Archive for the ‘少年事件’ Category

受水槽で遊泳は浄水汚染罪!?

2019-06-27

受水槽で遊泳は浄水汚染罪!?

浄水汚染罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県小野市にあるマンションの受水槽でパンツ一丁で泳ぐ少年たちの動画がツイッターやインスタグラムから拡散しています。
マンションの管理会社は、兵庫県小野警察署に被害届を提出しました。
動画やマンションの防犯カメラから少年たちの身元が特定され、市内に住む少年Aくん(17歳)は浄水汚染の容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
他の少年も逮捕され、それぞれ異なる警察署に留置されています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

浄水汚染罪~飲料水に関する罪~

刑法には、飲料水に関する罪として、次の6つの罪について規定されています。
浄水汚染罪(刑法第142条)
・水道汚染罪(同143条)
・浄水毒物混入罪(同144条)
・浄水汚染等致死傷罪(同145条)
・水道毒物混入罪及び同致死罪(同146条)
・水道損壊及び閉塞罪(同147条)

あまり耳にしない罪名ですが、マンションの受水槽の中で泳ぐ行為については、「浄水汚染罪」が成立する可能性があります。
それでは、「浄水汚染罪」とはいったいどのような罪をいうのでしょうか。

第百四十二条 人の飲料に供する浄水を汚染し、よって使用することができないようにした者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

浄水汚染罪の保護法益は、公衆の健康です。
飲料水は私たちの生活において欠かすことの出来ないものですので、それが汚染され使用できなくなってしまうと、多くの人の生活や健康に害を及ぼすことになってしまうからです。

「飲料に供する」というのは、飲料として提供することを予定していることを意味します。
ですので、工業用水、灌漑用水、家畜用の飲み水などは、人の飲料に供することを予定していないので除かれます。
「浄水」とは、人の飲料に供し得る程度の水のことをいいます。
また、「汚染」については、水の清潔な状態を不潔にすることを意味し、その方法は物理的・科学的・心理的であるとを問いません。
不潔な状態が一時的か、或いは長時間続いているかといった点も問題となりません。
「使用することができないようにし」とは、飲料水として使用不能の程度に至らせることを意味します。
使用については、一時的であってもよく、使用できなくなった理由は、物理的・科学的・心理的であるかを問いません。

それでは、上記ケースのように、マンションの受水槽の中で泳ぐ行為について検討していきましょう。

受水槽」というのは、建築物内で使用する水を貯留する設備のことです。
問題となっているマンションの受水槽は飲料水を貯めていたということですので、「人の飲料に供する浄水」という部分は当てはまりますね。
それでは、受水槽の中で泳ぐ行為によって当該浄水が「汚染」され、その結果「使用することができないようにした」と言えるでしょうか。
前述のように、「使用することができない」というのは、飲料水として使用不能の程度に至らせることです。
過去の判例では、「通常人の感覚を基準として、物理的、生物的または心理的に使用に堪えない」ことをいうとされています(最判昭36・9・8)
一般的には、人が泳いだ後の水を飲む気にはなりませんので、心理的に当該浄水を飲料水として使用することはできないと言えるでしょう。

このように、受水槽の中で泳ぐ行為は犯罪に該当し刑事責任を問われる可能性があるのです。
いたずらや遊びのつもりでと軽い気持ちでやったとしても、それは言い訳にはなりません。
もし、あなたやあなたの家族が浄水汚染事件を含めた刑事事件の加害者となり、今後の流れや処分、捜査機関による取調べ対応、被害者への対応についてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けています。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

子供が事件を起こしたら学校に通報されるの?

2019-06-23

子供が事件を起こしたら学校に通報されるの?

子供事件学校通報される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区にある商業施設内の店舗で商品を万引きしたとして、私立中学に通うAさん(15歳)は警備員に捕まってしまいました。
その後、Aさんは通報を受けて駆け付けた兵庫県灘警察署の警察官に警察署に連れて行かれ、取調べを受けました。
その日の夜、Aさんの両親が身元引受人となり、Aさんは釈放されました。
警察からは「また連絡します。」と言われており、警察から学校通報されるのではとAさんもAさんの両親も心配でたまりません。
翌日、少年事件に精通する弁護士のところに相談に行くことにしました。
(フィクションです)

