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悪口言いふらしたら、ネットに書き込んだら名誉毀損罪!?
悪口言いふらしたら、ネットに書き込んだら名誉毀損罪!?
名誉毀損罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさん(20歳)は、同じサークルに所属するVさんを忌み嫌っていました。
というのも、元々AさんとVさんは仲が良かったのですが、Aさんが同じサークルに所属するBくんに好意を抱いていることをVさんに相談したことで、VさんもBくんに好意を寄せるようになり、結局VさんがBくんに告白し二人が付き合うようになったという出来事があったからです。
Aさんは、Vさんのした裏切り行為を許すことが出来ず、サークル仲間にVさんの悪口を言いまわっていました。
Aさんは、匿名でネットの掲示板にもVさんを名指しし誹謗中傷するような書き込みをしていました。
ある日、サークル仲間を通じてAさんがVさんの悪口を言っていることやネットの掲示板にひどい書き込みがしてあることを知ったVさんが、Aさんに対して「これ以上はやめてほしい。でないと警察に相談する。」とメールで警告してきました。
Aさんは自分のやった行為が犯罪に当たるのか、Vさんが警察に相談した場合にはどうなるのか心配になり刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
人の悪口を言いふらす行為やネット上に書き込む行為は犯罪?
誰もがみな仲良く争いもなく生活を送る、そんな素晴らしい人生が送らたらどんなに幸せでしょうか。
十人十色といいますが、人生長く生きていれば、気が合う人もいれば、そうでない人も出てくるでしょう。
ついつい嫌いな人や苦手な人の悪口を言ってしまうものですが、度が過ぎる行為は犯罪となる可能性もありますので気を付けましょう。
名誉毀損罪
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に、その事実の有無にかかわらず成立する犯罪です。
「人の名誉」というのは、人についての事実上の社会的評価を意味します。
ですので、人の真価とは異なった評価である虚名も保護され、摘示した事実が真実でも、後述する真実性の証明による免責が認められない限り、処罰対象となります。
名誉の対象は、自然人の他に、法人などの団体を含みます。
「公然」とは、不特定多数人が認識し得る状態をいいます。
不特定人というのは、相手方が特殊の関係によって限定された者でない場合をいい、多数人とは数字によって何人以上と限定することはできないが、単に数名では足りず、相当の員数であることを必要とします。
また、特定少数の者に事実を摘示した場合であっても、伝播して不特定多数の者が認識し得る可能性を含む場合には公然性が認められます。
摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りる事実であることが必要となります。
この事実は、真実か否か、公知か否か、過去のものか否かは問われません。
「摘示」とは、具体的に人の社会的評価を低下させるに足りる事実を告げることをいいます。
摘示の方法・手段には制限がありません。
名誉毀損罪は、社会的評価を害するおそれのある状態を発生させればたり、公然と事実を摘示すれば通常人の名誉は毀損されたものといえます。
さて、真実である事実を摘示した場合にも名誉毀損罪は成立するのですが、真実性の証明による免責が設けられています。
名誉毀損行為が、公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合で、摘示した事実が真実であることの証明があったときに、免責が認められます。
加えて、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実、公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実についての特則も定められています。(刑法第230条の2)
では、Aさんの行為が名誉棄損罪に当たるのか検討してみましょう。
(1)Vさんの悪口をサークル仲間に言いふらす行為について
Aさんは、AさんがBくんを好きなことを知った上でBくんに告白し付き合うことになったVさんが許せないのですから、おそらくAさんが言いふらしたVさんの悪口は「Vさんは友人の好きな人を知っていたのに、その人を奪うような人間だ!」といった感じの内容でしょう。
これが事実だとしても、この内容はVさんの社会的評価を下げるものと言えるでしょう。
しかし、Aさんがサークル仲間にその事実を言いふらしたことが「公然」と言えるかが問題となります。
サークル仲間全員の前で、事実を摘示したのであれば公然性が認められるでしょうが、サークル仲間のうち数名だけに対して摘示したのであれば、それだけで公然とは言うことは難しいでしょう。
摘示した人物が「おしゃべり好き」で知られた人物であった場合には、その人から不特定多数の者に摘示した事実が伝播する可能性が認められるかもしれません。
(2)Vさんの悪口をネットの掲示板に書き込む行為について
一方、ネットの掲示板に書き込む行為は、それによってサークル仲間に限らず不特定多数の者が閲覧可能な状態にしていることになりますので、公然性が認められることになります。
ですので、この場合には、名誉棄損罪が成立する可能性が高いでしょう。
名誉棄損事件を穏便に解決する方法としては、被害者との示談成立が挙げられます。
なぜならば、名誉棄損罪は親告罪だからです。
