件であること。
②公訴提起と同時の、書面による検察官の請求があること。
③検察官による説明、正式裁判を受ける権利の告知、略式手続に異議がない旨の書面による確認が行われていること。
④検察官による略式命令請求と同時に書類・証拠物を差し出していること。
略式手続によることの相当性があること。
です。
簡易裁判所が出す略式命令は、100万円以下の罰金又は科料を科すことができ、刑の執行猶予をすることもできます。

略式命令を受けた者又は検察官は、略式命令の告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができます。

略式手続となるメリットは、通常の公判手続ではなく簡略化された手続で処理されるという点です。
通常の公判手続となれば、起訴されてから公判期日までも時間を要しますし、最終的に判決が言い渡されるま2か月ほどかかります。
また、被告人本人が法廷に行く必要があり、公訴事実を認める場合であっても最低2回は出廷しなければなりませんので、被告人の負担ともなります。
公開の審理ですので、自分が犯した罪についていろんな人に知られるという不利益がありますが、略式手続は書面だけの審理であるので、関係者以外に事件が漏れる心配はありません。

ただ、略式手続となることのデメリットもあります。
裁判官は、検察官が提出した証拠書類を基に審理しますので、被告人が自分で裁判官に対して意見を述べることはできません。

以上のような略式手続のメリット・デメリットを考慮した上で、検察官から略式手続を提示された場合には同意・不同意を決めることになります。

上の事例では、前回が罰金20万円の刑が言い渡されていますが、これもおそらく略式手続に付されたと考えられます。
今回は、検察官に公判請求される可能性もあるため、検察官に働きかけ略式手続で事件を処理してもらうことを目指します。
もちろん、容疑を否認しているのであれば、略式手続に付されることを拒否し、公判で争う必要があります。

万引きの再犯で対応にお困りであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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盗撮事件で逮捕

2021-04-14

盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県赤穂郡上郡町にあるホテルの大浴場の脱衣所で女性を盗撮したなどとして県外に住むAさんが逮捕されました。
調べに対してAさんは、「撮ったことは認めるが、交際相手から指示を受けてやった。私は盗撮した画像をどうにかするつもりはなかった。」と話しています。
(フィクションです。)

盗撮をした場合

盗撮は、多くの場合、各都道府県が制定する迷惑防止条例で禁止する行為に該当します。
兵庫県は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等に関する条例」の第3条の2において、以下のように規定しています。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

◇1項◇
第2条の2第1項は、「公共の場所」又は「公共の乗物」において、①人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動、或いは、②正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機等を設置する行為を禁止しています。

「公共の場所」とは、不特定かつ多数が自由に利用し、又は出入りすることができる場所のことをいいます。
道路、公園、広場など国や地方公共団体の所有地や施設のみならず、駅、桟橋、埠頭、デパート、飲食店、興行場も公共の場所に当たります。
「公共の乗物」とは、電車、バス、船舶、航空機その他不特定多数の者が利用するための乗物を指します。

①卑わいな言動については、一般人の性的道義観念に反し、他人に性的羞恥心、嫌悪を覚えさせ、又は不安を覚えさせるようないやらしくみだらな言語、動作をいうと解されています。(最決平20・11・10)
「不安を覚えさせるような卑わいな言動」と規定してあり、「盗撮」という文言は明記されていませんが、「盗撮」という行為が「不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たるため、公共の場所・公共の乗物において盗撮をした場合には、迷惑防止条例第3条の2第1項に該当し、迷惑防止条例違反の罪が成立することになります。

②正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機等を設置する行為は、実際に盗撮に成功していない場合であっても、盗撮目的でカメラを「設置」する行為が禁止対象となっているため、迷惑防止条例違反の罪が成立することになります。

◇2項◇
第2条の2第2項は、1項で規定されている「公共の場所・公共の乗物」を除いた「集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所」において、①人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為、及び、②盗撮目的で写真機等を設置する行為を禁止しています。

◇3項◇
第2条の2第3項は、「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を」盗撮する行為、盗撮目的で写真機等を向ける行為、又は盗撮目的で写真機等を設置する行為を禁止しています。