子供が事件を起こしたら

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、刑罰法令に触れる行為をした場合、少年法に従った手続を踏むことになります。
14歳以上20歳未満の場合には、捜査段階では、ほぼ成人の刑事事件と同じ流れを踏むことになり、逮捕や勾留の要件を満たす場合には、逮捕・勾留され身体拘束を強いられることになります。
一方、少年が14歳未満の場合、刑事責任が問われませんので、罪を犯したことにはならず逮捕されることもありません。
原則、児童福祉法による処置が行われますが、都道府県知事または児童相所長から送致を受けた場合に限り、家庭裁判所の審判の対象になることがあります。
その場合、家庭裁判所は当該少年に対して保護処分を決定します。

少年が警察などの捜査機関から捜査(若しくは調査)を受けることになると、警察などから少年が通う学校事件のことが通知される可能性があります。
特に、公立の学校には、「警察・学校相互連絡制度」に基づき、警察などから学校側に事件について連絡がいくことになっています。
「警察・学校相互連絡制度」というのは、都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、児童生徒の健全育成を目的として、警察と学校が連絡をとりあう制度です。
兵庫県においても、県や各市の教育委員会が兵庫県警察本部と協定を結び、本制度を運営しています。

例えば、神戸市では、神戸市教育委員会と兵庫県警察本部とが平成28年に協定を結んでいます。
この協定に基づき、以下の事項について警察から学校に連絡することになります。

・逮捕した犯罪少年に係る事件
・児童相談所に送致し、又は身柄を同行して児童相談所に通告した触法少年に係る事件
・身柄を同行して、家庭裁判所に送致し、又は児童相談所に通告したぐ犯少年に係る事件
・その他非行少年又は不良行為少年に係る事案であって、次に掲げるもの
 ①次のいずれかに該当し、かつ、学校との連携による継続的な対応が必要であると通報責任者が認めるもの
 (ア)学校内外において、粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
 (イ)非行や不良行為を繰り返し、保護者の正当な監護に服さないなどぐ犯性が強い者であること
 (ウ)周辺の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
 (エ)関係する児童生徒が複数であること
 ②その他その内容に鑑み、児童生徒に対する指導を促進するため、連絡責任者が、特に学校通報が必要であると認めるもの

この制度によって、少年や保護者が知らないうちに、警察から学校に連絡が入り、事件のことが学校側に発覚してしまう可能性があります。
私立の学校の場合には、このような協定を結んでいないことが多く、すぐには連絡がいかない場合もあります。

既に警察から事件のことが学校に連絡がいっている場合には、弁護士は、少年が退学させられないように学校側に働きかけることになりますが、まだ伝わっていない場合には、弁護士から警察に学校に連絡しないよう、連絡した場合に少年が被り得る不利益等を説明し、説得していくことになります。

また、事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所の調査官が少年が所属する学校学校照会を行うことがあり、それによって学校側に事件が発覚してしまうおそれがあります。
そのような事態を避けるためにも、弁護士は、事件が家庭裁判所に送致されるタイミングを見計らい、調査官に学校照会をしないよう申し入れを行い、学校側への事件発覚を阻止できるよう働きかけます。

お子様が事件を起こしてしまい、容疑を認めている場合には、お子様がきちんと反省し更生するよう周囲と協力していく必要はあるでしょう。
しかし、学校事件について知ることによりお子様が被る不利益があまりにも大きく、更生への道に大きな影響を及ぼす可能性がある場合には、そのような事態を回避しなければならないでしょう。
お子様が事件を起こしてお困りであれば、まずは少年事件に精通する弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

子供が大麻所持で逮捕されてしまったら

2019-06-18

子供が大麻所持で逮捕されてしまったら

子供大麻所持逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市中央区の繁華街の路上で、乾燥大麻を所持したとして大麻取締法違反違反(大麻所持)で市内に住む高校生のAくんら3人が兵庫県生田警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、予想だにしなかったことに頭が真っ白になりました。
Aくんに会えないか警察署に問い合わせましたが、現段階では会えないと言われ困ってしまいました。
藁にも縋る想いでネットで調べたところ、少年事件に精通する弁護士の存在を知り、すぐに相談の電話をしました。
(フィクションです)

大麻と少年

兵庫県警によると、2018年の大麻事件の摘発者数は269人と、2005年以降で最多となりました。
このうち未成年者は51人と、全国で3番目に多い結果となっています。
大麻は、ネットを通じて比較的容易に入手することができ、外国では合法とされていることから、少年は違法薬物であるという認識が薄く、安易に大麻に手を出してしまう傾向があります。
しかし、大麻使用により薬物への抵抗感が失われ、より依存性の高い覚せい剤に手を出してしまう人も多く、大麻使用は薬物中毒への入り口とも言われています。

