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痴漢事件の身柄解放活動
痴漢事件の身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社の飲み会の帰りに電車に乗車したAさんは、膝上のスカートをはいた若い女性の隣に座りました。
酒に酔っていたこともあり、Aさんは気が大きくなって、眠っている様子の女性の太ももやお尻を手で何度も触りました。
電車を乗り換えるため下車したAさんでしたが、後から女性が追いかけてきて、「痴漢しましたよね。駅員室に行きましょう。」と声をかけられ、女性に腕を掴まれたAさんは、抵抗することなく駅員室に行きました。
その後、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕され、兵庫県芦屋警察署に連れて行かれました。
翌朝、逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、会社には「体調が悪く休む。」とだけ連絡を入れましたが、このまま釈放されなければ会社に発覚してしまうのではと大変心配しています。
Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に身柄解放活動について相談しました。
(フィクションです)
刑事事件を起こし逮捕されたら
あなたが何らかの罪を犯したとしましょう。
被害者から被害届が提出された、目撃者からの通報を受けた、警察の職務質問から発覚した、などなど、事件が捜査機関に発覚するケースは幾つか考えられますが、捜査機関が事件を認知すると、捜査が開始されます。
被疑者が特定されれば、被疑者に対する取調べが行われることになりますが、被疑者の身体を拘束する理由や必要性があると判断された場合には「逮捕」されます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも、被疑者の身柄、書類や証拠物とともに事件を検察に送る(これを「送致」といいます。)かを決めます。
検察に送致した場合には、検察官が被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、もしくは勾留請求を行います。
検察官が勾留請求を行うと、今度は、請求を受けた裁判官が被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合、被疑者は、検察官が勾留請求を行った日から原則10日、延長が認められれば最大で20日もの間、留置場で身柄が拘束されることになります。
身柄解放活動
このように、逮捕から勾留まで3日ほどしかありません。
「逮捕された!」と思ったら、あっという間に勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があるのです。
長期の身体拘束は、退学や解雇といった結果を生じさせる可能性も高く、その後の生活にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
そのような事態を回避するためにも、早期の釈放に向けた身柄解放活動を行うことが重要です。
(1)勾留が決まる前
勾留が決まる前の段階においては、検察官や裁判官に対して勾留請求・勾留をしないよう働きかけることが重要です。
具体的には、勾留の要件を満たさないことを主張した意見書を客観的な証拠と共に検察官や裁判官に提出したり、検察官や裁判官と面談しその旨を伝えます。
これにより、検察官が勾留請求をせず被疑者を釈放したり、検察官が勾留請求したとしても裁判官がこれを却下することにより被疑者が釈放される可能性を高めることができます。
(2)勾留が決まった後
一旦勾留が決まってしまっても、勾留を決定した裁判に対する不服申立てを行うことが法律で認められています。
ここでも、勾留の要件を満たさないため勾留とした原裁判は取り消されるべきであり、検察官が行った勾留請求も却下されるべきであるとの主張を展開することになります。
痴漢事件の場合、容疑を認めており、家族などの身元引受人による釈放後の監視監督が期待できるなど、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断されれば、早期に釈放される可能性はあります。
逆に言えば、痴漢事件であっても、否認している場合や、被害者に接触するおおれがあると判断されると、身体拘束が長引く可能性もあります。
ですので、痴漢事件だと軽く考えずに、ご家族が逮捕されたのであれば、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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盗撮事件で示談成立を目指す!