事例のようなホテルの大浴場の脱衣所での盗撮は、この3項違反となります。

しかしながら、被写体が18歳未満の者であった場合には、児童買春・児童ポルノ処罰法違反の罪が成立する可能性があります。
児童買春・児童ポルノ処罰法は、盗撮による児童ポルノ製造も処罰対象としており、ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処するとしています。

いづれの罪の成立にも、「故意」がなければなりません。
「故意」とは、罪を犯す意思のことです。
盗撮を例にとれば、盗撮をしようと思って行為に及んだ場合に罪が成立するのであって、偶然様々な要素が相まって盗撮に当たるような行為をしてしまった(なかなかそんなことはないのですが…)場合には故意が認められず罪は成立しないことになります。
また、「盗撮をしてやる」と確信的な故意はなくとも、「盗撮してしまうかもしれないけど、ま、いいや。」といった犯罪の実現を可能なものと認識して認容している場合(これを未必の故意といいます。)にも故意は認められます。
この点、事例のように、「人に頼まれて盗撮した。自分のためではない。」といった主張をしたからといって、罪の成立が妨げられるわけではありません。
自分のためであろうが、人のためであろうが、大浴場の脱衣所で着替えている人の姿を撮影することの認識があれば、故意は認められます。

盗撮事件のように被害者がいる事件では、被害者への謝罪・被害弁償、そして示談締結の有無が最終的な処分に影響する可能性が高いです。
そのため、事件を穏便に解決するためには、早期に被害者と示談交渉を行うことが重要です。
盗撮事件を起こしてしまい、被害者への対応にお困りであれば、弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にご連絡ください。

公然わいせつで現行犯逮捕

2021-04-11

公然わいせつ現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、兵庫県揖保郡太子町の路上に駐車していた車内で、わいせつな行為をしてたとして、目撃者からの通報を受けて駆け付けた兵庫県たつの警察署の警察官に事情を聴かれました。
その後、「また連絡します。」と警察官から言われたAさんは、今後どのような流れになるのか、いかに対応すべきか分からず、ネットで刑事事件専門弁護士を探し法律相談の予約を入れました。
(フィクションです。)

公然わいせつ罪

刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

公然わいせつ罪は、性秩序ないし善良な性風俗を保護法益とするものです。

公然わいせつ罪は、「公然とわいせつな行為」をする犯罪ですが、ここでいう「公然」とは、不特定又は多数の人が認識することのできる状態を意味します。
認識することが「できる」状態であることが求められるのであって、必ずしも公衆の面前である必要はなく、現実に不特定又は多数の人が認識したことまでも必要ではなく、不特定又は多数の人が認識する可能性があれば足ります。

「わいせつな行為」については、その行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものと理解されています。(東京高判昭27・12・18)
正常な羞恥心を害するか否か、善良な性的道義観念に反するか否かについては、その時代における社会の一般人を基準にして判断され、行為者自身や目撃者が現実に性的羞恥心を害されたか否かといった点で判断されるものではありません。

刑法の公然わいせつ罪に当たらない場合であっても、軽犯罪法に規定される身体露出の罪となる可能性があります。

軽犯罪法の身体露出の罪は、公衆の目に触れるような場所で公衆に嫌悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出する犯罪です。
「公衆の目に触れるような場所」とは、公然わいせつ罪における「公然」とほぼ同じ意味であり、不特定又は多数の者が認識し得る状態をいいます。
「公衆に嫌悪の情を催させるような仕方」とは、一般通常人の風俗感情からして不快の念を与えるようなものをいいます。
そして、「しり、ももその他身体の一部をみだりに露出」するとは、例示されている尻、ももに代表されるような通常人が衣服などで隠している部分を正当な理由なく人目に触れる状態に置くことを指します。

公衆の面前で身体の一部を露出した場合、その行為が「嫌悪の情を催させるようなもの」であれば軽犯罪法違反となりますが、当該行為が「わいせつ」にあたれば公然わいせつ罪が成立することになります。