大麻所持の罪

大麻取締法は、「大麻取扱者でなければ大麻所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。」(3条1項)とし、以下の行為を禁止しています。
大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く)、
大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のために交付すること、
大麻から製造された医薬品の施用を受けること、
④医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医薬関係者等向けの新聞又は雑誌により行う場合その他主として医薬関係者等を対象として行う場合のほか、大麻に関する広告を行うこと。
これをうけて、罰則を次のように定めています。

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

大麻所持については、「大麻を、みだりに、所持し」た者に対して、5年以下の懲役を科すと規定されています。
所持」とは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」といい、大麻について所有権又は処分権を有していることまでも必要としません。
自ら保管・携帯している場合だけでなく、他人に保管させる場合、他人の依頼によって保管する場合、運搬する場合、隠匿する場合など社会通念上実力支配関係にあると認められるすべての場合が含まれます。

子供が逮捕されたら

逮捕から勾留までの48時間は、原則として、少年の家族であっても少年と面会することは出来ません。
警察から事件の詳細について教えてもらえることも少なく、逮捕後勾留前のこの段階は、逮捕された少年もその家族もこの先どうなるのかとても不安に感じていることでしょう。
そのような段階でも、弁護士であれば、いつでも少年と面会(接見)することができます。
弁護士との接見には、警察の立会いもなく、時間制限もありません。
少年から事件の詳細を聞き取った上で、今後の流れや処分見込み、取調べ対応についてのアドバイスを行うことができます。
また、少年から家族へ、家族から少年への伝言も弁護士を通して伝えることが可能です。

お子様が大麻所持逮捕されたとの連絡を受けてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
少年事件・刑事事件を専門とする弁護士が、最短当日に少年と接見する「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件で不処分獲得

2019-06-14

少年事件で不処分獲得

少年事件不処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西脇市に住む高校生のAくん(16歳)は、SNSを通じて知り合った少女Vさん(15歳)から、Vさんの陰部等を撮影した動画をAくんの携帯に送らせていました。
Vさんの両親がVさんの携帯を見たことで事件が発覚し、Vさんの両親は警察に相談しました。
Aくんは、警察から事件のことで詳しく聞きたいということで、何度か呼ばれました。
Aくんの両親は、今後の処分がどうなるのか心配になり、少年事件に詳しい弁護士に弁護を依頼しました。
その後、神戸家庭裁判所姫路支部に送致されましたが、審判では不処分が言い渡されました。
(フィクションです)

少年に対する処分

20歳未満の者(「少年」という。)が刑罰法令に触れる行為を行った場合、少年法に基づく手続が適用されます。
少年法は、少年をできるかぎり教育して構成させようという教育的機能と、刑事司法制度の一部としての司法的機能の2つの機能を併せ持ったものだと言われます。
成人であれば、検察官が捜査結果等に基づいて被疑者の起訴・不起訴を決定し、検察官は被疑者を不起訴として事件を終了することがあります。
しかし、少年が事件を起こした場合、原則としてすべての事件が家庭裁判所に送致されます。
これを全件送致主義といいます。
家庭裁判所が扱う少年保護事件の対象は、「非行のある少年」であり、犯罪少年、触法少年、そしてぐ犯少年です。

犯罪少年:罪を犯した少年。
触法少年:刑罰の定めのある法令に触れる行為をしたが、行為時14歳未満であるため、刑法上罪を犯したことにはならない少年。
ぐ犯少年:保護者の正当な監督に服しない、正当な理由がないのに家庭に寄り付かない、いかがわしい場所に出入りするなど、一定の事由があり、その性格や環境からみて将来罪を犯すおそれのある少年。

上記ケースでは、16歳のAくんは、相手児童に陰部等の動画をとりAくんに送らせており、児童ポルノ製造罪に当たると考えますので、「犯罪少年」として家庭裁判所に送致されるということになります。

家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所の調査・審判を経て、終局処分が言い渡されます。
終局処分には、以下のような処分があります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官逆送
③知事又は児童相談所長送致
不処分
⑤審判不開始