親告罪というのは、告訴権者による告訴がなければ、公訴を提起することができない罪のことです。
ですので、名誉棄損事件で加害者となってしまった場合には、すぐに被害者との間で示談を成立させ事件化回避や不起訴獲得などを目指します。
しかし、名誉を棄損された被害者は、加害者に対して怒りや恐怖を感じていることが多く、直接話をすることに積極的でない場合が多いのです。
ですので、被害者との示談交渉には、第三者である弁護士を介して行うことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名誉棄損事件をはじめとする刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
名誉棄損事件でお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
酔っ払って暴力事件
酔っ払って暴力事件
酔っ払いの暴力事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社の飲み会でAさんは上司や部下ら数人と兵庫県神戸市東灘区の居酒屋で夜10時頃まで飲み食いしていました。
店を出るときはそこまで酔っ払っていなかったのですが、上司から2軒目に誘われ、そこで足もとがふらつくぐらい酔っ払ってしまいました。
2軒目を出ると、上司が通行人Vさんとぶつかり、2人の間で意図的にぶつかったのどうだのと言い争いになりました。
Aさんは酔っ払っていましたが、仲裁に入ろうとして2人の間に入りましたが、気が大きくなっていたAさんはVさんの言動に腹が立ち、とうとうVさんの顔面を拳で一発殴ってしまいました。
目撃者からの通報で駆け付けた兵庫県東灘警察署の警察官は、Aさんを暴行容疑で逮捕しました。
Aさんは酔っ払っていて記憶が曖昧ですが、自分がVさんを殴ったことは自分の手の腫れ具合から間違いないだろうと供述しています。
会社のこともあるので、一日でも早く釈放されないかと心配でたまりません。
酔っ払った末の刑事事件
普段は温厚で犯罪とは何ら関りをもたない方でも、酔っ払って気が大きくなり罪を犯してしまうケースは少なくありません。
特に、酔った勢いで人に手を挙げてしまったり、物を壊してしまうといったことはよく耳にします。
お酒の失敗談として笑い話で済めばいいのですが、残念ながら犯罪行為となり、被疑者として警察に逮捕される可能性があるのです。
それでは、酔っ払って人を殴ってしまった場合に成立し得る犯罪はどのようなものでしょうか。
暴行罪
上記ケースでも問われている「暴行罪」が成立する可能性があるでしょう。
暴行罪については、刑法第208条に規定されています。
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪の構成要件は、
①人に暴行を加えたが、
②その人が傷害するに至らなかった
ことです。
ここでいう「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいいます。
いわゆる殴る蹴るといった暴力の行使のみならず、音・光・熱等による作用も含まれます。
判例は、暴行について緩やかに捉えており、暴行とは、人の身体に対する不法な一切の攻撃方法を含み、性質上傷害の結果を惹起すべきものである必要はないと解されています(大判昭8・4・15)。
また、有形力が人の身体に接触することは不要とされており、驚かす目的で人の数歩手前を狙って投石する行為(東京高判昭25・6・10)や、高速道路上で並進中の自動車に嫌がらせ目的で幅寄せする行為(東京高昭50・4・15)も暴行に当たるとされています。
傷害罪
暴行の末、人に怪我を負わせた場合には「傷害罪」が成立する可能性があります。
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
「傷害」の概念について、判例は、「人の生理的機能に障害を加えること」としており、生活機能の毀損と健康状態の不良変更を傷害として解しています。
髪の毛を切る行為は傷害ではなく暴行となりますが、梅毒の感染や失神、騒音による慢性頭痛症等、不安・抑うつ症、PTSDなどを生じさせることは傷害となります。
また、傷害の方法は有形無形を問いません。
暴行によって傷害が惹起されることが多いですが、嫌がらせ電話により不安感を与え精神衰弱症にする場合、怒号等の嫌がらせによって不安・抑うつ状態にする場合など、心理的な方法により健康状態を害する場合も傷害となります。
傷害罪は、故意犯のみならず、暴行罪の結果的加重犯の場合も含むと解するのが通説となっており、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りるとされます。
暴力事件で逮捕されたら
酔っ払って暴力事件を起こしてしまった場合、目撃者からの通報や巡回中の警察官に現行犯逮捕されることが多いようです。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
検察に送致されると、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に勾留請求をするか釈放するかを決定します。
検察官が勾留請求し、その請求を受けて裁判官が被疑者を勾留する理由も必要もあると判断すれば、当該被疑者は検察官が勾留請求をした日から原則10日間の身体拘束を余儀なくされます。
ですので、勾留となれば長期間の身体拘束となり、その間会社に行くことはできません。
その結果、最悪の場合、会社をクビになる可能性もあります。