公然わいせつで現行犯逮捕された場合

公然わいせつで逮捕されるケースは、
①犯行時、又は犯行直後に警察官に逮捕される場合、
②犯行後、しばらくしてから逮捕される場合
となるでしょう。

①の場合を「現行犯逮捕」といい、目撃者からの通報を受けた駆け付けた警察官や付近を警ら中の警察官に犯行を目撃され、その場で逮捕される場合も少なくありません。
②は、目撃情報などから事件が発覚し、捜査の結果、犯人と思われる人物が特定され、裁判所に逮捕状発行を請求し、逮捕状を得た上で逮捕する「通常逮捕」と呼ばれる場合です。

①も②も、逮捕されてから48時間以内に、被疑者を釈放するか、検察官に証拠物等と一緒に送致するかを警察が決めます。
公然わいせつの場合、身元もはっきりしており、家族等の身元引受人がいる場合には、48時間以内に釈放されるケースが多いでしょう。

当然ながら、釈放されたからといって、それで事件が終わるわけではありません。
事件は引き続き捜査され、検察官に送致された後、検察官が最終的に起訴・不起訴の判断をします。

公然わいせつ事件を起こして捜査を受けておられるのであれば、今後の対応などを含めて弁護士に相談するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件を起こして対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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常習傷害罪(暴処法違反)で逮捕

2021-03-31

常習傷害罪(暴処法違反)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県美方郡新温泉町の居酒屋で、他の客と喧嘩になり、止めに入った店長の顔を殴ったとして、Aさんは、通報を受けて駆け付けた兵庫県美方警察署の警察官に傷害の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんは、過去にも酒に酔った上での暴行罪、傷害罪、脅迫罪、器物損壊罪で処罰されており、警察は常習性についても調べるようです。
(フィクションです。)

傷害と常習傷害

暴力を振るい相手方に怪我を負わせた場合、通常、傷害罪が成立すると考えられます。
しかし、加害者に暴行や傷害の前科が多数ある場合には、単なる傷害罪ではなく常習傷害罪が成立する可能性があります。
今回は、それぞれの罪について、いかなる場合に成立し得るのかについて説明していきます。

1.傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

◇犯行の対象◇
傷害罪の客体は「人」であり、行為者本人を除く「身体」を有する自然人です。
法人やその他の団体は本罪の客体とはなりません。

◇行為◇
傷害罪の実行行為は、「傷害する」ことです。
「傷害」の意義については、判例は、人の生理機能に障害を与えること、又は、人の健康状態を不良に変更させることとしています。(最判昭24・7・7など)
傷害の方法については、暴行による方法と暴行によらない方法とがありますが、暴行又は暴行によらない方法による行為と障害結果との間には因果関係が必要となります。
暴行による傷害の場合、人の身体に対する有形力の行使によるものであって、相手方に対して殴る蹴るなどが典型です。
他方、暴行によらない傷害の場合については、性病に羅患している者が強制性交行為によって性病を感染させる場合(最判昭27・6・6)や、自宅から隣家に向けてラジオの音声や目覚まし時計のアラーム音を鳴らし続け、精神的ストレスから睡眠障害等を負わせた場合(最決平17・3・29)などに傷害が認められています。

◇故意◇
傷害罪は故意犯であり、傷害の結果を意図して暴行を加え、それにより傷害の結果が発生した場合に傷害罪が適用されることに議論の余地はありません。
しかし、故意に暴行を加え、その結果、意図しない結果として傷害の結果が発生した場合には故意が認められないとして傷害罪は成立しないことになるのかが問題となります。
この点、傷害罪は故意犯であるとともに、暴行罪の結果的加重犯でもあるため、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りると理解されています。(最判昭25・11・9)

2.常習傷害罪

暴力行為等処罰ニ関スル法律(以下、「暴処法」といいます。)第1条の3は、常習として傷害罪、暴行罪、脅迫罪又は器物損壊罪を犯した者が、人を傷害させた場合は、1年以上15年以下の懲役に処し、傷害に至らずに暴行にとどまった場合は、3月以上5年以下の懲役に処すという常習傷害罪を規定しています。
常習傷害罪が成立する場合には、傷害罪は成立しません。
そのため、常習性の有無によって、成立する犯罪が異なります。