不処分

不処分決定とは、審判の結果、①保護処分に付することができないとき、または、②保護処分に付する必要がないと認められるときになされるもので、少年を保護処分や検察官送致などの処分に付さなくとも,少年の更生が十分に期待できる場合に出される決定を言います。
不処分獲得のために、弁護士は、家庭裁判所に対して疑いをかけられている非行事実が実際には存在しないこと、あるいは、非行事実があったとしてもそれが軽微なもので少年の性格や周りの環境に鑑みれば、再び非行に走る危険性は低いこと等を主張し、説得していきます。
非行事実を認める場合、少年が二度と同じ過ちを繰り返さないような環境を作り出すことが非常に重要です。
この「環境調整」は付添人である弁護士の重要な活動のひとつです。
まずは、少年自身が自身の行った行為と向き合い、当該非行を行った原因を見出し、その原因を解消する方法について考え、答えを出す必要があります。
これは少年ひとりでできるものではありません。
付添人は、少年と一緒に考え、その答えを見つけることができるよう指導していきます。
更に、少年を取り巻く周囲の環境を整えることも重要です。
これには家庭や学校・職場の協力が不可欠です。
少年だけでなく、その家族を中心に、学校の先生や職場の上司など、多方面と密に連携し、どのようにすれば少年が更生することができるかを話し合い、解決策を見出していかなければなりません。
このように、付添人は、法律の専門家というだけでなく、少年やその家族などの関係者、家庭裁判所との仲介人のような役割も担います。
ですので、付添人には、少年事件に精通した弁護士を選ばれるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応のお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

痴漢事件で逮捕されたら

2019-06-10

痴漢事件で逮捕されたら

痴漢事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西宮市にある学校に通う高校生のAくんは、通学で利用する電車で女子高生の臀部を触ったとして、兵庫県西宮警察署に迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
電車を降りようとした際に、女子高生に「お尻触りましたよね」と言われ、怖くなったAくんは、そのまま足早にホームから改札口に向かって逃げました。
被害者の証言や防犯カメラの映像から身元が特定されたようです。
Aくんの両親は、Aくんの早期身柄解放を希望しており、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

迷惑防止条例違反の痴漢事件

兵庫県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(通称、迷惑防止条例)は、ダフ屋行為、ショバ屋行為、景品買い行為、粗暴行為、押売行為、不当客引き行為、かたり行為、行楽地等の危険行為などの他に、痴漢行為や盗撮行為、ストーカー規制法では処罰できないつきまとい行為などを取り締まりの対象としています。

弊所に相談に来られる方で、最も多い相談内容のひとつが「痴漢行為」です。
痴漢行為は、その態様により、刑法上の強制わいせつ罪に問われることもあり得ますが、ほとんどの場合は、わいせつとまではいえないケースで、迷惑防止条例違反として処理されます。

兵庫県の迷惑防止条例では、「卑わいな行為等の禁止」と題して、以下のように規定されています。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

痴漢行為が問題となるのは、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」です。
「不安を覚えさせるような」とは、卑わいな言動によって身体に対する危険を感じさせ、あるいは心理的圧迫を与えることをいい、脅迫に至らないものをいいます。
行為者の言動が、客観的に、他人を不安を覚えさせるようなもので足り、現実に他人に不安を覚えさせることは必要となりません。
「卑わいな言動」というのは、一般人の性的道義観念に反し、他人に性的羞恥心、嫌悪を覚えさせ、又は不安を覚えさせるようないやらしくみだらな言語、動作をいいます。
この「卑わいな言動」の中には、刑法第174条の「わいせつな行為」も含まれ、「卑わいな言動」は「わいせつな行為」よりも広いと解されます。
また、迷惑防止条例は、このような「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」は、「公共の場所又は公共の乗物」において行われることを規制対象としています。
「公共の場所」とは、不特定かつ多数が自由に利用し、又は出入りすることができる場所をいいます。
道路、公園、広場、駅、桟橋、ふ頭、デパート、飲食店、興行場なども公共の場所に含まれます。
「公共の乗物」は、電車や乗り合いバス、船舶、航空機その他不特定多数の者が利用するための乗物を指します。

痴漢事件で逮捕されたら

痴漢逮捕されると、逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも被疑者の身柄を検察に送るかを判断します。
警察から検察に送致された場合、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は被疑者を釈放するか、あるいは裁判官に対して勾留請求を行うかを決めます。
被疑者を勾留する必要があるとし、裁判官に対して勾留請求を行うと、勾留請求を受けた裁判官は、被疑者を勾留するか、それとも釈放するかを決定します。
勾留決定がなされると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長されれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
被疑者が少年の場合には、基本的に成人の刑事事件と同じ流れとなりますが、勾留に代わる観護措置がとられる場合があります。
勾留に代わる観護措置は、留置場所が警察署から少年鑑別所になり、期間も10日と延長はありません。
しかし、勾留に代わる観護措置がとられた場合、その後家庭裁判所に送致されると、当然に観護措置がとられ、逮捕から審判終了までの約1か月半もの間身柄が拘束されることになる点に注意が必要です。

このように、逮捕されるとあっという間に勾留となり長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があります。
刑事事件は、迅速に対応する必要がありますので、身柄解放をお望みであれば、できる限り早い段階から弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

お子様が痴漢逮捕されてしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
いますぐ、フリーダイヤル0120-631-881までお電話を!

