酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律とは?

2020-01-01

酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市中央区にある神社は、初詣に訪れる人たちで大変賑わっていました。
大学生のAくん(21歳)は、大晦日から友人たちと飲んでおり、神社に到着した時には大分酔った状態でした。
Aくんは、友人らと境内で騒ぎ立てており、「おいこら、道開けろや。」と周りの初詣客に暴言を吐き、初詣客らはAくんらから逃げるように神社を後にしました。
見かねた神社の関係者が近くの交番に通報し、兵庫県生田警察署に警察官が現場に駆け付けました。
Aくんらは、酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律違反の容疑で現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

酔っ払い防止法って?

酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」は、通称「酔っ払い防止法」と呼ばれており、酒に酔っている者の行為を規制し、または救護を要する酩酊者を保護する等の措置を講ずることによって、過度の飲酒が個人的および社会的に及ぼす害悪を防止し、もって公共の福祉に寄与することを目的として1961年に制定された法律です。
日頃あまり耳にすることがない法律ですが、今回は、この酔っ払い防止法について解説していきたいと思います。

酔っ払い防止法には、以下の通り、罰則規定が設けられています。

第四条  酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。
2 前項の罪を犯した者に対しては、情状により、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。
3 第一項の罪を教唆し、又は幇ほう助した者は、正犯に準ずる。
第五条 警察官は、前条第一項の罪を現に犯している者を発見したときは、その者の言動を制止しなければならない。
2 前項の規定による警察官の制止を受けた者が、その制止に従わないで前条第一項の罪を犯し、公衆に著しい迷惑をかけたときは、一万円以下の罰金に処する。

◇4条1項◇
酩酊者が、公共の場所・乗物で、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野・乱暴な言動をした場合に成立する罪です。

「酩酊者」というのは、アルコールの影響により正常な行為ができないおそれがある状態にある者を指します。(第1条)
「正常な行為ができないおそれのある状態」とは、現実に正常な行為をしていても正常な行為ができなくなるおそれがある場合のみならず、現実に正常な行為ができなくなっている場合も含みます。
ここでいう「正常な行為」とは、通常人が日常生活において健全な判断に従って行うような言動をすることができなくなることをいいます。

本罪の行為が行われる場所は、「公共の場所又は乗物」に限られます。
「公共の場所・乗物」には、道路、公園、駅、興行場、飲食店その他の公共の場所、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他公共の乗物が含まれ(第3条1項)、不特定かつ多数人の利用し得るべき場所・乗物のことをいいます。

「公衆」とは、不特定多数人をいい、現に公衆がいたか否かは問われません。

「迷惑をかけるような」「著しく粗野又は乱暴な言動」とは、相手が困ったり不快に感じるような、場所がらをわきまえない、それ相当の礼儀を守らない、ぶしつけな、又は乱暴な言語・動作を意味し、実際に迷惑をかけたことは必要とされません。
このような言動に当たるか否かの判断は、当該行為の場所、時間、周囲の状況などに基づいて、健全な社会通念に従って総合的に判断されます。

◇5条2項◇
4条1項の行為をしている者に対して警察官がその言動を制ししようとしたものの、その者が制止に従わずに、公衆に著しい迷惑をかけた場合には、1万円以下の罰金が科される可能性があります。

警察官の制止に「従わない」とは、警察官が酩酊者の言動をやめさせるために必要かつ相当と認められるような実力を用いてその言動を制圧する努力を尽くしているにもかかわらず、当該酩酊者が積極的にこれに反抗して著しく粗野・乱暴な言動を引き続いて行うことです。
本罪が成立する場合、4条1項の罪は本罪に吸収されます。

以上より、Aくんの行為は酔っ払い防止法違反に当たるものと考えられます。
しかし、Aくんの行為により神社や露天商の業務に支障をしたしていることを考えると、業務妨害罪が成立する可能性もあります。
また、駆け付けた警察官に対して反抗した場合には、公務執行妨害罪となる可能性もあります。

酒に酔っての行為とはいえ、周囲に迷惑をかける行為は、時に犯罪となることもありますので、飲酒量に気を付けるなど自分の行為には責任を持ちましょう。

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