盗撮事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三田市にある書店で、女子高生のスカート内を盗撮したとして会社員のAさんが逮捕されました。
Aさんがスマートフォンを差し入れ、被害者のスカート内を盗撮していたところ、被害者に気づかれてしまいました。
被害者はすぐに店員を呼び、駆け付けた店員によってAさんは取り押さえられました。
その後、通報を受けて駆け付けた兵庫県三田警察署の警察官に身柄が引き渡され、Aさんは警察署で取調べを受けています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、すぐに面会したいと申し出ましたが、現段階ではできないと回答されたため、刑事事件に精通する弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)
盗撮事件での逮捕
盗撮事件で逮捕される場合には、大きく分けて
①被害者や目撃者により現場で現行犯逮捕されるケース
②防犯カメラの映像などから、犯行後に犯人が特定されて通常逮捕されるケース
の2つのパターンがあります。
盗撮は、迷惑防止条例違反に当たることが多く、兵庫県では、6月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習性が認められれば1年以下の懲役または100万円以下のの罰則が科される可能性があります。
盗撮事件における示談を成立させるメリット
「示談」は、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届の提出を行わない、或いは被害届を取り下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することです。
迷惑防止条例違反は、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」ではありませんので、被害者との示談が成立したからといって、検察官が起訴することができないわけではありません。
しかし、被害者からの許しが得られていることを重視し、起訴をしない処分(不起訴処分)とする可能性は高いでしょう。
示談交渉は、当事者間で行うことはあまりお勧めできません。
なぜなら、捜査機関から加害者に対して被害者の連絡先を教えることはほとんどなく、また、被害者も加害者によって精神的苦痛を負わされ直接連絡をとることに応じるケースは多くありません。
ですので、第三者である弁護士を介して行うのが一般的です。
特に、刑事事件に精通しており示談交渉にも豊富な経験のある弁護士を代理人として被害者との示談交渉を進めることで、円滑な交渉が期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
盗撮事件を起こし、対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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なりすましで不正アクセス禁止法違反
なりすましで不正アクセス禁止法違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
同僚の女性になりすまし、SNSで女性のアカウントにアクセスし、勝手にコメントやメッセージを送ったとして、兵庫県有馬警察署は被害者の同僚の男性Aさんを不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)
不正アクセス禁止法とは
「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下、「不正アクセス禁止法」といいます。)は、不正アクセス行為を禁止するとともに、これについての罰則や再発防止のための都道府県公安委員会による援助措置等を定めることにより、コンピュータ・ネットワークを通じて行われるコンピュータに係る犯罪の防止と、アクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的として平成11年に制定された法律です。
不正アクセス禁止法は、その第3条において、「不正アクセス行為」を禁止しています。
ここでいう「不正アクセス行為」とは、以下の3つの場合をいいます。
①アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為。(不正アクセス禁止法2条4項1号)
②アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為。(同法2条4項2号)
③電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為(同法2条4項3号)
ややこしい言葉がいろいろと出てきていますね。
順に解説しましょう。
インターネットに接続しているコンピュータのような「電気通信回線に接続している電子計算機」を「特定電子計算機」といい、特定電子計算機を電気通信回線を通じて利用することを「特定利用」といいます。
インターネットへの接続、電子メールの送受信、ウェブサイトの閲覧などが「特定利用」に当たります。
単に、電気通信回線を通じないで手元の端末機器を利用する行為は「特定利用」には当たりません。
コンピュータ・ネットワークにおいて、特定電子計算機を誰にどの範囲で特定利用をさせるのかについて管理する時、コンピュータでの情報処理の際に、特定利用をさせることを許可した相手方を識別できるようにするため、その相手方に対して、特定利用を許可した相手方ごとに異なったその相手方以外に用いることができない番号や記号などを与えることが必要となっています。
不正アクセス禁止法では、この番号や記号を「識別符号」と呼んでおり、IDやパスワードなどが含まれます。
