Archive for the ‘少年事件’ Category
少年事件における弁護士
少年事件における弁護士について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県南あわじ市に住む高校生のAくん(16歳)が、兵庫県南あわじ警察署に逮捕されました。
Aくんの父親は、警察から、Aくんが見知らぬ女性に暴行を加えたとだけ聞きましたが、詳しいことは教えてもらえませんでした。
Aくんの父親は、ネットで刑事事件・少年事件に詳しい弁護士を探し、相談の連絡を入れました。
(フィクションです。)
20歳未満の者が刑罰法令に触れる行為を行った場合、少年法に基づく手続に従って事件が処理されることになります。
少年法は、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」ことを目的としています。(少年法第1条)
これは、少年は、心身共に発展途中であり、刑罰を科すよりも、少年が再び非行を犯すことのないように改善教育することに重きを置いた考え方に基づいているためです。
とは言え、少年法の手続が刑事事件の手続と完全に独立しているというわけではなく、14歳以上の少年の場合、捜査段階では、被疑事件として刑事事件の手続が適用されます。
また、少年が刑事事件の手続に付されるのは、家庭裁判所が終局処分として検察官送致を決定した場合です。
少年の刑事事件においては、弁護士は、少年の弁護人として、少年の権利や利益を保護・代弁する役割を担います。
成人であっても、捜査機関による取調べに不安を抱くものですので、少年であればなおさら、どのように対応すべきか迷うでしょう。
特に、逮捕・勾留によって少年の身柄が拘束されている場合は、外部と自由に連絡をとることができませんので、不安は更に増します。
取調官の誘導に乗って、少年に不利な供述をしてしまったりすることがないよう、弁護人である弁護士からアドバイスをもらうことは大切です。
弁護人には、その選任方法により、国選弁護人と私選弁護人に分けることができます。
国選弁護人は、その名の通り、国が選んだ弁護人です。
起訴される前の被疑者段階においても、ある一定の要件を満たす場合には、国選弁護制度を利用することができます。
被疑者に対して勾留状が発せられている場合で、被疑者が貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、国選弁護人の選任を請求することができます。
国選弁護人の場合、費用は国が負担するため、被疑者が弁護士費用を捻出する必要はありません。
ただ、注意しなければならないのは、勾留が決定した被疑者が国選弁護人の選任を請求することができるとされており、勾留前の段階では国選弁護人の選任を請求することはできません。
また、自分では自由に弁護人を選ぶことができないため、刑事事件や少年事件に詳しい弁護士が弁護人となるかは分かりません。
他方、私選弁護人は、被疑者やその家族が選ぶ弁護人のことです。
弁護士費用は自腹となりますが、刑事事件や少年事件に強い弁護士、被疑者やその家族と信頼関係を築くことができる弁護士を弁護人として選任することが可能です。
捜査機関が少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると考える場合、あるいは、犯罪の嫌疑はないものの、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると考える場合には、捜査機関は全ての事件を家庭裁判所に送致します。
事件を受理した家庭裁判所は、調査、審判を経て、少年の更生に適した処分を決定します。
家庭裁判所に事件が送致された後の手続は、成人の刑事事件とは大きく異なります。
審判では、非行事実及び要保護性について審理され、処分が決定します。
非行事実は、刑事事件における公訴事実のようなもので、少年がどのような非行を行ったかどうかを審理します。
要保護性については、多義的に用いられているのですが、一般的には、次の3つの要素から構成されるものと理解されています。
①犯罪的危険性…少年が、性格や環境等から、将来、非行を繰り返す可能性があること。
②矯正可能性…保護処分によって、少年の犯罪的危険性を除去できる可能性があること。
③保護相当性…少年の処遇にとって、保護処分が有効かつ適切な手段であること。
この要保護性は、単に保護処分をするかどうかを決める要素となるだけではなく、どのような保護処分をするかを決める上でも重要な要素となります。
非行事実が軽微であっても、要保護性が高いと判断されれば、少年院送致といった厳しい保護処分が決定することもあるのです。