保護観察中の再非行~付添人の活動~

2019-06-04

保護観察中の再非行~付添人の活動~

保護観察中の再非行における付添人の活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県明石市に住む少年Aくん(16歳)は、半年前に地元のグループで集団暴走したとして、兵庫県明石警察署に逮捕されました。
グループのうち、運転した者はすべて逮捕されています。
Aくんは、中学生の時に夜中に学校に侵入し、窓ガラスを数枚割ったことがあり、神戸家庭裁判所保護観察処分が言い渡されていました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、保護観察中の再非行ということで、今度は少年院送致になるのではと心配しており、付添人として活動してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

保護観察中の再非行

保護観察とは

少年事件は、原則すべての事件が捜査機関による捜査が終了すると、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致されると、調査・審判を経て最終処分が言い渡されます。
その最終処分は、次の通りです。
・保護処分決定
・検察官送致
・不処分
・都道府県知事又は児童相談所長送致
・審判不開始

更に、保護処分決定には、①保護観察、②少年院送致、③児童自立支援施設等送致の3種類があります。
①の保護観察とは、少年を家庭や職場等に置いたまま、保護観察官による指導監督という社会内処遇によって、少年の更生を目指す処分をいいます。
保護観察に付される期間は、原則として、少年が20歳に達するまでです。

この保護観察中再度非行を行ってしまった場合、少年はどのような処分を受けることになるのでしょうか。

保護観察処分となった保護事件では、社会内処遇での少年の更生が期待されて開廷裁判所は保護観察処分を決定したわけですが、少年が再度非行に及んでしまった事実だけをみると、保護観察処分という枠組みでは少年の更生がうまくいかなかったと判断され、より重い保護処分が検討される可能性は高いと言えるでしょう。
再非行の非行内容にもよりますが、保護観察中に再度非行を起こしてしまうと、今度は少年院送致となる可能性はあります。
調査や審判では、今回の事件についてだけでなく、前回の事件からこれまでの経緯も詳しく聞かれることになるでしょう。
例えば、少年が再非行に及んだ原因、家庭・学校・職場などの監督能力については調査官や裁判官から強く問われることでしょう。
その結果、保護観察処分では少年の更生は期待できないと判断されると、少年院送致が決定されることになります。
しかし、逆に言えば、少年が再非行を起こしたけれども、少年院送致ではなく保護観察処分の枠組み内で少年の更生が期待できると判断してもらえれば、別件保護観中での不処分や、一旦試験観察となり最終的に保護観察処分が言い渡される可能性もあるというわけです。
上記ケースを例に挙げて考えてみると、地元グループから縁を切るために遠方へ引っ越したり、住み込みで働き上司の監督の下生活するなど、前回の事件以上に環境調整に力を入れる必要はあるでしょう。
また、少年自身が今回の出来事をどのように受け止めているかも重要な審理ポイントです。

このような活動は、少年事件に精通した弁護士に依頼されるのがよいでしょう。
少年事件では、少年法に基づいた手続がとられ、成人の刑事事件とは異なる点も多くあります。
少年事件の対応には、少年事件専門の弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、逮捕されてお困りの方、保護観察中の再非行で少年院送致となるのではとご心配の方、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで!
お子様が逮捕されている場合には、弊所の弁護士が留置先に赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。

試験観察を経て保護観察に

2019-06-01

試験観察を経て保護観察に

試験観察からの保護観察処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神崎郡市川町に住むAくん(17歳)は、大学入試を控えており、睡眠時間を削って必死に勉強していました。
しかし、思ったように成績も上がらず、徐々にストレスも積もっていきました。
そんなある夜、ストレス発散にと思い、深夜に自宅付近をジョギングすることにしました。
ジョギングしていると、前方に千鳥足の若い女性を確認しました。
酔っ払ってるんだろうと思ったAくんは、ふとその女性に声をかけました。
その女性はかなり酔っていたようで、Aくんのほうにもたれかかってきたので、Aくんはムラムラし、女性の服の下から手を入れ、胸を鷲掴みにしました。
嫌がる女性に対して、Aくんは自分の陰部を触らせるなど、行動はエスカレートしていきました。
我に返ったAくんは、女性を押し倒し、その場から急いで走り去りました。
数か月たった頃、兵庫県福崎警察署の警察官がAくんの自宅を早朝に訪れ、強制わいせつ致傷の容疑でAくんを逮捕しました。
Aくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aくんは、少年院送致の可能性もありましたが、逮捕・勾留後に神戸家庭裁判所姫路支部に送致され、審判で試験観察が言い渡され、最終的には保護観察処分となりました。
(フィクションです)