そのような事態を回避するため、逮捕されたら早期に刑事事件に詳しい弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。
あなたの家族が暴力事件で逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
人に犯罪を依頼したら
人に犯罪を依頼したら
人に犯罪を依頼した場合に成立し得る罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
海外に住む妻Vさんが、現地で何者かに銃で射殺される事件が起きました。
現地の警察は、Vさんを射殺したとされる被疑者を2名逮捕しました。
取調べにおいて、被疑者らは兵庫県に住むVさんの夫のAさんからVさんを殺すよう依頼された旨を供述していることが明らかになりました。
兵庫県警察は、殺人の容疑でVさんの夫であるAさんを逮捕しました。
(朝日新聞デジタル 2019年6月14日5時00分掲載記事を基にしたフィクションです)
他人に犯罪を依頼した場合に問われる刑事責任とは
殺害依頼と聞くと、「殺し屋」などが出てくるドラマや映画の話だと思ってしまいますが、現実でも起こり得る話なのです。
このように、自らが実際に犯行に及ばないけれども、他人に犯罪を実行するよう依頼すると、依頼者に如何なる刑事責任が問われるのでしょうか。
ここでは、上記ケースを例に人を殺すことを依頼した場合で考えてみましょう。
まず、実際に犯行に及んだ者(正犯)は、人を殺意を持って殺したのですから、殺人罪が成立します。
それでは、殺人の依頼者はどうでしょうか。
1.殺人罪の教唆犯
教唆犯については、刑法第61条に規定されています。
第六十一条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
教唆は、「人を教唆して犯罪を実行させた」ことで成立します。
人に犯罪行為を遂行する意思を生じさせて、それに基づき犯罪を実行させることです。
つまり、教唆行為によって、正犯における犯罪行為を遂行しようとする意思が惹起され、その意思に基づいて犯罪を実行し、構成要件該当事実(殺人罪の場合には、人を殺すこと)の発生という、一連の因果関係が肯定されることが必要となります。
教唆行為は、黙示的でもよく、利益の供与、誘導、強制、威嚇、哀願等、その手段方法は問いません。
教唆犯の法定刑は、正犯のそれと同じですので、教唆犯であっても起訴され有罪判決を受ければ、死刑または無期もしくは5年以上の懲役刑が科される可能性があるのです。
2.共謀共同正犯
人の殺人を依頼した場合の依頼者の刑事責任について、共謀共同正犯となることも考えられます。
「共謀共同正犯」とは、複数人が一定の犯罪を実行することを共謀し、その共謀した者の中の一部の者が共謀した犯罪の実行に出た場合、共謀に参加したすべての者について共同正犯としての罪責が認められる共犯形態をいいます。
「共同正犯」の一類型が「共謀共同正犯」です。
「共同正犯」というのは、二人以上が共同して犯罪を実行することです。
第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
共同正犯者はすべて正犯とされる点で、教唆犯とは異なります。
共謀共同正犯の成立要件は、次のとおりです。
①共謀の存在
②共謀に基づき、共謀者の全部または一部の者が実行行為をおこなったこと
つまり、2人以上の者が特定の犯罪をおこなうため、共同意思の基に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とした謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならないのです。
殺害を依頼した依頼者が犯罪にどのように関与したかによって殺人の教唆犯となるか共謀共同正犯となるかは異なります。
いずれにせよ、法定刑はどちらも同じです。
殺人事件における弁護活動については、容疑を認める場合と否認する場合とで異なります。
容疑を否認している場合には、教唆も共謀もしておらず殺人罪を犯していない、殺意がないことを立証し、殺人罪が成立しない旨を主張し、無罪獲得に向けた活動を行います。
容疑を認めている場合には、他の刑事事件と比べて起訴猶予による不起訴処分の獲得の可能性は著しく低いと言えるでしょう。
ですので、公判請求されることを前提に、情状証拠の収集に努め、量刑の軽減を目指す弁護活動が中心となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、殺人罪等の暴力事件を含めた刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、弊所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
放尿行為で器物損壊罪
放尿行為で器物損壊罪
器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川西市に住む会社員のAさんは、同市に住む女性Vさんの乗用車のドアなどに尿をかけ、汚損させた疑いで、兵庫県川西警察署に器物損壊の容疑で逮捕されました。
Aさんは、深夜にVさんの乗用車が止めてある駐車場で、Vさんの乗用車の運転席ドアなどに放尿したとのことです。
何度も同様の被害にあっていたVさんは、業を煮やして兵庫県川西警察署に相談したことで事件が発覚しました。
Aさんは容疑を認めており、なんとか事件を穏便に解決できないものかと思っています。
(フィクションです)
成立し得る犯罪は?