常習傷害罪が成立するためには、
①暴力行為の常習性があり、
かつ、
②本件の行為が暴力行為の常習性の発現として行われたもの
でなければなりません。
これらの要件を判断する際には、行為者の性格や素行、行為の動機・種類・態様、各種暴力行為の反復回数などが考慮されます。
性格や素行の面で粗暴傾向が強く、行為の動機・種類・態様に繰り返しが多い場合には、上の要件は認定されやすくなります。
これらを考慮する際には、前科・前歴が重要な判断資料となります。
本件における行為の動機・種類・態様が前科・前歴と共通している場合には、暴力行為の常習性、その発言としての本件行為が認められるでしょう。

常習性の有無によって、傷害罪にとどまるのか、常習傷害罪となるのかが違ってきますので、傷害等の前科があり常習性の有無が問題となる場合には、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が傷害事件で逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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置き引き事件で逮捕

2021-03-17

置き引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
兵庫県朝来市のスーパーマーケットで置き引き事件が発生しました。
男性客Vさんがビールを1ケースを購入しようと、傍に持っていた自分のカバンを置き、ビールの入った段ボール箱を持ち上げたところ、カバンを置いたままそのままレジに向かってしまいました。
Vさんは会計時に自分のカバンがないことに気が付き、慌ててビール売り場に戻りましたが、カバンは既になくなっていました。
店員にも確認してもらいましたが、落とし物として届けられてはいませんでした。
店の防犯カメラには、Vさんが立ち去った直後に、別の男性が現れ、Vさんのカバンを手に取り、中身を確認したうえで、カバンを持ち去る映像が残っていたため、店長は警察に通報しました。
通報を受けて捜査を開始した兵庫県朝来警察署は、後日、市内に住むAさんを置き引き事件の容疑者として逮捕しました。
(フィクションです。)

置き引き事件~窃盗罪が成立する場合~

置いてある他人の荷物を許可なく持ち去る行為を、一般に「置き引き」と呼びます。
この「置き引き」は、刑法上の「窃盗罪」または「占有離脱物横領罪」に当たる可能性があります。
ここでは、窃盗罪が成立する場合について解説します。

窃盗罪とは

窃盗罪は、「他人の財物を窃取」する犯罪です。

◇犯行の対象◇

窃盗罪における犯行の対象は、「他人の占有する財物」です。
「財物」は、形があるもの(=有体物)と理解されていますが、有体物でなくとも、電気など物理的に管理可能なものも含まれます。

「他人の占有する」というのは、人が物を実力的に支配している状態を意味します。
物を実際に持っている場合が「占有」の典型的な例ですが、それ以外にも、物に対する「事実上の支配」があれば、窃盗罪における「占有」が認められます。
「事実上の支配」は、物を客観的に支配している場合だけでなく、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含まれます。
そして、物の支配をいつでも取り戻せる状態であるかどうかは、支配の事実や占有の意思という2要素を考慮して判断されます。

◇行為◇

窃盗罪の行為である「窃取」とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。

◇結果◇

財物の他人の占有を排除して、自己または第三者の占有に移したことにより、窃盗罪の実行に着手してこれを遂げ、犯罪を完成させたことになります。

◇故意◇

窃盗罪は故意犯ですので、犯罪の成立には、罪を犯す意思(=故意)がなければなりません。
窃盗罪の故意は、他人の財物を窃取することの認識・認容です。

◇不法領得の意思◇

条文上の規定はありませんが、窃盗罪の成立には、主観的要件として故意のほかに、「不法領得の意思」が必要となります。
「不法領得の意思」というのは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用しまたは処分する意思のことです。

置き引きが窃盗罪に当たるかどうかを判断する際のポイントは、行為時に、他人の占有があるかどうかです。
つまり、犯人が他人の財物を手に入れたとき、その財物に他人の占有が認められるか否か、という点が問題となります。
先にも述べたように、「占有」の概念については、その物に対する「事実上の支配」の有無が問題となります。
「事実上の支配」とは、持ち主が物を目に見える形で支配している場合だけでなく、持ち主が物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態をも含みます。
そして、持ち主が物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態であるかどうかについては、持ち主の物に対する支配の事実や支配の意思の観点から判断されます。
持ち主の物に対する支配の事実については、持ち主が物を置き忘れてから気付くまでの時間的、場所的近接性が、支配の意思については、持ち主が物の存在していた場所をどの程度認識していたか、といった点が考慮されます。