強制わいせつ致傷保護事件

電車内での痴漢行為がエスカレートして下着の中にまで手を入れ、相手の胸や陰部を触るケースや、路上で女性に抱きついて押し倒して胸や陰部などを触るケースで強制わいせつや強制わいせつ致傷に問われる事件が多くみられます。
少年事件においては、性的欲求のコントロールがうまくできず、自分よりも幼い子に対して行うことも少なくありません。
強制わいせつ罪や強制わいせつ致傷罪には懲役刑のみが規定されており、その意味で刑法犯の中でも重い罪と言えるでしょう。
そのため、少年事件においても、最終的な処分が少年院送致となる可能性も十分にありますので、できるだけ早い段階から弁護士を付けることをお勧めします。
少年審判では、非行事実だけでなく、要保護性も審理対象となります。
少年の環境調整を行い、再び少年が非行を犯すことがないことをしっかりと主張することが重要です。

試験観察を経て保護観察処分に

少年院送致の可能性がある保護事件の場合には、弁護士は、最初の審判で試験観察獲得を目指します。

少年事件は、家庭裁判所に送致されると、調査官による調査、少年審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
その処分には、中間処分と終局処分とがあります。

終局処分には、以下のような処分があります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官逆送
③知事又は児童相談所長送致
④不処分
⑤審判不開始

一方、中間処分として「試験観察」という処分があります。
家庭裁判所は保護処分を決定するために必要があると認めるときに、相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。

強制わいせつ致傷保護事件の様な少年院送致の可能性がある場合、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。

お子様が強制わいせつ致傷事件を起こし、少年院送致のような重い処分になるのではないかと心配されているのであれば、まずは少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お子様の更生にとって適した処分となるよう少年事件に精通する弁護士が尽力します。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

特殊詐欺関与で少年院送致

2019-05-28

特殊詐欺関与で少年院送致

特殊詐欺事件での少年院送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県相生市の高齢女性Vさん宅に、弁護士の秘書だと名乗り、現金100万円を騙し取ったとして、兵庫県内に住む少年Aさん(17歳)が詐欺の容疑で兵庫県相生警察署に逮捕されました。
Aさんは、小遣い稼ぎのために、高額アルバイトとうたった特殊詐欺の受け子として複数件犯行に関与していました。
逮捕・勾留の後に、神戸家庭裁判所に送致され、審判では少年院送致の保護処分の決定がなされました。
(フィクションです)

少年の特殊詐欺への関与

銀行員や市役所職員、弁護士などを騙り、「還付金があるので振込先銀行のキャッシュカードを渡してください」とか、「お子様が交通事故で相手方に怪我を負わせてしまったので、慰謝料を今すぐ用意してください」などと言い、キャッシュカードや現金などを騙し取る特殊詐欺事件が後を絶ちません。
犯罪は組織的に行われることが多く、電話をかける「掛け子」、被害者から現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、受け取ったキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す「出し子」などといったように複数人で役割を分担して犯行におよびます。
これらの役割の中でも、「受け子」や「出し子」は警察に捕まる確率が高いため、犯罪組織は外部の人間を雇い、これらの役割を担わせることが多くなっています。
これらの役割を担う外部の人間は、ネットを介して「高額アルバイト」などと称して募ります。
簡単な仕事で高額の報酬がもらえるとあって、未成年者がこのような募集に応募することが多く、特殊詐欺の「受け子」や「出し子」として警察に逮捕されるケースが多々見受けられます。
特殊詐欺は今や社会問題となっており、厳罰の傾向にあります。
少年においても例外ではなく、初犯であっても、いきなり少年院送致となるケースも少なくありません。

少年院について

家庭裁判所が下す終局処分は、保護処分、不処分、審判不開始、検察官送致があります。
更に、保護処分は、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設送致の3つがあります。