他人の車に放尿する行為は、如何なる犯罪に該当するのでしょうか。
(1)器物損壊罪
まずは、上記ケースにおいて逮捕容疑となっている器物損壊罪が成立する可能性があります。
器物損壊罪は、刑法第261条に規定されています。
第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する
客体
「前三条に規定するもののほか」というのは、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊及び同致死傷罪の客体、つまり、公用文書等、権利義務に関する文書や他人の文書、他人の建造物や艦船以外の物をいいます。
動産・不動産だけでなく、動物も含まれます。
行為
本罪の問題となる行為は、「損壊」または「傷害」です。
判例及び通説によれば、損壊とは、「広く物本来の効用を失わしめる行為を含む」と解されます。
例えば、他人の飲食器に放尿する行為も「損壊」に当たるとされます(大判名42・4・16)。
簡単に言うと、皿に放尿したことで、皿自体が壊れていなくても、人の尿がかかったということで当該皿を再度使いたいとは一般的に思いませんから、食べ物を乗せるという皿本来の用途(効用)を失わせたと言えるため、「損壊」したことになるのです。
ですので、上記ケースにおいては、車のドアに放尿されていますが、これにより直ちに車自体が故障するということではありませんが、人の尿がかかった車を使いつづけたいかと問われれば、一般に否定的な回答になるでしょう。
それでは、特定の人に対して複数回上の行為をしていたとなれば、器物損壊罪以外にも次の罪に問われる可能性もあります。
(2)ストーカー規制法違反
第十八条 ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
ストーカー規制法における「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うことと定義されています。
問題となる「つきまとい等」は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること」です。
①つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつき等
②監視していると告げる行為
③面会や交際の要求
④乱暴な言動
⑤無言電話、拒否後の連続した電話・FAX・電子メール・SNS等
⑥汚物等の送付
⑦名誉を傷つける
⑧性的羞恥心の侵害
AさんがVさんに好意を寄せており、それを満たすために、Vさんの車のドアに放尿していたのだとすれば、⑥号に該当し、2回以上当該行為を行っていたのであれば、反復して行ったことになり、「ストーカー行為」となるでしょう。
⑥号の原文は、「汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。」ですので、送付する以外にも、駐車してある車に放尿することにより、Vさんがそのことを分かり得る状態にしているので、車に放尿する行為も⑥号に当たります。
(3)迷惑防止条例違反
嫌がらせとして特定の者に対して、複数回人の車に放尿する行為をしたのであれば、兵庫県迷惑防止条例違反となる可能性もあります。
第10条の2 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、執ように又は反復して行う次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第3項に規定するストーカー行為を除く。以下「嫌がらせ行為」という。)をしてはならない。
(略)
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快若しくは嫌悪の情を催させるような物又は当該情を催させるようなものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第8号において同じ。)その他の記録を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。
ですので、被害者との示談を成立させることが事件を穏便に解決するうえで重要となります。
器物損壊事件を起こしお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
殺人罪と傷害致死罪②
殺人罪と傷害致死罪②
殺人罪と傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町にある介護付き有料老人ホームから、入居者Vさんの意識がないと119番の通報が施設職員から入りました。
通報を受けて駆け付けた救急車で、Vさんは病院に搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。
死因は、腹腔内の多発損傷による出血性ショックと診断され、兵庫県川西察署は、Vさんは何者かに暴行を受け殺されたのではないかと捜査に着手しました。
防犯カメラの映像から、事件直前にVさんの部屋に入る施設職員Aさんの姿が確認されたため、警察署はAさんを殺人容疑で逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
殺人罪と傷害致死罪の違いについて
殺人罪と傷害致死罪は、どちらも結果として被害者を死亡させてしまったという点で同じです。
しかし、両罪は、「殺すつもり」で暴行を働いたのか、つまり、殺意があったのか否かという点で異なります。
まずは、殺人罪についてみていきましょう。
殺人罪
刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
「人」が本罪の客体となりますので、人以外の動物を殺しても、殺人罪とはなりません。
ここでいう「人」の意義が問題となるのですが、人の出生・死亡をどの段階で線引きするか、という点で幾つかの見解が主張されています。
まず、人の出生についてですが、胎児が母体から一部露出した時点で人となると考える「一部露出説」が判例・通説となっています。
一方、人の終期については、人の終期は死亡であり、死亡後は死体であって生命・身体に対する罪の客体とはなりません。
死亡の判断については、争いがありますが、脈拍と自発呼吸が不可逆的に停止し、瞳孔が散大したこととを総合して人の死亡を判断する総合判断説が従来の通説とされていますが、近年医療技術の発展により、脳の機能が失われても心臓を動かしつづけることが可能となったため、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した時点を人の死とする脳死説も有力となっています。
本罪の行為である「殺」すとは、自然の死期以前に人の生命を断絶する行為のことで、その手段・方法のいかんを問いません。
そして、本罪が成立するためには「殺意」があったことが必要となります。
殺意には、「人の死亡という結果発生に対する認識・容認」が必要であると理解されています。
「認識」というのは、人が死亡する可能性、蓋然性、確実性を予見することを意味し、「認容」とは、人が死亡してもよい、あるいは死亡するかもしれないがそれでも構わない、やむを得ないとすることです。
客体が「人」であることを認識していたこと、及び、自分の行為によって死の結果が発生するおそれがあることを認識しながらも、その行為に出た場合、殺意が認められることになります。
この故意は、未必的なものでも、条件付きのものであってもかまいません。
上記のケースにおいて、Aさんが「殺してやる!死んでしまえ!」と思って首を絞めた場合のみならず、「死んでしまうかもしれないが、かまわない」と思って行為に及んだ場合にも殺意が認められるのです。
殺意が認められるには、結果の発生に対する認識・容認が必要であるため、凶器の種類、行為態様、創傷の部位・程度等の客観的な事情を重視しつつ、動機の有無や犯行前・犯行時の言動、犯行後の行動等など要素を総合的に考慮して判断されます。
それでは、次に傷害致死罪についてみていきましょう。
傷害致死罪
刑法第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
傷害致死罪は、傷害罪の結果的加重犯であるので、傷害を受けた人が死亡したときに成立する犯罪です。
本罪は、殺意は不要ですが、「暴行の故意」または「傷害の故意」が必要となります。
しかし、死亡結果について「予見可能性(過失)」を必要とするかには争いがあり、判例はこれを不要としています。
このように、結果的に人を死亡させてしまったとしても、「殺意」が認められなかった場合には、殺人罪や殺人未遂罪は成立しません。
量刑も殺人罪と傷害致死罪では大きく異なります。
殺人の容疑で捜査されている場合、犯行当時に被害者を殺す意志が無かったことを客観的な証拠をもって説得的に主張していかなければなりません。
殺人の容疑がかけられていたとしても、殺意が認められなければ殺人未遂罪は成立せず、刑が軽い傷害罪として成立することもあります。
もし、あなたやあなたの家族が殺人罪で捜査・起訴されてお困りであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
刑事事件でお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡を!