少年事件では、要保護性という要素がとても重要であり、その如何によって最終的な処分が決まります。
そのため、弁護士は、付添人として少年の権利・利益を保護しつつ、要保護性の解消に向けた環境調整活動を行うことが期待されます。
この付添人という身分ですが、捜査段階に弁護人として就いていた弁護士が、家庭裁判所に送致された後に、自動的に付添人となるわけではなく、捜査段階の弁護人は、事件が家庭裁判所に送致されれば、その身分が終了します。
そのため、家庭裁判所送致後に、新たに付添人として選任された旨を家庭裁判所に通知しなければなりません。
付添人についても、国選付添人が付けられる場合がありますが、現行上、それは一定の重大事件に限定されており、裁判官が必要と判断する場合に限られています。
成人の刑事事件においても、弁護人である弁護士が果たす役割は大きいと言えますが、精神共に未熟な少年であればなおさら、弁護人・付添人である弁護士の存在は重要と言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
犯行時少年で発覚時成人であった場合
犯行時少年で発覚時成人であった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
2015年に兵庫県養父市で女性が何者かに刃物のようなもので刺され死亡する事件が起きました。
警察の必死の捜査にもかかわらず、すぐに犯人を特定するには至っていませんでした。
ところが、2021年9月に兵庫県養父警察署は、県内に住むAさん(23歳)を殺人容疑で逮捕しました。
Aさんは、犯行時17歳でした。
(フィクションです。)
犯行時に少年であった場合
Aさんは、2015年、17歳でした。
つまり、犯行当時の年齢は20歳未満で、「少年」であったのです。
少年が罪を犯した場合、少年法が適用されます。
14歳以上20歳未満の者が罪を犯した場合、捜査段階では、概ね、刑事訴訟法に基づく手続に付されます。
身体拘束の上捜査を行う必要があれば、被疑者が少年であっても、逮捕、勾留される可能性はあります。
捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所の審判に付するべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
これを「全件送致主義」といい、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のように捜査機関限りで事件を終了させることはありません。
事件を受理した家庭裁判所は、調査を行った上で、審判を開くかどうかを決定し、審判を開くとした場合には、審判で非行事実および要保護性を審理し、少年に対して処分を決定し言い渡します。
家庭裁判所が行う決定には、終局決定と中間決定とがあります。
終局決定は、少年の最終的な処分を決するものであり、中間決定は最終決定前の中間的なものとしてなされます。
審判を経てなされる終局決定には、不処分、保護処分、検察官送致、都道府県知事または児童相談所長送致とがあります。
検察官送致となった場合には、検察官に送致された後は、通常の刑事手続に付されて事件が処理されることになります。
ただし、犯行時少年であっても、家庭裁判所で審判を受ける時点で20歳を超えている場合には、家庭裁判所で審判を受けることができません。
少年が20歳以上であることが判明すれば、家庭裁判所は、事件を検察官に送致しなければなりません。
この場合の検察官送致を「年齢超過による検察官送致」と呼びます。
つまり、犯行時や家庭裁判所への送致時は20歳未満であっても、審判時に20歳を超えている場合には、少年法の適用はされないのです。
このことは、被疑者として逮捕された時、すでに20歳を超えていた場合も同じで、逮捕時には20歳以上の者となっていますので、最初から少年法は適用されず、成人の刑事事件として処理されることになります。
成人の刑事事件として取り扱われるため、刑罰が科される可能性があります。
ただし、刑罰については、18歳未満であれば、死刑の犯罪は無期懲役となります。
Aさんのように23歳で逮捕されたとしても、犯行時の年齢が18歳未満であるようなときには、殺人罪で有罪となった場合でも最高で死刑ではなく無期懲役が科され得ることになります。
ちなみに、人を故意に死亡させた場合で、かつ、犯行時16歳以上の場合、犯行時に少年であり、審判時でも少年であっても、原則、刑事処分相当を理由とする検察官送致となりますので、検察官送致後に刑事事件として処理されることになります。