家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年や懲役・禁錮の言渡しを受けた16歳未満の少年を収容し、これらの少年に、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う施設が「少年院」です。
再び非行を犯すことなく、社会に復帰させることが目的であるので、少年院における矯正教育は少年の更生の中核となります。
少年院送致となった少年は、人間関係や学校・職場でのルールなどに適切に対応する能力が不十分である場合が多く、少年が更生するためには、少年が社会に出たときに遭遇するであろう様々な困難を乗り越え、再び非行を犯すことなく社会で生活していくことができるよう、健全なものの見方や考え方を身に着けることが重要だからです。
矯正教育は、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導を適切に組み合わせて行われます。
この中でも、生活指導は少年院における矯正教育の中心とされます。
少年院送致となる少年の多くは、基本的な生活習慣が身に付いていない、周囲とのコミュニケーション能力や自己表現力が乏しいために社会に適用できない、ものの見方や行動選択の場面に問題がある、などといったことが非行の原因となっていると考えられるので、これらの問題を改善することが少年の更生には必要不可欠と言えるからです。
生活指導には、基本的な生活習慣に関する指導から、様々な問題について講義やディスカッションを通して正しい知識や対処法を学んだり、家族との関係改善を図る指導まで幅広い内容となっています。

少年院は、少年が再び非行を犯すことがないよう、社会に適応して生活することができるよう支援する施設であり、少年院送致となることが必ずしも少年にとって不利益であるとは言えません。
しかしながら、長期間施設に収容されることで、少年の社会復帰に弊害をもたし得ることも否定できません。
お子様が事件を起こし、少年院送致が見込まれる場合には、すぐに少年事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
弊所の弁護士は、少年一人ひとりに合う弁護・付添人活動を行い、少年の更生に適した処分となるよう尽力します。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

公衆トイレ放火で逮捕②

2019-05-22

公衆トイレ放火で逮捕②

少年事件(公衆トイレ放火)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県佐用郡佐用町にある公園で、公衆トイレから煙が出ていると、通行人から通報がありました。
兵庫県佐用警察署は、付近の防犯カメラの様子などから、市内に住む中学生のAくん(13歳)とBくん(14歳)による犯行であることを特定しました。
同署は、Bくんを非現住建造物等放火の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

前回は、非現住建造物等放火罪について説明しました。
法定刑には罰金刑がなく懲役刑のみとなっており、刑法犯の中でも重い犯罪です。

それでは、今回は、20歳未満の者が事件を起こした場合の捜査段階の流れについてみていきたいと思います。

20歳未満の者(「少年」といいます。)が犯罪を犯した場合、成人の場合と同様に、警察に逮捕される可能性があります。
少年の犯罪事件は、原則として、成人の場合と同様に被疑事件として捜査機関による捜査がなされた後、その全事件が家庭裁判所に送致されます(これを「全件送致主義」といいます。)。
家庭裁判所に送致された事件は、家庭裁判所において少年保護事件として審理され、大部分の事件が家庭裁判所で終了します。
しかし、刑事処分が相当であるとされる事件については、検察官に送致されます。

少年の刑事事件とは、少年の犯罪事件が
①家庭裁判所に送致される以前の段階における少年の被疑事件
②家庭裁判所から検察官への逆送から刑事裁判所へ公訴を提起される以前の段階における少年の被疑事件
③公訴提起後の事件
をいいます。
少年の刑事事件の処理手続きについては、原則として、一般の成人の刑事事件における手続と同様に取り扱われます。

さて、上記ケースでは、AくんとBくんは共謀して公衆トイレ放火したことが特定されています。
しかし、警察に非現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されたのは、Bくんだけです。
なぜでしょう。

刑法には、以下のように規定されています。

第四十一条 十四歳に満たない者の行為は、罰しない。

14歳未満の者が、刑罰法令に触れる行為をしたとしても、刑法上の犯罪にはならないのです。
犯罪が成立しないので、逮捕されることもありません。
しかし、少年法上は「触法少年」として保護処分の対象となりますので、家庭裁判所に送致された場合には、審判を経て処分が言い渡されることになります。

14歳以上20歳未満の少年が罪を犯した場合には、逮捕の要件を満たしていれば逮捕される可能性があるのです。
逮捕されると、警察は逮捕から48時間以内に被疑者である少年を検察に送致するか、釈放するかを決めます。
検察に送致した場合には、検察は少年の身柄を受けてから24時間以内に少年を釈放するか、裁判所に勾留請求をするかを判断します。
検察官が勾留請求をすると、裁判官は少年を勾留するか釈放するかを決定します。
勾留が決定すると、検察官が勾留請求をした日から10日間、延長されると20日間の身柄拘束となります。
少年の場合には、勾留に代わる観護措置がとられる場合があります。
この場合、留置先は少年鑑別所となり、身体拘束期間は10日間です。

14歳未満の者が刑罰法令に触れる行為を行った場合、警察は逮捕や捜査を行うことが出来ませんので、警察は児童相談所に送致します。

このように、少年の年齢によって、後の手続が異なりますので、お子様が事件を起こしてしまったのであれば、少年事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。
少年事件でお困りの方は、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
少年事件専門の弁護士による無料法律相談初回接見サービスをご提供いたします。

