Archive for the ‘経済事件’ Category
特殊詐欺事件で少年院送致回避
特殊詐欺事件で少年院送致を回避する活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県小野市の民家を訪れ、弁護士秘書を名乗り、高齢女性からキャッシュカードと窃取したとして、関西地域に住むAくん(17歳)が窃盗の容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
Aくんは、他にも2件同様の手口で特殊詐欺事件に関与しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、Aくんが少年院送致となるのではないかと心配し、急いで少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
特殊詐欺事件の終局処分
事件が家庭裁判所に送られると、調査・審判を経て最終的な処分が言い渡されます。
その終局処分には、次のものがあります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始
⑤の審判不開始は、調査官による調査が終了した後に決定され、審判は開かれません。
少年院とは
終局処分の①保護処分決定には、保護観察、少年院送致、そして児童自立支援施設等送致の3種類があります。
少年が再び非行を犯すおそれが強く、社会内での更生が難しいと判断された場合には、少年を少年院に送致して矯正教育が行われることになります。
この処分を「少年院送致」といいます。
「少年院」は、家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年や懲役・禁錮の言い渡しを受けた16歳に満たない少年を収容し、これらの少年に対して、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う施設です。
少年院には4種類あり、年齢、犯罪傾向の程度、心身の著しい障害の有無に応じて、以下のように区分されています。
●第1種:心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を収容。
●第2種:心身に著しい障害がない犯罪傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を収容。
●第3種:心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容。
●第4種:少年院において刑の執行を受ける者を収容。
「少年刑務所」や「少年鑑別所」と混同されることがありますが、前者は、懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年の相対的不定期刑を執行する施設であり、少年院が少年の矯正教育をその目的とし、少年の健全育成の理念のもとで処遇が実施されるのに対し、少年刑務所はあくまで刑を執行する刑事施設である点で異なります。
また、「少年鑑別所」は、家庭裁判所等の求めに応じて鑑別対象者を鑑別すること、観護措置が執られて少年鑑別所に収容されている者に対して必要な監護処遇を行うこと、そして、非行及び犯罪の防止に関する援助を行う施設です。
少年院送致回避に向けた活動について
特殊詐欺事件は、その被害の大きさに鑑みて、厳しく罰せられる傾向にあります。
被害額や犯行態様によっては、初犯であっても、いきなり実刑となるケースも少なくありません。
少年事件においても、同様の傾向が見られ、これまで非行歴がない少年であっても、少年院送致が言い渡されることもあります。
少年院送致となれば、少年院に収容中は通常の生活を送ることが出来ませんので、退院後の社会復帰にも影響を及ぼす可能性はあります。
そのような事態を回避するためにも、少年院送致ではなく保護観察のような社会内処遇となるよう働くことが重要です。
少年事件では、非行事実とともに要保護性について審判で審理されます。
要保護性というのは、少年が将来再犯するおそれがあり、保護処分によって再犯のおそれが除去できる可能性があり、かつ保護処分が適切であることです。
非行事実を行ったと認定された場合でも、将来、非行を繰り返すおそれがないと判断されれば、保護処分でも保護観察といった社会内処遇となる可能性があります。
特殊詐欺事件について言えば、非行事実が重い罪名の付くもので会ったり、社会的に問題視されているものであっても、要保護性が解消されていると判断されれば、少年院送致ではなく保護観察となることもあるのです。
要保護性の解消には、少年を取り巻く環境をしっかりと調整することが重要です。
少年自身がきちんと反省し、少年が抱く問題点を理解し、解決策を見出すなど、少年本人の内部の環境を調整することや、保護者や学校などと協力し、少年の更生に資する周囲の環境を調整することも大切です。
また、被害者に対して謝罪や被害弁償を行うことも、少年事件においても重要です。
これらの要保護性を解消する活動は、出来る限り早期に着手するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881へご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談・出張相談も行っています。ぜひご相談ください。
恐喝事件で保護観察処分
少年の恐喝事件と保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県丹波市に住むAくん(16歳)は、知人のVくんにお金を貸していました。
「すぐ返すから。」と言って、いつまでも返済しないVくんについて、Aくんの友人のBくんが、「お前のことなめとんから返さへんのとちゃうか?」と発言したことを受けて、Aくんは、自分がVくんに甘く見られていることに腹を立て、ビビらせてお金を返してもらおうと考えました。