ネットワークに接続されたコンピュータの動作を管理するアクセス管理者は、利用権利者等に識別符号を与えて、利用権利者等であるかを識別符号で認識し、識別符号が入力された場合にその利用を認めるという機能が「アクセス制御機能」です。
①は、他人の識別符号を無断で入力する、いわゆる不正ログインです。
②と③は、識別符号の入力によらずに、アクセス制御機能による特定利用の制限を免れる情報・指令を入力する、いわゆるセキュリティ・ホール攻撃といわれるものです。
①~③に該当する「不正アクセス行為」を行った場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
不正アクセス禁止法は、これらに「不正アクセス行為」の他にも、他人の識別符号を不正に取得する行為、不正アクセス行為を助長する行為、他人の識別符号を不正に保管する行為、識別符号の入力を不正に要求する行為を禁止しており、違反者に対しては罰則が定められています。
興味本位で他人になりすまし行為を行うと不正アクセス禁止法違反となる場合がありますのでご注意ください。
自分の行為が不正アクセス禁止法違反に当たるのではと心配されていらっしゃるのであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
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刑事事件と刑罰:刑罰の決め方
刑罰の決め方について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県宍粟市の民家に侵入し、現金や宝石類を盗んだとして、県内に住むAさんが窃盗および住居侵入の疑いで兵庫県宍粟警察署に逮捕されました。
Aさんは、本件以外にも複数同様の手口で空き巣を行ったと供述しています。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、事件について何も分からず、急いで弁護士に接見に行ってくれるよう頼みました。
弁護士からAさんが本件以外にも同種の余罪があることを聞いたAさんの家族は、Aさんにどんな刑罰が科されれるのか不安でたまりません。
(フィクションです)
刑罰の決め方
刑法や特別刑法には、どのような行為が犯罪にあたり、犯罪を行った者に対してどのような刑罰が科されるが予め定められています。
このように法律で定められている刑を「法定刑」といい、法定刑から、刑罰を加重・減軽する理由がある場合には、加減して科し得る刑(「処断刑」)を導き出し、具体的情状を考慮し、処断刑の範囲内で特定した量の刑(「宣告刑」)が言い渡されます。
法定刑について
上記ケースでは、窃盗罪と住居侵入罪に問われています。
それぞれの罪については、刑法で以下のように規定されています。
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
各条項で表記されている通り、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であり、住居侵入罪のそれは「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
法定刑は、あくまで罪名と刑の対応となります。
具体的に事件の内容によって実際にどのような刑の範囲が適当であるか、ということとは異なります。
具体的事件の形に合わせて、実際に処罰することが可能な刑の範囲、つまり「処断刑」の定め方には様々あります。
処断刑について
先の述べたように、「処断刑」は、法定刑に法律上または裁判上の加重・減軽を加えたものです。
刑法上、刑を加重する事由としては、併合罪と累犯の場合が予定されています。
(1)併合罪
「併合罪」は、確定裁判を経ていない2個以上の罪、または、ある犯罪について禁固以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪のことです。
併合罪の場合、それらの罪に対する刑を合わせて科したり、加重したり、場合によっては吸収したりします。
併合罪のうち2個以上の罪について、有期懲役・禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とします。
例えば、刑の長期が懲役20年の罪と懲役15年の罪を1度に犯した場合、長期は20年×1.5=30年となります。
「長期」とは、法定刑の「○○年以下」という場合の○○年を指します。
(2)累犯
懲役に処せられた者がその執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合であって、その者を有期懲役に処するときは、「再犯」とし、再犯の刑について定めた懲役の長期を2倍以下とします。
これを「再犯加重」といいます。
減軽事由には、法律上のものと酌量減軽とがあります。
(3)法律上の減軽
心身耗弱、従犯、中止犯のように必ず減軽すべき事由と、過剰防衛、過剰避難、法律の不知、自首等、未遂、偽証罪・虚偽申告罪における自白などのように、減軽が裁判所の任意に委ねられているものとがあります。
(4)酌量減軽
法律上の減軽事由がない場合でも、「犯罪の事情を酌量すべきものがあるときは」、任意に刑を減軽することができます。
処断刑は、累犯加重、法律上の減軽、併合罪の加重、酌量減軽の順に形成されます。
しかし、実務上、加重減軽を行う前に、科刑上の一罪の処理および刑種の選択をすることになっています。
刑法は、観念的競合と牽連犯の関係にある数罪については、科刑上は一罪であるとして、その最も重い刑により処断することとしています。
「観念的競合」とは、1つの行為が2個以上の罪名に触れる場合をいい、「牽連犯」とは、犯罪の手段または結果である行為が他の罪名に触れる場合をいいます。