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
殺人罪と傷害致死罪①
殺人罪と傷害致死罪①
殺人罪や傷害致死罪といった犯罪が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町にある介護付き有料老人ホームから、入居者Vさんの意識がないと119番の通報が施設職員から入りました。
通報を受けて駆け付けた救急車で、Vさんは病院に搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。
死因は、腹腔内の多発損傷による出血性ショックと診断され、兵庫県川西察署は、Vさんは何者かに暴行を受け殺されたのではないかと捜査に着手しました。
防犯カメラの映像から、事件直前にVさんの部屋に入る施設職員Aさんの姿が確認されたため、警察署はAさんを殺人容疑で逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
犯罪が成立する場合
犯罪が成立するためには、
①構成要件該当性
②違法性
③有責性
の各要素を満たす必要がある、とするのが通説です。
構成要件該当性について
「構成要件」とは、刑罰法規に規定された違法かつ有責な処罰に値する行為の類型をいいます。
上で述べたように、犯罪が成立するための第一要件は、問題となる行為が構成要件に該当することです。
構成要件は、構成要件要素から成っており、個別の犯罪ごとに異なりますが、一般的には、次のような要素です。
①行為の主体
②行為
③結果
④行為と結果との間の因果関係
⑤故意・過失(これを構成要件要素とするか否かについては争いあり。)
以下、各構成要件要素についてみていきましょう。
1.行為の主体
法分上、犯罪行為の主体は「者」と表現されていますが、これは自然人を指し、法人はこれに含まれません。
法人を処罰の対象とする特別の罰則がある場合にのみ、法人は限定的・例外的に処罰されるにとどまります。
2.行為
「行為」のみが処罰の対象となります。
行為者が心の中で思っているだけであれば、それは処罰の対象にはなりません。
では、一体何が行為であるのか?が問題となりますが、この点、「意思に基づく身体の動静」を行為と理解するのが通説となっています。
「意思に基づく身体の『動静』」と解するので、身体の「動」である「作為」だけでなく、身体の「静」である不作為も「行為」に含まれます。
「不作為」というのは、「期待された行為を行わないこと」を意味します。
単に「何もしないこと」ではありません。
3.結果
刑法は、保護法益(生命・身体・自由・財産などの法的に保護に値する利益)を侵害する、または保護法益を侵害する脅威をもたらす(=保護法益侵害の危険をもたらすこと)行為を将来抑止し、法益を保護するために、保護法益の侵害行為や侵害の危険をもたらす行為を犯罪として規定し、処罰の対象としています。
よって、犯罪の成立には、法益侵害や法益侵害の危険を引き起こすことが必要となります。
4.行為と結果との因果関係
行為者は、その行為によって、構成要件的結果を引き起こすことが必要となるのですが、構成要件該当性を肯定するためには、その行為は、構成要件的結果を引き起こす現実的な危険性が認められる行為でなければなりません。
このような構成要件的結果への因果関係の起点となる行為を「実行行為」といいます。
構成要件的結果をもたらす現実的危険性を備えた実行行為と構成要件的結果との間に因果関係が認められなければなりません。
この因果関係をめぐっては、学生上さまざまな議論が展開されてきました。
実行行為(構成要件的行為)と構成要件的結果との間には、事実的なつながりとしての条件関係が必要となりますが、それをどのように判断するのかという点に争いがあるというわけです。
・条件説…「あれなければこれなし」という条件関係があれば、刑法上の因果関係を認める説。
・相当因果関係説…条件関係の存在を前提に、社会生活上の経験に照らしてその行為からのそ結果の生ずることが一般的であり相当である場合に刑法上の因果関係を認める説。
判例は、基本的には条件説にしたがっていると解されますが、相当因果関係説を採用したとも読めるような判例もあり、判例の態度は1つの学説で特徴づけることは難しいとされています。
5.故意・過失
「故意」とは、「罪を犯す意思」をいい、犯罪事実の認識・予見と換言されます。
一方、「過失」は、犯罪事実の認識・予見可能性と解され、実務においては「注意義務違反」であると解されます。
その注意義務には、結果予見義務と結果回避義務とが挙げられます。
本ブログのテーマでもある殺人罪と傷害致死罪とを区別するポイントとして「故意」が問題となりますので、次回のブログで詳細にみていきたいと思います。
もし、あなたやあなたの家族が、殺人罪あるいは傷害致死罪で逮捕されお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
軽犯罪法違反と暴行罪
軽犯罪法違反と暴行罪
軽犯罪法違反と暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県揖保郡太子町にあるスーパーマーケットで買い物を終えて出てきたVさんは、肩に何かが当たったことに気が付きました。
肩に付着している物が生卵であることが分かり、どうやらVさんの頭上から落ちてきたのではないかと推測し、すぐにの交番に通報しました。
兵庫県たつの警察署は、スーパーマーケットが入っている高層マンションに住むAさんを軽犯罪法違反(危険物投注)の容疑で書類送検しました。
Aさんは、就職活動がうまくいかずイライラして生卵を自室のベランダから投げたと供述しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