Aくんは、Vくんを市内の公園に呼び出し、Bくんと一緒にVくんに対して返済を求めましたが、Vくんはいつも通り「すぐに返すから待って。」と言うだけでした。
Aくんは、「お前痛い目みんと分からんのか!」と言って、Bくんと一緒になってVくんに殴る蹴るの暴行を加えました。
Aくんは、Vくんが所持していた現金3千円を出させ、「後の分もちゃんと返してな。」と言ってその場を立ち去りました。
翌日、兵庫県丹波警察署の警察官がAくん宅を訪れ、Aくんを恐喝の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)
恐喝罪について
恐喝罪は、刑法第249条に規定される罪です。
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪とは、
①人を恐喝して財物を交付させた場合、又は、
②人を恐喝して財産上不法の利益を得又は他人にこれを得させた場合
に成立する犯罪です。
◇人を恐喝して◇
「恐喝」とは、暴行又は脅迫により被害者を畏怖させることを意味します。
それは財物又は財産上の利益の交付に向けられたものでなければなりません。
また、畏怖させる手段である暴行・脅迫は、被害者の犯行を抑圧する程度に至らないものであることが必要となります。
◇財物を交付させ◇
恐喝罪の成立のためには、畏怖により生じた瑕疵ある意思に基づき、物・財産上の利益が交付される必要があります。
交付行為により、物・財物上の利益が移転した場合、恐喝罪は既遂となります。
しかし、行為者の権利実現のために恐喝が用いられた場合、恐喝罪が成立するかどうかが問題とされてきました。
上記事例のように、金銭債権を有する者が、恐喝を用いて返済を受ける場合が典型例です。
この点、判例は、権利の実行は、その権利の範囲内でありかつその方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えない限り何ら違法の問題を生じさせないが、その範囲程度を逸脱する場合には違法となり、恐喝罪が成立するとしています。(最判昭和30・10・14)
殴る蹴るの暴行を加えた上で、相手に金銭を出させる行為は、借金返済を求める方法としては一般的に容認されるものではないでしょう。
保護観察処分について
事件が捜査機関から家庭裁判所に送致されると、調査・審判を経て最終的な処分が言い渡されます。
その最終的な処分のなかには、保護処分というものがあり、①保護観察、②少年院送致、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致、の3つがあります。
「保護観察」は、少年を施設に収容することなく、社会生活をさせながら、保護観察所の行う指導監督及び補導援護によって少年の改善更生を図る社会内処遇の保護処分です。
保護司と定期的に面談し、現状を報告しながら、改善更生に向けた助言や支援をもらいます。
保護観察は、少年院送致や児童自立支援施設等送致の収容措置とは異なり、社会内で改善更生を行うものですので、少年の審判後の生活も大きく異なります。
しかし、誰でも保護観察となるわけではありません。
裁判官が、少年は社会内で更生することができるだろうと認めてもらわなければなりません。
そのためには、審判が開かれるまでに、少年が更生施設ではなく社会生活を送りながら更生することができる環境が十分に整っていなければなりません。
具体的には、少年自身が事件や自分が抱える問題と向き合い、再び非行に走らないためにはどうすればいいのか解決策を見つけることや、家庭環境や交際関係の改善など、保護者や学校と協力して少年の更生に適した環境を整える必要があります。
少年事件において、弁護士は、成人の刑事事件と同様に、少年の権利がきちんと守られるように支援するという役割もありますが、家庭裁判所や保護者・学校などと協力して、少年が更生できる環境を整えるという重要な役割も担います。
ですので、お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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万引き事件で審判不開始
審判不開始について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県姫路市の書店で、漫画本を2冊万引きしたとして、中学生のAさん(15歳)は店員に呼び止められました。
Aさんは、その後、兵庫県姫路警察署で取調べを受け、Aさんの母親を身元引受人としてその日の夜に釈放されました。
翌日、今後のことが心配になったAさんの母親は、少年事件に詳しい弁護士に法律相談を頼みました。
(フィクションです)
審判不開始について
捜査機関は、少年の被疑事件について、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、そして犯罪の嫌疑は認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
これは「全件送致主義」と呼ばれ、少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のような捜査機関限りで事件を終了させることは認められません。
家庭裁判所に事件が送致される手順には、①捜査機関からの送致と②簡易送致とがあります。
①捜査機関からの送致
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を検察官に送致することになっています。
ですので、通常は、司法警察員から検察官に事件が送致され、捜査終了後に、検察官が事件を家庭裁判所に送致します。
しかし、少年の被疑事件では、罰金以下の刑に当たる犯罪については、検察官に送致せず、直接事件を家庭裁判所に送致することになっています。
これは「直送」と呼ばれるもので、検察官に事件が送致されないので、少年を勾留することはできません。
②簡易送致