以上のことからも、Aさんは、今後、成人の刑事事件として刑事手続に付されることは明らかです。
殺人罪で起訴されれば、通常の刑事裁判ではなく、裁判員裁判となります。
そのため、通常の刑事裁判以上に周到な準備をする必要がありますので、刑事事件専門の弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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特殊詐欺事件で故意否認
特殊詐欺事件で故意否認する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
Aくん(19歳)は、アルバイト先が休業中であるため、収入がなくなり困っていたところ、先輩から割のいいバイトがあると誘われました。
Aくんは、冗談交じりで先輩に「犯罪とかじゃないですよな。」と聞いたところ、「まさか。」と言われたので、先輩に紹介されたバイトを請け負うことにしました。
先輩に車で現地へ連れて行かれ、法律事務所の事務員と名乗り、高齢者から荷物を受け取るように指示されました。
Aくんは指示に従い、荷物を受け取った後、先輩と最寄り駅に行き、構内のロッカーに荷物を預けました。
Aくんは、先輩からバイト代として2万円を受け取りました。
高額の報酬に目がくらんだAくんは、その後も何度か同じことを繰り返しました。
ある日、兵庫県神戸市北区の民家を訪れ、いつものように高齢者から荷物を受け取り、家を出たところで、兵庫県神戸北警察署の警察官に詐欺容疑で逮捕されました。
Aくんは、取調べで、「これが詐欺だとは知らなかった。」と述べています。
(フィクションです。)
特殊詐欺事件について
特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして、「還付金がある。」、「口座が犯罪に使われている。」などと言葉巧みに騙し、被害者の現金やキャッシュカードなどを騙し取る犯罪のことです。
一昔前は、被害者にATMから指定した口座に現金を振り込ませる方法が主流でしたが、最近では、キャッシュカードを別のカードにすり替える窃盗型や電子マネーを購入させてIDを聞き出す電子マネー型が多くなっています。
1件あたりの被害額が高額であることも特殊詐欺事件の特徴です。
そして、特殊詐欺事件で逮捕されたケースでは、逮捕された1件のみならず、他にも複数同様の行為を行っていた場合が多く、総被害額は高額となり、被害弁償の額も大きく膨らむことが予想されます。
特殊詐欺事件は、電話をかける「かけ子」、被害者宅に赴く「受け子」、ATMで現金を引き出す「出し子」など、複数人で役割を分担し犯罪を実現することも特徴のひとつです。
特殊詐欺は組織的犯罪であり、共犯者も多数いるため、かなりの確率で逮捕後に勾留となります。
また、勾留と同時に接見禁止が付くため、弁護士以外の者との面会ができないことが通常です。
被害者が少年の場合には、保護者に限り面会が認められることが多くなっています。
捜査段階では、勾留、勾留延長となる可能性が極めて高く、余罪での逮捕・勾留も予想されるため、長期間の身体拘束が見込まれます。
量刑については、成人の場合、示談ができていても、起訴猶予は難しいでしょう。
特殊詐欺は被害額も大きく、悪質であるため、原則実刑とされますが、受け子の事案では、被害弁償をしている場合には執行猶予となる可能性はあります。
少年については、成人の場合とは異なり、非行事実と要保護性によって最終的な処分が決められますので、被害額や態様、立場、どの程度全体像を把握していたか、被害回復といった非行事実に関する事情だけでなく、成育歴、非行歴、誰からどのように誘われたのか、いつ詐欺と気付き、気付いたときにどうしたのかといった経緯、関与の期間、件数、反省の程度、環境の整備といった要保護性に関する事情を踏まえて判断されます。
故意を否認する場合
特殊詐欺事件では、組織の末端の受け子、出し子と呼ばれる役割を担った者は事件の全貌を把握しておらず、何らかの犯罪にあたるかもしれないと思っていたが詐欺だとは思っていなかった、という主張をすること少なくありません。
しかしながら、単に「知らなかった」と主張するだけでは、故意がなかったと認めらることは難しいでしょう。
なぜならば、客観的事情を踏まえて、本人が、詐欺を含む何らかの犯罪の可能性を認識していた、詐欺かもしれないと認識していた、ことが認められるからです。