軽犯罪法違反と暴行罪
上記ケースでは、Aさんは軽犯罪法違反(危険物投注)に問われています。
まずは、当該罪がどのようなものなのか、条文を見ていきたいとおもいます。
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
投注発射の罪は、
①相当の注意をしないで
②他人の身体又は物件に
③害を及ぼすおそれのある場所に
④物を投げ、注ぎ、又は発射
する犯罪です。
①相当の注意をしないで
通常人に一般的に要求される程度の注意を払わないことを意味します。
要求されている注意義務の内容を認識しながら殊更に必要とされる行為をしない場合とそのような注意を怠ってしまった場合との両方を含みます。
②他人の身体・物件
「他人」というのは、犯人以外の者です。
「他人の物件」という場合には、自然人に限らず、法人及びその他の団体、官公省なども含まれます。
③害を及ぼすおそれのある場所に
「害」とは、強要・脅迫の被害にまで至らなくとも、衣類や身体に水をかけることによって与える害のように、一般人が迷惑と思う程度の害悪を意味します。
「害を及ぼすおそれ」とは、物を投げたりすることにより、直接その物が他人の身体又は物件に当たるおそれだけを意味するのではなく、他人がその物を踏み、滑って転ぶなどのように、他人自身の行為を伴うことによって及ぼすおそれのような間接的なものも含まれます。
④物を投げ、注ぎ、発射する
ここでいう「物」とは、個体・液体・気体のすべてを含みますが、電気や光といったエネルギーは含まれません。
一般人が判断して、直接・間接に他人の身体・物件に害を及ぼす危険性のあるものをいいます、
「投げる」という行為には、物に力を加えて飛ばすことだけを意味するのではなく、高所から落としたり、転がしたりすることも含まれます。
ここで、「投げた生卵が被害者に当たっているのだから、暴行罪でもいいんじゃない?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
軽犯罪法違反と暴行罪の違いは何なのでしょうか。
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪の構成要件は、
①暴行を加えたが、
②人が傷害するに至らなかった
ことです。
ここでいう「暴行」とは、不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる場合をいいます。
判例では、狭い市場半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為や、音・光・電流等を行使する場合も「暴行」に含まれるとしています。
加えて、暴行罪の成立には、人の身体に対して有形力を行使することの認識が必要となります。
これは、未必的認識で足りるとされています。
傷害の故意をもって暴行を加えたものの傷害が生じなかった場合も含まれます。
つまり、上記ケースを例にとって考えると、Aさんが「人の身体に対して有形力を行使することを認識していたか」、つまり、「人に生卵をぶつけようとしていた」のであれば、暴行罪の故意が認められ、暴行罪に問われていた可能性があるでしょう。
しかし、上記ケースにおいては、人にぶつける意思があったことが認定できず、暴行の故意が認められないため、他人の身体・物件に害を及ぼすおそれのある場所に生卵を投げたとして軽犯罪法違反が成立するものとされたのでしょう。
被害者のいる事件において最も重要な弁護活動の一つに、被害者との示談交渉があげられます。
早期に被害者との示談を締結することで、刑事事件化や検察送致を回避したり、不起訴処分獲得の可能性を高めることができます。
刑事事件でお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881へ。
器物損壊罪と告訴
器物損壊罪と告訴
器物損壊罪と告訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県加古郡稲美町にある居酒屋で旧友らと飲んでいました。
久しぶりの再会についついお酒も進み、随分酔っ払っていました。
Aさんと友人Bさんは、個室のドアを開けようと思い、酔った勢いもあり、思いっきり押してしまいました。
すると、ドアは外れ、表面にひびが入ってしまいました。
駆け付けた店長に苦言を呈されたAさんとBさんは、訳が分からない発言をするなど、酔っていたとはいえ不誠実な対応に腹を立てた店長は、兵庫県加古川警察署を呼びました。
AさんとBさんは逮捕はされませんでしたが、警察から店側と示談するように勧められ、どうすればよいのか対応に困っています。
(フィクションです)
器物損壊罪
器物損壊罪とは、刑法第258条における公用文書等、刑法第259条における私用文書等、そして、刑法第260条における建造物等以外の他人の物を損壊又は傷害した場合に成立する犯罪です。
本罪の法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金若しくは科料です。
器物損壊罪の客体である「他人の物」には、動産・不動産を広く含み、電磁的記録媒体も含まれます。
また、法令上違法なものも当該客体に含まれると判例上解されています。
「損壊」とは、物の物理的な損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為を含みます。
例えば、食器に放尿する行為や、建物の壁などに落書きする行為も「損壊」に該当します。
「傷害」は、客体が動物の場合に問題となり、その意義は、動物を殺傷するのみならず、囲いから逃がしたりする行為も含まれます。
客体が動物の場合、器物損壊罪の客体が「他人の物」に限定されているため、人が飼っている動物を傷害した場合に本罪が適用されるのであり、野生の動物を傷害した場合には本罪は適用されないことになります。