上の事例では、具体的な時間的場所的関係は明らかではありませんが、スーパーマーケットの酒売り場でカバンを置き忘れ、会計時に気付いてすぐに酒売り場に戻ってきていますので、持ち主が物を置き忘れてから気付くまでの時間的・場所的近接性が認められ、置き忘れた場所もしっかりと認識していたことから、カバンに対する事実上の支配が認められる可能性があるでしょう。

窃盗罪のような財産犯では、被害の回復の如何が最終的な結果に大きく影響します。
そのため、窃盗事件を起こした場合には、できる限り早期に被害者に対して被害弁償、示談に向けた交渉を行うことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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まずは、お気軽にご連絡ください。

傷害事件、示談で不起訴へ

2021-03-14

傷害事件において示談不起訴となる活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県三木市の居酒屋で会社の同僚と飲んでいた会社員のAさんは、ひょんなことから隣席の男性と口論になりました。
Aさんは、お酒が入っていたこともあり、気が大きくなり、男性からの挑発を受けて拳で男性の顔を殴ってしまいました。
Aさんは会計を済ませ店を出ましたが、後日、兵庫県三木警察署から連絡があり、「△△居酒屋での喧嘩で、相手方さんから被害届が出ています。一度、お話を聞かせてもらえますか。」と言われました。
困ったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談の予約を入れました。
(フィクションです)

暴行を加えて、相手方に怪我などの傷害を負わせる傷害事件を起こすのは、日頃から気性の荒い人間だけとは限りません。
酒の影響で正常な判断が出来ずに手を出してしまうケースも少なくありません。

傷害罪とは

傷害罪は、刑法204条に規定されている犯罪です。

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、他人の身体に対する侵害を内容とする犯罪です。

◇客体◇

傷害罪の客体は、「人の身体」です。
行為者自身の身体の傷害(=自傷)は、罪とはなりません。

◇行為◇

傷害罪の実行行為は、「人の身体を傷害する」ことです。
傷害」の概念についてですが、判例は、「人の生理的機能に障害を加えること」であるとしています。
傷害として認められたものとしては、
・怒号等の嫌がらせにより、不安・抑うつ状態に陥れること。(名古屋地裁判決、平成6年1月18日)
・性病であることを秘して、被害者女性の性器に自己の性器を押し当て、被害者に性病を感染させたこと。(最高裁判決、昭和27年6月6日)
・キスマークをつけること。(東京高裁判決、昭和46年2月2日)
・皮膚の表皮を剥離すること。(大審院判決、大正11年12月16日)
・暴行、脅迫により外傷後ストレス障害(PTSD)を惹起すること。(最高裁決定平成24年7月24日)
このように、殴る蹴るといった典型的な有形力の行使により、相手方に怪我を負わせる以外にも、傷害に当たる場合があるのです。
傷害の方法については、有形無形を問いません。

◇故意◇

傷害の故意については、傷害罪が暴行罪の結果的加重犯であることから、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りるとするのが判例です。(最高裁判決、昭和25年11月9日)

以上の要件を満たしており、かつ、責任能力も認められ、違法性も阻却されないのであれば、傷害罪が成立することになります。

傷害事件で被疑者となってしまったら

傷害事件で被疑者となった場合、最終的に起訴するかしないかは検察官の判断に委ねられます。
検察官が起訴し有罪となれば、前科が付くことになります。
しかし、検察官が起訴しないとの決定をすれば、被疑者として捜査された前歴は残りますが、有罪判決を言い渡されてはいないので前科が付くことはありません。
検察官が起訴しないとする処分(不起訴処分)には、その理由に応じて様々ですが、不起訴処分となるものの多くが「起訴猶予」です。
起訴猶予は、有罪であることを証明するには十分の証拠があるものの、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況等を鑑みて、検察官の裁量によって不起訴とする場合のことです。
被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かも起訴・不起訴を決める際に考慮される重要な要素です。
傷害罪は、被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪ではありませんが、被害者との示談が成立し、許しを得ている場合には、不起訴となる可能性を高めることができます。
ですので、傷害事件で被疑者となった場合には、被害者との示談成立に向けて動くことが大切です。
しかし、加害者と被害者が直接示談交渉をすることはあまりお勧めしません。
なぜなら、捜査機関が被害者の個人情報を加害者に教えなかったり、被害者が加害者に直接連絡をとることを拒否することがあるため、連絡すらできない場合が多いことや、事件の当事者が直接話合うと感情的になり交渉が難航することがよくあるからです。
弁護士を介してであれば、捜査機関を通じて被害者と連絡をとることや、冷静な態度で示談交渉に挑み、被害者に対して示談のメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、当事者両方が納得のいく形での示談成立に向けて粘り強く交渉することが期待できます。