原則、少年の被疑事件は、軽微な事件であっても、全て家庭裁判所に送致されます。
しかし、一定の極めて軽微な少年の被疑事件については、通常の手続よりも簡易な手続に基づいて家庭裁判所に送致することもあります。
この手続を「簡易送致」といいます。
簡易送致の対象となる事件は、各家庭裁判所とそれぞれに対応する地方検察庁、警察本部との協議によって基準が定められています。
少額の万引きや自転車の占有離脱物横領などが、簡易送致の対象事件です。
少年の被疑事件が家庭裁判所に送致され、事件が受理されると、家庭裁判所の調査官は、少年や保護者に対して調査を行います。
調査官による調査は、単なる事情聴取ではなく、少年に内省を促したり、事件の背景にある問題に踏み込み、少年が更生するためにはどのような処分が適切かを調査します。
家庭裁判所は、その調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判開始決定をしなければなりません。
審判を開始しないとする決定を「審判不開始決定」といい、これには、(1)形式的審判不開始、および、(2)実体的審判不開始とがあります。
(1)形式的審判不開始
法律上または事実上、審判を行うことができない場合をいいます。
これは、次の3つに分けられます。
・非行なし
非行事実の存在の蓋然性が認められないときで、これは、少年の行為が非行構成要件に該当せず 、非行として成立しない場合と、証拠上、非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合を指し ます。
・所在不明等
調査・審判を行うことが法律上又は事実上不可能であると認められる場合で、少年の心神喪失、 死亡、所在不明、疾病、海外居住等の場合です。
・その他
(2)実体的審判不開始
審判に付するべき事由はあるけれども、少年に要保護性の存在する蓋然性が認めらず、裁判官による直接の審理を必要としないため、審判を行う必要性がない場合をいいます。
例えば、①事案が軽微な場合、②別件保護中の場合、③保護的措置による要保護性解消の場合などがあります。
審判不開始を目指す場合、付添人である弁護士は、捜査段階から弁護人として活動していたのであれば、それまでの弁護活動の成果を早期に裁判所に伝え、審判不開始を求める意見書を提出するなどの活動を行います。
例えば、事件後すぐに、被害者に謝罪と被害弁償、示談ができていることや、少年が自身の行為を振り返りしっかりと反省できていること、保護者や学校の監督が期待でき、カウンセリング等を受けており更生に向けた環境が整っていることなど、少年に要保護性がないことを主張します。
家庭裁判所の調査や付添人である弁護士の活動の結果、少年への教育的な働きかけにより、要保護性が解消された場合、あえて審判を行う必要はなく、審判不開始となる可能性があります。
このような活動を依頼するのは、少年事件に精通した弁護士がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまった、家庭裁判所に送致されたがどのような処分を受けるのか不安だ、とお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。

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業務上横領事件における示談
業務上横領事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県西脇市の中小企業に勤めていたAさんは、経理を担当していました。
Aさんは、帳簿を修正し、差額を自分の物にするという行為を2年ほど続けており、くすねた金はギャンブルにつぎ込んでいました。
Aさんは転職を機に退社しましたが、その後、会社がAさんの不正に気付き、Aさんに連絡を入れました。
会社からは、「全額返済できなければ、兵庫県西脇警察署に被害届を出す。」と言われています。
困ったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
業務上横領罪
業務上横領罪は、刑法第253条に次のように規定されています。
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
業務上横領罪の構成要件は、
①業務上
②自己の占有する他人の物を
③横領したこと
です。
①業務上
「業務」とは、委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続しておこなう地位をいいます。
業務の根拠は、法令・契約、公的・私的を問わず、職業としてなされるものに限定されません。
②自己の占有する他人の物
業務と関連して保管・占有する他人の物を指します。
③横領
判例・通説によれば、「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいいます。
「不法領得の意思」の内容については争いがありますが、判例は、他人の物の占有者が委託の任務に背いてその者につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思と解しています。(最判昭24・3・8)
業務上横領事件における示談
業務上横領事件で法律相談に来られる方の多くが、会社に横領行為が発覚し、上司や顧問弁護士から話を聞かれ、対応に困っていらっしゃるケースです。
会社側からは、「弁償しなければ、警察に被害届を出す。」と言われていることが多く、横領行為が会社に発覚した時点では、刑事事件として捜査機関が捜査を開始していない場合が多く見受けられます。
ですので、この場合の対応としては、会社が警察に被害届を提出する前に、被害弁償を行い、示談を成立させることにより、刑事事件化を阻止することを目指します。
横領事件、特に業務上横領事件の場合には、被害者に多大な経済的損害が発生しており、加害者が横領した金額を回収することが被害者にとって最優先事項となることがほとんどです。