器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ控訴を提起することができない犯罪のことです。
器物損壊事件で告訴されたら
告訴というのは、被害者やその親族や法定代理人等の告訴権者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示のことをいいます。
ですので、親告罪である器物損壊事件においては、被害者との示談を締結し、告訴を取り下げてもらうことにより、不起訴処分を獲得し前科がつくことを回避することが重要です。
被害者との示談交渉は、一般的に弁護士を介して行われます。
というのも、被害者は加害者の行為によって損害を被っており、怒りや恐怖を感じていることが多く、当事者同士の話し合いは感情的になり円滑に進まない可能性が高いからです。
また、被害者が自己の連絡先を加害者に教えたくないと連絡さえ取れないことも少なくありません。
器物損壊事件で告訴されたら、早期に被害者対応に着手し、示談を締結させ、事件を穏便に終了させるには、刑事事件に強い弁護士に、被害者との示談交渉を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊事件を含む刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
もし、あなたが器物損壊事件の加害者として被害者から告訴されている、告訴されそうだとお困りであれば、今すぐ弊所の刑事事件専門弁護士にご相談下さい。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
家庭内暴力(DV)で刑事事件
家庭内暴力(DV)で刑事事件
家庭内暴力(DV)で刑事事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市西区に妻と長男(2歳)と暮らす会社員のAさんは、普段はとても温厚な性格ですが、酒に酔うと気が荒くなり、妻からの小言に対し、妻に物を投げつけたり、妻の顔を殴るなどの暴行を加えることが多々ありました。
ある夜、酒に酔って帰ってきたAさんに対し、「帰りが遅い」「子供の面倒をもっと見てほしい」などと妻が言ってきたため、Aさんはカッとなり妻の顔面を思いっきり殴ってしまいました。
妻は殴られた衝撃で床に倒れ、頭部から出血が確認されました。
妻は自ら救急車を呼びましたが、搬送先の病院から兵庫県神戸西警察署に通報され、Aさんは傷害罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
家庭内暴力(DV)事件
近年、家庭内暴力(DV)により大きな怪我を負ったり、死亡してしまう事件が社会的に問題となっています。
一昔前までは、家庭内の出来事については警察も介入することがそう多くはありませんでしたが、残虐な暴力により幼い命が犠牲になった事件が相次ぎ、警察も家庭内の問題、特にDV事件については積極的に介入するようになりました。
DVに関する特別法として、DV防止法があります。
DV防止法(正式名:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」)は、平成13年に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、都道府県における配偶者暴力相談支援センターの機能の充実、配偶者からの暴力発見者による通報等の仕組みの整備、裁判所の保護命令制度の創設等を内容として制定・施行されました。
DV法における「配偶者からの暴力」とは、「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響力を及ぼす言動」と定義されています。(DV防止法1条1項)
「配偶者」というのは、婚姻の届出をしていない「事実婚」も含まれ、男性、女性を問いません。
離婚後も引き続き暴力を受ける場合も、「配偶者」に含まれます。
「配偶者からの暴力」とは、身体に対する暴力である「配偶者からの身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの」、又は「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」が含まれます。
後者に当たるものとしては、脅迫にあたるような言動や、精神的暴力、性的暴力が挙げられます。
また、配偶者や元配偶者だけでなく、生活の本拠を共にする交際する関係にある相手からの暴力及びその被害者についても、本法は準用されます。
DVの被害者の申立てにより、裁判所が、被害者の生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、身体に対する暴力や生命等に対する脅迫を行った配偶者等に対して、一定期間、被害者又は被害者の子や親族等へのつきまとい等の禁止、住居からの退去等をさせるために発する命令を「保護命令」といいます。
この保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
この保護命令には、接近禁止命令、退去命令、子への接近禁止命令、親族等への接見禁止命令、電話等禁止命令の5つがあります。
また、被害者が警察に相談し、被害の届出を行った場合には、警察は刑事事件として捜査を開始します。
問われ得る刑事責任は、暴力の態様によって異なりますが、主に以下のような犯罪が成立する可能性があるでしょう。
身体的暴力:傷害罪、暴行罪
精神的暴力:脅迫罪、名誉棄損罪
性的暴力:強制性交等罪
家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら
家族に対して暴力を振るい、刑事事件の被疑者として逮捕されると、被害者との関係から、逮捕後勾留が付き、長期の身体拘束を余儀なくされる可能性が高いでしょう。
ご家族が家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら、できるだけ早く弁護士に相談し弁護を依頼されるのがよいでしょう。
事件を認めている場合には、反省し二度と同じようなことを行わないことを誓約した上で、被害者との接触をしない・できない環境を整え、身体拘束をする必要がないことを主張します。
一方、事件を認めない場合には、疑われている犯罪が成立しない旨を客観的な証拠と共に説得的に主張し、不起訴(罪とならず、嫌疑なし、嫌疑不十分)や無罪を狙います。
逮捕されてから勾留されるまでの間は、逮捕された方の家族であっても面会することはできません。
逮捕された方は、どのように対応すればよいのか分からず自己に不利な供述をしてしまうこともありますので、逮捕されたらすぐに弁護士に接見を依頼してください。
ご家族が家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件に詳しい弁護士が、逮捕された方のところに行き接見を行います。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
(兵庫県神戸西警察署までの初回接見費用:37,400円)
傷害事件で少年審判
傷害事件で少年審判
傷害事件の少年審判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古郡播磨町に住む少年Aくん(17歳)は、知人Bさんと交際女性を巡って口論となり、カッとなりBさんの顔面を殴る等、全治2週間の怪我を負わせてしまいました。
Bさんは、兵庫県加古川警察署に被害届を出してことで、事件が発覚しました。
幸い、Aくんは逮捕されることはありませんでしたが、取調べに応じた警察官から、警察や検察での取調べが終われば、神戸家庭裁判所姫路支部に送致され少年審判を受けることになると言われました。
どのように対処すればよいか分からず、Aくんと両親は少年事件に精通する弁護士に法律相談をお願いしました。
(フィクションです)
少年審判について
「少年審判」というのは、一般的には、家庭裁判所が少年の非行事実および要保護性について審理・判断を行う手続のことをいいます。
刑事事件の公判期日にあたる概念と考えられるでしょう。
少年審判は、以下の点で刑事裁判と大きく異なります。
①職権主義的質問構造
少年審判では、刑事裁判のような当事者主義的訴訟構造をとっておらず、職権主義的質問構造がとられています。
つまり、家庭裁判所が自ら審判手続を主導し、少年に関する調査を行い、その結果に基づいて審理を行い処分を言い渡すのが少年審判であり、検察官と被告人・弁護人が対立して攻撃防御を尽くし、当事者が訴訟を主体的に追行していく刑事裁判の構造とは大きく異なるのです。
②証拠に関する規則
余談排除原則や伝聞法則の適用が少年審判にはありません。裁判官が審判期日の前からあらゆる証拠に触れる点で、刑事裁判とは異なります。
また、少年審判は原則として非公開です。
少年審判の審理対象は「非行事実」および「要保護性」です。
非行事実
非行事実とは、刑事裁判における公訴事実に該当するものです。
要保護性
要保護性は、その用語が多義的に用いられることがありますが、概ね次の3つの要素により更正されるものと考えられています。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らし、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことにより、少年が再非行におよぶ危険性を除去できる可能性があること。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。
少年審判に向けた付添人の活動
家庭裁判所が事件を受理すると、書記官や裁判官が、審判条件や非行事実の存否について事件記録に基づいて法的調査を行います。
法的調査の結果、非行事実が存在することについて裁判官が蓋然的心証を得た場合、調査官に要保護性を判断するための社会調査を命じます。
社会調査が終了すると、調査官は、少年鑑別所の鑑別結果通知書などとともに裁判官に調査結果を提出し、裁判官は、証拠書類などの法律記録と併せて検討します。
その結果、家庭裁判所が、審判に付することができない、または審判に付するのが相当でないと認めるときには、審判不開始決定をします。
一方、少年が非行事実を行った蓋然性があり、調査官による教育的措置を経た上でもなお少年に要保護性が認められる場合には、審判開始決定が行われます。
先述しましたが、少年審判の審理対象は、非行事実と要保護性の2要素となります。
非行事実に争いのない場合には、要保護性の解消が、少年審判に向けた付添人の重要な活動になります。
少年が事件と向き合い、事件を起こしてしまった原因に気づき、今後同じ過ちを繰り返さないためにはどのようにすればよいのかをしっかり考えることができるよう、付添人は少年を支援します。
また、被害者への謝罪や被害弁償を含めた示談交渉も行います。
そのうえで、少年の更生に適した環境を整えるべく、少年の家族や学校・職場と連携して活動します。
このような活動を、調査官や裁判官に適時報告し、少年の要保護性が解消されたと判断してもらうべく働きかけます。
以上の活動は、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてお困りの方は、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。