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業務上横領罪と窃盗罪
業務上横領罪と窃盗罪
業務上横領罪と窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県朝来市にある美容室に勤めるAさんは、売上金の一部をレジから抜き取ることを度々していました。
ある日、美容室の店長が異変に気付き、従業員に「売上金が盗まれた可能性がある。場合によっては、警察に通報する。」と話しました。
いずれ自分の仕業であることがバレるのではないかと不安になったAさんは、自身の行為がどのような犯罪になり、警察に通報された場合にはどのような流れになるのか、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
勤務先のお金をネコババ~業務上横領罪?窃盗罪?~
自身が勤務する会社のお金をくすねた場合、人の物を勝手に自分のものにしているのですから、それが悪いことだとは容易に理解することができますよね。
それでは、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
実は、お金をくすねた人が会社でどのような立場であったかによって、成立する犯罪が変わってくるのです。
業務上横領罪
まずは、業務上横領罪について説明しましょう。
業務上横領罪は、刑法第253条に規定されています。
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
業務上横領罪の構成要件(犯罪類型)は、次のとおりです。
①業務上
②自己の占有する他人の物を
③横領したこと。
業務上横領罪の主体は、「業務上他人の物を占有する者」となり、本罪は身分犯です。
身分犯というのは、構成要件において行為者が一定の身分をもつことを必要とする犯罪のことです。
ここでいう「業務」とは、委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続して行う地位をいいます。
業務の根拠は、法令・契約、公的・私的を問わず、職業としてなされるものに限られません。
従業員が仕事上会社から預かる場合の他にも、運送業者が荷主の荷物を預かる場合や部活やサークルの会計担当者が金品を預かる場合も「業務」に含まれます。
また、「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいうものと解するのが通説となっています。
「不法領得の意思」の内容については、争いがありますが、判例では、他人の物の占有者が委託の任務に背いてその者につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思であるとされます(最判昭24・3・8)
上のケースにおいて考えてみましょう。
Aさんが、レジの管理を任されている場合には、Aさんは「業務上他人の物を占有する者」に該当することになります。
また、店の売上金を勝手に自分のものにしているので、「自己の占有する他人の物を横領した」と言え、業務上横領罪が成立し得ると考えられます。
他方、Aさんがレジの管理を任されていない場合はどうでしょう。
窃盗罪
その場合には、窃盗罪が成立する可能性があります。
窃盗罪は、刑法第235条に規定されています。
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪の構成要件は、以下の通りです。
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと。
「他人の財物」は、「他人の占有する他人の財物」です。
また、「窃取」の意義についてですが、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことです。
このように、窃盗罪の場合は、「他人の占有する他人の財物」を占有者の意思に反して財物の占有を移転することにより成立します。
他人の物を勝手に自分の物にするという点では、業務上横領罪も窃盗罪も同じですが、その者が「自己の占有にある」か、「他人の占有にある」かという点で異なります。
ざくり言えば、人から預かっている物を自分のものにすると業務上横領罪が、預かっていない物を自分の物にすると窃盗罪に問われることになるのです。
もし、あなたやあなたの家族が刑事事件を起こしてしまい、刑事責任を問われているのであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
どのような罪が成立し、どのような流れでどんな処分を受けると考えられるのか、刑事事件専門弁護士がお話を伺った上で、丁寧にご説明いたします。
まずは、フリーダイアル0120-631-881へお電話ください。
窃盗罪と詐欺罪
窃盗罪と詐欺罪
窃盗罪と詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、兵庫県たつの市にあるコンビニエンスストアで、100円のホットコーヒーレギュラーサイズを注文しました。
注文を受けた店員は、100円コーヒー用のカップをAさんに渡し、Aさんは100円を支払いました。
Aさんは、カップをコーヒーメーカーにセットし、150円のカフェオレのボタンを押し、カフェオレをカップに注ぎました。
Aさんは度々同様の行為を行っており、その様子を目撃した常連客が店員に報告し、店長は兵庫県たつの警察署に相談しました。
ある日、店にやってきたAさんは、100円のホットコーヒーを購入し、150円のカフェオレをカップに注ぎました。
すると、待機していた兵庫県たつの警察署の警察官に、Aさんの行為は窃盗罪に当たると言われ、警察署へ連れて行かれました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
コンビニコーヒーで刑事事件~窃盗罪?詐欺罪?~
手軽に本格的なコーヒーが楽しめるとあって、コンビニのコーヒーは人気がありますよね。
コンビニのコーヒーはセルフ方式となっており、まずレジでコーヒーの種類や大きさを伝え、料金を払い、専用のカップを受け取ります。
そして、専用機器にカップをセットし、自分が注文した商品のボタンを押す。
簡単なプロセスですが、初めての人にとっては、「どのボタンを押せばよいのか分からない」、何回か使用している人でも「押し間違えてしまいそう」という意見が少なくありません。
しかし、わざと購入したものではない飲料をカップに注いでしまったら?