警察に被害を訴え、加害者が刑事事件の被疑者・被告人として刑事罰を受けたとしても、加害者が横領した金額がすべて被害者に戻ってくるとも限りません。
ですので、被害者が警察に被害を申告する前に、横領した金額を返済すること(もしくは、返済する約束)が出来れば、被害者が警察に被害届等を出さないと約束してもらえる可能性も十分あるのです。
このように、被害弁償を行う代わりに被害届の提出などを行わないとし、当該事件に関しては当事者間で解決したとする約束を「示談」といいます。
この示談に向けた話し合いは、当事者間で行った場合には、感情論で交渉が円滑に進まないなどのデメリットもありますので、示談交渉には弁護士を介して行うのがよいでしょう。
業務上横領事件でお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談・出張相談も行っています。ぜひご相談ください。
刑事事件と刑罰:刑罰の決め方
刑罰の決め方について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県宍粟市の民家に侵入し、現金や宝石類を盗んだとして、県内に住むAさんが窃盗および住居侵入の疑いで兵庫県宍粟警察署に逮捕されました。
Aさんは、本件以外にも複数同様の手口で空き巣を行ったと供述しています。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、事件について何も分からず、急いで弁護士に接見に行ってくれるよう頼みました。
弁護士からAさんが本件以外にも同種の余罪があることを聞いたAさんの家族は、Aさんにどんな刑罰が科されれるのか不安でたまりません。
(フィクションです)
刑罰の決め方
刑法や特別刑法には、どのような行為が犯罪にあたり、犯罪を行った者に対してどのような刑罰が科されるが予め定められています。
このように法律で定められている刑を「法定刑」といい、法定刑から、刑罰を加重・減軽する理由がある場合には、加減して科し得る刑(「処断刑」)を導き出し、具体的情状を考慮し、処断刑の範囲内で特定した量の刑(「宣告刑」)が言い渡されます。
法定刑について
上記ケースでは、窃盗罪と住居侵入罪に問われています。
それぞれの罪については、刑法で以下のように規定されています。
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
各条項で表記されている通り、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であり、住居侵入罪のそれは「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
法定刑は、あくまで罪名と刑の対応となります。
具体的に事件の内容によって実際にどのような刑の範囲が適当であるか、ということとは異なります。
具体的事件の形に合わせて、実際に処罰することが可能な刑の範囲、つまり「処断刑」の定め方には様々あります。
処断刑について
先の述べたように、「処断刑」は、法定刑に法律上または裁判上の加重・減軽を加えたものです。
刑法上、刑を加重する事由としては、併合罪と累犯の場合が予定されています。
(1)併合罪
「併合罪」は、確定裁判を経ていない2個以上の罪、または、ある犯罪について禁固以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪のことです。
併合罪の場合、それらの罪に対する刑を合わせて科したり、加重したり、場合によっては吸収したりします。
併合罪のうち2個以上の罪について、有期懲役・禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とします。
例えば、刑の長期が懲役20年の罪と懲役15年の罪を1度に犯した場合、長期は20年×1.5=30年となります。
「長期」とは、法定刑の「○○年以下」という場合の○○年を指します。
(2)累犯
懲役に処せられた者がその執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合であって、その者を有期懲役に処するときは、「再犯」とし、再犯の刑について定めた懲役の長期を2倍以下とします。
これを「再犯加重」といいます。
減軽事由には、法律上のものと酌量減軽とがあります。
(3)法律上の減軽
心身耗弱、従犯、中止犯のように必ず減軽すべき事由と、過剰防衛、過剰避難、法律の不知、自首等、未遂、偽証罪・虚偽申告罪における自白などのように、減軽が裁判所の任意に委ねられているものとがあります。
(4)酌量減軽
法律上の減軽事由がない場合でも、「犯罪の事情を酌量すべきものがあるときは」、任意に刑を減軽することができます。
処断刑は、累犯加重、法律上の減軽、併合罪の加重、酌量減軽の順に形成されます。
しかし、実務上、加重減軽を行う前に、科刑上の一罪の処理および刑種の選択をすることになっています。
刑法は、観念的競合と牽連犯の関係にある数罪については、科刑上は一罪であるとして、その最も重い刑により処断することとしています。
「観念的競合」とは、1つの行為が2個以上の罪名に触れる場合をいい、「牽連犯」とは、犯罪の手段または結果である行為が他の罪名に触れる場合をいいます。
空き巣は、後者の「牽連犯」に当たり、住居侵入罪と窃盗罪の法定刑の重い罪により処断されるので、窃盗罪の刑が適用されることになります。
このように、法定刑の幅は広く、加えて、広範な法定の加減事由や情状による減軽が認められています。
しかし、裁判の実務においては、一定の事情がある場合にどの程度の刑罰が言い渡されるかは、過去の裁判例も参考にした相場のようなものがあります。
どのような事件でどの程度の刑罰が見込まれるのかご不安であれば、刑事事件に詳しい弁護士に一度ご相談ください。
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刑事事件と刑罰:刑罰の種類