通常、荷物を受け取るだけで2万円もの報酬を貰えることは日常生活からして考え難いことですし、被害者宅を訪問した際に偽名を使うように指示されていることや、その手口が報道等により広く社会に周知されている状況であることなどから考えると、故意否認が認められるのは難しいでしょう。
特殊詐欺は、少年であれば、少年院送致の可能性もある非常に重い犯罪です。
ただ、要保護性が解消されていると判断されれば、試験観察を経て保護観察となる可能性もありありますので、少年事件に強い弁護士に相談して対応されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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【お客様の声】強制わいせつ,強制性交等未遂事件 少年事件で保護観察処分
■事件概要
ご依頼者様の息子様(10代,大学生,前歴等なし)は,通行中の女性に対して,突然胸を触るなどのわいせつな行為を行い,その後口腔性交をさせようとしました。
■事件経過と弁護活動
ご依頼者様は,息子様が強制わいせつ,強制性交等未遂事件で逮捕・勾留され,勾留中に弊所に初回接見を依頼されました。
息子様には既に別の私選弁護人が選任されていましたが,その弁護人が接見等に十分行かず,ご依頼者様には不満があるとのことでした。
弊所の弁護士が初回接見に行き,事件内容を尋ねたところ,強制性交等未遂罪という極めて重い罪であり,一度だけの偶発的な事件といえども,少年院送致の処分が考えられる事案でした。
しかし,息子様は大学に通学しており,大学を退学とならないようにする必要性もありました。
弊所の弁護士が依頼を受けた時点で,捜査はほとんど終了していましたが,その後家庭裁判所に送致される際の心構えや,考え方等について接見で息子様にお話ししました。
また,被害者との示談交渉は,前の弁護人が既に開始していたため,被害者の方に無用の混乱を生じさせないよう,引き続き前の弁護人に依頼し,最終的には示談を成立させていただきました。
事件が家庭裁判所に送られた後は,弁護士が息子様と頻繁に面会し,どうしてこのような事件を起こしてしまったのか,今後どのように生活をすれば再非行をせずに済むのかを一緒に考え,最終的な少年審判の結果を左右する家庭裁判所調査官の調査に備えました。
また,少年事件では,事件を起こした本人だけでなく,ご両親も家庭裁判所調査官による調査を受けます。
ですので,調査の前に,調査で尋ねられる内容や,その際の受け答えなどを打合せし,準備をしたうえで調査に臨むことができました。
審判では,起訴事実についてはすべて認め,息子様が反省していることや,ご両親が今後も支えることや,専門的なカウンセリングを受講することなどを主張し,保護観察処分の獲得を目指しました。
最初の審判では,結論を決めるには時期尚早とのことで,試験観察となりました。試験観察中も,弁護士が息子様やご家族と一緒にカウンセリング施設に赴いたり,定期的に息子様と面談するなどして,最終的な審判に備えました。
2度目の少年審判では,上記のような息子様の努力や,ご家族の支えが評価され,無事保護観察処分を得ることができました。
息子様は,この事件で保護観察処分となり,社会復帰を許されたことから,二度と同じことをしないよう誓い,
新たな生活を歩んでおられます。
【お客様の声】建造物侵入、窃盗事件で保護観察処分
■事件概要
ご依頼者様の息子様(10代、学生、前歴補導歴なし)が、学校に侵入し、生徒の上履きを窃取した事件。
■事件経過と弁護活動
逮捕後、勾留に代わる観護措置が取られ息子様は少年鑑別所に収容された翌日に、ご依頼者様は弊所に初回接見を依頼されました。弊所の弁護士は、すぐに少年鑑別所での接見を行い、今後の流れや見込まれる処分について、ご依頼者様に丁寧に説明したところ、ご依頼者様は弊所の弁護士を信頼していただき、弁護活動を依頼されることになりました。
今回の事件では、勾留に代わる観護措置措置が取られていることから、身柄解放は難しいことが予想されました。しかし、担当弁護士は、勾留に代わる観護措置の決定に対する準抗告の申立て、観護措置決定に対する異議申立てを行い、息子様の早期釈放に向けて取り組みました。
また、担当弁護士は、保護観察処分となるよう息子様の環境調整に力を入れました。息子様と頻繁に接見をし、息子様がどうして今回このような事件を起こしたのか、被害者が息子様が行った行為によってどのような気持ちになったのか、今後このような事件を起こさないためにはどうすればよいのか、といった点を息子様と一緒になって考え、息子様が事件を向き合い、自身が抱える問題を発見し、それに対する解決策を探し出す機会を十分に持つように努めました。更に、ご依頼者様をはじめとしたご家族や学校とも協力し、息子様の周囲の環境を更生に適したものに調整役に徹しました。その結果、審判では保護観察処分となり、息子様は社会に戻り、心新たに生活を再スタートされました。