犯罪が成立し、刑事責任が問われる可能性があるのです。
上記ケースをみてみましょう。
Aさんは100円を支払ってホットコーヒーのレギュラーサイズを購入しました。
店員も、Aさんが注文した通り、ホットコーヒーレギュラーサイズの専用カップを渡しました。(①)
しかし、Aさんは、ホットコーヒーレギュラーサイズのボタンではなく、150円のカフェオレのボタンを押して、カフェオレをカップに注ぎました。(②)
上のケースでは、この行為が、「窃盗罪」に問われています。
窃盗罪
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
犯罪が成立するためには、構成要件に該当し、違法性が認められ、かつ、責任能力があることが必要です。
構成要件というのは、刑罰法規によって定義された犯罪行為の類型であり、窃盗罪を例にとれば、「他人の財物を窃取した」ことが構成要件です。
「他人の財物」とは、「他人の占有する他人の財物」のことで、自己の財物といえども、他人の占有に属し、または公務所の命令によって他人が看守しているものは、他人の財物とみなされます。
不動産については、刑法第235条の2の客体となるので、窃盗罪の客体からは除かれます。
ここでいう「占有」というのは、「人が財物を事実上支配し、管理する状態」をいいます。
また、「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいうと解されています。
窃取の方法や手段に制限はありません。
欺罔行為を手段とする場合、窃盗罪が成立するのか、或いは詐欺罪が成立するのかが問題となります。
詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は、以下の通りです。
1項…人を欺いて、財物を交付させた。
2項…人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた。
詐欺罪は、人を騙して、それによって相手が錯誤に陥り、その錯誤によって相手方が処分行為をし、財物の占有を移転又は行為者或いは一定の第三者が不法に財産上の利益を取得することにより成立します。
財物奪取の手段として人を騙しても、占有移転行為時に瑕疵ある意思に基づく占有移転がなければ、窃盗罪が成立することになります。
つまり、詐欺罪と窃盗罪の区別は、占有移転が被害者の意思に基づく処分行為によるか否かということによります。
この点、上記ケースでは、店員から100円用のカップの交付を受けた①の場面において、100円のコーヒーを買うとみせかけて150円のカフェオレを注ぐつもりで、店員を騙してカップの交付を受けたのであれば、店員は瑕疵ある意思に基づいて100円のカップの占有をAさんに移転しているので、子の場合には詐欺罪が成立するでしょう。
しかし、この時点で相手を騙す意図がなければ詐欺罪は成立しません。
一方、①の場面で騙す意図がなく、実際にカップにコーヒーを注ぐ②の場面で、コーヒーを注ぐべきであるのに、わざと150円のカフェオレを注いだのであれば、窃盗罪となるでしょう。
この場合、店員から財物が交付されたのではなく、機械から財物を取得したのですから、人を騙す行為はこの場面ではありません。
もちろん、窃盗罪の場合にも、故意がなければ犯罪は成立しません。
窃盗罪の成立には、主観的要件として、他人の財物を窃取することの認識(故意)のほかに、不法領得の意思(権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思)を要求するのが判例および通説となっています。
たかが50円のことですが、理論上は犯罪が成立する可能性もありますし、実際に逮捕された事例もあります。
コンビニコーヒーの件に限らす、ご自身の行った行為が犯罪と成り得るのかお悩みであれば、刑事事件に強い弁護士にご相談されてはいかがでしょう。
お問い合わせは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイアル0120-631-881まで。
温泉施設で女児盗撮②
温泉施設で女児盗撮②
温泉施設での女児盗撮で成立し得る犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県養父市の温泉施設で、男性更衣室内で、父親と来ていた女児の裸を腕時計に内蔵されたカメラを使用して盗撮したとして、会社員のAさんが逮捕されました。
Aさんの行動を不審に思った女児の父親が、施設の職員に連絡し、職員がAさんの腕時計のデータを確認したところ、女児の裸が写った動画があったため、兵庫県養父警察署に通報し、駆け付けた警察官に逮捕されたということです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
女児盗撮事件で成立し得る犯罪とは
前回は、温泉施設における盗撮行為に対して迷惑防止条例違反が成立し得ることを説明しました。
今回は、女児に対する盗撮行為が児童買春・児童ポルノ禁止法違反にあたる可能性があることについてお話していきます。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反
児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童ポルノの所持・提供・製造・輸出入等を禁止しています。
児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」とは、以下のものを指します。
写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの (児童買春・児童ポルノ禁止法第2条3項)
上記ケースのように、女児の裸を写したものは、三号に当たる可能性があります。
「衣服の全部又は一部を着けない」とは、社会通念上衣服と認められる物を全く着用していないか、又は衣服の一部を着用していない状態をいいます。
全裸や半裸の状態がこれに当たり、通常の水着を着ている場合にはこれに当たりません。
しかし、半透明又は透明の材質で作られた衣装等を着ている場合には、社会通念上人が着用する衣服とは認められず、「衣服の全部又は一部を着けていない姿態」に該当すると考えられます。