刑事事件における刑罰(刑罰の種類)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県宍粟市の民家に侵入し、現金や宝石類を盗んだとして、県内に住むAさんが窃盗および住居侵入の疑いで兵庫県宍粟警察署に逮捕されました。
Aさんは、本件以外にも複数同様の手口で空き巣を行ったと供述しています。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、事件について何も分からず、急いで弁護士に接見に行ってくれるよう頼みました。
弁護士からAさんが本件以外にも同種の余罪があることを聞いたAさんの家族は、Aさんにどんな刑罰が科されれるのか不安でたまりません。
(フィクションです)
刑罰とは
犯罪者に対して刑罰が科されることは広く知られるところです。
刑罰というのは、形式的には、犯罪に対する法的効果として、国家・地方自治体によって犯罪者に課せられる一定の法益の剥奪を意味します。
一体どのような目的の下、刑罰が科せられるのかという点について、様々な議論がなされていますが、概ね、刑罰は犯罪に対する国家的応報であり、一般予防と特別予防という目的を持つと解されます。
つまり、法に違反することをしたのだから罰が与えられるというだけでなく、犯罪者に対して一定の不利益が科されるということを通じて、社会一般の人が犯罪を行わないようにする「一般予防」と罪を犯した者が再び罪を犯すことがないようにする「特別予防」の機能が刑罰にあると考えられています。
刑罰の種類
刑罰の種類には、生命刑、身体刑、自由刑、名誉刑、財産刑の5種類が存在してきました。
現在の日本の刑法においては、生命刑としての「死刑」、自由刑として「懲役」「禁錮」「拘留」、財産刑として「罰金」「科料」「没収」の7種類が設けられています。
このうち、「没収」は、主刑である死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に付加してのみ科すことができる付加刑です。
(1)死刑
生命刑である「死刑」は、現行法上最も重い極刑です。
ただし、少年法では、犯行時に18歳未満であった者には死刑を適用することができないとしています。
(2)懲役・禁錮・拘留
自由刑には、「懲役」、「禁錮」、「拘留」の3種類があります。
まず、「懲役」と「禁錮」には、無期と有期の場合があります。
有期の場合、その期間は、1月以上20年以下の範囲で決められます。
ただし、有期懲役・禁錮を加重減軽する場合には、30年まで上げることができ、また、1月未満に提げることができます。
「懲役」と「禁錮」の違いは、前者は労働義務があるのに対して、後者はありません。
また、「懲役」と「禁錮」には、その刑に処せられた者に「改悛の状」があるときは、有期刑については刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放すること(「仮釈放」)が認められます。
「拘留」は、30日未満の短期の自由刑で、軽微な犯罪に対する刑として定められています。
「拘留」の刑に処せられた者の「情状により」、いつでも行政官庁の処分によって仮に出場を許すこと(「仮出場」)ができます。
(3)罰金・科料
強制的な金銭の徴収を内容とする財産刑は、1万円以上を「罰金」、1万円未満を「科料」と区別して設けられています。
「罰金」「科料」を完納することができない場合には、労役場に留置されます。
このように刑罰には様々な種類があり、その内容も大きく異なります。
また、懲役や禁錮となった場合であっても、刑の執行が猶予されるか否かでは、判決後の生活が全く違ってきます。
刑事事件を起こし、罪を認めている場合には、不起訴で前科が付くことを回避することを目標として、また、起訴が見込まれる事件では、罰金や執行猶予付き判決といった出来る限り寛大な処分となるよう早い段階から動くことが重要です。
具体的にどのような活動を行うべきかは、事件の内容によって異なりますので、刑事事件に精通する弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件を起こして対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談・出張相談も行っています。ぜひご相談ください。
少年事件の弁護活動:環境調整
少年事件の弁護活動のうち環境調整について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県養父市に住む高校1年生のAくん(16歳)は、高校進学後も中学時代の友人や先輩とつるむことが多く、深夜に公園でたむろしたり、バイクで暴走したりしていました。
仲間の先輩に言われ、原付バイクを盗むようになり、兵庫県養父警察署に窃盗の疑いで逮捕されました。
その後、神戸家庭裁判所豊岡支部に送致され、Aくんの両親はどのように対応すればよいか分からず困っています。
(フィクションです)
少年事件の流れ
少年の被疑事件について、捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑は認められないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予といった捜査機関限りで事件を終了させるといったことは認められていません。
事件が家庭裁判所に送致され、家庭裁判所が事件を受理すると、調査を経て審判期日での審理を行い、終局決定により終了することになります。
審判での審理対象は、「非行事実」と「要保護性」です。
「非行事実」は、刑事裁判における「公訴事実」に当たるものです。
一方、「要保護性」とは、多義的に用いられますが、一般的に次の3つの要素により構成されるものと考えられています。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分に寄る矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。