空き巣は、後者の「牽連犯」に当たり、住居侵入罪と窃盗罪の法定刑の重い罪により処断されるので、窃盗罪の刑が適用されることになります。
このように、法定刑の幅は広く、加えて、広範な法定の加減事由や情状による減軽が認められています。
しかし、裁判の実務においては、一定の事情がある場合にどの程度の刑罰が言い渡されるかは、過去の裁判例も参考にした相場のようなものがあります。
どのような事件でどの程度の刑罰が見込まれるのかご不安であれば、刑事事件に詳しい弁護士に一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
刑事事件と刑罰:刑罰の種類
刑事事件における刑罰(刑罰の種類)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県宍粟市の民家に侵入し、現金や宝石類を盗んだとして、県内に住むAさんが窃盗および住居侵入の疑いで兵庫県宍粟警察署に逮捕されました。
Aさんは、本件以外にも複数同様の手口で空き巣を行ったと供述しています。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、事件について何も分からず、急いで弁護士に接見に行ってくれるよう頼みました。
弁護士からAさんが本件以外にも同種の余罪があることを聞いたAさんの家族は、Aさんにどんな刑罰が科されれるのか不安でたまりません。
(フィクションです)
刑罰とは
犯罪者に対して刑罰が科されることは広く知られるところです。
刑罰というのは、形式的には、犯罪に対する法的効果として、国家・地方自治体によって犯罪者に課せられる一定の法益の剥奪を意味します。
一体どのような目的の下、刑罰が科せられるのかという点について、様々な議論がなされていますが、概ね、刑罰は犯罪に対する国家的応報であり、一般予防と特別予防という目的を持つと解されます。
つまり、法に違反することをしたのだから罰が与えられるというだけでなく、犯罪者に対して一定の不利益が科されるということを通じて、社会一般の人が犯罪を行わないようにする「一般予防」と罪を犯した者が再び罪を犯すことがないようにする「特別予防」の機能が刑罰にあると考えられています。
刑罰の種類
刑罰の種類には、生命刑、身体刑、自由刑、名誉刑、財産刑の5種類が存在してきました。
現在の日本の刑法においては、生命刑としての「死刑」、自由刑として「懲役」「禁錮」「拘留」、財産刑として「罰金」「科料」「没収」の7種類が設けられています。
このうち、「没収」は、主刑である死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に付加してのみ科すことができる付加刑です。
(1)死刑
生命刑である「死刑」は、現行法上最も重い極刑です。
ただし、少年法では、犯行時に18歳未満であった者には死刑を適用することができないとしています。
(2)懲役・禁錮・拘留
自由刑には、「懲役」、「禁錮」、「拘留」の3種類があります。
まず、「懲役」と「禁錮」には、無期と有期の場合があります。
有期の場合、その期間は、1月以上20年以下の範囲で決められます。
ただし、有期懲役・禁錮を加重減軽する場合には、30年まで上げることができ、また、1月未満に提げることができます。
「懲役」と「禁錮」の違いは、前者は労働義務があるのに対して、後者はありません。
また、「懲役」と「禁錮」には、その刑に処せられた者に「改悛の状」があるときは、有期刑については刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放すること(「仮釈放」)が認められます。
「拘留」は、30日未満の短期の自由刑で、軽微な犯罪に対する刑として定められています。
「拘留」の刑に処せられた者の「情状により」、いつでも行政官庁の処分によって仮に出場を許すこと(「仮出場」)ができます。
(3)罰金・科料
強制的な金銭の徴収を内容とする財産刑は、1万円以上を「罰金」、1万円未満を「科料」と区別して設けられています。
「罰金」「科料」を完納することができない場合には、労役場に留置されます。
このように刑罰には様々な種類があり、その内容も大きく異なります。
また、懲役や禁錮となった場合であっても、刑の執行が猶予されるか否かでは、判決後の生活が全く違ってきます。
刑事事件を起こし、罪を認めている場合には、不起訴で前科が付くことを回避することを目標として、また、起訴が見込まれる事件では、罰金や執行猶予付き判決といった出来る限り寛大な処分となるよう早い段階から動くことが重要です。
具体的にどのような活動を行うべきかは、事件の内容によって異なりますので、刑事事件に精通する弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件を起こして対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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商標法違反事件で略式裁判
商標法違反事件で略式裁判となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
偽ブランド品やコピー商品をネットのオークションサイトで販売したり、販売するために所持していたとして、兵庫県佐用警察署はAさん宅を訪れ、捜索・差押え後に、Aさんを警察署に移送し取調べを行いました。
Aさんは、警察署で商標法違反などの疑いで通常逮捕されました。
Aさんは容疑を認めていますが、なるべく早く事件が終了しないものかと心配しています。
(フィクションです)
商標法違反事件について
商標法は、事業者が、自社が取り扱う商品やサービスを他社のものと区別するために使用するマークである商標を保護する法律です。
みなさんは、商品やサービスを購入する時に、その商品やサービスを示すロゴマークを見て決めていませんか?