「殊更に」とは、問題となる写真や映像等の内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価されるものであることです。
子供が裸で水遊びをしている様子を成長の記録として撮影する場合は、内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価されるものでない限り「殊更に」とは言えず児童ポルノに当たりません。
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激することをいいます。
一部の人の性欲を興奮させ又は刺激するものであっても、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものでない限り児童ポルノには当たりません。
例えば、炎暑に半裸でプールで遊んでいる姿をニュースで報道するなどは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとはいいがたく、児童ポルノにはあたりません。
児童ポルノ製造罪
第7条
3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
第7条3項は、提供目的製造罪について規定しています。
「製造」とは、第2条3項に定める「児童ポルノ」を新たに作り出すことをいいます。
本罪は、児童ポルノを提供する目的で、児童ポルノを製造した場合に成立します。
第7条4項の製造罪については、児童に児童買春・児童ポルノ禁止法第2条3項各号に掲げる姿態をとらせた上、これを撮影するなどした場合には、児童ポルノ製造罪が成立することになります。
また、ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を撮影することで、児童ポルノを製造した場合にも、盗撮による児童ポルノ製造罪が成立します。
盗撮による児童ポルノ製造罪は、3項の提供目的製造罪と4項の製造罪と「製造」という点で同じですが、「前二項に規定するもののほか」と規定されていることから、3項にも4項にも該当しない場合のみ、盗撮による児童ポルノ製造罪が成立することになります。
これらの法定刑も、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
以上のように、盗撮した被写体の年齢や盗撮した内容によっては、児童買春・児童ポルノ禁止法違反となる可能性があります。
ご家族が児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件で逮捕されてしまいお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
温泉施設で女児盗撮①
温泉施設で女児盗撮①
温泉施設での女児盗撮で成立し得る犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県養父市の温泉施設で、男性更衣室内で、父親と来ていた女児の裸を腕時計に内蔵されたカメラを使用して盗撮したとして、会社員のAさんが逮捕されました。
Aさんの行動を不審に思った女児の父親が、施設の職員に連絡し、職員がAさんの腕時計のデータを確認したところ、女児の裸が写った動画があったため、兵庫県養父警察署に通報し、駆け付けた警察官に逮捕されたということです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
女児盗撮事件で成立し得る犯罪とは
上記ケースのように、銭湯などの温泉施設で、父親に連れられて男風呂に入っている女児を盗撮するといった事件は少なくありません。
このような事件で成立し得る犯罪とは、どのようなものがあるのでしょうか。
迷惑防止条例違反
温泉施設における盗撮行為については、兵庫県の迷惑防止条例違反にあたる可能性があるでしょう。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
まず、第1項では、対象場所が「公共の場所又は公共の乗物」に限定されています。
「公共の場所」というのは、道路、公園、広場、駅、空港、埠ふ頭、興行場、飲食店その他の公衆が出入りすることができる場所を指し、「公共の乗物」は、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他公衆が利用することができる乗物を意味します。
次に、禁止されている行為については、「不安を覚えさせるような卑わいな言動」と定められています。
この「卑わいな言動」とは、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言動又は動作」をいうと解されています。(最決平20・11・10)
盗撮行為は、まさにこの「卑わいな言動」に当たるのです。
第1項では、盗撮行為に加えて、盗撮目的でカメラ等を設置する行為も禁止されています。
第2項は、対象場所を「集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)」と規定されています。
そして、禁止行為は、人の裸や下着を盗撮したり、盗撮目的でカメラ等を向ける・設置する行為です。
第3項は、「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」が対象場所となり、それらの場所で盗撮し、盗撮目的でカメラ等を向ける・設置することが禁じられています。
このように、兵庫県の迷惑防止条例では、公共の場所・乗物だけでなく、不特定多数の者が利用する場所や通常衣服の全部・一部を着けない状態でいる場所での盗撮行為・盗撮目的のカメラ差し向け・設置行為が禁止されているのです。
上記ケースでは、「温泉施設の男性更衣室」での盗撮ですので、「通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に該当しますので、そのような場所で盗撮行為は、迷惑防止条例違反となるでしょう。
盗撮行為と場所に着目した場合には、迷惑防止条例違反となり、その法定刑は6ヶ月の懲役または50万円以下の罰金です。