少年審判では、非行事実とともに要保護性も審理の対象となることから、少年事件では、犯罪行為の軽重がそのまま量刑に影響する成人の刑事事件とは異なり、非行事実が軽微なものであっても、要保護性が高い場合には、少年院送致等の身体拘束を伴う処遇が選択されることもあります。
逆に言えば、非行事実は重い罪名の付くものであっても、要保護性が解消され、社会内での更生を図ることが少年の健全育成のために望ましいと判断されれば、社会内処遇が選択されることもあるのです。
環境調整について
上で述べたように、少年事件において終局決定がなされる際、非行事実のみならず要保護性も審判での審理対象となります。
そのため、要保護性が解消されていると裁判官が判断するように働きかけることが重要な活動となります。
そこでポイントとなるのが「環境調整」です。
環境調整は、保護者の関係の調整、就業先の開拓、帰住先の確保など、少年の社会復帰を円滑にするために少年をとりまく環境を調整することです。
少年が非行を犯した背景に、家庭環境や人間関係がある場合、家族との関係修復を図ったり、悪友との関係を断ち切るなど、少年が社会内で健全に更生していける環境を整えることは、要保護性の解消には必要不可欠です。
少年や事件内容によって、どのような環境調整を行うかは異なりますが、一般的な環境調整は、家庭・学校・職場といった少年をとりまく環境を調整し、少年が事件や自身が抱える問題にきちんと向き合い解決策を見つけられるよう少年の内面への働きかけなどが含まれます。
お子様が事件を起こし、その後の手続や対応方法について分からずお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件で保護観察処分
少年事件における終局決定の一つである保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市西区に住むAさん(16歳)は、ツイッターを利用してアイドルのコンサートチケットを詐取したとして、逮捕・勾留されました。
その後、神戸家庭裁判所に送致され、観護措置が取られました。
Aさんの両親は、少年事件に強い弁護士に付添人として活動してほしいと思い、少年事件に精通する弁護士を探しています。
(フィクションです)
少年事件における終局決定
非行事実が認められた場合、家庭裁判所は、要保護性の有無、程度を判断し、最終的な処分を決定します。
最終的な処分の決定(「終局決定」)には、次の5種類があります。
①審判不開始
②不処分
③知事・児童相談所長送致
④検察官送致
⑤保護処分
⑤の保護処分は、非行を行った少年に対し、性格の矯正及び環境の調整を目的として行われる少年法上の中心的処分です。
保護処分には、保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致の3種類があります。
保護観察処分
「保護観察」は、少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察所の行う指導監督と補導援護によって、少年の改善更生を図る社会内処遇です。
保護観察の期間は、対象者が20歳に達するまでとされますが、保護観察が決定した時から20歳になるまで2年に満たない場合には、期間は2年となります。
保護観察期間中であっても、対象者の状態にお医事手、解除や一時解除が認められます。
保護観察も、その内容により、①一般保護観察、②一般短期保護観察、③交通保護観察、③交通短期保護観察、の4種類に分けられます。
ここでは、①一般保護観察、及び、②一般短期保護観察について概観します。
①一般保護観察
一般保護観察は、家庭裁判所で保護観察に付された少年のうち、一般短期保護観察対象者及び交通事件によって保護観察に付された者を除く者が対象となります。
内容は、保護観察官及び保護司による指導監督と補導援護です。
保護観察官は、保護観察が開始される際に処遇方針を示し、必要に応じて介入し保護司に助言指導を与える役割を担います。
保護司は、保護観察官の指示や連絡に従い、少年や家族と連絡を取り合い、処遇及び本人の状況等の経過を書面で定期的に報告し、再犯や所在不明といった少年の心情に重要なことが起こった場合にも報告をします。
保護司は、民間のボランティアで、様々な職種の方がいらっしゃいます。
一般保護観察の解除は、保護観察に付されてから概ね1年が経過した時に検討されます。
②一般短期保護観察
一般短期保護観察の対象者は、交通事件以外の非行により保護観察に付された少年のうち、一般短期保護観察相当の処遇勧告がなされた者です。
一般短期保護観察では、保護観察官が、改善更生のために重要な領域、例えば生活習慣、友人関係など、を一つ設定して、これについて具体的な課題を出し、少年にその履行状況についての報告を受け、それに対し必要な指導や助言を行います。
一般短期保護観察の実施期間は、6~7か月とされており、この期間内に解除されて終了します。
このように、審判において保護観察処分が言い渡されると、少年は家庭や職場に身を置いたまま、定期的に保護観察官や保護司と連絡をとり、現状について報告を行った上で、指導・助言を受けることになります。
収容されることなく社会内で生活を送ることができるため、社会と切り離されることがありません。
家庭裁判所が保護観察を終局決定とするには、裁判官が少年の更生には社会内処遇で足りると判断することが必要です。
逆に言えば、もし、裁判官が当該少年がきちんと更生するには矯正施設に入れる必要があると判断したのであれば、保護観察ではなく少年院や児童自立支援施設・児童養護施設への送致を選ぶ可能性があるのです。
ですので、裁判官に社会内処遇での更生が期待できると判断してもらえるよう、早い段階から適切な働きかけを行うことが重要です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、お子様の更生に向けて尽力致します。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル2020まで。