【お客様の声】窃盗事件 保護観察処分に
■事件概要
ご依頼者様の息子様(10代、学生、同種前歴あり)が、書店で漫画本を万引きしたとして現行犯逮捕された事件。
■事件経過と弁護活動
息子様が逮捕されたという警察からの連絡を受けたご依頼者様は、すぐに弊所に相談され、初回接見を依頼されました。弊所の弁護士は、すぐに警察署に赴き、息子様との接見を行いました。その後、ご依頼者様に接見報告を行い、その場で弊所に弁護活動を依頼されました。
依頼後、息子様は無事釈放されましたが、弁護士は、息子様の要保護性解消に向けた環境調整活動を重点的に行いました。息子様は、これまでも万引きで検挙された前歴がありました。そこで、弁護士は、息子様との面談を重ね、息子様が事件と向き合い、自身が抱える問題を見出し、その問題を解決するためにはどうすればよいのか、について話し合い、内省を深める手助けをするよう努めました。また、息子様のカウンセリングを担当された臨床心理士の先生とも連携して、息子様が抱える問題に対する対処法や再犯防止策などについて検討しました。そして、どのような環境調整を行い、息子様が事件後からいかに変わってきたかについて報告書・意見書にまとめて、適時家庭裁判所に報告しました。
ご依頼者様をはじめとする息子様のご家族、臨床心理士といった息子様を支える方々と協力して環境調整活動を行った結果、審判では無事保護観察処分となりました。
【お客様の声】窃盗事件 少年事件で保護観察処分
■事件概要
ご依頼者様の息子様(10代,高校生,前歴等なし)は,自身が通学する高校で窃盗事件を起こしました。
■事件経過と弁護活動
ご依頼者様は,息子様が窃盗事件で逮捕された後に,弊所に初回接見を依頼されました。
同じような事件の余罪も多数あり,被害者が身近な人物であることから,余罪での再度逮捕・勾留となる可能性や,示談金が高額になり得ること,そして全ての被害者との示談が成立したとしても少年院送致などの厳しい処分となる可能性があることが予想されました。
長期の身体拘束が予想されたため,弁護士は,息子様との接見を重ね,最大限,少年審判で有利なるよう,反省がみられるような長所になるようにアドバイスを行いました。
余罪の件での逮捕・勾留の可能性が高い案件でしたが,余罪については最初の逮捕・勾留手続きのなかで処理するよう働きかけを行ったため,結局再逮捕等はなされず,1度の逮捕・勾留のみで捜査が終了することとなりました。
被害者との示談交渉は,残念ながら被害者が話し合いに応じていただけなかったため示談を成立することはできませんでした。
しかしながら,息子様が盗んだ物の多くが自宅に保管されていたため,被害者にはそれらの物が返却されていました。
事件が家庭裁判所に送られた後は,弁護士が息子様と頻繁に面会し,どうしてこのような事件を起こしてしまったのか,今後どのように生活をすれば再非行をせずに済むのかを一緒に考え,最終的な少年審判の結果を左右する家庭裁判所調査官の調査に備えました。
また,少年事件では,事件を起こした本人だけでなく,ご両親も家庭裁判所調査官による調査を受けます。
ですので,調査の前に,調査で尋ねられる内容や,その際の受け答えなどを打合せし,準備をしたうえで調査に臨むことができました。
審判では,起訴事実についてはすべて認め,息子様が反省していることや,ご両親が今後も支えることを主張しし,保護観察処分の獲得を目指しました。被害者の数が多かったので,少年院送致等の厳しい処分もあり得るところでしたが,息子様の反省の態度や,ご両親の姿勢等が評価され,無事に保護観察処分が言い渡され,事件を終えることができました。
息子様は,この事件で保護観察処分となり,社会復帰を許されたことから,二度と同じことをしないよう誓い,新たな生活を歩んでおられます。
少年院送致の回避を目指す少年事件専門弁護士
少年院送致の回避を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
大学生のAさん(18歳)は、特殊詐欺の受け子をしたとして、窃盗の容疑で兵庫県三木警察署に逮捕されました。
余罪も複数あるとみられ、被害金額も高額になることが予想されます。
事件の連絡を受けたAさんの両親は、少年院送致の可能性が高いのではないかと心配し、少年事件専門弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)
保護処分としての少年院送致