しかし、常習が認められると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と加重されます。
次回のブログでは、女児の裸を盗撮する行為に対して成立し得る犯罪について説明します。
兵庫県の盗撮事件でご家族が逮捕されてお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
刑事事件専門弁護士が逮捕された方に直接接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、0120-631-881までご連絡ください。
窃盗事件で間接正犯
窃盗事件で間接正犯
窃盗事件での間接正犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県芦屋市のコンビニで、Aは、幼稚園児の実の子供Bに商品棚に並んでいたパンを渡し、「これもって外に出てて。」と言い、Bは会計を済ませずにパンを店外に持って出ました。
売上金額と商品の在庫数が合わないことから、店長が防犯カメラをチェックすると、子供が会計せずにパンを外に持ち出している姿と、その後に続く女性の姿を確認しました。
後日、AとBが再度来店した際に、店長は兵庫県芦屋警察署に通報し、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
間接正犯とは
犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」をいいます。
つまり、犯罪が成立するには、以下の要件を満たす必要があるのです。
①問題となる行為が構成要件に該当すること。
②構成要件に該当する行為が違法であること。
③構成要件に該当し、違法である行為が有責に行われたこと。
要件①の構成要件については、様々な見解がありますが、基本的には「立法者が犯罪として法律上規定した行為の類型」と理解されます。
構成要件該当性が認められる場合には、行為者が実行行為を自ら行い結果を直接引き起こす場合(直接正犯)と、他人に行わせ、その他人によって結果が引き起こされる場合(間接正犯)とがあります。
間接正犯は、外見上、実行行為を自ら行っていないにもかかわらず、自らが行った場合と同視するものであるので、如何なる場合に同視し得るのかが問題となります。
間接正犯が認められるためには、他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」といいうることが必要となります。
それでは、どのような場合に他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」といえるのか、以下類型ごとに説明します。
(1)被害者の行為の介入
行為者の行為後、自由で瑕疵のない意思に基づく被害者の行為が介入した場合、間接正犯の成立は認められません。
しかし、行為者が被害者の行為をもたらし、その被害者に構成要件的結果についての認識が欠ける場合、被害者が欺罔により錯誤に陥っている場合、被害者の行為を強制した場合には間接正犯が成立します。
(2)非故意行為の介入
行為者が、構成要件的結果について故意のない媒介者の行為を介入させた場合、媒介者を「道具のように利用」して構成要件を実現させたとみることができ、間接正犯の成立を肯定することができると解されます。
(3)責任なき行為の介入
行為者が意思能力を欠く者を媒介して構成要件的結果を生じさせた場合、その者を思うがまま「道具のように利用」していたといえるので、間接正犯が成立すると解されます。
媒介者が責任能力が欠ける者(心神喪失)であっても、この者が是非弁別能力に欠けるときには、間接正犯が成立するものと解されます。
媒介者が14歳未満の刑事未成年者の場合であっても、是非弁別能力があるときには、意思の抑圧などの事情が存在しない限り、間接正犯の成立を肯定することはできません。
(4)構成要件非該当行為の介入
媒介者に構成要件要素である身分や目的がないため、媒介者の行為に構成要件該当性を肯定することができない場合、媒介者に結果を引き起こす認識・意思があったとしても間接正犯が成立し得ると考えられてきました。
上記ケースのように、幼稚園児に指示し窃盗行為をさせた場合には、当該児童は意思能力を欠く者であり、児童を「道具のように利用」したといえるので、Aの間接正犯は成立すると考えられるでしょう。
このように、直接自分が実行行為に着手していなくとも、正犯として刑事責任が問われることもあります。
どのような場合に間接正犯が成立するのかは、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
兵庫県の窃盗事件で間接正犯に問われてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐお問い合わせください。
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美人局で逮捕
美人局で逮捕
美人局で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Vさんは、出会い系サイトで知り合った女性Aさんと会う約束をしました。
Vさんは既婚者で、Aさんも既婚者であるが現在別居中だと聞いていました。
VさんとAさんは、食事のあと、ホテルへ行き肉体関係を持ちました。
ホテルから出ると、Aさんの夫だと名乗るBが突然現れ、「俺の嫁になにしてるんや!お前、独身か?結婚しとるんやったら、お前んとこの嫁に言うぞ!」と言い、金銭で和解することを持ち掛けられました。
妻にバレるのを恐れたVさんは、言われた通り金銭で解決することに合意し、手持ちの3万円を支払いました。
その後、Bと名乗る男から、更に金を無心する連絡が続き、困ったVさんは、兵庫県加西警察署に相談しました。
捜査の結果、AとBは、これまで同じような手法で多くの被害者から金銭を巻き上げていることが分かり、AとBを恐喝の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)
美人局で問われ得る犯罪とは?