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盗品譲受け等事件で故意否認
盗品譲受け罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市須磨区の骨とう品店を営むAさんは、盗まれた絵画と知りながら代金を支払って買い受けたとして、兵庫県須磨警察署に有償盗品譲受けの容疑で逮捕されました。
Aさんは、「盗品であることの認識がない。」と故意を否認しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、急いで接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
盗品譲受け等罪について
盗品譲受け等罪は、刑法第256条に規定されています。
第二百五十六条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。
盗品譲受け等罪の構成要件は、以下の通りです。
【1項】①盗品、その他財産に対する罪にあたる行為によって領得された物を
②無償で譲り受けたこと。
【2項】①盗品、その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を
②運搬し、保管し、もしくは有償で譲り受け、またはその有償の処分をあっせんしたこと。
◇主体◇
本犯者(窃盗などの犯罪行為を行った者)以外の者が、本罪の主体です。
本犯者が、その犯罪によって取得した物を処分する行為は、通常、本犯についての不可罰的事後行為であり、別罪を構成しないとされます。(最高判昭24・10・1)
共同正犯も正犯として本犯者となるので、本罪の主体とはなりません。
しかし、本犯の共犯者(教唆者・幇助者)は、本罪の主体となります。
なぜならば、共犯行為は本犯に通常含まれる行為とはいえず、盗品罪が不可罰的事後行為といえないからです。
◇客体◇
本罪の客体は、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」です。
(1)盗品等
「盗品等」とは、財産罪によって取得した財物で、被害者が法律上追求し得る権限を有するものをいいます。
(2)財産罪によって取得した物
本犯は財産罪に限られ、文書偽造罪、通貨偽造罪、賭博罪、賄賂罪などにおいて収受された物は、本罪の客体には含まれません。
本犯は、財産罪に「当たる行為」であればよく、犯罪として成立している必要はありません。つまり、本犯の行為は、構成要件に該当する違法な行為であれば足りるのです。
そのため、無責任能力者の行為であってもよく、親族相盗例の適用される者の間でおこなわれた犯罪によって取得された物も盗品性を失いません。
また、公訴時効が完成しても、被害者に返還請求権が認められる限り、盗品性は失われません。
(3)被害者の追求権
本罪の客体は、被害者が法律上追求しうる権限を有する物でなければなりません。
そのため、民法第192条により第三者が所有権を即時取得した場合には盗品性は消滅します。
しかし、盗品や遺失物は即時取得の要件が具備されたとしても、民法第193条により所有権が元の所有者に残るため、盗難・遺失のときから2年間は盗品性を失いません。
また、加工によって財物の同一性が失われ、所有権が工作者に帰属するときには、民法第246条により盗品性が失われます。
◇行為◇
(1)無償譲受け
「無償で譲受ける」とは、盗品を無償、つまりただで自己の物として取得することをいいます。
使用貸借は、無償ではあるけれども、所有権に基づく処分権を取得していないため、盗品無償譲受け罪は成立せず、盗品保管罪が成立するにとどまります。
(2)運搬
「運搬」とは、委託を受けて盗品の所在を移転することをいいます。
有償・無償、移転の距離の遠近は問いません。
(3)保管
「保管」は、委託を受けて盗品等の保管をすることで、有償・無償を問いません。
保管罪は、継続犯であるので、保管後に盗品であることを知ったが、そのまま本犯のために保管をしていた場合は、本罪が成立することになります。
(4)有償譲受け
「有償で譲り受ける」とは、盗品を売買・交換・責務の弁済等の名目で有償に取得することをいいます。
本犯者から委託を受けたか否かは問われません。
盗品有償譲受け罪が成立するためには、単に契約が成立しただけでは足りず、代金は未払いであっても盗品が引き渡されれば本罪が成立することになります。
また、盗品であることの認識は、契約時にはなかったとしても取得時にあれば足ります。
他方、取得した後に盗品であると認識した場合には、保管罪と異なり有償譲受け罪は成立しません。
(5)有償の処分のあっせん
「有償の処分のあっせん」とは、盗品の有償的な法律上の処分行為(売買、交換、質入れ等)を媒介・周旋することです。
本犯者から委託を受けたか否かを問わず、あっせんそれ自体は有償・無償を問いません。
◇故意◇
盗品譲受け等罪は、故意犯です。
盗品譲受け等罪のどの犯罪類型においても、行為者に客体が「盗品であることの認識」が必要となります。
盗品であることの認識は未必的なもので足ります。
保管罪と運搬罪は継続犯であるため、行為の開始後に認識した場合、認識した以降に犯罪が成立することになります。
一方、有償・無償譲受け罪と有償処分のあっせんの場合は、即成犯であるので、行為の開始時に認識がない場合には犯罪は成立しません。
上のケースにおいて、Aさんは盗品有償譲受け罪に問われています。
Aさんは、「買い取った商品が盗品であるとの認識はなかった。」と故意を否認しています。
Aさんが盗品である商品を取得した時に盗品を認識していた場合には、盗品有償譲受け罪が成立するでしょう。
しかし、梱包されたままの商品を複数買い取りに出す場合、買取側も「盗品かもしれないな。」と思ったであろうと判断される余地もあり、未必の故意が認められる可能性もあります。