このような活動は、刑事事件に強い弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に取り合う法律事務所です。
傷害事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

無賃乗車で詐欺罪

2021-03-07

無賃乗車詐欺罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
岡山県の駅でタクシーを拾ったAさんは、タクシー運転手に「赤穂駅までお願いします。」と告げました。
目的地に到着したため、タクシー運転手はタクシー代を請求したところ、Aさんは「お金がない。」と答えました。
タクシー運転手は、警察に通報し、Aさんは駆け付けた兵庫県赤穂警察署に事情を聴かれています。
Aさんの所持金は1000円でした。
(フィクションです)

無賃乗車

はじめから自分がお金を持っていないことがわかっていながら、タクシーに乗車することを「無賃乗車」といいます。
このように、乗車する前から十分な現金やカードなどを所持していないことを認識しているにもかかわらず、タクシーに乗車し、目的地まで送ってもらった場合には、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。

詐欺罪について

詐欺罪は、①人を欺いて、②財物を、③交付させたこと、
または、①人を欺いて、②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた
場合に成立します。

◇客体◇

詐欺罪の犯行の対象は、(a)他人の占有する財物、そして、(b)財産上の利益です。

(a)他人の占有する財物
「財物」は、有体物および有体物でなくとも物理的に管理可能なものであり、かつ、価値があるものをいいます。
ここでいう価値とは、主観的・感情的価値でも社会観念上刑法的保護に値するものであれば財物といえ、財産的価値は必ずしも必要とはされません。

(b)財産上の利益
「財産上の利益」とは、財物以外のすべての財産上の利益をいい、該当するものとしては、債務の免除、履行期の延長、債務負担の約束、財産的価値のある役務の提供などがあります。

◇行為◇

詐欺罪の実行行為は、「人を欺いて財物を交付させる」または「人を欺いて財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させる」ことです。
(a)欺く行為として、(b)それに基づき相手方が錯誤に陥り、(c)その錯誤によって相手方が処分行為をし、(d)それによって財物の占有が移転し(あるいは、財産上不法の利益を行為者が得、または他人に得させ)、(e)財産的損害が生ずること、が必要となります。

(a)欺く行為
「欺く」行為とは、人を錯誤に陥らせる行為のことです。
「人」を騙されている状態に陥れることが必要とされるので、「機械」を相手とする行為は該当しません。
欺く行為の手段や方法に制限はなく、言語、態度、動作、文書の方法によっても構いません。
代金を支払う資力も意思もないのに、飲食物を注文する行為、宿泊を申込む行為、タクシーに乗車し行き先を告げる行為は、この欺く行為に該当します。

(b)錯誤
「錯誤」とは、観念と真実の不一致をいい、財産的処分行為をするように動機付けられるものであれば足ります。

(c)処分行為
詐欺罪の本質は、欺く行為により、相手方が錯誤に陥り、その錯誤に基づいて財産的処分行為を行い、財物の交付がなされるという一連の流れにあります。
財産的処分行為が成立するためには、財産を処分する事実と処分する意思が必要となります。
そのため、自己の行動の意味を理解していない幼児や精神障害者を欺き、その財物を取得したとしても、幼児や精神障害者に財産を処分する意思が認められない以上、財産的処分行為がないことになり、その財物の取得は詐欺ではなく窃盗となります。

(d)財物の交付/財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させる
詐欺罪の成立には、相手方の財産的処分行為の結果、行為者に財物の占有が移転すること、あるいは、行為者または一定の第三者が、不法に財産上の利益を取得することが必要となります。

