試験観察を経て保護観察に
試験観察からの保護観察処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡市川町に住むAくん(17歳)は、大学入試を控えており、睡眠時間を削って必死に勉強していました。
しかし、思ったように成績も上がらず、徐々にストレスも積もっていきました。
そんなある夜、ストレス発散にと思い、深夜に自宅付近をジョギングすることにしました。
ジョギングしていると、前方に千鳥足の若い女性を確認しました。
酔っ払ってるんだろうと思ったAくんは、ふとその女性に声をかけました。
その女性はかなり酔っていたようで、Aくんのほうにもたれかかってきたので、Aくんはムラムラし、女性の服の下から手を入れ、胸を鷲掴みにしました。
嫌がる女性に対して、Aくんは自分の陰部を触らせるなど、行動はエスカレートしていきました。
我に返ったAくんは、女性を押し倒し、その場から急いで走り去りました。
数か月たった頃、兵庫県福崎警察署の警察官がAくんの自宅を早朝に訪れ、強制わいせつ致傷の容疑でAくんを逮捕しました。
Aくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aくんは、少年院送致の可能性もありましたが、逮捕・勾留後に神戸家庭裁判所姫路支部に送致され、審判で試験観察が言い渡され、最終的には保護観察処分となりました。
(フィクションです)
強制わいせつ致傷保護事件
電車内での痴漢行為がエスカレートして下着の中にまで手を入れ、相手の胸や陰部を触るケースや、路上で女性に抱きついて押し倒して胸や陰部などを触るケースで強制わいせつや強制わいせつ致傷に問われる事件が多くみられます。
少年事件においては、性的欲求のコントロールがうまくできず、自分よりも幼い子に対して行うことも少なくありません。
強制わいせつ罪や強制わいせつ致傷罪には懲役刑のみが規定されており、その意味で刑法犯の中でも重い罪と言えるでしょう。
そのため、少年事件においても、最終的な処分が少年院送致となる可能性も十分にありますので、できるだけ早い段階から弁護士を付けることをお勧めします。
少年審判では、非行事実だけでなく、要保護性も審理対象となります。
少年の環境調整を行い、再び少年が非行を犯すことがないことをしっかりと主張することが重要です。
試験観察を経て保護観察処分に
少年院送致の可能性がある保護事件の場合には、弁護士は、最初の審判で試験観察獲得を目指します。
少年事件は、家庭裁判所に送致されると、調査官による調査、少年審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
その処分には、中間処分と終局処分とがあります。
終局処分には、以下のような処分があります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官逆送
③知事又は児童相談所長送致
④不処分
⑤審判不開始
一方、中間処分として「試験観察」という処分があります。
家庭裁判所は保護処分を決定するために必要があると認めるときに、相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。
強制わいせつ致傷保護事件の様な少年院送致の可能性がある場合、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。
お子様が強制わいせつ致傷事件を起こし、少年院送致のような重い処分になるのではないかと心配されているのであれば、まずは少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お子様の更生にとって適した処分となるよう少年事件に精通する弁護士が尽力します。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。