殺人事件で故意否認

2019-12-16

殺人罪に問われ故意否認している場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、ある夜、神戸市東灘区にある交際相手のVさん宅を訪れました。
しかし、Vさんから別れ話を切り出されたことに腹を立て、Vさんの首を絞めるなどの暴行を加えました。
我に返ったAさんは、Vさんの首から手を放しましたが、Vさんは意識を失っていました。
Aさんは怖くなりその場を後にしました。
後日、兵庫県東灘警察署がAさん宅を訪れ、殺人の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんは、「感情的になり暴力を振るってしまったことは認めるが、Vさんを殺すつもりはなかった。」と容疑を一部否認しています。
(フィクションです)

殺人罪について

殺人罪は、ご存知の通り、「人を殺す」犯罪です。
殺人罪については、刑法第199条に次のように規定されています。

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

◇客体◇

殺人罪の客体は、「人」です。
行為者を除く自然人を指します。
さて、ここで、客体である「人」であることが、いつから始まりいつ終わるのか、が問題となります。

①人の始期について
人がいつ「出生」したと言えるか、という点については、「一部露出説」という考え方が通説だとされており、判例も同様の立場をとっています。
「一部露出説」というのは、一部が母体から露出した時点で「人」とする考え方です。

②人の終期について
人の終期、つまり、人が死亡したと、いつ言えるのか、という点については、争いがあります。
伝統的には、呼吸・脈拍の不可逆的停止、瞳孔拡大を起訴に総合的に判定する「三徴候説(心臓死説)」が通説とされてきましたが、生命維持・組成の為の技術が発達し、脳幹を含む全脳の機能が喪失しても相当期間、呼吸・循環を人工的に維持することが可能となり、脳機能の喪失をもって死とする「脳死説」が提唱されるようになりました。

◇行為◇

殺人罪の構成要件的行為は、「人を殺す」ことです。
「殺す」とは、自然の死期以前に人の生命を断絶する行為をいい、その手段・方法は問われません。
包丁で人を刺殺するといった方法でも、精神的に追い詰めて被害者に自らを死亡させる現実的危険性の高い行為に及ばせる方法や嬰児に食事を与えず死亡させる行為も「人を殺す」行為に当たります。

◇故意◇

法律に特別の規定がない限り、罪を犯す意思がない行為は処罰されません。
この「罪を犯す意思」というのが、「故意」と呼ばれるものです。
殺人罪の場合、「罪を犯す意思」というのは「人を殺す意思」、つまり、「殺意」があったことが本罪の成立には必要となります。
客体である「人」の認識については、単に「人」であることの認識で足ります。
また、行為の認識については、殺人の手段となる行為により、死の結果が発生可能であることを認識していればよいとされます。
故意は、未必的なもの、つまり、「相手は死ぬかもしれない」という認識や、条件付きのものでも構いません。

故意がなければ、結果として人を死亡させてしまったとしても、殺人罪は成立せず、傷害致死罪が成立するにとどまります。

故意(殺意)の認定は、具体的事情を考慮しつつ行われます。
例えば、凶器の種類、行為態様、創傷の部位・程度といった客観的な事情、動機の有無、犯行前・犯行時の言動、犯行後の言動などを総合的に考慮して判断されます。

また、殺す意思があった場合でも、自分の命を守るためにやむを得ずした行為であった場合には、違法性が阻却され、殺人罪は成立しません。

人を死亡させてしまった場合であっても、必ずしも殺人罪が成立するわけではありません。
しかし、その主張を裁判官や裁判員に適切に伝えることは、刑事事件に精通した弁護士なくして行うことは容易ではないでしょう。
ですので、ご家族が殺人罪に問われ、殺人罪の成立を争いたいとお考えであれば、刑事事件に精通する弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

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