家庭裁判所は、審判で非行事実が認められた後、要保護性の有無・程度を判断し、終局決定をします。
少年法は、選択し得る終局決定として、
①審判不開始
②不処分
③知事・児童相談所長送致
④検察官送致
⑤保護処分
の5種類を設けています。
⑤保護処分は、非行を行った少年に対して、性格の矯正及び環境の調整を目的として行われる少年法において中心的な処分で、保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致の3種類があります。
保護観察は、少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察所の行う指導監督と補導援護によって、少年の改善更生を図る社会内処遇です。
児童自立支援施設は、不良行為を行い、又は不良行為を行うおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由から、生活指導等が必要な児童を入所させ、必要な指導と自立への支援を行うことを目的とする施設です。
児童養護施設は、保護者がいない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を必要とする児童を入所させ、その養護・保護を行うことを目的する施設です。
これらの施設へ入所させる処遇が、児童自立支援施設又は児童養護施設送致です。
少年院送致は、矯正教育を受けさせるために少年院に収容する処分です。
少年の自由を拘束するという点で、保護処分の他の2つよりも厳しい処分と言えます。
少年院にも、その収容する少年の特色によって4つに分類されます。
第1種少年院は、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を収容する少年院です。
第2種少年院は、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を収容します。
第3種少年院は、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容します。
そして、第4種少年院は、少年院において刑の執行を受ける者を収容する施設となっています。
少年院送致を回避するために
審判では、非行事実及び要保護性が審理されます。
非行事実は、審判において審理の対象となる事実であって、成人の刑事裁判における公訴事実に当たります。
要保護性の意義については争いがありますが、一般的には、①犯罪的危険性、②矯正可能性、③保護相当性、の3つの要素で構成されると理解されています。
裁判所は、要保護性の有無や程度に基づいて処遇を選択します。
①犯罪的危険性
少年の性格、環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性のことです。
②矯正可能性
保護処分により犯罪的危険性を解消できる可能性を意味します。
③保護相当性
少年の処遇によって保護処分が最も有効、適切な手段であること。
非行事実が比較的軽微なものであっても、要保護性が高いと判断されれば、少年院送致が決定される可能性はありますし、非行事実が重大であっても、審判時には要保護性が解消されていると認められれば、保護観察処分となることもあります。
そのため、少年院送致の可能性がある事案では、要保護性を解消することが少年院送致回避にとって不可欠であり、付添人が担う重要な役割のひとつとなります。
要保護性の解消に向けた活動は、審判直前に行っても意味がありません。
できる限り早い段階から、少年やその保護者、学校関係者や職場の人間と協力して行う必要があります。
例えば、家庭環境に問題がある場合、少年とその家族との関係性を改善していくことになりますが、通常、2~3日であっさり解決するようなものではありません。
時間をかけてじっくりと、必要であれば当事者間の距離を一定程度離してみたり、腹を割って話してみたり、臨床心理士に協力を仰ぎ専門的な見解を得たり、様々な方法で、少年が事件と向き合い、自身が抱える問題を見出し、それをどのように解決していくべきかを、少年とその周囲の者と連携しながら、検討していくことが必要となります。
弁護士は、少年が再び非行を犯すことがないような環境を整える手助けをし、その過程や結果を裁判所に報告し、裁判所に少年の要保護性について正しく判断してもらうように努めます。
少年院送致の可能性がある事件を起こしてしまったとしても、少年の更生のために適切な処遇となるよう要保護性の解消に向けた活動を行うことは重要です。
そのような活動は、少年事件に詳しい弁護士に任せるのがよいでしょう。