美人局とは、一般的に、ターゲットとなる男性に対し、男女が共謀して金銭をゆすり取る行為をいいます。
出会い系サイトで出会った女性と性的関係を持った直後に、夫や両親と名乗る男性から因縁をつけられ、事件解決名目で金銭を要求するケースが多くみられます。
未成年者がかかわる場合、18歳未満の少女と性的関係を持つことが刑罰法令に触れる可能性があることを逆手にとり、警察沙汰にしないことを条件に多額の金銭を要求するといった手法が多くなっています。
被害者側も、未成年者と性的関係を持った事実を公にされることを嫌いますので、美人局であると疑っても、被害を警察に相談・報告することが出来ないという点があるようです。
美人局は、恐喝罪・詐欺罪・脅迫罪・強要罪・暴行罪・傷害罪・強盗罪などに該当する可能性があります。
強盗罪
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗罪における「暴行・脅迫」は、「相手方の反抗を抑圧するにたりる程度のもの」であることが必要となります。
そのような強度の暴力や脅迫で相手の反抗を抑圧し、相手の意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移した場合には、強盗罪が成立することになります。
暴行・脅迫と財物奪取との間に因果関係が必要となるのです。
上記ケースでは、BがVさんに暴行・脅迫を用いて、Vさんから金銭を奪い取ったのであれば、強盗罪に問われるでしょう。
恐喝罪
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
「恐喝」とは、脅迫・暴行を手段として、その反抗を抑圧するに足りない程度に相手を畏怖させ、財物の交付を要求することをいいます。
この恐喝行為の結果、畏怖した相手の処分行為に基づく交付によって、財物を取得した場合に、恐喝罪は成立します。
強盗罪との違いは、暴力・脅迫の程度、そして相手の処分行為の有無です。
脅迫の結果、Vさんが畏怖を原因としてBに金銭を渡したのであれば、恐喝罪となるでしょう。
詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
人を欺いて財物を交付させる犯罪です。
詐欺罪は、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じる、一連の相当因因果関係にあることが必要となります。
美人局の場合、恐喝罪との違いは、「錯誤に基づく財産的処分行為」であるか「畏怖に基づく財産的処分行為」かという点です。
相手が18歳未満ではないのに18歳未満だと虚偽の事実を示して、児童買春が成立するとして示談金を求めるケースでは、詐欺罪が問われる可能性もあります。
美人局事件でも、事案によって成立する罪名は異なりますので、一度刑事事件に強い弁護士にご相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ご家族が美人局事件で逮捕されている場合には、刑事事件専門弁護士が接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881まで。
自転車事故で刑事事件
自転車事故で刑事事件
自転車事故で刑事事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県南あわじ市に住むAさん(20歳)は、イヤホンで音楽を聴いたり、スマホを操作しながら自転車を運転していました。
ちょうどAさんがスマホを操作しようと目を下にやっていた時に、前方に歩行者の女性がいることに気が付かずに、その女性に衝突してしまいました。
女性はその場で倒れ込み、Aくんは急いで女性の様子を確認しましたが、意識がありません。
Aくんは慌てて救急車を呼びましたが、女性は搬送先の病院で死亡が確認されました。
Aくんは、現場に駆け付けた兵庫県南あわじ警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)
自転車対歩行者の事故
自転車と歩行者の交通死傷事故は、交通事故死傷者全体でみると、対四輪車の事故が最も多くを占めており、自転車と歩行者の事故件数は少ないように思われるかもしれません。
しかし、スマホの普及により、いわゆる「ながら運転」によって生じる交通死傷事故は増加していると言われています。
自転車を運転するにあたってのルール
意外と知られていませんが、自転車は道路交通法上の「軽車両」にあたります。
八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。(道路交通法2条1項8号)
十一 軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。(道路交通法2条1項11号)
「車両」には「軽車両」が含まれているので、自転車も自動車と同じ「車両」ということになります。
1.原則、車道を通行
歩道と車道の区別があるところでは、自転車は原則車道を通行しなければなりません。
また、軽車両である自転車は、車道の左側を通行しなければなりません。
2.歩道は歩行者優先
自転車は車両なのですが、例外的に歩道を通行することができます。
歩道に「自転車歩道通行可」の道路標識等がある場合、13歳未満の幼児・児童や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が運転している場合、そして、車道または交通の状況からみてやむを得ない場合です。
