少年に対する処分①~試験観察、審判不開始、不処分~

少年に対する処分①~試験観察、審判不開始、不処分~

少年に対する処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

少年が事件を起こしたら

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、犯罪行為を行った場合、捜査機関による捜査が終了すると、おおむねすべての事件が家庭裁判所に送られます。
家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するか否かを決定します。
審判開始の決定がされた場合は、家庭裁判所は審判を経て、少年に対する処分を決定します。
家庭裁判所が決定する処分には、中間処分と終局処分とがあります。

中間処分

終局処分決定前に、中間的な措置としてなされる中間決定です。

試験観察

終局処分の決定を一定期間保留する中間処分で、少年を家庭などに戻し、その経過を見た上で、終局処分を決定するものです。
試験観察には、少年を家庭に戻す在宅試験観察と、適当な施設、団体や個人に少年の補導を委託する補導委託とがあります。
前者の措置では、普段の生活を送りながら、定期的に家庭裁判所に出向き調査官と面接をすることが求められることが多く、試験観察の期間は、おおむね3~6ヶ月となっています。
後者の措置は、家庭環境や交友関係が非行の原因となっているなど、少年を元の生活に戻すと更生に支障をきたすのではないかという不安がある一方、少年院に収容するよりも社会内での処遇が適切である事案などで、補導委託先に少年を預け、その指導監督のもとでの更生に期待してとられるものです。
こちらの期間は、通常6ヶ月ほどです。
試験観察は、少年院送致とするか決めかねる際にとれらることが多く、期間中問題がなければ、最終審判で不処分や保護観察となるケースが多くなっています。

終局処分

1.審判不開始

家庭裁判所は、調査の結果、審判に付すことができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければなりません。
この決定を「審判不開始決定」といいます。
審判不開始の決定には、次の2種類があります。

①審判に付することができない場合
法律上または事実上、審判に付することができない場合であって、以下の場合です。
(1)非行事実なし
(2)所在不明等
(3)その他(審判条件が存在しないとき等)

②審判に付するのが相当でない場合
審判に付するべき事由はあるけれども、少年の要保護性が既に解消し、不処分、保護処分、児童福祉法上の措置、刑事処分のいずれも必要がなく、審判をする必要がない場合であって、以下の3つに分けられます。
(1)保護的措置
調査官からの訓戒、教育的指導、被害者について考えたり話を聞く機会を設け少年の内省を求めるなどの保護的措置によって、少年の要保護性が既に解消した場合。
(2)別件保護中
少年が他の事件で既に保護処分に付されており、本件では特に保護処分に付する必要がない場合。
(3)事案軽微
非行事実が極めて軽微で、警察・家庭・学校などで適切な措置がとられており、既に要保護性が解消され再非行のおそれもない場合。

2.不処分

家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければなりません。
この決定を、「不処分決定」といいます。
審判不開始決定とは異なり、調査官による調査を経て、審判が開かれます。

不処分の決定には、次の2つに分けられます。

①保護処分に付することができない場合
法律上または事実上、保護処分に付することができない場合であって、以下の場合です。
(1)非行事実なし
(2)住所不明等
(3)その他(審判条件が存在しないとき等)

②保護処分に付する必要がない場合
審判を行った結果、要保護性が認められず、保護処分、児童福祉法上の措置、刑事処分のいずれの必要もない場合です。
審判不開始と同様に、保護的措置、別件保護中、事案軽微の3つに分けられます。

非行事実を認めている場合、審判不開始不処分となるには、調査又は審判時に、要保護性が解消されていると判断されることが必要です。
そのためには、できるだけ早い段階から要保護性解消に向けて少年や家庭・学校などに働きかける必要があります。
少年事件への対応には、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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