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少年院送致処分の回避
少年院送致処分の回避を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県神崎郡神河町に住むAくんは、以前に傷害事件を起こし、現在は保護観察中でしたが、知人に暴力を振るい怪我をさせたとして、兵庫県福崎警察署に傷害の容疑で逮捕されました。
同種の前歴があるため、今度は少年院送致となるのではないかとAくんの両親は心配しています。
(フィクションです。)
少年院送致
事件の送致を受けた家庭裁判所は、調査官に少年の要保護性に関する調査を命じ、調査結果を踏まえて少年の処遇を決定します。
審判では、終局処分として、不処分、保護処分、検察官送致のいずれかがなされることがほとんどです。
終局処分に至る前に、中間処分として試験観察となることもあります。
終局処分である保護処分には、①保護観察処分、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の3種類があります。
少年院送致は、少年を少年院に強制的に収容する保護処分のことです。
収容先の少年院は、保護処分の執行を受ける者、及び少年院において懲役又は禁錮の刑の執行を受ける者を収容し、これらの者に対して矯正教育その他の必要な処遇を行う施設です。
家庭裁判所は、少年院送致の決定をする場合、少年の年齢や心身の発達の程度に応じて、送致すべき少年院の種類を決めます。
少年院には、次の4つの種類があります。
(ア)第1種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を対象とする少年院です。
(イ)第2種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を対象とする少年院です。
(ウ)第3種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容する少年院です。
(エ)第4種少年院
少年院において懲役等の刑の執行を受ける者を対象とした少年院です。
少年院に収容することができるのは、原則20歳までですが、少年院送致決定のあった日から1年を経過していないときは、その日から起算して1年に限り収容を継続することができます。
少年院送致処分の回避を目指す活動
少年院送致は、閉鎖施設において少年の自由を拘束するという点で、保護処分の中で最も強力な処分と言えるでしょう。
少年院送致が見込まれる事案では、少年院送致を回避する、つまり、試験観察を経ての保護観察処分を目指すことになります。
家庭裁判所は、保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもって、相当の期間、少年を調査官の観察に振ることができます。
これを試験観察といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間留保し、その期間の少年の行動等を調査官の観察に付すために行われる中間処分です。
試験観察期間中に、少年が目を見張るような変化を遂げて要保護性が解消された結果、社会内処遇での保護処分で十分であると認められれば、少年院送致ではなく保護観察処分となる可能性があります。
いきなりの少年院送致決定を回避するためには、少年の具体的な状況を考えた場合、少年院送致という終局処分を直ちにするよりも、引き続き、調査官による調査や付添人を含む関係者による働きかけや環境調整を行うほうが、少年の立ち直りが見込め、少年の更生にとって適した終局処分を決めることができる旨を積極的に主張していくことが必要となります。
このような活動は、少年事件に精通する弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件における被害者対応
少年事件における被害者対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県神戸市灘区の路上を歩いていた女性の背後からいきなり抱き着き胸を服の上から触って逃走するという事件が起きました。
兵庫県灘警察署は、市内に住むAくん(高校1年生)を強制わいせつの疑いで逮捕しました。
Aくんは容疑を認めているとのことですが、Aくんの両親は被害女性への対応をどのようにすべきか分からず困っています。
(フィクションです)
被害者対応について
窃盗・詐欺・傷害・盗撮・痴漢などといった犯罪には、犯罪によって被害を被った被害者が存在します。