歩道を通行するときには、歩道の車道寄りまたは指定された部分をすぐに停止できる速度で走り、歩行者の妨げになる場合には一時停止しなければなりません。
3.安全ルール
二人乗りをしない、夜間のライト点灯、並走しない、飲酒運転しない、信号を守る、一時停止と安全確認をしっかりする、などといったルールも道路交通法に定められています。
自転車事故で問われる刑事責任
自転車対歩行者の事故を起こした場合、自転車だから刑事上の責任が問われない、なんてことにはなりません。
相手を死傷させた場合、道路交通法違反や刑法の過失傷害罪、過失致死罪、重過失致死傷罪に問われる可能性があります。
自転車を運転して相手に怪我を負わせた、死亡させてしまった場合、運転手の過失の程度によって、過失傷害罪・過失致死罪、または重過失致死傷罪となります。
重過失致死傷罪における「重大な過失」は、「人の死傷の結果がその具体的状況下において通常人として容易に予見できたのに、これを怠り、あるいは、結果を予見しながら、その回避の措置をとることが同様容易であったのに、これを怠ったというような注意義務の懈怠の著しい場合を指すもの」と解されます。(東京高判昭62.10.6)
イヤホンで音楽を聴き、スマホを操作しながら自転車を運転し、歩行者にぶつかり怪我を負わた、或いは死亡させた場合には、「重大な過失」の結果、人を死傷させたと言え、重過失致死傷罪が適用されるでしょう。
このように、自転車による事故であっても、刑事責任が問われることがあります。
被害の程度や過失の程度のより、適用される罪も異なります。
自転車で人身事故を起こしお困りの方は、一度交通事故を含む刑事事件に対応する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回の法律相談は、無料です。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお電話ください。
窃盗罪と詐欺罪
窃盗罪と詐欺罪
窃盗罪と詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
主婦のVさんは、神戸市灘区の商店街で買い物をしていると、見知らぬ女性たちから声を掛けられました。
女性たちは、「あなたには悪い霊がついている。すぐに除霊しないと、子供が死ぬことになる。」と言われ、Vさんは指示された通り、急いで自宅から貴金属品や現金などを新聞紙に包み、バックに入れて商店街に戻りました。
女性たちは、「今から除霊するから、目をつぶって。」と言われ、Vさんは目をつぶりました。
その後、女性たちはVさんにバックを返し、「これで大丈夫。悪い霊はいなくなった。」と言って去っていきました。
Vさんが家に帰ってバックの中身を確認すると、貴金属や現金が他の物と取り換えられていたことが分かり、慌てて兵庫県灘警察署に被害届を出しに行きました。
同署は、窃盗事件として捜査を開始しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)
窃盗罪と詐欺罪の違い
上記ケースでは、犯人たちがVさんを「騙して」Vさんの財物をとったことから、「詐欺罪」に問われるのでは?と思われる方が少なくないのではないでしょうか。
まず、詐欺罪とはどのような場合に成立するのか、以下説明していきます。
詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の基本的な構成要件(犯罪類型)は、「人を欺いて財物を交付」させることです。
つまり、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって才物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要となります。
①欺く行為
「欺く」というのは、一般人をして財物・財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
「人」を欺くものでなければならないので、機械に対して虚偽情報を入力した場合には、詐欺罪にいう「欺く行為」にはあたりません。
②錯誤
錯誤は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであればたります。
③処分行為
相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することです。
処分行為には、財産処分の意思と財産を処分する事実とが必要となります。
④財物の移転
財産の占有が移転することを「財物の移転」といいます。
⑤財産的損害
詐欺罪は財産罪であるため、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが成立要件として必要となります。
さて、上記ケースで詐欺罪が成立するか?ということですが、Vさんは犯人に「除霊をしなければ子供が死ぬ」と言われ信じ込んでいます。
除霊のために現金や貴金属を持ってくるよう言われ、Vさんはそれらを自宅から持ってきて犯人に手渡しています。
しかし、Vさんはあくまでその場で除霊をしてもらうために現金や貴金属を持ってき、商店街で除霊のために財物を犯人に手渡しました。
Vさんは、犯人らが「除霊をしている」という点について誤信をして目をつぶっており、「財物に対する自己の占有を解き、これを犯人に終局的に移転することを容認する意思」があったとまでは言えず、「人を欺いて財物を交付」させたことにはなりません。