◇主観的要件◇

詐欺罪の成立には、行為者が相手方を欺いて、錯誤に陥らせ、その錯誤に基づく財産的処分行為によって財物を交付させ、自己または第三者が占有を取得すること(財産上の利益を得ること)及びその因果関係を認識・認容すること(=故意)が必要であることに加えて、不法領得の意思が求められます。
不法領得の意思は、条文にはありませんが、判例上認められた要件となっています。
不法領得の意思とは、権利者を排除する意思及び他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用しまたは処分する意思のことをいいます。

以上が詐欺罪が成立する要件となります。
上の事例においても詐欺罪が成立し得るのか否かについて検討してみましょう。

Aさんは、タクシーに乗車し、運転手に行き先を告げており、タクシー運転手はこれによりAさんがタクシー代金を支払う資力と意思があると信じ、目的地を目指して運転しています。
Aさんの所持金は、1000円だったことから、乗車当初からタクシー代を支払う資力も意思もなかったと考えられます。
つまり、Aさんが最初からタクシー代を支払う資力も意思もないのに、それを秘してタクシーに乗車し目的地を告げる行為は、欺く行為であり、それによって錯誤に陥った運転手が目的地に向かって運転している(有償役務の提供という財産的処分行為)ため、2項詐欺罪が成立することになります。

詐欺罪は財産犯であるため、生じた損害を回復させることが最終的な処分にも影響します。
そのため、被害者に対する謝罪及び被害弁償を行い、示談に向けた交渉を行うことが重要です。
被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのが一般的です。
被害者との示談が成立している場合には、不起訴で事件を終了させる可能性を高めることができます。

ご家族が無賃乗車詐欺事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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覚醒剤輸入事件で故意否認

2021-03-03

覚醒剤輸入事件で故意否認する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県警察は、兵庫県神戸市東灘区に住むAさんを覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)の疑いで再逮捕しました。
約1か月前に税関で化粧品等と申告されていた荷物の中に大量の覚醒剤が見つかりました。
兵庫県警察は中身を他の物に入れ替えて配送し、当該荷物を受け取りに来たAさんを麻薬特例法違反の疑いで現行犯逮捕していました。
Aさんは、調べに対し、「友人から荷物を送るからと言われており、指示通り受け取っただけ。中身が覚醒剤であるとは全く知らなかった。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)

覚醒剤輸入事件

覚醒剤取締法は、「覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行う」ことをその目的としています。

覚醒剤輸入については、覚醒剤取締法13条で、「何人も、覚醒剤輸入し、又は輸出してはならない。」と規定されており、その輸出入について絶対的に禁止しています。
これに違反した場合の罰則は、1年以上の有期懲役と厳しいものになっています。
また、営利の目的で輸入した場合は、無期若しくは3年以上の懲役、又は事情により1000万円以下の罰金を併科することとされています。

ここで規制対象となる行為である「輸入」とは、覚醒剤取締法自体で定義してはいませんが、一般的に「輸入」とは国外から日本国内へ物品を搬入することと理解されています。
しかし、どの段階に至ったときに日本国内に搬入されたと考えることができるか、という点については様々な見解がありますが、海路又は空路による場合は、船舶から覚醒剤を日本領土内へ陸揚げした時点又は航空機の場合は機内から地上へ持ち出された時点で日本国内に搬入されたとする陸揚げ説が通説・判例となっています。

故意の否認

覚醒剤輸入罪を含む覚醒剤取締法違反が成立するためには、まず当該犯罪の対象となった薬物が覚醒剤でなければなりません。
これについては、捜査機関が当該対象物件が覚醒剤であるかどうかについて正式な鑑定をすることで明らかになります。
そして、覚醒剤取締法違反は故意犯ですので、罪を犯す意思(=故意)がなければ犯罪は成立しません。
覚醒剤取締法違反の成立には、被疑者が当該対象物件が覚醒剤であることの認識を有していたことが必要となります。
上の事例でいえば、Aさんが受け取った荷物(もしくはその一部)が覚醒剤であると知っていることが求められるのであって、Aさんが覚醒剤であると知らなかった場合には覚醒剤輸入罪は成立しないことになります。
この点、Aさんが覚醒剤であることの認識がどの程度あれば犯罪成立となるのか、が問題となります。
覚醒剤輸入罪については、その構成要件が「覚醒剤輸入すること」であり、故意としては、自分が輸入する対象物が覚醒剤であることを、少なくとも未必的には認識・認容している必要があります。
故意の内容としては、未必的な認識・認容で足りるため、「これは覚醒剤かもしれないし、他の違法薬物かもしれない。」と認識・認容していた場合には、故意が認められます。