例えば、財布やカバンについて考えてみれば、有名ブランドのロゴが付いているものがあれば、それがそのブランドの正規品だと思ってしまいますよね。
その商標(マーク)を見れば、どこの会社のブランドであるかが認識されるので、商標法は、このようなブランドのマークやネーミングを財産として保護しています。
商標権とは、登録した商標を指定商品または指定サービスについて排他的独占的に使用できる権利のことをいいます。
商標権者は、指定商品または指定サービスについて登録した商標の使用をする権利を占有します。
つまり、登録を受けた商品やサービスについて、当該商標の使用を独占する権利です。
また、商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができます。
専用使用権というのは、設定行為で定めた範囲内において、指定商品・サービスについて登録商標を排他的独占的に使用できる権利です。
商標法は、商標権または専用使用権を侵害した者は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科することを定めています。
商標権の侵害は、他人の登録商標をその指定商品・サービスについて使用する行為、そして他人の登録商標の類似範囲において使用する行為です。
何ら権利のない者が、指定商品・サービスについて登録商標を受けている商標である登録商標と同一の商標を使用した場合、商標権の直接侵害行為となります。
商標法は、商標権または専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行った者については、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めています。
指定商品・サービスについての登録商標に類似する商標の使用または指定商品・サービスに類似する商品・サービスについての登録商標やこれに類似する商標の使用は、間接侵害行為に当たります。
略式裁判について
略式裁判は、正式な裁判と比べて手続が簡略化された裁判です。
簡易裁判所が、原則として、検察官の提出した資料のみに基づいて、公判を開かずに、非公開で罰金または科料を科す刑事手続を「略式手続」といい、これにより裁判所が下す命令を「略式命令」といいます。
事件が比較的軽微であり、被告人にとって公判出頭の必要がなく、また迅速な裁判が期待できる等、被告人の利益となること、当事者に一定の場合に手続処分権が認められること、簡易手続が訴訟経済にも益することなどが略式手続の趣旨と言われています。
商標法違反事件では、商品の数の多さ、販売期間などを考慮し、その悪質性が高いと評価される場合には、公判請求される可能性もあります。
略式裁判となれば、簡略化されて手続がとられ、短期間で事件が終了するというメリットがあります。
一方、下されるのは有罪判決ですので、前科が付くというデメリットがあります。
事件によっては、略式裁判が最善の場合も、そうでない場合もあります。
商標法違反事件でご家族が逮捕されてしまいお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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風俗トラブルで刑事事件に発展したら
風俗トラブルで刑事事件に発展した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
派遣型風俗店(デリヘル)から風俗嬢Vさんをホテルに派遣し、サービスを受けていた会社員のAさんは、気分が盛り上がり、Vさんの承諾を得ないまま本番行為を行ってしまいました。
Vさんは、「本番行為は禁止だと店からも言われていたのに、これは強姦だ!」と言って、すぐに店に連絡を入れました。
Aさんは、怖くなり、そのままホテルを後にしました。
Aさんの携帯に、店から何度も連絡があり、留守番電話には「あなたのやったことはレイプですよ。罰金として50万円払ってもらいます。誠意ある対応をしないのであれば、警察に被害届を出します。」とのメッセージが残されていました。
Aさんは、店からの電話にも出ず、無視していましたが、ある日、兵庫県葺合警察署から「風俗店○○から強制性交等で被害届が出されていますので、一度その件でお話を聞かせてください。」と連絡がありました。
警察からの連絡に慌てたAさんは、すぐに風俗トラブルにも対応してくれる弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
風俗トラブル
風俗トラブルで法律相談に来られる方の多くが、店で禁止されている「本番行為」をしてしまったケースやサービスを受けている様子を盗撮したケースに該当します。
デリヘルなどの風俗店では、従業員(風俗嬢)との性交が禁止されていることが多く、それに違反した場合、店側から「罰金」や「慰謝料」という名目で金銭的な賠償が求められます。
刑法上に定義される「罰金」は、刑事罰の一種で、裁判で有罪が確定したことを前提に課されるものですので、風俗トラブルの文脈で店側が求める「罰金」とはその意味合いが異なります。