よって、詐欺罪は成立しません。
窃盗罪
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪の基本的な構成要件は、「他人の財物を、不法領得の意思をもって、窃取」することです。
「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物のことで、「占有」とは、人が財物を事実上支配し、管理する状態をいいます。
この「占有」は、占有の事実と占有の意思という2つの要素により構成されます。
除霊のために財物を一瞬手渡したことにより、Vさんが当該財物を占有していないことにはなりません。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを指します。
財物奪取の手段として人を騙したとしても、占有移転行為時に瑕疵ある意思に基づく占有移転がなければ、窃盗罪が成立することになります。
つまり、詐欺罪と窃盗罪の大きな違いは、「占有移転が被害者の意思に基づく処分行為によるか否か」という点にあるのです。
よって、犯人はVさんの意思に反してVさんの財物の占有を自己に移転したので、窃盗罪が成立するものと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
あなたやご家族が、詐欺事件、窃盗事件で被疑者・被告人となってしまいお困りであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。
商標法違反で略式命令
商標法違反で略式命令
商標法違反での略式命令について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市兵庫区に住む外国籍のAさんは、某有名ブランドの偽物の商品をネットで販売したとして兵庫県兵庫警察署から来た警察官に家宅捜索後に通常逮捕されました。
Aさんは、「海外から仕入れたが、偽物だとは知らなかった。」と容疑を否認しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの友人が、このままでは強制退去となってしまうのではないかと思い、慌てて刑事事件に精通する弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
商標法違反
私たちが日頃商品の購入やサービスを利用する際、それらの「名前」や「マーク」を見て選ぶことが多いのではないでしょうか。
それは、私たちが商品等の「名前」や「マーク」が信頼する会社の商品等であると認識しているからです。
もし、勝手にある商品の「名前」や「マーク」をコピーして、品質の悪い商品に使ったのであれば、その「名前」や「マーク」の会社は消費者の信頼を失うことになります。
商標法は、商標を使用する者に独占的な使用権(商標権)を与えることで、業務上の信頼を維持し産業の発展に寄与するとともに、需要者の利益保護を目的とする法律です。
商標法が保護する「商標」とは、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的計上若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」で、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者が、その商品について使用するもの、又は業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するものを言います。
簡単に言えば、自己の商品やサービスを他者のそれと区別するために使用する「名前」や「マーク」を「商標」です。
そして、「商標」を独占排他的に商品・サービスの識別標識として使用できる権利を「商標権」と言います。
「商標権」を取得するには、特許庁へ「商標」を出願して商標登録を受ける必要があります。
この「商標権」を侵害した場合には、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はその両方が科せられる可能性があります。
また、「商標権」の侵害とみなされる行為をすれば、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はその両方が科されることもあります。
「商標権」の侵害とみなす行為とは、他社のブランドの「名前」や「マーク」に似た商標を使う、他者の商標に指定されている商品やサービスに似た商品・サービスを商標登録する、他社の商標に指定された商品・サービスに似た商品・サービスをその他社の商標の付いた包装紙で包装して人に渡す行為などが含まれます。(商標法第37条)
さらに、法人関係者が「商標権」を侵害した場合には、3億円以下の罰金となります。
略式命令
簡易裁判所が、原則として、検察官の提出した資料のみに基づいて、公判を開かずに、非公開で罰金または科料を科す刑事手続を「略式手続」といい、これにより裁判所が下す命令を「略式命令」といいます。
事件が比較的軽微であり、被告人にとって公判出頭の必要がなく、また迅速な裁判が期待できる等、被告人の利益となること、当事者に一定の場合に手続処分権が認められること、簡易手続が訴訟経済にも益することなどが略式手続の趣旨と言われています。
商標法違反事件では、商品の数の多さ、販売期間などを考慮し、その悪質性が高いと評価される場合には、公判請求される可能性もあります。