民事上の責任として、加害者は、自身の行為によって身体的・精神的・財産的損害を被った被害者に対して、損害賠償責任を負う可能性があります。
それでは、刑事事件においては、被害者対応の如何が最終的な処分やその後にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
被害者がいる事件では、被害弁償や示談が成立しているか否かといった点が最終的な処分に大きく影響します。
示談というのは、被害者との合意のことを意味しますが、通常は、加害者が被害者に対して慰謝料を含めた被害弁償を行う一方、被害者から許しを得、今回の事件は当事者間では解決したとする約束のことをいいます。
被害者のいる事件では、被害が金銭的に回復されたか否か、被害者が加害者に対してどのような感情を抱いているのか(厳しい処罰感情があるのか、処罰を求めていないのか)といった点が、処分を決めたり、宣告刑を決めるにあたって重要な意味を持ちます。
特に、被害者等の告訴権者からの告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」に該当する罪を犯した場合には、被害者との示談が成立し、被害者からの許しを得ているのであれば、検察官は起訴することができませんので、不起訴処分で事件を終了させることになります。
親告罪ではない場合でも、被害者との示談が成立していることが考慮され、不起訴処分となるケースは多くなっています。
起訴後であっても、被害弁償や示談は量刑上重要な要素となりますので、捜査段階で示談が成立していない場合でも、公判期日までに示談が成立するよう示談交渉に動くことは重要です。
以上のように、容疑を認めている場合には、被害弁償や示談成立に向けて活動することは、最終的な処分への影響という点で重要です。
また、刑事事件の段階で被害者と示談を成立させることにより、別途民事訴訟を起こされる危険性を回避することができます。
少年事件における被害者対応
刑事事件における被害者対応、つまり被害弁償や示談は、最終的な結果に大きく影響するという意味で重要であると言えますが、少年事件においても同様のことが言えるのでしょうか。
少年審判では、非行事実と要保護性の2点について審理されます。
非行事実は、成人の刑事事件でいう公訴事実です。
要保護性は、一般的に次の3要素から構成されるものと理解されます。
①再非行性
少年の現在の性格、環境に照らして、将来再び非行をする危険性があること。
②矯正可能性
少年法上の保護処分による矯正教育によって再非行性を除去できること。
③保護相当性
少年法上の保護処分が更生のために有効適切であること。
少年審判では、非行事実と要保護性が審理されるので、例え非行内容が重いものであっても、要保護性が解消されていると判断されれば、保護観察処分などの社会内処遇が言い渡される可能性があります。
逆に言えば、比較的軽い罪に当たる非行内容であったとしても、要保護性が高いと判断されると、少年院送致などの重い処分となる可能性もあるということです。
このように、少年事件では、要保護性が最終的な処分に大きく影響します。
そして、この要保護性という観点からも、少年事件においても被害者対応が重要であると言えるのです。
少年事件では、被害者との示談成立が直接処分に影響することはありません。
つまり、成人の刑事事件のように、被害者と示談が成立していることをもって事件を終了させることはありません。
しかし、家庭裁判所は、少年が、被害者への被害弁償や示談を通して、被害者の気持ちを考え、自分の行った行為を振り返り、その反省を深めることができたかどうかを見ており、その意味で、被害者対応が要保護性の減少につながり、処分にあたっても考慮される事情となります。
つまり、少年事件では、被害弁償や示談成立の有無それだけが考慮されるのではなく、例え示談が最終的には成立していなくとも、その過程で少年が被害者の気持ちを理解しようとし、事件と向き合い内省を深めたか否かも最終的な処分を決める際に考慮されることになるのです。
このように、成人の刑事事件における被害者対応と少年事件における被害者対応とでは、幾分か異なるところがあるため、少年事件でお困りであれば少年事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、被害者への対応にお困りであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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