「盗品とは知らなかった。」と故意を否認する場合には、捜査段階で不利な供述がとられないよう、早期に刑事事件に精通する弁護士に取調べ対応について相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談・出張相談も行っています。ぜひご相談ください。
事後強盗事件で少年が逮捕
少年が事後強盗事件を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古川市の家電量販店で、Amazonギフト券(2万円分)を万引きしたとして、市内に住むAくん(16歳)は店の出口付近で店員に声をかけられました。
驚いたAくんは、自分の腕を掴んでいた店員の手を振りほどき、そのまま全速力で店外へと逃亡しました。
しかし、数日後、兵庫県加古川警察署の警察官が、早朝にAくん宅を訪れ、事後強盗の容疑でAくんを逮捕しました。
突然の逮捕に驚いたAくんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士はいないかとネットで検索しました。
(フィクションです)
事後強盗とは
上のケースでは、Aくんは商品の代金を支払わずに商品を店外へ持ち去ろうとしています。
このような行為を、「万引き」といいます。
みなさんも一度は耳にされた言葉だと思います。
通常、万引き行為を行った場合、「窃盗罪」が適用されることになります。
しかし、上記のケースでは、Aくんは「事後強盗罪」に問われていますね。
それでは、事後強盗罪とはどのような犯罪なのでしょうか。
事後強盗罪は、刑法第238条に規定されています。
第二百三十八条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
事後強盗罪の成立要件は、次のとおりです。
①窃盗が、
②財物を得てこれを取り返されるのを防ぎ、逮捕を免れ、または罪責を隠滅するために、
③暴行または脅迫をしたこと。
①主体:窃盗
「窃盗」というのは、「窃盗犯人」のことです。
未遂犯であると既遂犯であるとを問いません。
②目的:財物を得てこれを取り返されるのを防ぎ、逮捕を免れ、または罪責を隠滅するため
「財物を得てこれを取り返されることを防ぐ」目的というのは、他人の占有を侵奪して事実上自己の占有下にある財物を被害者側に取り返されるのを阻止しようとする意図をいいます。
「逮捕を免れる」目的は、窃盗未遂・既遂の行為者が、被害者などから取り押さえられて身柄を拘束されるのを阻止しようとする意図です。
そして、「罪責を隠滅する」目的とは、窃盗犯人が後日窃盗犯人として捜査官に検挙され、処罰されることとなると認められる罪責を無にする意図をいいます。
③行為:暴行・脅迫
ここでいう「暴行又は脅迫」というのは、相手方に対する有形力の不法な行使(暴行)、そして、害悪の告知(脅迫)をいいます。
暴行・脅迫の程度は、相手方の反抗を抑圧するに足りるものであることが必要となります。
この暴行・脅迫の相手方は、窃盗の被害者に限定されません。
また、暴行・脅迫は「窃盗の機会」、つまり、窃盗の現場およびその継続的延長とみられる場所で行われることが必要とされます。
「窃盗の機会」についての判断は、窃盗行為と暴行・脅迫行為との場所的・時間的な近接等を基礎に行われます。
上のケースでは、家電量販店内で窃盗行為を行ったAくんが、店の出口付近で万引きに気づいた店員に声を掛けられ、Aくんの腕を掴んでいた店員の手を振り払うという「暴行」と加えて、逃走しています。
ですので、窃盗犯人であるAくんが、万引きした商品を取り返されるのを防ぎため、もしくは店員に捕まらないために、腕を掴んでいた店員の手を振り払うという暴行を加えていますので、Aくんに対して事後強盗罪が成立するものと考えられます。
窃盗罪の法定刑が10年以下の懲役または50万円以下の罰金であるのに対して、事後強盗罪は強盗と同様に、5年以上の有期懲役と、重くなっています。
少年が事件を起こした場合、原則として、捜査機関の捜査終了後に、事件は家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は、調査・審判を行い、最終的な処分を決定します。
少年事件は、罪名が重いからといって必ずしも少年院送致のような厳しい保護処分を決定するわけではありません。
逆に言えば、比較的軽微な犯罪であっても、少年の更生には少年院送致が適していると判断されることもあるのです。
家庭裁判所の審判は、非行事実と要保護性を審理対象としています。
非行事実は、成人の刑事裁判でいう公訴事実です。
一方、要保護性とは、概して、①再非行性の危険性、②矯正可能性、③保護相当性の3要素で構成されている概念です。
つまり、①少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があるか、②保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を除去できる可能性があるか、③保護処分に寄る保護がもっとも有効でかつ適切な処遇であるか、の3点が考慮されて要保護性の有無が判断されるのです。
事後強盗という重い罪名であったとしても、少年自身が真摯に反省しており、家庭や学校の協力も積極的に期待でき、被害者への謝罪・被害弁償等も済んでいるなど、要保護性が高くはないと判断されれば、最終的な処分が保護観察処分となる可能性はあります。
このように、少年事件の場合には、成人の刑事事件とは手続も異なりますので、お子様が事件を起こして対応にお困りであれば、少年事件に精通する弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで今すぐご連絡を。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
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