少年と援助交際

少年と援助交際

少年援助交際について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住む中学生のAさん(15歳)の母親のもとに、兵庫県南あわじ警察署から連絡がありました。
「児童買春事件の件で、娘さんに話を聞きたい」と言われ、はじめてAさんの母親はAさんが援助交際をしていたことを知りました。
Aさんの母親は、Aさんが援助交際の件で今後逮捕されたりするのかと心配になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

子供が援助交際をしていたことが分かったら

一般的に、援助交際というのは、金銭等の経済的利益の代償として、性交を含めた性的な関係を提供することをいいます。
女子中学生や女子高生が援助交際を行うことも多く、児童買春として問題となっています。
児童買春をした者が、児童買春・児童ポルノ禁止法に違反し、刑事罰の対象となるのは多く知られたところですが、児童売春をした未成年者にはどのような処分が科され得るのでしょうか。

1.被害者として

児童買春は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)によって禁止されています。
ここでいう「児童買春」というのは、児童、児童に対する性交等の周旋をした者、または児童の保護者や児童をその支配下に置いている者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいいます。(児童買春・児童ポルノ禁止法第2条第2項)
児童買春をした者は、児童買春・児童ポルノ禁止法によって処罰の対象となります。(児童買春・児童ポルノ禁止法第4条)
児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童の権利を擁護することを目的とした法律ですので、同法において、児童買春の相手方となった児童は、児童買春によって心身に有害な影響を受けた児童買春の被害者として扱われることになります。
ですので、上記ケースのように、警察から児童買春事件の被害者として事情聴取を求められることがあります。

2.ぐ犯少年として

性交等を行う援助交際は売春行為であり、売春防止法に違反することとなります。(買春禁止法第3条)
しかしながら、単純な売春行為のみであれば、売春禁止法によって処罰されることはありません。
ただ、援助交際を繰り返している少年は、性の逸脱行為があるとして、補導の対象となります。
警察官は、街頭補導活動を中心とする補導活動を行っています。
街頭補導というのは、道路その他の公共の場所、駅その他の多数の客を来集する施設又は風俗営業の営業所その他の少年の非行が行われやすい場所において、非行少年、不良行為少年、被害少年、そして要保護少年を発見し、必要に応じその場で、次の措置をとることをいいます。
①非行少年については、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他の必要な措置をとる。
②不良行為少年については、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言又は指導その他の補導を行い、必要に応じ保護者に連絡する。
③被害少年については、適切な助言を行う等必要な支援を実施する。
④要保護少年については、児童相談所への通告又は児童相談所長もしくは都道府県知事の委託を受けて行う一時保護の適切な実施のため、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他必要な措置をとる。

また、売春を行っていた少年は、「ぐ犯少年」として家庭裁判所に送致され、審判に付される可能性があります。
「ぐ犯少年」というのは、ぐ犯事由があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある20歳未満の少年のことです。
ぐ犯事由というのは、次に掲げる事由です。
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
②正当な理由なく家庭に寄りつかないこと。
③犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。
④自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
これらのぐ犯事由自体は犯罪には該当しないので、他に犯罪行為がない限り、家庭裁判所への送致に先立って逮捕・勾留等はなされません。
しかし、捜査機関においてぐ犯事由があると思料するときには、家庭裁判所に送致され、調査・審判を経て最終的な処分が決定することとなります。

このように、犯罪行為そのものを行っていない場合であっても、ぐ犯少年として家庭裁判所に送致され、調査・審判に付される可能性はあるのです。

お子様がぐ犯少年として家庭裁判所に送致されて、その対応にお困りであれば、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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