外国人と刑事罰
外国籍を有する方が刑事事件を起こし、刑事処分を受けた場合、滞在資格や科された刑事処分によっては強制退去の対象となる可能性があります。
滞在資格、犯した罪や最終的な刑事処分の種類により、退去強制事由も異なりますので、刑事事件を起こし、今後の滞在の可否について不安を抱いていらっしゃる方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
外国人事件にも対応しております。
刑事事件でお困りであれば、フリーダイアル0120-631-881までご相談ください。
痴漢事件で自首
痴漢事件で自首
自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県宝塚市に住む会社員のAさんは、通勤で利用する電車で隣に座っていた女性が眠っていたようなので、スカートの上から女性の脚やお尻を触りました。
電車が駅に到着しようとしていたその時、眠っていたと思っていた女性は、「やめてくれますか」とAさんに言ってきたので、Aさんは驚いて思わずそのまま席を立ち、停車駅で降車しました。
その後、家に帰宅したAさんは、「女性が警察に被害届を出し、警察が捜査しはじめたら、きっと防犯カメラに映っている映像から犯人を割り出すだろう。そしたら、逮捕されてしまうかもしれない。」と不安で仕方ありません。
Aさんは、ネットで刑事事件に強い弁護士を探し、翌日相談の電話を入れました。
(フィクションです)
捜査の端緒
捜査は、警察などの捜査機関が、犯罪があると考えるとき、犯人と思われる者を特定・発見し、必要な場合にはその身柄を確保するとともに、証拠を収集・保全する一連の手続をいいます。
捜査機関が「犯罪がある」と考えるきっかけを「捜査の端緒」と呼びます。
捜査の端緒には、以下のものがありま。
・被害者や被害関係者の届出・告訴・告発
・警察官による現認(現に犯罪を行っていることを認知したもの)、職務質問、取調べ(取調べ中に他の犯罪が判明したもの)
・犯人の自首
痴漢事件では、被害者からの被害届の提出や被害者・目撃者等により現行犯逮捕されることをきっかけに事件が発覚するケースが多くなっています。
ここでは、捜査の端緒である「自首」について説明していきます。
自首とは
罪を犯した人が、自ら捜査機関に対して、自分が犯した罪を自発的に申告し、その処分を求める意思表示のことを「自首」といいます。
単に、警察署などに自ら出向くだけでは、法律上の自首が成立するとは限らないのです。
刑法第42条は、自首について規定しています。
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
つまり、自首の成立要件は、以下の4つになります。
①犯罪を起こした本人自らが自発的に犯罪事実を申告していること
②犯罪を行った本人が自身の罰則や処分を求めていること
③捜査機関に申告していること
④捜査機関が犯罪事実や犯人を特定していない段階で申告していること
これらの要件を充たしている場合に、はじめて自首が成立することになります。
自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります。
どの程度刑が減軽されるかについても、刑法第68条が定めています。
法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁固又は10年以上の懲役若しくは禁固とする。
2 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
3 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
4 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
5 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
6 科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。
上記ケースの場合、Aさんは女性の服の上から体を触ったので、兵庫県迷惑防止条例違反が成立すると考えられます。
迷惑防止条例違反の痴漢に対する法定刑は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
常習が認められると、刑が加重され、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
有期懲役の場合、長期及び短期の2分の1に、罰金の場合、多額及び寡額の2分の1に減軽されるので、迷惑防止条例違反の痴漢の場合には、3か月以下の懲役又は25万円以下の罰金(常習の場合、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)の範囲内で刑罰が科されることになります。
痴漢事件を起こしてしまった場合、自首することもひとつの選択肢です。
自首することにより、刑を軽くしてもらえる可能性もありますし、逃亡のおそれがないことをアピールすることにもなり逮捕の可能性を低めることもなります。
痴漢事件でお困りの方、刑事事件を起こして自首をお考えの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の法律相談は無料です。
法律相談のご予約は、フリーダイアル0120-631-881まで。