店のルールに違反したことに対する「制裁金」、本番行為を強要された従業員に対する「慰謝料」やそれにより被る店側の経済的損失に対する「損害賠償金」といった意味が含まれるものと考えられます。
さて、上記ケースのように従業員の承諾なく「本番行為」を行ってしまった場合、どのような罪に問えるのでしょうか。
相手方の同意なく性交をする行為ですので、「強制性交等罪」(旧「強姦罪」)が成立する可能性があります。
強制性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役です。
罰金刑はなく、懲役刑のみと刑法犯の中でも重い罪です。
このような重い罪に問われると、実刑を受ける可能性も高いと言えますが、風俗トラブルから刑事事件に発展した場合、どのように対応するべきなのでしょうか。
風俗トラブルから刑事事件に発展してしまったら
従業員の意思に反して本番行為をしてしまったことが事実であるならば、被害者である従業員の方に謝罪し、被害弁償を行うべきでしょう。
店によっては、法外な金額を要求してくることもありますので、その場ですぐに対応するのは得策ではないと判断した場合は、すぐに弁護士に相談するのがよいでしょう。
店側も大事にすることを望んではいないので、弁護士が間に入って、適切に対応することで当事者間のみで穏便に事件を解決することが期待できます。
また、強制性交等罪が成立しないような場合には、弁護士が間に入って毅然とした対応をとることで、店側の不当な要求を跳ね返すこともできます。
店側との連絡を拒否し続けた結果、実際に警察に被害届を出され、刑事事件として捜査が開始されてしまった場合、自分が逮捕されてしまうのか、重い刑罰を科されてしまうのかと不安になられると思います。
そのような場合であっても、早期に弁護士が介入することによって、迅速に店側と示談交渉を行い、当事者両方が納得のいく内容で示談を締結し、事件を穏便に解決することが期待できます。
犯罪の成立を争う場合、こちら側に有利な証拠を収集・確保するなどし、不起訴獲得を目指した活動を行います。
風俗トラブルと軽く考え、早期に対応しない結果、刑事事件へと発展し、ある日突然警察から連絡がきた…なんてこともありますので、風俗トラブルでお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士が、法律相談を行います。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
交通事件:当て逃げ
交通事件(当て逃げ)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県揖保郡太子町のスイミングスクールに通う孫を送り届けるため、車で敷地内に駐車場に駐車していたAさんは、買い物をしようと一旦車で外に出ることにしました。
Aさんが駐車場から車を出したところ、うまく切り返しが出来ず、前方に停めてあった車の前部分にぶつけてしまいました。
気が動転したAさんは、そのまま駐車場を後にし、1時間後に戻ってきたAさんは違う駐車場に停め、現場を見に行くと、兵庫県たつの警察署の警察官が現場検証している様子を目撃しました。
Aさんは、逮捕されるのではないかと心配になり、すぐに弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
当て逃げをすると…
「当て逃げ」というのは、車を運転し、物損事故を起こしたにもかかわらず、被害者等に申告せず、そのまま現場を立ち去る行為のことです。
「当て逃げ」に対して、人身事故を起こして現場を立ち去る行為を「ひき逃げ」といいます。
当て逃げ事故は、走行中だけでなく、駐車場でも多発しています。
駐車場では、車にドライバーが不在の場合が多く、「逃げてしまえばバレないだろう」と申告せずに事を終えようとするケースが多いようです。
人身事故を起こした場合には、刑事罰や行政処分の対象となるのに対して、物損事故それだけをもって、刑事罰や行政処分とはなりません。
しかし、事故について警察に報告せずに現場をはなれてしまうと、犯罪が成立することになるのです。
当て逃げは、道路交通法違反となります。
道路交通法第72条
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
運転手は、交通事故を起こした場合、人身か物損かを問わず、適切な処置を講じて警察に報告しなければなりません。
事故により道路上に危険が生じた場合、例えば、道路上に車の破損した部分が散らばったといったような場合にはそれらを片づけたりするなど、危険を防止する措置を講じなければならず、この措置をとらなかった場合には、危険防止等措置義務違反となり、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。(道路交通法第117条の2)
また、報告義務に違反した場合には、3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。(道路交通法第119条第1項10号)
当て逃げで逮捕される可能性は?