公衆トイレ放火で逮捕①

2019-05-21

公衆トイレ放火で逮捕①

放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県佐用郡佐用町にある公園で、公衆トイレから煙が出ていると、通行人から通報がありました。
兵庫県佐用警察署は、付近の防犯カメラの様子などから、市内に住む中学生のAくん(13歳)とBくん(14歳)による犯行であることを特定しました。
同署は、Bくんを非現住建造物等放火の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

放火の罪

放火の罪は、火力を不正に使用して、建造物等を焼損し、公共の生命・身体・財産に対して危険を生じさせ得る「公共危険罪」と呼ばれる犯罪です。

放火の罪には、主に次のものがあります。
・現住建造物等放火
・非現住建造物等放火
・建造物等以外放火

上記ケースでは、「非現住建造物等放火罪」に問われています。

第百九条 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

本罪の構成要件(犯罪類型)は、以下の通りです。
1項…①放火して
   ②他人の所有に属する
   ③現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱抗を
   ④焼損したこと。
2項…①放火して
   ②自己の所有に属する
   ③現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱抗を
   ④焼損し
   ⑤公共の危険を生じさせたこと。

まず、本罪の客体についてみていきましょう。
本罪の客体は、「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱抗」です。
「現に人が住居に使用せず」というのは、犯人以外の者が住居に使用していないことをいいます。
「現に人がいない」とは、現に共犯者を含む犯人以外の者が存在しないことを意味します。
そして、「建造物」は、「家屋その他これに類似する工作物であって、土地に定着し、人の起居出入に適する構造を有するもの」(大判大13・5・31)をいいます。
毀損しないで取り外せるものは「建造物」には当たらず(大判大8・5・3)、布団、畳、障子、襖、カーテン等を焼いただけでは放火既遂罪は成立しません。
「艦船」は、軍艦その他の船舶を、「鉱抗」とは、鉱物採取するための地下設備をいいます。

次に、行為である「放火」の意義についてみてみましょう。
放火」とは、故意に不正に火力を使用し、物件を焼損することをいいます。
この点、不作為による放火については、判例は、自己の過失により物件を燃焼させた者が、その既発の火力により建物が焼損せらるべきことを容認する意思をもって、あえて必要かつ容易な消化措置をとらないことは、不作為による放火行為といえるとして、不作為による放火を認めています(最判昭33・9・9)。

続いては、本罪の結果である「焼損」について解説します。
客体を焼損した時点で既遂となります。
この「焼損」の意義については、学説上争いがあります。
1.独立燃焼説(判例)
火が媒介物を離れ目的物に移り、独立して燃焼作用を継続し得る状態に達した時点を「損傷」とする立場です。
放火罪の公共危険犯的性質を重視し、その段階で公共の危険の発生を認め得ることを根拠とします。
2.燃え上がり説
目的物の重要な部分が燃焼を開始した時点を「焼損」とする立場です。
3.毀棄説
火力によって目的物が損壊の程度に達した時点を「焼損」とする立場です。
4.効用喪失説
火力により目的物の重要部分が消失し、その本来の効用を失う程度に毀損された時点を「焼損」とする立場です。
このように、どの程度燃焼した段階で既遂と認めるかについて争いがあります。

放火」行為と「焼損」との間には因果関係がなければなりません。

2項については、客体の燃焼に加えて、「公共の危険」の発生を必要とします。
「公共の危険」の発生とは、放火行為により一般不特定の多数人を、所定の目的物を延焼しその生命・身体・財産に対し危害を感ぜしめるにつき相当の理由がある状態をいいます(大判明44・4・24)。
必ずしも建造物等に対する延焼の危険のみに限られず、不特定または多数の人の生命・身体・財産に対する危険も含まれます(最決平15・4・14)。

更に、故意がなければ本罪は成立しません。
1項については、「他人の所有に属し、人の住居に使用されておらず、かつ人が現在していない建造物等であること、火を放って客体を焼損することの認識」が必要となります。
また、2項については、「自己の所有に属し、人の住居に使用されておらず、かつ人が現在していない建造物等であること、火を放って客体を焼損することの認識が必要です。
公共の危険の発生の認識が必要か否かについては争いがあります。

1項の場合は、2年以上の有期懲役であり、未遂・予備も処罰されます。
2項の場合は、6月以上7年以下の懲役となっており、本罪の法定刑に罰金刑は設けられていません。

ご家族が、放火の罪で逮捕されてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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