このような故意については、人の心の内のことですので、捜査機関は、故意があったと認定できるような状況証拠を収集し犯罪の立証にかかります。
例えば、Aさんと覚醒剤の送り主などの関係者との事前のやり取り、Aさんや関係者の前科前歴などを収集し、取調べにおいてAさんに送られてきた荷物が覚醒剤であることを知っていたのではないかと問いただすことが想定されます。

しかしながら、全く知らなかった場合には、その旨をしっかりと主張し、自己に不利な供述がとられることがないよう対応する必要があります。
そのためにも、早期に弁護士に相談するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が覚醒剤輸入事件で逮捕されお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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覚醒剤使用で逮捕

2021-02-21

覚醒剤使用の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県須磨警察署は、兵庫県神戸市須磨区の路上で不審者がいるとの通報を受けました。
現場に駆け付けた警察官は、不審な言動をしている男性を発見し、薬物を使用しているのではないかと思い、男性に警察署で検査するよう求めました。
検査の結果、覚醒剤反応が出たため、警察はこの男性を覚せい剤取締法違反(覚醒剤使用)の疑いで逮捕しました。
男性は、「知人に体にいいという薬をもらったが、覚醒剤ではない。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)

覚醒剤使用の罪

覚醒剤取締法は、「覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする。」(覚醒剤取締法1条)法律です。
覚醒剤取締法は、特定の場合以外に覚醒剤使用することを禁止しており、違反した場合には、10年以下の懲役に処するとしています。

覚醒剤使用の罪が成立するための要件は、
①法定の除外事由がないのに
覚醒剤
使用する
ことです。

①法定の除外事由
覚醒剤使用は、
(a)覚醒剤製造業者が製造のために使用する場合
(b)覚醒剤施用機関において診療に従事する医師または覚醒剤研究者が施用する場合
(c)覚醒剤研究者が研究のために使用する場合
(d)覚醒剤施用機関において診療に従事する医師または覚醒剤研究者から施用のために交付を受けた者が施用する場合
(e)法令に基づいてする行為につき施用する場合
を除いては、何人も禁止されています。
つまり、以上の事由に当てはまらない場合の使用は一切禁止されているのです。

②覚醒剤
覚醒剤取締法は、規制対象である「覚醒剤」を
(1)フェニルメチルアミノプロパン、フェニルアミノプロパンおよび各その塩類
(2)(1)と同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの
(3)(1)と(2)の物いずれかを含有する物
と定義しています。

③使用
使用」とは、覚醒剤をその用途に従って用いる一切の行為のことをいいます。
他人の身体に覚醒剤を注射する行為も、他人から覚醒剤を受ける行為も「使用」にあたります。

覚醒剤使用の罪は、故意犯であるため、行為者において①~③の要件に該当する事実を認識、認容していることが必要となります。

上記事例では、使用した薬物が覚醒剤であるとは知らなかったと男性が述べています。
故意の内容は、未必的な認識・認容で足りるとされており、「覚醒剤かもしれないし、その他の有害で違法な薬物かもしれないとの認識・認容を有していた」という場合には、故意の内容としては十分であると解されます。
「何らかの違法な薬物」と認識している場合、特段の事情がない限り、その薬物の中に覚醒剤も含まれることになり、結果として、「覚醒剤かもしれないとの認識・認容を有していた」と未必の故意が認められることになります。
「知人から体にいいという薬をもらった」と述べている男性ですが、本当に健康に効果のある薬と信じて使用したのであれば、故意が欠け罪は成立しないことになりますが、暗黙に何らかの違法薬物であると認識していたのであれば故意が認められ罪が成立することになります。
故意は、人の心の中のことですので、立証することは容易ではありませんが、客観的証拠から故意があった、あるいは故意があったとは言えないことを証明することになります。
覚醒剤取締法違反の故意の有無について争いたい場合や、罪は認めるが寛大な処分とならないか心配されている場合には、薬物事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
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