「気が動転したから現場を一度立ち去ったが、後に正気に戻り現場に帰ってきたから、当て逃げではない。」と考えられる方がいらっしゃいますが、事故現場から立ち去ってしまったら、当て逃げとなってしまうのです。
当て逃げは、ひき逃げと比べると、逮捕される可能性は低いですが、被害者の車やその周辺の車に搭載されたドライブレコーダーや防犯カメラの記録から、加害者の車が割り出される可能性は大いにあります。
当て逃げであっても、実際に逮捕されたケースもあり、絶対に逮捕されないという可能性はありません。
物損事故であっても、すぐに警察に通報し適切な対応をとることが求められます。
先に述べたように、当て逃げは道路交通法違反という犯罪に該当する可能性がありますので、軽く考えてはいけません。
当て逃げを含めた交通事件で対応にお困りの方は、交通事件にも対応する刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
麻薬取締法違反事件で即決裁判
麻薬取締法違反事件での即決裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古川警察署は、麻薬取締法違反(コカイン所持)の容疑で外国籍のAさんを逮捕しました。
逮捕後、勾留となったAさんは、接見にやってきた弁護士に、早期に釈放とならないか相談しています。
日本に親族などがいないためAさんは保釈も厳しい可能性があり、弁護士は、即決裁判手続が早期釈放の最良の手段ではないかと考えています。
(フィクションです)
麻薬取締法違反
コカインとは、南米原産のコカの木の葉を原料とした薬物です。
コカインは、覚せい剤と同じように、神経を興奮させる作用を有するため、気分が高揚し、眠気や疲労感がなくなった、体が軽くなった、といった錯覚を起こすようになります。
その効果は、持続時間が短く、精神的に依存しやすい薬物と言われています。
コカインを乱用すると、幻覚や思考の異常、精神錯乱、そして、皮膚の下を無視がはい回っているような「コーク・バグ」と呼ばれる特殊な感覚に襲われます。
コカインの所持・使用等は、麻薬及び向精神薬取締法(以下、「麻薬取締法」といいます。)によって規制されています。
麻薬取締法は、麻薬・向精神薬の輸出入・製造・製剤・譲渡し等についての取り締まりについて規定している法律です。
コカインは、麻薬取締法において規制の対象である「麻薬」に該当します。
コカインの輸入・輸出・製造・栽培は、1年以上10年以下の懲役、営利目的の場合には、1年以上の有期懲役または情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金となる可能性があります。
また、コカインの製造・小分け・譲渡・譲受・交付・所持・使用・使用のための交付は、7年以下の懲役、営利目的であれば、1年以上10年以下の懲役または情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金となる可能性があります。
即決裁判
即決裁判手続とは、事案が明白であり、軽微で争いがなく、執行猶予が見込まれる事件について、速やかに公判期日を指定して相当な方法により審理を行い、原則即日に執行猶予判決を言い渡す手続のことです。
即決裁判手続の要件は、
①事案が明白、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれる場合で、即決裁判手続で審理するのが相当と認められる事件であること。
②死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮に該当する罪でない事。
③被疑者の書面による同意があること。
④被疑者に弁護人があるときは、弁護人の書面による同意があるか、少なくとも意見を留保していること。
これらの要件を満たす場合に、検察官による即決裁判手続の申立が行われます。
即決裁判手続は、起訴から出来るだけ早い時期に公判期日が指定され、原則1回の審理で即日執行猶予判決が言い渡されるので、被告人にとっては、起訴後速やかに公判期日が開かれ、執行猶予判決になるというメリットがあります。
一方、即決裁判手続による審理でなされた判決については、事実誤認を理由とする控訴・上告が出来ません。
ですので、即決裁判手続の趣旨、審理手続、メリット・デメリットなどをしっかりと把握した上で、即決裁判手続に同意する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、麻薬取締法違反事件などの薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
麻薬取締法違反事件でご家族が逮捕されてしまいお困りの方は、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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リベンジポルノ防止法違反で出頭
リベンジポルノ防止法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Vさんと別れた後も連絡を取り続けていたAさんでしたが、最近返事を返してくれる回数が減り、とうとうAさんが送ったメッセージも既読にならなくなりました。
当初は、Vさんに何かあったのではないかと心配していたAさんでしたが、徐々にVさんに新しい交際相手ができたのではないかと考えるようになり、Vさんに対して恨みが募っていきました。
Aさんは、TwitterにVさんの裸の写真とVさんを罵る言葉を添えて投稿しました。
その投稿を見たVさんの友人が、Vさんに連絡したところ、VさんはAさんの仕業だと気付き、兵庫県川西警察署に相談しました。
同署からAさんに連絡があり、Aさんは出頭するよう求められました。
(フィクションです)
リベンジポルノ防止法とは
元交際相手や元配偶者の性的な画像や動画を、その撮影対象者の同意を得ずに、復讐などの目的の下、インターネット上に流出・拡散させる行為を「リベンジポルノ」といいます。
リベンジポルノにより、被害者が大きな精神的苦痛を強いられるため、個人の名誉や私生活の平穏の侵害による被害の発生、被害拡大の防止を目的として、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(以下、「リベンジポルノ防止法」といいます。)が制定されました。
リベンジポルノ防止法は、私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰するものです。
第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5 第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。
「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」というのは、撮影対象者の顔や背景として映っている物など、公表された画像自体から撮影対象者を特定することができる場合や、画像公表の際に添えられた文言や掲載された場所など、画像以外の部分から特定することができる場合を含みます。
「私事性的画像記録」とは、リベンジポルノ防止法に以下のように定義されています。
第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
つまり、「私事性的画像記録」というのは、
①性交または性交類似行為に係る人の身体の姿、
②他人が人の性器等を触る行為、または人が他人の性器等を触る行為に係る人の身体の姿であって、性欲を興奮・刺激するもの、
③衣服の全部または一部を着けない人の身体の姿であって、意図的に人の性的な部位が露出され、または強調されるものであり、かつ性欲を興奮・刺激するもの、
であって、その人の身体の姿が撮影された画像に係る電磁的記録その他の記録のことです。
また、「私事性的画像記録物」は、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であり、先の①~③のいずれかに該当する人の身体の姿が撮影された画像を記録した写真、CD-ROM、USBメモリなどの有体物を指します。
「提供」については、相手方において利用しうべき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいうのであって、相手方が現に受領することまで必要とされません。
ですので、私事性的画像記録である画像データを電子メールに添付して送信する行為は、「提供」に当たり、そのデータがメールサーバ上の保存領域であるメールボックスに保存された時点で既遂に達するものと考えられます。
リベンジポルノ防止法違反事件で被疑者となってしまったら
リベンジポルノ防止法違反は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。
ですので、被害者の方に告訴をしない又は告訴を取り下げてもらうことが、事件を穏便に解決するために最も重要なポイントとなります。
弁護人を通じて被害者との間で示談を成立させ、告訴を行わない又は告訴を取り下げる旨の合意を内容とする示談合意書を捜査機関に提出することができれば、起訴を回避することができます。
リベンジポルノ防止法違反事件を起こし、対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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